アクセル・ワールド 第22話
『Detamination ; 決意』
≪あらすじ≫
なぜ能美(ダスク・テイカー)はマッチングリストに表れないのか?
その謎を解くべく、ハルユキ(シルバー・クロウ)はパド(ブラッド・パレード)と名乗る《バースト・リンカー》の手を借りて謎の《バースト・リンカー》であるラスト・ジグソーの存在を知る。
中・遠距離型だというジグソーに対し、パドは近接型である自分と《飛行アビリティ》を喪ったという噂が広まりつつあるシルバー・クロウなら良い囮になると考え、タッグ戦を仕掛ける。
その誘いに乗ったジグソーを、パドは自らの能力を駆使して倒し切った。
対戦直後にログアウトし現実世界へ戻ってきた二人はすぐさまジグソーのリアル割れを狙う。パドはジグソーの右肩に連続ダメージを与え引きちぎって倒しており、短時間でもその影響は生身にも痛覚として表れる。不自然に右肩を動かしたりかばったりしている人物が、付近にいればその人物こそが……。
ハルユキはそれらしき人物を目撃するものの不運にも見失ってしまう。しかしそこで彼はジグソーのリアルが見せた“とある違和感”を記憶する。
一方、ニコ(スカーレット・レイン)との修行で《心意》の形をつかみ取ったタクム(シアン・パイル)の耳には「チユリ(ライム・ベル)が能美とタッグを組んで新宿地区を荒している」という情報が入ってくる。それによれば、遠距離飛行型である上に回復型の支援がある能美のテイカーは一度飛行アビリティを発動させると手に負えないという。
最悪、黒の王であり自分たちのマスターである黒雪姫(ブラック・ロータス)であったとしても勝てないのではないか。
そうハルユキに進言したタクムは、黒雪姫が修学旅行から帰ってくる土曜日までに能美と決着をつけなければいけないと告げる。
その決意を受けハルユキももっと自分に出来ることがあるはずだ、と頭をフル回転させる。首にニューロリンカーがなかったジグソー。なら、彼はどうやってネットに接続する必要性があるBBで対戦が出来るのか? そもそもジグソーが見せた“とある動作”に覚えた違和感の正体は何だったのか?
それらが一つにつながった時、ハルユキの脳裏にはニューロリンカー確立以前に話題となったVR史にかすかに名前が残るとある違法チップの存在が過って――
≪感想≫
嵐の前の静けさ。
アニメに限らず最終決戦の前の小休止って言うのはどんな作品にもあるもので、本作もそこから外れることはない。
「何のために戦うのか?」
しばしばそれは、現実・非現実問わずに他人から、あるいは自問自答によって投げかけ続けられる問いだ。前向きなのか、後ろ向きなのか。自分のためなのか、誰かのためなのか。勝算は? 戦略は? 目的は? ……人の数だけ戦う理由があり、目的がある。
それを今回は、ハルユキ側と能美側で描き切った。
ハルユキとすれば奪われた飛行アビリティも、幼馴染との絆も、そして《加速世界》において彼が考える“在るべき姿”も取り戻すための戦い。その果てにある目的は、やっぱり黒雪姫に通じている一途さが、年上キラーなんて呼ばれていろいろな女性キャラとフラグを立てながらも彼が彼たる由縁かもしれない。
タクムにとってもこの戦いは取り戻す戦いだ。チユリを、ハルユキの奪われたアビリティを、何よりそんな二人(特にハルユキ)に対して自分が持っていたはずの信頼を三度取り戻すために。
奇しくも《心意》が必要となり、過去のトラウマと向き合わなければならなくなった彼だが、それでも彼にとって大切なのはそんな心の傷を乗り越えることよりも、今ある関係の奪還であることは前向きな形だ。
そして能美もいよいよ本気で戦う理由が出来た。もう遊びではいられない。ハルユキによってニューロリンカー以前に提唱されながらわずか三年で禁止された違法チップの存在を明かされてしまった。ハルユキに確たる証拠はない。しかし検査をすれば一発で判明してしまう。これが明確な違法である以上、発見されれば退学は免れない。違法行為による退学なんて下手をすれば一生のレッテルだ。これで互いに互いを破滅出来る切り札を持ってしまった、持たせてしまった。
破滅は彼の望むところではない。ならば、勝つしかない。勝ち続けるしかない。他人のアイデンティティを奪って利用してきたのなら、当然それらによる反逆があるのは必然であり、彼が王として君臨し遅れてくる王(黒雪姫)を従えるのなら、ここでその反逆を迎え打ち勝てなければその資格はないのだから。
