まおゆう魔王勇者 総評
一軍にも匹敵する強大な戦闘能力を持つ勇者は、人間の敵として立ちはだかる魔族の長である魔王討伐の為、単身で魔界の奥深くへと乗り込む。
しかし、魔王の城に到達した勇者の前に姿を現した魔王は、美しい人間の女性の姿だった。戸惑いつつも果敢に戦いを挑もうとする勇者だったが、魔王はそれを受け流すかのように、とある説明を始める。
どちらがこの戦争に勝利したとしても、その先に平和は訪れないのだと…。
(公式HP 各話紹介1話より抜粋)
そんな『まおゆう魔王勇者』の私の評価ですが...
B-
です。(SS、S、A~Dの評価)
では、詳細は続きをどうぞ。
※あくまで評価は、私的主観によるものですのでご了承下さい。
まおゆう魔王勇者 総評
放映日:2013年01月~2013年03月(全13話 ※総集編1話分含む)
私が視聴した放映局:TOKYO MX
総評
※評価についてはこちらからどうぞ→評価について。
シナリオ構成 評価:D
あの終わり方で評価しろ、と言う方が難しい。何度も個別の回の感想では書いているが、本当は事前に1年くらい放映していたモノがあって、それを総集編で流しているのが今じゃないかと疑うほど、展開もお粗末。
これは監督が悪いとか、脚本家が悪いとかじゃなくて、そもそも企画した人とそれを承認した人が悪い。例えるなら「二時間半くらいある長編映画を三十分で纏めて下さい」みたいなもので、そもそもが1クールでは無理難題だったのだろう。むしろ、現場スタッフには同情する。
演出 評価:C
魔法エフェクトとかはカッコ良かったね。でも、それだけ。せっかくのカッコ良い魔法エフェクトもバトルシーンの絶対数が少なくては活かし切れない。
そうなってくるとキャラクターの内面描写というのが、この作品では演出の主なところになるが、結構飛び飛びになっているので、一本の線としての流れと言うか、繋がりみたいなものは感じ辛かった。
作画 評価:A
まぁ、先に挙げたようにエフェクトの使い方や女性キャラの可愛い描き方なんかは良かったんじゃないか、と。最終話で魔族の盛り上がり方はなんかヌルヌル動いてて、そこは「スゲー」と思ったけどw
CAST 評価:B
正直なところを話させてもらえば、可もなく不可もなくなんだよね。この人がこのキャラクターを演じたから良かった、と言えるものがあまりない。強いて言えば、魔王のイメージと小清水さんの声質は良くマッチしていた、というところかな。あとはルルーシュモード(違)の勇者を演じている福山さんはさすがだった(笑
OP/ED/BGM 評価:A
OPには疾走感がありこれから始まる物語への期待感を、EDでは本編の余韻を楽しみながらのクレジットとエンディング演出による幸福感を与えるバランスのいい楽曲たちだった。この辺の手堅い感じが好き。
総合 評価:B-
内訳:A評価(4点)×2+B評価(3点)×2+C評価(2点)×1+D評価(1点)×1=B-(2.8点)
これでも大枠でB評価なのだから、本当に作品によってはキャストや楽曲といった本編を本来支える支柱に助けられる作品も少なくないなー、と変なところで感慨深いw
でも、それだけアニメっていろいろな要素が複雑に絡み合って出来あがっている複合芸術ってことだろう。物語が良いだけではダメ、絵が綺麗なだけでもダメ。そこには音響があり、ボイスがあり、それら複数の要素を一つに纏めて仕上げる演出があって、全部が揃って「アニメとして素晴らしい」と言うことになるんだと思う。
そういう意味でこの作品は主に音響面で救われた部分は大きいかな。
もちろん悪いところばかりではない。序盤の魔王と勇者のイチャイチャっぷりは観ていて楽しかったし、この頃は中盤以降こんなことになるなんて疑いもしなかった。
それだけに、それに対する反動って言うのがやっぱりあったのかもね。
