東アジアカップ2013 日本2 - 1韓国
初優勝おめでとう!
勝ち切ったことに
意味がある!!
詳細は続きからどうぞ。
◆勝ち切れた
そこに意義がある。
強豪だろうが、格上だろうが、格下だろうが、サッカーが点を取り合う競技である以上、「勝つ」ということはとても大切なことなのである。もちろん、試合内容が伴わないこともあるだろう。それは批判されて然るべきだとは思うが、同時に「試合内容が悪くても勝てる」ことが大切なのだ。
日本が今後、次回W杯、それ以後を含めてアジアの強豪から世界の強豪へ進化していくためには、絶対に必要。なぜなら日本はコンフェデで「試合内容が悪くても勝つ」という強豪としてのイタリアに見せつけられたのだから。
◆終始攻め続けられた日本
そんなわけで試合内容は必ずしも良くなかった。セカンドボールを拾えず、ボールポゼッションが出来ず、ディフェンスのマークやチェックも甘い。何度、韓国のミスに助けられたかは数えきれない。
先発は、日程とコンディションを考慮してか、中国戦と同じメンバーだったが、これが裏目に出たと思う。DFラインは統率が取れず、選手やボールとの距離感も中途半端で甘く、こぼれ球はことごとく韓国に拾われ、大したコースカットも出来ないまま、安易にクロスボールを上げ続けられる90分。
対戦相手の違いもあるが、オーストラリア戦の先発の方がトータルでやはり安定していたのは、残念だ。
とにかく最大の欠点は、相手がボールを持った時に詰め切れない守備のやり方にある。もちろん、相手と距離を取るのは「抜かれないため」「(相手の速攻の場合は)攻撃を遅らせるため」というちゃんとした目的があるのは分かっている。だが、結局「距離は取る」けど「ボールを奪いには行かない」から韓国の選手は、楽々とパスを出したりクロスを上げたり出来てしまっているわけだ。
おまけにその時間を稼いでいる間に、別の選手のフリーランで守備陣形が崩されているのだから、本末転倒なシーンも一度や二度ではない。
そもそもいくら背の高い選手を集めたところで限度がある日本は、空中戦は出来るなら回避したい展開だったはず。ならクロスを上げさせる前に止まるのが優先事項で、次はクロスボールのコースだけは最低限カットしなくてはいけないのだが、それが出来ない。
そしてクロスのボールに対して多くの選手がボールウォッチャーになるシーンが多く、相手選手にあっさりマークを外されてフリーにしてしまう。
せっかくボールを保持してもプレッシャーをかけられて安易に前線にロングボールをけってしまうので、数秒後には敵にボールを奪われてしまっていて、工夫が見られない。というより、自ら危険を招いているようにしか見えない。
いや、本当に良く一失点で済んだと言える内容だった。
◆海外組を含めた真のフル代表に何人残れるか?
今回のメンバーにとって本当の目的はそこにあるはずだ。もちろん、東アジアカップのタイトルもそうだっただろうが、早い段階から「国内組オンリー」となれば嫌でもその意識はあるはずである。
FWからは、柿谷選手は6~7割の確率で当確かな、と思う。この結果(特に決勝点をあの時間帯に冷静に決められたこと)を考えるとザッケローニ監督としてはフル代表でも試してみたい逸材だろう。ほぼ同じくらいの確率か、それよりもさらに可能性が高いのは豊田選手。今日も10分程度の出場だったが、そのフレッシュさを活かした前線からのプレス、高さを活かし韓国の同点ゴールを防いだ献身度とポストプレーが出来る能力を考えれば、本来それを期待しながら期待通りの活躍が出来ないハーフナー選手の代役以上に十分成り得る。
惜しいのは、オーストラリア戦で活躍した齋藤・大迫選手の再確認が出来なかったことか。どちらの選手も結果を残しているだけに、フル代表の怪我等の具合によっては可能性があるものの、残り5分、同点、最後のひと枠の交代で選ばれたのが豊田選手であることを考えれば、フル代表に再度呼ばれる確率は残念ながら1~2割といったところか。
前線のMFは正直、生き残りは厳しい。原口選手が頑張っていたものの、代表で体力的に同じようなことが出来る岡崎選手、ドリブラーとして似たようなことが出来る乾選手がいる以上、彼らを押しのけられるほどとは思えない。工藤選手はあるいは岡崎選手の代役も、とは思うが、同じく確率は厳しいはず。
ボランチは、高橋選手は従来通り当確と言えるだろうが、もともとずっと選ばれていた選手なので当たり前と言えば当たり前か。頑張っていたのは山口選手だが、細貝選手もいる中で長谷部選手の代役としては難しい。扇原選手の縦パスの意識は今後、少し違った形で遠藤選手の後継になり得る可能性もあるが、まだまだ荒削りでこちらも選ばれる可能性は低そう。