戦いにおいては戦前の情報収集、戦略、相性などさまざまな要因が勝敗を分ける。しかしこの作品においてはそんなのは無粋なのかもしれない。勝敗を決するのは、この「何のために戦うのか」という決意の強さと重さに違いないはずだから……。
まぁ、能美の違法手段やポイント全損が可能なアイテムの存在などにも思うところはあるが、今は口にすまい。散々、今まで記事にして書いてきたことの繰り返しだからね。最後にまとめてその辺りは書きたいと思う。それよりも物語にヒロイン成分が決定的に足りない(笑 黒雪姫が最後にチラリと姿を見せたけれど、彼女の外伝がその前に放映されているので、凄く違和感を覚える。あんな儚い雰囲気じゃなかったじゃん、沖縄編www
かろうじて補えるヒロイン成分は……タクム?(ぇ いっそハルユキか、タクムのどちらかが女性だったらよかったと思うんだ。そしたら間違いなく黒雪姫の対抗馬だったのにねー。ほら、タクムがハルユキの幼馴染の女の子だったらって考えると、凄くヒロインっぽいw 今回の「ふぅーん。僕が一人寂しく練習している間に君はまた年上の女性と楽しくデートしていたのかい。」ってセリフもその後に「なら、僕ともデートしてくれても良いじゃないか!」と僕っ娘幼馴染ヒロインwww
もちろん今の対等な立場による戦友ポジってのも悪くはないのだけどねw
え? チユリ? あぁ、露出狂のサブキャラでしたっけ?(マテコラ なんか設定上ハルユキとタクムと繋がりがあるみたいですね?(爆
そんな言葉が出てしまうくらい、もう正直チユリ関係ないじゃん、という形。「何も分かってない」といっていきなり脱ぎだすなんて、そりゃあ分からんよね。その想いを口にしないのなら伝わるわけがない。察して? 感じて? そんなのは無理だ。それが無理なことは、彼女がよく知っていたはずだ。タクムの時(序盤)でハルユキと直結した時に彼女が何を感じどんな言葉を口にしたのかを忘れている。そこが反映されていない辺りが、この作品が長編ではなく短編の数珠つなぎに過ぎない証なのかもしれない。
それはともかく、改めて能美編を見ていると物語としてはチユリの存在が必要不可欠には見えず、彼女の存在はかなり強引に割り込ませている感じは否めない。たぶん原作通りなのだろうけど、この辺りは間違いなく詰め込み過ぎなのかもしれない。いっそのこと、チユリは「囚われのお姫様」くらいで留めておいた方が「悪の外道」に奪われた「お姫様」を取り戻す「騎士たち」のお話ってなって分かりやすい構図だったかもしれない。
次回『Consolidation ; 絆』 流れをみると能美はチユリを無制限中立フィールドに忍ばせておいて、回復役兼盾代わりってところかな。いっそボロボロに倒してしまえばいいのに……。
そして最後に出てきたアバター。馬か何かに乗ってるっぽい? タクムの動向を許可した能美の伏兵か、それとも新キャラか(ぇ
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パドさんに咬まれて恍惚とするハルユキ
ハルの固有アビリティ:年上キラー・・・というかバトルシーンでの萌え要素の低下を補うなら、もっとパドさんをプッシュすべきだと思うんだ絶対。
なのに原作にあった「ハルユキを家まで送って災禍の鎧事件での礼を言う」シーンをカットするだなんて。鉄面皮のパドさんがにこりと笑って「私の王を守ってくれて、ありがとう」とか言っちゃう(私個人的に)屈指の萌えシーンなのに(笑)。
アキハバラBGはQUADタワービルローカルネット内でマッチメイカー(通称。アバター名は不明)と有志バーストリンカーにより運営される地下闘技場です。ダイブ時にブレイン・バーストアプリ対応IDが配布されるためバーストリンカー以外はログイン不可。絵で見る限り賭博場というよりスポーツバーみたいな感じですね。
賭けは一試合300円上限、ファイトマネーは一勝で500円。ハルユキ曰く「連続対戦で勝率と集中力を平常通り保っていられるのは10試合が限度」らしい(中には勝率無視して20~30戦する強者もいるようですが)ので全勝しても5000円、日雇いバイトした方が効率いいかも。
なお原作ではモードチェンジによって戦闘スタイルを切り替えるバーストリンカーはパドさんが初出です。アニメでは外伝の沖縄娘たちに先を越されましたが。
