珈琲店タレーランの事件簿2
彼女はカフェオレの夢を見る

≪あらすじ≫
京都の街にひっそりと佇む珈琲店“タレーラン”に、頭脳明晰な女性バリスタ・切間美星の妹、美空が夏季休暇を利用してやってきた。外見も性格も正反対の美星と美空は、常連客のアオヤマとともに、タレーランに持ち込まれる“日常の謎”を解決していく。人に会いに来たと言っていた美空だったが、様子がおかしい、と美星が言い出して…。姉妹の幼い頃の秘密が、大事件を引き起こす。
(単行本裏表紙より抜粋)
というわけで二巻。これくらいのサイズだと帰りの通勤に読むだけでもちょうど5日くらいで一冊読み終えるので暇つぶしにはちょうどいい。今のところ三巻が既刊なので読み進めて行く取っ掛かりにもちょうどいいしね。
なんやかんやで結構辛辣な批評を一巻ではした私だが、何度も書いたようにラノベのような読みやすさは二巻でも変わらずだし、私みたいなオタクからすると親しみやすくもある。
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
前回は一巻だったこともあって結構長文の感想(というか批評か?)を書かせてもらったが、今回は続巻でもあるのでちょっとあっさりめに。
結論から言えば、一巻よりは面白かったと思う。回りくどい文章も、だいぶ読みやすくなった気がする(私が慣れただけかもしれないが)。まぁ、これは読んだ人の感覚なので「一巻みたいな文章の方が良かった」と言う人もいるとは思うが。
冒頭には京都地図や伏見稲荷の全体図など、本編を読む上で必要な地図要素があるのは良い配慮。さすがに一巻ではそこに批難もあったのだろう(苦笑 一巻の感想でも書いたけど、あれは京都の地理に詳しくないと読んでても良く分からない部分があったし、無論読み進めて行く分には問題なくても読みながら一緒に推理し謎を解くタイプの読者からすれば当然の批難だったと思う。
ミステリー要素に関して言えば、仮にこの作品が「日常的な謎を解く」ことに本質や本義を置くのであれば、作者さんやファンの方からすれば不本意なのかもしれないが、終盤の大事件の方が読んでてミステリーっぽい感じはあって「ミステリー本を読んだ」という手応えはあった。この辺は、コンテストの際も専門家に指摘されたらしい「(作品としての)ミステリーの弱さ」を補ってきた、と考えるべきなのだろうか。
とはいえ、人物描写は相変わらず、というのが率直なところ。場面場面でアオヤマの言動と文章がブレてて総括してどんな人物かが分からないし、そもそも独立云々を言っていた話も続編になったからか曖昧にぼかされていて、結局彼がバリスタであったことや前作でのことなど都合の悪いところだけが作家にとって都合よくがすっ飛んでいる感じがする。
またアオヤマは、バンドもやっていたという追加設定が都合よく出てきたり、彼の一人称の作品なのに最後のエピソードでは新キャラ・美空と連絡先を交換しているなど「聞かれなかったから応えなかった」と言わんばかりの要素が前作ほどではないにせよ存在しており、彼が主人公であることにあまり好感が抱けない。
ネタバレになってしまうので反転掲載させてもらうが、「誘拐された美空も良く分からない。文章では怖いだなんだと書いてあったと記憶しているが、その彼女が場面が切り替ると人が変わったみたいに誘拐犯を批難して暴行を受けるとか意味不明。結局のところ、誘拐犯であるあの人物の内面を描いておきたかったのだろうが、そのために美空というキャラクターを都合よく使い過ぎ」というような部分もあって、キャラクターのご都合主義化が進んでいるのは「日常」を一つのテーマや舞台としている割には勿体ない。
あとはやっぱり謎ときに大して絡まないコーヒー要素。京都の地理に関しては、まぁ最後のエピソードではちゃんと謎解きに関わっていたけどね。コーヒーに関するウンチクがアクセントじゃなくただの作家の自慢話にしか感じないシーンも多々あり、その辺は(ミステリー本として観るなら)改善して欲しい点。
加えて言えば正直、恋愛要素はあんまり要らないかなぁ、と。二人の仲が進展して相応のラブストーリーを奏でる(あるいはそのつもりがある)のならまだしも、付かず離れずな展開が二巻では終始していてそれなら強引に恋愛要素を要所や最後のページに入れる必要はなかった。そこにページと文量を割くなら、もっとミステリーにこだわって欲しい。
評価は★★☆(2.5点/5点)。前作よりは良かった、前作から比べれば及第点というのが私の感想。まぁ、レビューとか個人の書評なんかを観ているとそうでもないみたいなんだけどね。特に最後のエピソードがミステリー色の強いものだったのが良かったのかな?
NoTitle
最近仕事が忙しく、あまりアニメ見られなくなってしまいました。マンガはなんとか読めてますが。
考察大好きな管理人さんにオススメのマンガがあるので紹介しようと思います。既に知っていたらごめんなさいですが、ジャンプで連載しているワールドトリガーというマンガです。
SF?アクション物で、世界観がえらいしっかりしてます。小出しにされる情報からこれからの展開・設定などを予想するのが楽しく、主人公の所属する組織の大人たちが超優秀で頼りになります。
軽くネタバレになりますが、凄く強い敵が出てきた時、こいつの能力は、誰が倒すのかを予想していた読者の予想を裏切り「相手の目的は足止めだから無視して兵を他にまわす」っていう、強敵を前にしてジャンプ作品にあるまじきまともな大人っぷりです。
敵も展開の都合でバカになったりせず毎週敵味方両陣営の動きが楽しみです。
気になったら是非読んでみてください。