第三回WBC二次ラウンド 日本4-3台湾
激 闘
以下、追記です。
◆価値ある一勝
痺れるゲームだった。
まぁ、勝つのが分かっていれば良いが、そうでないとどこまでも胃が痛くなるような試合でもあったのだけど(笑
しかし、この勝利はとにかく大きく価値がある。負けていれば、日付が変わるくらいまで戦った試合の翌日――つまり今日、崖っぷちの試合をしないといけなくなる。おまけに相手は、一次ラウンドで完敗したキューバ。お互い崖っぷちである以上、かなり厳しい試合になったことは想像に難くない。
また、結果論ではあるが、接戦・大激戦を制することが出来たのが大きい。良く使われる「チームが一つになる」「チームの団結力」なんて良い方をする結束力。「同じ釜の飯を食べること」が日本では大切と言われるように、みんなで同じことを成し遂げることが結束力を高める重要な要素だ。まして、それが大ピンチを乗り切った末での一勝ならなおのこと。これによって、チームの結束力は一層高まったと確信する。
◆博打だらけの采配の是非は?
今日の試合、とにかく采配にヤキモキした。打順が大幅に変更されたのは良かったが、相変わらずここまで一本もヒットが出ない打者が四番に座る点での不安は、結局そのまま試合に反映された形となってしまった。八回までで十安打以上打ちながら、たったの二得点。七回までならそれが零得点だったわけだから、いかに調子の悪い選手がブレーキとなり残塁が多かったかは容易に想像できるだろう。
終盤の継投も後手に回った感じは否めなく、欲張って能美投手・田中投手を引っ張って相手に得点を許したシーンはその象徴的な部分だった。
攻撃に関しても先に挙げたようにあれだけの安打・四球を得ながらも八回まで得点が出来ないなどとにかく拙攻が目立った。野手の登録人数が少ないとはいえ、あれだけ調子の悪い長野選手を代打に起用し、その後、さらに打席に立たせるほど。守備ポジションの多い松井選手を「万が一」のために温存しておきたかったのだろうが、負ければ戦犯と言われても仕方ない起用方法はいかがなものか。
もちろんその大博打に失敗してばかりの試合ではなかったのが、評価が難しく、賛否が分かれるところだ。
九回の同点シーンは、鳥谷選手の盗塁があってこそだった。あれこそ一世一代の、球史に乗る盗塁だったわけだが、一点差で負けている九回二死から盗塁をさせるのがどれだけの大博打か、なんてのはわざわざ語るまでもないだろう。失敗したらその時点でゲーム終了なのだから。
でも、この博打での勝利が結果的に同点劇へ繋がり、延長十回の勝ち越しにつながったわけだ。
また、八回のピンチでの澤村投手の起用もその一つ。一点リードを許し、さらにランナーは三塁・二塁という状況。一つも制球ミスが許されない状況で、コントロールが悪いピッチャーは、バッテリーエラー(暴投・パスボール)の可能性があって、リードがかなり制約され狙い打ちされ兼ねなかったはずだ。
それなのに「コントロールより球威」の筆頭とでも言うべき澤村投手の起用は、綱渡りも良いところ。一歩間違えば、ストライクすら入らず、能美投手の再現を八回でするところだったのだ。
これも、この博打での成功のおかげで、このチームでは抑えが出来る牧田と言う投手をイニングをまたがせることなく、次の回の頭から使えた。
このように、この勝利はこれらの大博打に勝ったからこその勝利だったとも言えるし、それくらいの博打を打たないと勝てないのが国際大会なのかもしれない。
でも、もう少し石橋を叩いて渡れる作戦もあったのではないかと思うと、この首脳陣の能力はどうにもこうにも疑わしい。
◆あと一本を許さなかった台湾、あと一本を許した日本
台湾は純粋に強かった。先発投手が試合を作り、野手が守備で盛りたてつつ、安打と小技を重ねて得点につなげていくスタイルは本来日本がやりたかった野球そのもので、非常に上手く攻撃していた印象がある。
台湾の先発・王はかつてのメジャー最多勝投手。しかし、日本は事前のデータ収集が上手く行ったのか、彼から六安打打ったが、あと一本は絶対に許さなかった。結果的に零封したのだ。
対称的なのは日本。能美、摂津、田中投手と「ここぞ」であと一本(一点)に繋がってしまう不用意な投球をしてしまった節もあり、経験の差・貫禄の差っていうものを見せつけられた感じだ。日本を代表する投手として名を連ね、この大一番で登板している投手たちだが、正直王投手と比べると格の違いを見せつけられてしまった。
ただ、これは良い教訓だろう。
良い投手はどんな投手なのか。理想とするスタイルは、個々人によって違うだろうが、どれだけ打たれても点だけは許さない。これがエースだというものを肌で感じ取ってくれ、さらに一回りも二回りもこれらの投手たちが成長してくれれば一野球ファンとしては嬉しい。
◆この勢いで
オランダに勝って欲しい。否、勝たなくてはこの勝利の意味が消えてしまう。オランダに負ければ、キューバと台湾の勝者と戦うことになる。どちらも嫌な相手に変わりはないので、出来れば準決勝行きが確定してから当たりたいものだ。
故に、この勢いのまま行って欲しい。
打率六割越えの井端選手はもう先発固定で良いだろう。そのお膳立てをした鳥谷選手が地味に良い仕事をしている。打率自体は低い(というかまだ零安打のはず)。しかし、出塁率は井端選手と同等の数値がある。中継を見ていれば分かるが、彼の打席数が異様に少ない。多い人の半分から1/3程度だ。これは試合に出ていないこともあげられるが、何よりも彼が打席数にカウントされない四死球での出塁や犠打が多いことを示している。
今日も二犠打、一四球。ゴロに倒れたシーンも、実はちゃんと一塁ランナーが二塁に勧めるように進塁打を打っていて、井端選手並みにチーム貢献度が高い。
今日は見せ場が少なかったが好調を維持し安打も打っている内川選手、状態が良く安定している糸井選手、決勝犠飛も打って調子がさらに上がってくれると信じられる中田選手と野手も揃ってきた。不調だった稲葉選手も今日は当たりまくっていたし、長野選手以外の巨人勢も復調の兆しが見えている。
投手でも田中投手は負ければ戦犯ものだったが、八回の同点劇の雰囲気を作ったのも田中投手のピッチングだ。二回から三回程度の短いイニングなのに登板すれば必ずどこかで一点取られてしまうのは考えものだが、二回までのあのピッチングが復調となってくれることを期待しよう。
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