人形態では「奪気咬(メンタル・バイト)」で必殺技ゲージを奪い、獣形態では「壁面走行」で変則機動戦闘をしつつ「奪活咬(バイタル・バイト)」でHPを奪う肉食系ならぬ捕食系女子。作者によると「男性リンカーが一度くらってみたい技ランキング上位」だそうです。そうか皆そんなにパドさんに咬まれたいのか、気持ちはわかるぞ(笑)。
さて能美君の手品の種明かしとして登場したブレイン・インプラント・チップ(BIC)ですが、劇中にあるように2040年代においては違法VRデバイスとされており、例外として一部の医療行為(中枢神経系の障害治療など)に使用される場合のみ厚生労働省の認可を受け所持が認められます。
もちろん能美は正規の認証を持っていませんが、少なくとも彼の背後にいる組織はその医療技術ないしは技術を不正利用できる裏社会系のコネをもっているということになります。いち中学生の身分で気安く利用可能なデバイスではありません。
ハルユキがBICの記事を見つけたのはネットワーク関連企業の営業マンだった父親が離婚して家を出て行くときホームサーバー内に残していった仕事用資料の中でした。母親がサーバーから削除する前にこっそりコピーして隠しフォルダ(フォルダ名の「F」はFatherのF)に入れていたようです。当時小学生のハルユキには内容のわからない文言の羅列だったはずですが、父親の思い出ファイルと一緒に一生懸命読んでいたんでしょうか。
ソードアート・オンライン(SAO)との繋がりを意識してかナーヴギアも登場していましたが、これはアニメスタッフのサービスなのか原作には名称までは出てきませんでした。説明読む限りナーヴギアっぽいなとわかるくらいで。
このフルダイブ型VRマシン技術の最終形がBICということになります。2029年に市販され注目されるも、2031年のニューロリンカー(携帯型量子演算装置)登場による技術的ブレイクスルーに対応できず消えて行った旧世代の技術です。どうもスタンドアローン型の隠しカメラといい、能美たちはこの手の世間の常識の裏をかくガジェットを好んで使いますね。
少し余談ですが、量子演算装置によるVR技術のブレイクスルーについてはSAOがちょうどその過渡期を描いた作品になっているため、本作品よりもSAOの方が詳しい説明があったりします。中には研究途上の技術として思考速度のオーバークロック技術:FLA(Fluctuating Light Acceleration)なんて単語も出てきます。
ものすごく大雑把にいうと「脳の生化学反応に電磁的に干渉して身体感覚を誤認させる」のが旧世代VR技術で「意識という量子場に干渉して感覚記憶を再現する」のが現行VR技術と考えれば良いようです。
生体脳に直接干渉する旧世代技術で「仮想デスクトップ」のようなAR(拡張現実)効果を実現するには、現実の身体感覚情報と仮想の感覚情報の両方を同時処理するため脳細胞への負荷が大きくなります。それを回避する技術として硬膜内に合成蛋白マイクロマシンを注入し大脳表面に情報処理ネットワークを作り脳とネットワークを直結して演算しようというのがBICの発想です。
対して量子演算装置を使ったVR技術は脳神経系の感覚信号を再現するのではなく、意識に記憶としての感覚情報を上書きすることで仮想の身体感覚を認識させます。
例えば「痛み」という記憶情報を意識に書き込んで痛覚を再現するわけです。この情報は個人としての経験記憶ではなく「痛み」という情報が持つ普遍的な記憶で誰に与えても同一の痛覚を再現するようです。結果「痛みは感じるが感覚に相応した負荷は脳神経系にかからない」という現象が起きることになります。
どうも作中の現行VR技術というのは「人の意識(の一部)を普遍的データとして扱える」技術と考えてよさそうです。なにやら「意識=魂の定量化・数式化」というと以前に月詠さんが感想を書かれていたタイプムーン某作品の設定みたいですが、魔法じみた科学技術ですね。
アニメでは原作の込み入った設定説明を上手く回避してキャラクターの関係性を熱く表現することで少年漫画的面白さを全面的に押し出すという手法がとられました。
背景説明を薄くした分、ハルユキとタクムの描写にはきちんと尺が取れているんじゃないかと。後はこの勢いで無制限中立フィールドでの決闘をどれだけ盛り上げるか。次回の熱いバトルに期待です。