翠星のガルガンティア 第8話
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[翠星のガルガンティア]
『離別』
≪あらすじ≫
ヒディアーズ(クジライカ)への対処方法でガルガンティアの価値観と正面衝突したレド。海賊船団の時はガルガンティアの文化や価値観を尊重し譲歩したが、ヒディアーズのことまで譲るつもりはないと言わんばかりに、ガルガンティアと決別し船団を離れる決意を固める。
そんなレドに同調したのか、それともお宝目当てか、はたまた兄の敵討ちなのかピニオンも自身の賛同者と共に船団を離れることを船長に伝えると、なんと船団の大船主の一人・フランジまでもがピニオンに賛同し、「人類が失った文明を取り戻すため」と船団との決別を伝えてきた。
船団が瓦解していく危険に船長のフェアロックは船団の分離に反対するが、クジライカ対処の先頭に立って指揮を執った疲労と今回の心労によって倒れてしまう。
そのまま息を引き取ったフェアロックだが、死の間際、自らの後継者に正式にリジットを指名して旅立った。
フェアロックや他の船主と比べれば、まだ年端の行かないリジットの後継者就任に船団内は大きくどよめき、フランジの船団と共にガルガンティアを離れるべきだと言う声が少しずつ増え始める。
リジットはそれを打ち消そうと葬儀の準備も放棄して説得して回るが、実父の死後に実の娘のように育ててくれたフェアロックの最後の別れを軽視していると捉えられてしまい、そんなリジットの姿にどこか船団員たちの視線は冷たい。
一方、ようやくチェインバーによる座標計算が終えてその結果を聞いたレド。同盟から見て途方もない彼方に存在していた地球から、同盟までチェインバーの救難信号が届くだけで数千年を要するという。チェインバーから「当機単機だけでの同盟帰還は不可能」と結果を見せられたレドだったが、そんな彼に声をかけたのはピニオン。
「お前はクジライカを殺せる、俺はお宝を探せる」
利害関係の一致から自分と一緒に来るようにと促す彼に、レドはクジライカの巣があると聞いてその話に乗る。
バラバラになっていく船団。
何とかして託されたガルガンティアを守ろうと船団長室で必死に業務をこなすリジットだったが、ピニオンからは「俺たちがこっちに残るメリットを話してくれよ」と問われて閉口してしまう始末。そんな彼女の前に姿を見せたのはベローズで――
≪感想≫
◆頼ることとサボることと
今回、一番良い話をしていたのはベローズが話をしたピニオンの言葉だった。この言葉にもっと若い頃に出会って実感したかった、というのが私の率直な感想だ。それくらい「頼ること」は良い言葉、大切なこと。『ガルガン』本編を見た方、あるいはそこから私の感想を読んで下さっている方などいらっしゃるとは思うが、他の全てを忘れたとしてもこのことだけは絶対に覚えておいてほしい。
もちろん、闇雲にあれもこれも頼ればいいわけではない。何でもかんでも他人に放り投げてしまうことは「信頼して頼っている」のではなく「ただの仕事・責任放棄」になるので、そこは自分が頼られる側・頼る側に回った時には十分に注意はして欲しいのだけど、逆にだれにも頼らないと言うのは劇中でも言われていたように裏を返せば信用していないってことになってしまう(そういう真意がなかったとしても、だ)。
でも、人間は相互扶助で成り立っている。個々人に得手・不得手があって、得意な人にそのことを頼ったり、教授願ったりすることは当たり前と言えば当たり前のことなのだ。
そしてこれが本当の意味での“共存”である。
前回、私としては意外なほど「レドが考え方を変えて、ガルガンティアの人みたいにクジライカと共存すればいいのに」と感想を書いている人が多くて驚いたけど、本当の共存って言うのはこういうことを指すのだと思う(今の人間とクジライカの関係は“共存”じゃなくて“恐怖”だ。あれを本当に“共存”だと呼べるのか)。
今回もベベルが説得しようとしていたけど、ガルガンティアのクジライカに対する認識は全部憶測でしかない上に万が一を想定していないから説得力がないんだよね。確かにレドの殲滅概念も極端と言えば極端かもしれないけど、ガルガンティアの憶測論よりはきちんと経験則や長年の同盟の戦いの結果だろうからまだ信頼が置けると言うか、信用できそうだと感じる。まぁ、これは私が現代人だからかもしれないけど。