最後まで観終えたからこそ言えることだが、これはアニメ化するならその原作量を踏まえて、飛び飛びの分割でも一年分くらい作る気合いや覚悟がなければそもそもアニメ化してはいけない作品だったのだろう。
それが無かった。
誰に無かったのかは分からないから問うことはしない。
ただ、その程度の覚悟なら第二期は不要だろう。個別の感想でも書いたことだけどね、これは。いっそ、第二期なんて作られない方が原作ファンとしては幸せなんじゃないかな? 下手にアニメ化して汚されるよりは。
結果論だけど、「とりあえずアニメ化しました」みたいな作品はもう辞めてあげるべきじゃなかろうか。私はこの作品のファンではないけれど、ファンが可哀想だ。まぁ、アニメ化で収入が上がるだろう原作者が「それでもアニメ化を」と懇願するなら別にそういうアニメ化も良いのかもしれないけど……。
アニメ化がサブカルチャーにおいてある種のゴール・成功の終着点、みたいな風潮が良くないのかもしれないのだろう。ケースバイケースではあるが、アニメ化はむしろ大博打みたいなもので、失敗すると原作を貪り喰われて浪費して終わるだけなんだと思う。
こう言う作品を観ていると、自分が本当に好きな作品ほど「アニメ化して欲しくない」「その必要はない」と強く感じる。
おまけ
ベストキャラTOP3
1位 魔王
序盤のキリッとしたところとイチャラブなところが続けばもっと良かったのにね。
2位 女騎士
もう少し魔王と勇者を取り合うような形も見てみたかった。
3位 メイド姉
成長と言う意味では一番成長したのは彼女なのだろう。
総評お疲れ様でした。
原作既読者(書籍版ではないですが)としてはまあ可もなく不可もなく。
そもそもここまでの話だと大体全編の4/1くらいで未だ本筋にたどり着いてもいません。先を知っている人にはダイジェストというよりむしろプロモーションでしょう。構成について評価しようがないというか、TV局にどんな企画書出したのか見てみたいものです。
構成以外、特にキャストと音楽は素晴らしかったと思います。
ストーリー的に未だキャストの本領が発揮されていないキャラもいますが、どの役者さんもいい味を出しています。あとエンディングの新居昭乃さんは久しぶりに聴きました。90年代に活躍された歌手(というか楽曲提供が印象深い)ですが、いや懐かしい。
最終話の投げっぱなし感は如何ともしがたいですが、1話から原作通りに作ったら12話目はこうなるだろうという気もします。これより手前で終わるとPVにさえならないし、この後は話が切れるとこないですしね。(あ、最後にいっぱい出てきた新キャラは全部本編のメインキャラです。無理やり出演した感がすごいですね)
原作は随分前に完結していますし、アニメ化の段階で12話目を踏まえてプロットを練り直す手間を惜しまなければ一クールでも面白い展開は作れたと思いますが、原作のストーリーラインに忠実に制作というのが無理があったのかなと思います。
例えば紅の学士(メイド姉)の異端審問から開始して、戦争の描写と青年商人の暗躍、南部三国の経済発展を描きつつ冬越し村での優しい団らんを回想することで魔王勇者の正体を徐々に明かしていって最後に蒼魔族侵攻、魔王帰還から「丘の向こうが見たい」発言で締める、とかやれば緊張感のある構成にできたんじゃないでしょうか。ただしメイド姉の成長ぶりが見れなくなるので原作ファンには不評でしょうけど(笑)。
長編小説(まおゆうは会話劇ですが)をTVアニメ尺に落とし込む技術というのは、往年のハウス名作劇場のような長編TVアニメが作られなくなって以来だんだん退行していっているように思われます。
制作サイドとしては深夜アニメの縛りもあるとは思いますが、なんとかスタッフの正当な頑張りが作品の面白さにつながるような環境を用意してもらいたいものですね。