第三回WBC一次ラウンド 中国2-5日本
昨日とほぼ変わらない点差なのに、
全く違う安堵感www
以下、追記です。
◆点差は昨日とほぼ変わらないけど
やっぱり、常にリードをしていたおかげか、気持ちとしてはだいぶ楽というか、昨日のブラジル戦ほど「あれ、もしかしたら負けるんじゃ」という不安感は少なかった。
そうさせてくれたのは、先発の前田投手が五回を一安打零封で抑えてくれたからであり、その間にしっかりと日本が先制点を奪ったからだ。その辺りに関しては、昨日のブラジル戦の総評で書いているので割愛するが、やはり先発が試合を作り、打線が先制点を取る。尻上がりに調子を上げて最終的に勝つ、というチームも中にはあるだろうが、基本としてはこのスタイルこそが常勝チームの条件と言っても過言ではないだろう。
昨日とスコア自体に大した差はないが、昨日と違い、やりたい野球がある程度できて、そこに結果が付いてきた。キューバ戦まではやや間が空くので、それを考えても良い形で小休止に入れるのは雰囲気としても良いはずだ。
◆意味ある継投策になることを願って
今日の勝利、というよりも今日のムード作りの立役者は投手陣であることは間違いない。
まず、先発・前田投手。球数制限65球の中で五回まで投げ切った。「五回」はレギュラーシーズンでは一つの先発としての目安となっている回数でもあるので、そこまで一人で到達し零封したことには大きな意味がある。あとは継投策を考えた時に、球数制限ギリギリまで投げさせるのか、それとも回の途中から出さないようある程度投球数を見越した上で回の初めに変えて行くのかというのは、チームごとの戦略になる。
まぁ、日本の場合は、投手陣の前評判は前から高く安定しているので、その辺は「行ける所まで行く。あとは、後続、頼んだぞ」くらいで行っていいし、行けるのが強みか。
そして、ここからが考察しがいがある継投。二番手は内海選手だった。
当初、内海投手は水曜日のキューバ戦先発が想定されていただけに、解説者二人が驚いたように二番手での登場はかなり意外だった。これについて私は、三つのことを考えている。
・一つ目「キューバ戦への調整」
投球数が20球で交代となったことを考えると、当初から投球数で制限を決めており、キューバ戦への調整登板だった可能性。無論、これはその時点で5-0で勝っていたからこそ出来たことでもある。この調整登板を必要だと考えたのは、ブラジル戦での田中投手不調が原因だろう。その前に、一度少しでも登板させておくことで、内海投手の状態の確認と緊張をほぐす目的があったのではないか。
・二つ目「二次ラウンド初戦先発」
中国への勝利がほぼ見えた状態では、日本の二次ラウンド進出の可能性はかなり高まった。そう考えた時に、二次ラウンド初戦はこのままいけば田中投手の先発となるが、ブラジル戦の出来と内容では不安が残る。そこで二次ラウンド初戦の先発を内海投手にしようという思惑が首脳陣にあるのではないか。
(水曜日に内海投手が先発した場合、投球数次第だが50球以上投げた場合には中4日空けることがルール上決められているので二次ラウンド初戦には投げられない。かといって内海投手を二次ラウンドまで温存すると登板間隔が空き過ぎるため、今日登板させた)
・三つ目「起用方法の変更」
ブラジル戦での能美投手の出来の良さから、首脳陣が内海投手の起用方法を先発から第二先発・中継ぎへ変更した可能性。これは、同じ左投手の杉内投手が昨日打たれたことに起因しているものと考えることも出来る(ただし一失点なので、ここまでの過剰反応をするというのは可能性としては低めだと思うが)。
私は登板した当初は二つ目の可能性の高さを考えていた。ただ、そうなるともう少し長いイニングを投げていても良いような気もするので、一つ目の可能性もまだあるのかな、と。三つ目は可能性としては低いと思う。
どちらにせよ、昨日の田中投手の不安定さが結果としてこの起用になったのだろう。
次に、涌井投手のワンポイント登板だ。可能性としては「もともと内海投手が20球、ないし2アウトまでの制限がかかっていた」あるいは「内海投手の登板の方がイレギュラーだった」のどちらかかな、と。
