[再]新機動戦記ガンダムW 第10話
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[新機動戦記ガンダムW]
『ヒイロ閃光に散る』
≪あらすじ≫
トレーズは、ルクセンブルク基地に到着。タイミングを合わせてレディ・アン指揮の元、新型トーラスを宇宙に打ち上げる計画が実行されていた。しかしそれは、トーラス輸送を阻止に現れるだろうガンダムの殲滅を目的としていたのだった。
五飛を除く4機のガンダムは、罠と感じながらも出撃。ゼクスはトールギスに搭乗し、ウイングガンダムに純粋な1対1の戦いを挑む。予想を遙かに凌ぐガンダムの戦闘能力でOZの勢力は次第に苦しくなっていった。
レディ・アンは、バルジ要塞のミサイルの照準をコロニーに合わせ、ガンダムたちに降伏を迫る。
戸惑うパイロットたちだったが、彼らとOZにウイングガンダムの開発者・ドクターJからの通信が入り「降伏はするが、ガンダムは渡さない」と宣言。それを聞いたヒイロは、コクピットを開き、自らウイングガンダムの自爆させるのであった。
(公式HP TVSeries Story 第10話より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
ヒイロの自爆。とにかくそこに尽きる10話ではあるものの、そこに言及していてはつまらない。初見ならいざ知らず、もう何度も観ている作品だからね。なのでもっと違う視点でアレコレと語ってみよう。
まずはトールギス。スペック上はウイングガンダムと同等のスピードアビリティを備えており前回は吐血し不整脈を起こすほどだったが、ゼクスはある程度乗りこなしているようだ。もちろん、今回の出撃ではゼクス自身が語ったように「トールギスの全てを出さなくても勝てる」と全力ではなかったので、まだ完全に乗りこなしているわけではないが。
面白いことは、このトールギスをヒイロが「プロトタイプリーオー」と呼称したことだ。つまり、トールギスとはリーオーのプロトタイプであり、あくまで現代兵器に置いて基準がリーオーであることを暗示している。視聴者からするとこれが逆になる。トールギスは全てのMSの始祖であり、リーオーはそのチューンダウンでしかない。言ってみれば「量産型トールギスの一つ」こそがリーオーという捉え方をする人も少なくないのではないだろうか。
だが劇中では「プロトタイプリーオー」なのである。
ちなみに続編の『FT』ではヒイロがリーオーに対して並々ならぬ執着を持っている可能性を示唆されている(あくまで可能性であって確定事項ではない)。具体的に、リーオーとはヒイロにとって「養父が造ったモノ」という感覚があるのではないかということだが、その通りなのかは分からない。ヒイロはあんまりそういうことを気にしそうにはないタイプの人間ではあるが、確かにこの先、ヒイロはガンダム以外で乗るMSの多くはリーオーであることが多いのは事実である。
とはいえ、それはリーオーの高い汎用性故だとも私は考えている。リーオーはこの世界における現代MSの基準となっている。それはこの世界独特のスペック設定である「アビリティポイント」の基準がリーオーで、リーオーの数値を「100」で固定して測定していることからも明らかだ。
MSにおいては局地戦としての能力よりも汎用性をヒイロは重視していたように思う。それは彼の搭乗機ウイングガンダムもまた、飛行可能な点やMS単体でのMS突入が可能な点などリーオーよりもさらに高度で広範囲な意味で高い汎用性を獲得していたからだ。彼にとってMSで重要なのはある程度どの戦場でも一定の能力値をまんべんなく発揮できる汎用性だったのかもしれない。
さて、キャラクターとしてはレディ・アンの落とし方が上手い。レディ・アンはここでの非人道的作戦を底辺にして少しずつ右肩上がりに回復していき、最終的にはトレーズの理想を正しく理解し、続編でも重要な役職に就くなどほぼレギュラーキャラ化していくことになるとは、この時きっとだれも予想していなかったことだろう。
しかし、レディ・アンは実はその名の登場回数の割に、続編や小説版での印象が薄い。というのも、トレーズやミリアルドたちと違ってその生い立ちやOZ、あるいはトレーズに盲信する過程がほとんど分からないからだ(まぁ、私が読まなくなってからやったのかもしれないので断言するのもあれだが)。初期のレイク・ビクトリア基地の教官(当時の教官はトレーズ)としての教え子であるゼクスやノインの方が地位は高そうだが……。
一方で、ガンダムパイロットたちにも「ヒイロ+トロワ」「デュオ+カトル」と新しい組み合わせを披露。単体戦力として完結しているガンダムパイロット同士が触れ合い、意見を交換し、互いに刺激し合うことで成長していく流れは悪くない。五人が個々に独立しているからこそ出来る手法だけどね。例えば『SEED』や『00』だとあまりこういうことは出来ない。まぁ、パイロット同士が当初全く無関心だった『00』のファーストシーズンくらいかw
この流れで話すと、レディ・アンが指摘していたように個々のガンダムとそのパイロットは、カトルを除いてそれぞれが単体戦力として完結している。部隊による運営を想定していないというのは兵器としては異質であり、後に多数ガンダムを出す『SEED』シリーズや『00』シリーズにおいても単体戦力としてのガンダムはほぼ存在しないと言っていい。
強いて言えば、『00』のダブルオーライザーやクアンタ系、あるいは劇場版のサバーニャ・ハルート辺りは『W』の単体での完結した戦力という意味合いを持つかな、という形か。『SEED』シリーズの初期5機は、それぞれに特化した性能を持つもののそれぞれが部隊内で運用することを想定した機能や性能であり、フリーダムやジャスティスですらエターナルという専用母艦を包括した部隊運用が前提だった(強奪されたり途中合流だったりであまりそうは見えないのだが)。
平成系でいえばターンエーなんかもそうなのかもしれないが、あれはガンダムたくさん出てくるわけじゃないしなぁw 『X』のガンダム、特にサテライトキャノンを持つエックス系は単体で完結した戦力に見えなくもないが、あれも性能が100%発揮されるのはフラッシュシステムによるビットMSが稼働してのことだろうし、そう意味で「ワンマン」ではあるものの、物量的には部隊運用みたいなものだし。
にしても、ここで五飛は出て行かなかったからハブられちゃった節はあるよね(´・ω・`)ショボーン
次回『幸福の行方』。
あれでヒイロ死なないんだから凄いですよね、まぁ生きてるだけなら爆破に巻き込まれて生きてる例は現実にも多々ありますが。
あの至近距離であの規模の爆発に巻き込まれて後遺症無しってのはヒイロの身体的能力が如何に桁外れかを示唆しているグッドエピソードです。
トロワに言った「死ぬほど痛いぞ」も高度なギャグで、Wの脚本家の才気煥発っぷりが際立ちますね。
FT?
ああ……関係ない話ですが、如何に優れた茶葉も何度もお湯を足せば出涸らししか出ないんスよ。