それはともかく、こういうのって自分で言うのも何だけど、良くも悪くも真面目な人ほど陥りやすいんだよね。リジットもそうだったけど自分も何でもかんでも一人でやろうとしていた時期があるけど、それを先輩から叱られたことがあって、その時に気づいた。気付かせてくれた、というべきか。
誰かに頼るっていうのは、真面目な人間ほどし辛いんだよね。でも、誰かに頼って人を使うことは真面目な人間の方が向いているとも思う。頼られる側も、頼ってくる人の言葉が誠実で真面目ならそこに信頼が生まれるはずだから、真面目で誠実であることは弱みではあるけれど、強みでもある。
今日の話を観る前から、こういうことをもっと学生時代から知っていることが出来ていれば、と真剣に想っている。だから、この話を観た方、この感想を読んで下さった方は、頭の片隅にでも良いから他のことは忘れてもこのこと――「時に他人に頼る大切さ」だけは絶対に覚えて帰って欲しい。この言葉は必ず、人生の役に立つ日が来ると思うから……。
◆新船団長として
前の文脈の流れから、それじゃあまずはリジットについて。
頼る云々は前の項目で語っているから割愛するとして、とりあえず今回の彼女の行動は及第点といったところだろう。新船団長として船団分離の危機にある中、執務に忙しいのは仕方がない。
けれど、そんなことよりもずっとフェアロックの葬儀の方が、重要度が高いことをもっと周りの大人たちは指摘してあげればよかったのに、と思った。
打算的な考え方かもしれないが、前任者から新任者への引き継ぎイベントというのは民意と言う意味で重要なことだ。最近行われたオランダ王室の旧女王の退任式と新国王の戴冠式もそうだったように。
リジットの中ではフェアロックが息を引き取る前のキーの受け渡しで済んでいると思っていたのかもしれないが、実際はそうではない。大勢の前で自分が後継者であることを示すためにも、彼女は本当は最初から最後まで葬儀に出ているべきだった。私は、実はそれこそが当面ガルガンティアの分離・離散を最小限にとどめる最善の一手だったと思っている。
その証拠にビジネス上の話し合いだけではリジットは船主たちの離別を抑えきれなかった。ピニオンの指摘はとても的を射ていて、離れて行こうとする者たちを繋ぎ止めるだけのメリットを提示出来なかった。それくらい今のガルガンティアにメリットは少ない。
でも、おそらく相応の長い期間、船団として連結し行動していたわけでそこには思い出があるわけだ。
だからこそというわけではないが、相手を泣き落すというか、相手の感情に対して訴えかけるのは悪い手ではなかったはず。前任者の葬儀を新任者が大々的に執り行うことは、そういう引き継ぎイベントとしては何よりの舞台だったわけで、ギリギリ最後のところでソレが間に合ったのも、あの場面でガルガンティアに残るのだと改めて腹を決めてくれたベテランたちの言葉に繋がったのだと信じている。
◆そんなことをしなくてもレドはレドなのに
どうして、戦う理由にエイミーを引っ張り出して来てしまったんだろうね。なんかそれが今回、唯一残念なところだった。まぁ、話す相手がベベルだったのでベベルにも理解しやすいようレドなりに話のスケールを落としたのかもしれないが、ベベル、聡明な子だからなぁw
裏を返せばそれくらいレドにとってエイミーやガルガンティアのみんなとの触れ合いは大きなものだった、ということでもある。
でも、私は本気で「そんなことをしなくても(エイミーの名を引っ張り出さなくても)レドはレドなのに」と本気で思っている。
彼のヒディアーズに対する憎悪や殲滅の意識は、確かに同盟によって植え付けられたものだ。そこは否定できない。しかし、今行動している彼はそれをすべきだと心の底から思っている。「エイミーのためでもある」というのは、レドが単に同盟によってそう教育されたからやっているだけではない、という証なのかもしれない。
例えその価値観や理想が借物の偽物だったとしても、それをすべきだと感じたレドの気持ちは本物なのだ。それは誰にも否定していいものではない。