後者は、つまり最初から「前田→涌井」は最初から想定した第一・第二先発だったが、内海投手にイレギュラーな要素(先に挙げた一つ目・二つ目の要因)が発生したために投げさせたのではないか。そして結果的に、ワンポイントになった、と。
涌井投手にワンポイントの練習をさせた、というのは正直考えづらい。おまけに相手は左バッターだったわけで、このケースで涌井投手がワンポイント登板する可能性なんて限りなく低いからだ。てっきり回をまたぐものだと思っていて、「回途中からの登板から回をまたいだ時の練習」だと思っていたのだが、その後が澤村投手だったので、実は内海投手以上に継投として分かりづらいのが涌井投手の起用なのだ。
あとは、内海投手以外で「連投が可能な球数の範囲内で多くの投手を登板させたかった」というのも理由にあるかもしれない。内海投手の一つ目の項目で書いたように、やっぱり一回登板して投げておくとだいぶ緊張やマウンドの具合なんかも違うだろうし、試合の雰囲気や試合勘も変わってくるだろう。その辺を首脳陣が考慮した可能性はある。
◆巨人勢の不振と不安
ただし内海・杉内の両投手は除く、と言ったところか。
実は澤村投手にも若干の不安を覚えている。どちらかというと彼個人というよりも、リード・配球を含めて。確かにストレートはスピード・球威共に申し分なく、今日はコントロールも良かった。150km/hのストレートなんてそうそう打てるものではない……中国レベルでは。だから問題は、二次ラウンド以降に果たして今日みたいな配球やストレート主体で打ち取れるのかという不安だ。コントロールに波があることは言うまでもないので、「投げてみないと分からない」が今後の試合では怖い。
山口投手に関しては、これも個人の調子云々よりもリード面。今日も連続暴投で失点したわけだが、これはもちろん投げた投手も悪いが、後ろにそらしてしまう捕手も悪い。特に二球目は、その直前に暴投となったことが分かっていながら後ろにそらしてしまったわけだから、なおのこと悪い。
そうした中で投手と捕手の間の信頼関係が怪しい。厳密にいえば、阿部捕手とそれ以外の捕手での連携、だが。あとは、巨人でもそうであるようにあくまで「セットアッパー」であって「リリーフ」ではないということか。五年連続60試合に投げて防御率もかなり低く維持されていても、いわゆる「守護神(リリーフ)」に起用されない意味をもう少し首脳陣は考えるべきだろう。
打者の方はさらに深刻だ。坂本・阿部・長野選手の打撃不振は前々から分かっていたものとはいえ、打線をストップさせている。坂本選手に関してはブラジル戦での成績、今日の犠打など最低限の仕事はしている印象だが、阿部選手は昨日の決勝打ばかり取り立たされているが、それは結果論であって打球自体はセカンドライナーでヒットは一本も打っていない。長野選手の不振も同様だ。
無論、打てることだけが野球ですべてではない。まして接戦が予想される国際大会では、走塁・守備と総合的に見た上での先発起用だと理解しているつもりだ。ただここまで打てないとなると、やはり打線の組み替えは必須だろう。
まぁ、「一番・坂本」はもう良いだろう。「九番・松田」が半ば固定なら今日のように犠打も出来る、犠飛も打てるし。「四番・阿部」は「五番・糸井」と入れ替えるのも良い。なんなら、今日調子の良かった中田選手を五番まであげて、六番にまで下げるのもアリだと思う。
そして「六番・長野」は七番・八番まで落としてもいいだろう。ただこの場合は、こちらも打撃不振が続く稲葉選手に代えて井端選手なり、守備位置の入れ替え(中田選手をDHに回し、左翼に角中or内川選手を入れるなど)を併用する必要があるだろうけど。
今はまだ地力の差で勝てている印象が少なからずある。チームで軸となっている巨人勢の不振が続くようなら、首脳陣には早急なる決断が、その後の勝敗を分けるだろう。
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