DFとGK陣はハッキリ言って、新戦力はないと思う。CBも栗原選手にある程度メドが立てば人数的には埋まっているし、そもそもサイドバックは両サイド二人ずつすでに選手が固定化されている。現状、付け入る隙があるとすれば右サイドバックの内田選手の代役の酒井宏選手のところだが、こちらも両サイドバックが出来る酒井高・駒野選手がいれば問題はなく、じゃあ酒井宏選手を押しのけられるほどのアピールが出来た選手がいたかといえばいなかった。
こう考えると、生き残りそうなのは柿谷選手と豊田選手くらいか(既存の高橋・駒野選手とGKは除いて)。
これも秋の国際Aマッチデーに対してどういった人員をザッケローニ監督が招集するのか、改めて注目したいところである。
◆個人的ガゼッタ式採点
あくまで素人目で個人的なものです。どちらかというと、自分で書いておいてあとで有識者の方の採点とを見比べて自分の見る目をさらに養うためのものなので。
チーム:6.5 ラインコントロール、ボールへの詰めの甘さなど苦しい展開だが、結果として勝ち切れた・守り切れた点は及第点。
GK
西川周作:6.0 一失点はノーチャンス。果敢に飛び出して再三のピンチを救って見せた。終盤、キャッチングミスが目立ったのが唯一の不安だったが、それ以外はしっかりとゴールマウスを守って見せた。
DF
栗原勇蔵:6.0 一失点目のマーク距離の甘さこそ出たが、中国戦に比べれば「クリアするところはクリア」とハッキリしていた分だけ良くなっていた。これまでも身体能力は評価されていたし、とりあえずフル代表当確か。
森重真人:6.0 随所に危険な芽を事前に摘み取る判断力の早さと高さを見せつけたが、レベル的にはその上に今野選手がいるので、代表に食い込むまでは至らない。あとはラインコントロール、ビルドアップももう少し上のレベルが欲しい。
槙野智章:5.5 守備に追われるシーンが多かったものの、何とかこなしていた感じ。攻めで良さは発揮出来ず。怪我か、プレーに問題があったのか分からないが、後半早々に交代してしまったのが監督の期待の低さの裏付けか。
駒野友一:5.0 プレー自体は後半左サイドに移ってようやく本領発揮というところ。詰め切れず安易にクロスを上げさせるシーンも多く、キャプテンの腕章は予想以上に重荷になってしまったか。キャプテンとしてももう少し代表キャップの多さを活かしチームを落ち着かせて欲しかった。
徳永悠平:6.0 途中出場。攻撃というより守備一辺倒となってしまったが、猛攻を受ける中でも冷静さと経験値を活かしそつなく守備をこなしていた。
MF
青山敏弘:5.5 一点目を演出したロングボールは良く前を見ている証拠で、持ち味を発揮。しかし、あれだけ攻め込まれるとディフェンス面で苦しさも出たか。
山口螢:6.0 ほとんど攻撃に顔を出すことはなかったが、出した時にはチャンスに。読みの鋭さで事前に攻撃の芽を摘み守備に貢献していたが、一失点目は詰めが甘くなってしまった。
高萩洋次郎:5.0 今日のように守備に追われる試合展開になると良さは発揮出来ず。連係不足は仕方ないにしても味方と呼吸も合わなかった。
FW
柿谷曜一朗:7.5 ほとんどチャンスがない中で二得点の決定力とゴール前での冷静さは高く評価されるべき。海外組と一緒にやった時にどんな化学反応を見せてくれるか楽しみにしたい。是非、一度フル代表にも呼ばれて欲しい。ほぼ再招集は当確か?
工藤壮人:6.0 守備に追われてしまってなかなか攻めで本来の力は発揮出来ず。守備は献身的に頑張っていたとは思うが、それだけでは生き残りのアピールは難しい。
原口元気:6.0 工藤選手同様、守備に追われた。その中でも前線に積極的に顔を出し、二点目の事実上のアシストとなったクロスを上げるなど一定のアピールも出来た。
山田大記:5.5 途中出場。攻撃のためと言うより運動量を消費した両サイドを補うための守備的投入か。そのためオーストラリア戦ほど良さは見せられなかった。
豊田陽平:6.5 途中出場。時間は短かったものの、前線のポスト役や前線からのプレス役で奔走していた姿は印象的で二点目を演出したフリーランも。韓国の同点ゴールを冷静にヘッドでかき出すなど、出場時間と貢献度を考えればずば抜けていた。
監督
アルベルト・ザッケローニ:7.0 ハーフタイムでのチームの立て直しは特効薬にはならなかったが、交代枠は上手く使っていた。本当はもっと攻撃的な選手交代もしたかったのだろうが、韓国の猛攻を踏まえてバランスの良い交代をしつつ、残り五分で「引かない」意思を示す豊田投入など試合マネジメントは改善された。今大会トータルで観ても国内組だけでも結果を残した手腕は再度高く評価されるべきだろう。
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