第三回WBC一次ラウンド 日本3-6キューバ
糧となる敗戦に出来るか?
以下、追記です。
◆『負けたことがある』というのを財産に出来るか
知っている人は知っている、割と有名な某スポーツ漫画の名台詞であるが、まさにその通り。そもそもにして無敗のまま優勝したことはなかったはずだ。前回大会では、韓国に喫したまさかの二連敗は、その後の決勝戦における日本チームのモチベーションになったとも言われている。
残念ながら韓国が敗退した今、現時点での最有力ライバルは今日戦ったキューバだと思う。
この敗北を糧に、財産にして、次に当たる時に勝てるかどうか。前回チームが出来たことが、今回のチームに出来るのか否か。それが今、問われている。
◆調子の上がらない本格派たち
ピッチャーは大別すると、ストレートを軸として三振を取るタイプの『速球派』と、変化球を主体として相手を打ち取るタイプの『技巧派』に大別される。その中で速球派の中でも鋭い決め球となり得る変化球を持つタイプを特に『本格派』と呼び分けることがある。
その中で、軸として期待されていた田中、あるいはこのチームでの剛速球を投げる沢村という両投手の本格派の投手が打ち込まれている。本塁打の単打での一失点だった大隣投手の印象が薄く、田中・澤村・今村投手たちの方が印象に強いのは連打を打たれた結果の失点だからだろう。特に同じ一失点でも印象が違うのはそういうことがあるのだと思う。
両投手に関して言えることは、ストレートで押すだけでは国際大会ではもはや通用しないと言うことだ。それこそ160km/hくらいのスピードと球威と、さらにノビでもあるのならば良いだろうが、150km/hそこそこでは少しコースが甘くなっただけでヒット性の当たりを打たれてしまう(まぁ、この辺は配球面での問題もありそうだが)。
だから復調を見せたのは田中投手の五回のピッチングだったはず。ストレートから縦に落ちる系統の変化球(フォーク、SFF、あとはいわゆる縦スラと言われる縦に曲がるスライダー)を多投したことで連続三振を奪った。もちろん、それだけで抑えられないので効果的に配球の中でストレートを織り交ぜながら使った結果だが、空振りを奪った球の多くが変化球だったはずだ。
あとはこの連続三振と言う結果をいかにチーム全体にフィードバック出来るか、だ。変化球と言ってもコースが少し違えば相手は見逃す可能性もあるので、(まだWBC球に慣れ切っていない投手もいると中で)コントロールがないと厳しい攻め方だが、日本の投手力を活かす道はここしかない。
正直、先発で使うにはまだまだ立ち上がりの脆さが不安だが、立ち直ってもらわなければ困る。澤村投手含め、そのために野手に割ける人数を割いてまで投手の登録枠を広げているわけだから、不安で使えなくて登板がありませんでした、では意味がなくなる。
今村投手の3ランは、やってはいけない最重要失敗例として是非教訓にしたい。まぁ、こんなこと言わなくても教訓にはするだろうが、福岡よりも球場が狭くボールが飛びやすいと言われる東京ドームでやることになるので、そこにはさらなる投手のコントロール、捕手のリードでの細心の注意が必要になるだろう。
◆打てない打線と機能しない首脳陣
相変わらず打線は打てない。正確に言うとわずかに打てるバッターがいるのが、打てないバッターが多過ぎて打線が大ブレーキとなっている。その打てない筆頭候補の巨人勢が1番・4番・5番にいるのだから、打線が機能するわけがない。
まぁ、十歩譲って打てないのは仕方ないと思う。
人間だ。ましてシーズン前の、もともと調整が難しく試合勘も薄いと言われていた時期である。それに対して打者だけを責めるのは酷というものだ。
だからこそ、そんな時は首脳陣が機転を利かせるべきなのだが、その欠片がない。今日はもともと負けても二次ラウンドへ進める試合だったため、「1番・長野」というのは試験的というよりも「多くの打席に立たせたい」という理由だったようだが……。
前回も書いたが、打つだけが野球ではない。打って、守って、走って野球だ。監督以下首脳陣が、打率が低迷している先発に対して「打撃」以外の部分で評価をして先発として使っているというのであれば、それも良いだろう。確かに「打撃」と違ってスランプがない、無いし少ないと言われるのが「守備」「走塁」出し、その点で言えば巨人勢始め打率が低い選手たちも貢献しているはずだ。
でも、打線はもう少し工夫しようぜ……。
一番から九番まで打線があって、「どこからでも点が取れる」のは確かに理想だが、言ってみればしょせんそれはただの理想なわけだ。もっと現実を見るべきで、先の二試合でも打線が機能していないことは分かっていたはず。ならば、今打てている選手を上位に集めて打席回数を増やし、上位で点を取る。打率が極端に低い面々は下位に回し、下位打線は守備要員。打って上位に繋がったり、点が取れたらラッキーくらいでやらないと、もうどうにもならないだろう。
これは短期決戦なのだ。
ハッキリ言えば打てない選手は短期決戦で復調しないまま終わることだって良くある。そういう意味では、前回のイチローの決勝での復活が悪例になってしまっている雰囲気も感じた。
「使い続ければいつか……」
そういう気持ちも分からないでもないが、短期決戦では通用しないことも、元一流の選手たちだったはずなので活かして欲しいところ。
首脳陣で言えば継投策にも疑問を感じる。継投策と言ってもただ予定されたピッチャーを順番につぎ込めば良いわけでもないだろう。使う前後の投手の球威、持ち球、フォームなどを考慮した上でなければならないはずだが、なんだか今の継投は安直というか、何も考えてないような気すらする。
そういう意味では、結果を残した森福投手、今日DHに入った井端選手、代打で出てきた角中・本多選手は安打や四死球と調子もそれなりに良い状態と改めて確認できたのは良い要素だったはず。打たなきゃ勝てないのだ。なら、打てる選手を使うしかない。
そんな当たり前のことに、一日も早く気付くべきだ。
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