キリンチャレンジカップ2014 日本(H) 4 - 2 (A)ニュージーランド
格 下 相 手 に ま さ か の 大 失 速
詳細は追記からどうぞ。
◆貴重な代表戦だったはずだが
前半の立ち上がりは、格の違いをしっかりと見せつける内容と結果だった。さすがに4-0になった時には最終的に何点取るのか、と思ってしまったわけだが、幕が閉じてみれば日本が取れた得点はこの4点で終わり、4-2という結末だった。
誰の目にも前半の終盤から後半以降は若いニュージーランドの方が良いサッカーをしていたと感じられたと思うし、ワールドカップに出れない彼らに対して失礼とさえ思うほど日本のサッカーは大失速をしたまま終わった。
さて、そもそもこの試合は控え選手にとってこれ以上ないアピールの場でもあった。長谷部・内田両選手がワールドカップ本戦に間に合うかどうかとすら言われるほどの怪我を負い治療中で、さらに柿谷・今野両選手が発熱でチーム離脱と、予期せぬ形ではあるが「固定メンバー」と批判されてきたスタメンの中で四人が強制的にいない状態。
どれだけ控え、あるいはワールドカップ本戦におけるメンバー当落ライン上にいるだろう「微妙」な選手たちにとっては最後のチャンスでもあったわけだ。
なにせ、この試合を最後にワールドカップ本戦メンバー発表まで代表戦はなかったはずだ。次に行われる五月の試合はすでにワールドカップ直前で本戦メンバーは決まっている。
そうした中での試合。別の角度から見ると、幾らザッケローニ監督が「メンバーは白紙」といったとしてもほぼ当確しているだろう本田・香川選手含め、海外の所属チームで苦労している選手にとっては試合勘を取り戻すチャンスでもあり、そして現状の「国立競技場」で行われる最後の代表戦と、いろいろな角度や切り口から「重み」があったはずの試合だった。
だがどことなく試合は忙しなく落ち着かない、「軽さ」ばかりが目立ったような印象だ。
浮足立ったような試合。良い方向にそれが働いた序盤は四点を取るが、悪い方向に働いた中盤以降は後手に回ってニュージランド相手に二失点をする始末。チームの浮ついた状態が、長谷部・内田・今野選手といった経験値豊富な選手が欠けた影響なのかどうかは分からないが……いや、まぁ普段のプレースタイルを考えればこの三人がいたことの「意味」はやはり大きかったのかもしれない。
◆足りなかったのは緊張感
日本の悪いところが出たとすれば、それは間違いなく四点取って完全に勝利ムードとなって後が続かなかったことだろう。本当に日本の悪い癖である。
四点取ってからのプレッシャーは全体的に弱くなり、チームとして「どこでプレスをかけてボールを取って、攻めに転じるか」も正直統一されていたとは思えない。
それならそれで半ば当確ラインにいるといっても過言ではない本田・香川・長友選手辺りを前半だけで代えて、当落ラインギリギリの選手や代表戦では「呼ばれるけど試合には出れない」メンバーを送り込んで、どんな形であれ試合に緊張感と真剣さをもっと持ちこんで欲しかったところだ。
というよりも、四点取った時点で本田選手らレギュラー格はもうお役御免で良かっただろう。「代表」として監督が指揮を執りながら選手を確かめられる最後のチャンスだったわけで、交代枠六人だったことを差し引いてももっと試したい選手や試したい形があったはずだ。
もちろん、所属チームで出場機会が激減している香川選手、苦労している本田選手に本来の輝きを取り戻させるためのテコ入れで90分ないしそれに近い時間をプレーさせるという選択肢が「ナシ」なのかといえば、そうでもないのだが……。
◆頼みの綱は固定メンバーの復帰と復調なのか?