逆に今回一気に株を落としたのはエイミー。最初は素直で良い娘だと思っていたが、ここにきて自分たちの価値観を押し付けるガルガンティアの悪い意味での象徴のようなキャラクターに落ちぶれてしまった。今回観ていて一番胸糞悪かったのは、「お祭りでレド、笑ってた。あれが本当のレドのはずなのに」とほざいたシーンだった。勝手にレドのことを全部分かった気になって、勝手に自分の頭の中のレド像とガルガンティアの文化や価値観を押し付けてそれに当てはまらないと泣き出すヒステリック女になり下がったのは、なんか勿体ない。
なんかこう言う時、女性ってズルいって思う。なんか、泣けばそっちの方が正しいって感覚的に感じてしまう。「涙させる」ということにもしかしたら男として罪悪感を覚えるからなのかもしれないが、今回も感想はこの涙でだいぶエイミーに肩入れする人が増えるのかもしれない。
閑話休題。
でもこれらのことも、もしかしたら伏線になってくれるかもしれない。ベローズはそういう意味では今回リジットの、これまではレドの精神面の成長を促してくれたキャラクターで彼女もガルガンティアに残るみたいだから、今後ベローズから何かしら諭されて、こういう部分が直ってくれるんじゃないかなーと。
◆終盤突入を前に
※5/27追記:よくよく考えると座標から地球の位置が分かっただけで過去説やパラレルワールド説が必ずしも全部完全に否定されたわけではないんだよね。ちょっと浅慮だった、反省。
この真相が明らかになるのはもっと後――それこそ最終回やその直前だと思っていただけに予想よりもかなり早い種明かしとなったことには驚いている。
これは想定内のことなのか、それとも序盤の放映後に感想界隈で過去説・パラレルワールド説の多さに急遽このタイミングで真実を明らかにすることにしたのかは分からないが、裏を返せばこの種明かしをした意味があるわけだ。
そうなると、次回は「クジライカの巣」にあるモノが明らかになるということではないだろうか。最後の最後の予告カットでレドとピニオンが共に驚いたような顔を浮かべていた。もしかしたら、クジライカの巣にあるとてつもない予想外のモノに遭遇したと考えられるわけだ。
私としては前から書いているように、巣にあるものは光速移動装置……つまりワープ装置ではないか、と思っている。これはレドに対して「チェインバーだけでは帰れない」と一度落としておいて、その後に「ワープ装置が見つかったので帰れます」と持ちあげる展開ではないかな、と。
さらに深読みするのなら、ガルガンティアにあった散水装置に使われていたあの黒い塔のような物体が、ワープ装置の一部ないし起動装置なんじゃないかとも思っている。
こうすると、まずガルガンティアの再結合の可能性が出てくる。クジライカの巣に眠っていたものがワープ装置だとすれば、現状のピニオンやフランジでは活用出来るシロモノではないだろう(ワープして宇宙に出ても生きていけないわけだし)。そうなると、一度分離した船団を再び一つに、という可能性が出てくるわけだ。
加えてワープ装置の起動にガルガンティアのあの黒い塔のような装置が必要になれば、レドが帰るために必要なのでレドとガルガンティアが再接触を図ることが出来る。
そうなった時に欲をいえばレドとチェインバーはもっとガルガンティアに多くの“貸し”を作っておくと楽にその展開になったのだが、今の状態だとレドとチェインバーを元の世界に返すためにガルガンティアで動いてくれる人間がどれだけいるか(まして船団長がリジットでは……)。
まぁ、ここはさすがに深読みなんだけどね。ただ、あのあそこだけ錆びていない黒い塔の部分は何かしらの伏線だとは今でも思っている。考えすぎかもしれないけどw
次回は即席の銛(モリ)みたいな武器も作っていたし、チェインバーvsクジライカの大群の再戦がどれくらいのものになるか期待。戦闘シーンでは『マジェプリ』がだいぶ盛り上がったので、それに負けないくらいのモノを観てみたいよね。
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- [アニメ(放送終了):翠星のガルガンティア]
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全面的に同意。
だから同時に「いざという時に頼り頼られるだけの人間関係を日頃から築くこと」の大切さも訴えたい。
あとエイミーについて。
管理人さんの言うとおりではあるが、理屈より感情優先な女性(まして若い)の感性を実にうまく捉えてると思います。
ただその感情優先で評価すると「ダメだこの女」となっちゃうワケですがw