国際親善試合 日本 2 - 4 ウルグアイ
こ れ が 世 界 と の 差
詳細は追記からどうぞ。
◆決められない攻撃陣と守れない守備陣
これが世界との差である。そう言われているかのような試合展開と結果だった。
ウルグアイ相手に二点取ったが、四点失っている。普通に考えれば守備陣がもう少し失点を抑えていれば勝てた試合に映るかもしれないが、数字に表れていないだけで日本があと何点取れたことか。ゴール前でフリー、一対一のシーンが何度あった?
それを決め切れていればこの失点でも勝てていたかもしれない。もちろん、四失点は褒められた結果ではない。評価することも出来ない。とは言っても、だからと言って攻撃陣が仕事をしたかと言えばそうでもないわけだ。
一方でウルグアイは効果的に攻撃をし、守備をし、数少ないチャンスをモノにした。十本打って一、二本しか入らない日本と、十本打てば六、七本は決められるウルグアイ。これが世界ランクの差であり、W杯やコンフェデ杯など世界有数の大会でベスト4に入ることが出来るチームとの差であることを認識しないといけない。
日本選手の中にも世界トップリーグの、さらにトップチームに所属する選手が少しずつ増えてきた。そこで得られる経験や技術的向上は素晴らしいモノがあるに違いない。それが自信となってビッグマウスを口にする選手も増えてきた。
それは良い。選手たちは、長期・中期・短期で明確な目標を持ち、高い目標を持つことは悪くない。けれど、それに私たちファンが右往左往してはいけない。
客観的に観た世界的ランクは何位なのか。世界的大会で日本が遺せている結果はどの程度なのか。
応援するのは良い。応援する側としてしているチームにより高い結果を求めるのも良いが、どこかで客観的にそういうところを見て来ないといけない。
(まぁ、そういう意味ではウルグアイとの世界ランクの差を考えれば四失点は頂けないが、二得点はまあまあ評価出来るのかもしれないが)
◆マッチした柿谷、豊田を活かせない二列目
東アジア杯で大きく注目され再招集となった柿谷・豊田両選手。若干の差はあるが、おおよそ前半は柿谷選手、後半は豊田選手と言う形となり、現有戦力とどの程度マッチするかを確かめられる形になった。
柿谷選手に関しては予想以上に現有のレギュラーとのマッチングの度合いは高い。1トップと言うよりは0トップに近い動きで、ポストプレーをするというより前後左右の選手との距離感を大事にしながらワンタッチやダイレクトプレーで随所に光るプレーを見せてくれた。
一対一のシーンがあり、あそこはFWなら決めて欲しかったところだが、概ね及第点というところだろう。この先、絶対的レギュラーだった前田選手がJリーグで調子が上がらないようならば、彼の代替選手に十二分になり得る可能性を感じた。
一方、豊田選手に関しては彼個人はいつも通り献身的に動いていた。前線からのプレス、二列目、三列目がボールを持った時の、最終ラインでの前後左右への再始動を繰り返しており十分な動きを魅せていた。欲をいえばもう少し高さを活かしたポストプレーやクロスボールへの対応を求めたいが、これは彼個人だけの責任ではない。
というのも、二列目・三列目が豊田選手を活かせていたとは思えない。足元へのボールに固執しているのは分かる。そこにポリシーを持っているのも分かる。だが、監督が選手を入れた意図を理解してプレー出来ないのであれば、本田選手だろうと、香川選手だろうと、遠藤選手だろうと二流選手にしか見えない。
前線でポストプレー出来る選手をわざわざ入れたのに、その選手にポストプレーをさせないでプレーしたのでは入れた意味がない。
◆国内組オンリーとはたしてどちらが強いのか
正直、そんなことを想ってしまう試合だった。もしこれが国内組オンリーの東アジア杯の試合なら、豊田選手が入ればそれに合わせたプレーやパスも増えただろう。点を取るために縦パスももっと多かっただろう。
しかし、現有戦力にそれはない。縦への意識は薄い。横へパスを回すことばかりだ。現にそこを前半は内田選手は狙われ続けたし、ボランチや両サイドバックの縦への意識も弱く、再三ザッケローニ監督からポジショニングについて指示を出され続けたようにも見える。
それで点が取れるなら良い。けど、それで点は取れたかと言うと取れなかった。ウルグアイのようにゴール前を固められたらボールを横へ横へ回すことしか出来なくなり、前半は完全に攻め手に欠いていた。
ザッケローニ監督以下スタッフが東アジア杯の成果や結果をどのように現有戦力に伝えたのかは分からないが、現有戦力に東アジア杯での戦いを見せて学ばせるべきところは学ばせるべきではないか。