そう感じずにはいられなかった。
先にも挙げたように固定メンバー四人が怪我やコンディション不良で離脱している、というこれ以上ないくらい控えメンバーにとってはアピールの場だった。
けれど、その中でアピールできた選手が果たしてどれだけいただろうか。
せいぜいボランチは遠藤・細貝選手と言ったお馴染みの顔ぶれの動きがイマイチなところも多かった分だけ、前半の山口・青山選手は多少アピールできたかな、というくらい。かねてから右サイドバックで内田選手の対抗馬、有識者やOBの中から「内田ではなく彼を使うべき」と推す人もいるくらいの酒井宏・高のダブル酒井選手は右サイドでは合格点とは言いづらい。
四点取りながら1トップの得点がゼロという時点でフォワード陣のアピール度などゼロに等しい。またFWに対してもそれを活かすような戦術やパスを結局、司令塔・パサーとされるような選手たちが使えていないことも相変わらずこのチームの悪いところがそのまま出た。
これをどう捉え、考えるのかはそれぞれ人次第なのだろうが、私はやはり固定メンバーと批判はされていたが、あの固定メンバーが日本の中で能力も経験値も(もちろん連携度も)群を抜いていたということなんだと思った。彼らは固定メンバーだから能力が高かったわけではなく、能力が高くそれを脅かすような選手が少なすぎたから固定メンバーになっていただけではなかったのか、と。
そうなってくると、日本がワールドカップで活躍するには固定メンバーがベストコンディションで、さらに個々のメンバーの調子が復調していることが絶対の前提条件なのかもしれない。
とはいえ、コンディション不良の選手はともかく癖になりつつある足の怪我が頻発している内田選手、手術をすることになった長谷部選手が本戦に間に合うかが分からない以上、最悪の事態も想定してメンバーは考えていないといけないのだけどね。
ワールドカップ本戦メンバーはここ数回、良くも悪くもサプライズがあった。とはいえ、さすがにもうそんなことはしなくても良いと思っている。堅実に、ワールドカップで予選を戦い決勝トーナメントに進むために必要なチーム作りをお願いしたい。
◆個人的ガゼッタ式採点
あくまで素人目で個人的なものです。どちらかというと、自分で書いておいてあとで有識者の方の採点とを見比べて自分の見る目をさらに養うためのものなので。
チーム:6.0 どんな相手、どんな試合内容でも勝利はどんなチームでも至上命題。それを達成した以上、この点数は最低ラインなのだが、そこからプラスアルファはなかった。チームも落ち着きを欠いた・
GK
川島永嗣:5.0 どんな理由があれ格下相手に二失点は守護神としていただけない。DFラインとの連携はもちろん守護神としてチームを落ち着かせるメンタリティや声だしをもっと期待したい。
DF
長友佑都:6.0 及第点。攻守で運動量を見せ、海外組の中ではコンディションが良い部類なことをアピール出来た。一方でチームとしては落ち着かせられず、臨時とはいえキャプテンマークを巻くことには疑問。
森重真人:5.0 フィジカル面で相手FWに完全に敗北。二失点目は安易にボールが上がってしまったこともそうだが、身体を当てられて完全に体勢を崩してしまい、センターバックとして使うには不安も。
吉田麻也:5.5 無難にこなしていたといえばそれまでだが、大幅な入れ替えのある中では数少ないレギュラー組。もう少し全体的に落ち着かせるような効果も欲しかった。
酒井宏樹:5.0 裏を取られるシーンがとにかく多く、ワールドカップ本戦ではほぼ全て格上の中での試合と考えるとこの守備力ではとても先発では使えると思ってはもらえないだろう。得意のオーバーラップとクロスは光るシーンがあったものの、あの程度の精度ではレギュラーを脅かすような「武器」には見えない。
酒井高徳:5.5 前に出ることが多い長友のバランサーとして動いていたようにも見えるが、危ないシーンも。攻撃参加時の精度とタイミングがややイマイチか。酒井宏樹と揃って、「ポスト内田」には程遠い。
MF
青山敏弘:6.0 ボランチとしてのアピールはなかなかだったか。せっかくなら遠藤or細貝と組んでみてどうなるかもみてみたかったところ。
山口蛍:6.0 かねてよりボランチとして能力は評価されていたと思うがスタメントして投入されて前半の四点を支えた。それだけに一失点目に絡むなどの不安要素は勿体ない。
本田圭佑:5.5 90分プレーし、前半は光っていたものの後半は完全に失速。攻撃にはアクティブなのだが守備がややおろそかなシーンも見られ、二失点目はプレスが甘く安易に相手にクロスを上げさせてしまった。
香川真司:6.0 試合勘が心配されたものの序盤は上手くチームとも噛み合い攻勢に。相変わらずシュートを撃ちそうなシーンで撃たない点には不満もあるが、PKとはいえとりあえず一得点の結果が今後の好転につながることを信じる。
遠藤保仁:5.5 後半からの途中出場で、「らしい」と言われるパスも幾つかあったが、まだJリーグが開幕したばかりとはいえ守備面含めてボランチとしては不安も。
細貝萌:5.5 良くも悪くも目立たず。それが彼やボランチというポジションにとっていいことなのか悪いことなのかは判断が分かれそう。
清武弘嗣:5.5 動き出しやポジショニングは悪くなかったと思うが、フィニッシュやクロスの精度が全体的にイマイチだったのが勿体ない。
齋藤学:5.0 自分の持ち味であるドリブルは駆使していた。しかし、ドリブルして相手を抜いた後の展開力や技術が他の選手に比べると見劣りする印象が強く、ドリブラーとしてだけでは生き残りは正直厳しいか。
FW
岡崎慎司:7.0 前半のわずかな時間で二得点は見事。海外組の中ではコンディションや充実さでも高いようなのでこれを本戦まで維持して欲しい。この試合で唯一良いアピールが出来たといっても過言ではない。
大迫勇也:5.5 自分の活かし方に苦労し続けているように見えた。とはいえ飛び出しでは岡崎選手に、ボール保持では本田選手にそれぞれ分があるような感じでアピールできたかは難しい。
豊田陽平:5.0 出場時間数が少なかったことが悔やまれる。しかし、投入後もこれといってポストプレーも出来ず、アピールらしいアピールも出来ず、最後は苦し紛れのロングシュートでは……。
監督
アルベルト・ザッケローニ:5.0 必死さの足りない選手たちに対してテコ入れを上手く出来ず、四得点以降はグダグダなチームを最後まで引き締めることが出来なかった。ワールドカップ本戦でこんなことをしないように教訓にして欲しい。
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