点を取って勝つチームを目指す割に選手たちの縦への意識が弱い。本田選手たちがビッグマウスを連発する割にプレーは消極的で口先ばかりになりつつもあるし、監督と選手の間に温度差が大きくなってしまったようにも見えた。
これを書いている頃は選手たちがこの結果にどんなインタビューをするか分からないが、どうせまた「個の力」云々とか言い出すのだろう。「個の力」を言い訳に使うのはもうやめろ。個の力なんて協議をしていれば誰もが求めるものだ。だが、その個の力の現状を踏まえた上で劣る部分を補う組織力が日本の武器だったのに、その武器やアドバンテージが少しずつ消えて行っている、わざわざ監督が選手を固定して戦っているにも関わらず、だ。
もうW杯まで10カ月ない。その状況で今さら「個の力が~」なんて口にして何になる? これがW杯まであと3年も4年もあるならそれでもいいが、そうではないのだ。個の力を磨く時間はもう終わっている。後はチームとして組織力を上げ、「勝てるチーム」にシフトするしかないのだ。
コンフェデ杯の惨敗から再スタートを切るはずが、スタートラインに立たせ直すところから始めないといけなくなったのは、ザッケローニ監督にとっては誤算だったに違いない。
◆個人的ガゼッタ式採点
あくまで素人目で個人的なものです。どちらかというと、自分で書いておいてあとで有識者の方の採点とを見比べて自分の見る目をさらに養うためのものなので。
チーム:6.0 世界ランク十位前後のチームに対しては善戦した方。特に後半は互角に戦えていた。あとは決定力と守備力の底上げを。
GK
川島永嗣:5.5 何度かピンチを防いだものの、それと同じくらい判断ミスでピンチを招いて失点した。どんなプロセスだろうと四失点。そろそろ正GKの地位も危ういことを自覚しなければ。
DF
今野泰幸:6.0 やはり守備陣の中ではプレーが安定している。いつものようなインターセプトが多く見られなかった点が残念。
吉田麻也:4.5 相変わらずの中途半端なプレーで二失点に絡む。一失点目はあっさり振り切られ、三失点目はまたしてもクリアミス。そろそろ見限るべきでは。
酒井高徳:5.0 積極的な上がりによる攻撃参加と両サイド出来るユーティリティは素晴らしい。しかし、こちらも中途半端なクリアミスがピンチに直結していて守備力が課題。
内田篤人:6.0 前半序盤のパスミスの多さは今後の課題だが、中盤以降は攻守に存在感を発揮。欲をいえばもう少しサイドを突破してクロスを上げる能力が欲しい。
伊野波雅彦:6.0 後半途中出場だが、安定してプレーをしていた。今度は先発から使ってどうなるかも見てみたい。
駒野友一:5.5 後半途中出場。クロスボールはことごとくミスが多く、東アジア杯からの不調はいまだ復調せず。
MF
遠藤保仁:6.5 特に攻撃に顔を出す機会が多く、相変わらずパスでゲームをコントロールする能力の高さをうかがわせた。
長谷部誠:6.0 攻守に献身的に動き続けた。昨年に比べるとチームの環境が改善されたこともあって動きもだいぶ復調してきた印象。
山口螢:6.5 途中出場だが、守備に安定した力を発揮。前線へのロングボールで豊田を活かそうとするなど、現有戦力に欠けている視点もあり、細貝・高橋のサブボランチ勢に食い込める可能性を魅せた。
FW
本田圭佑:7.0 ブレ球に固執せずFKを決めたり、パサーとしての能力を遺憾なく発揮したりといつも以上に周囲が見えて周囲を活かせていた。流石と言うほかない。
香川真司:6.5 一得点を決めたものの前半は存在感がほとんど消えており、今後の課題。一対一でも決め切れず、日本の10番を背負うならもうワンランク上のプレーと存在感を期待したい。
岡崎慎司:6.0 ハードワーカーっぷりは相変わらず。豊田投入後はポジショニングが重なるシーンが多くそこはもう少し調整して欲しい。FWとしては一対一は決めるべき。
柿谷曜一朗:6.0 二列目との距離感が良く、得意のボールタッチ・ファーストタッチで存在感を発揮して見せた。今後、連携を深めて行った時にさらに効果的な武器になるだろう。
豊田陽平:6.0 途中出場。前線での小刻みなポジショニング、前線からのプレスは安定して働いていたが周囲に活かされることがなく持ち味はあまり発揮出来ず。岡崎とポジションが重なるシーンが多いのは勿体なかった。
監督
アルベルト・ザッケローニ:5.5 新戦力の抜擢と投入は効果的に働いたが、その分だけ現有戦力の動きの鈍さに気付けなかったように見える。特に豊田投入をあらかじめ決めていたならハーフタイムで、投入後にどういうプレーをすべきかをもっと選手たちに徹底するべきだ。
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