もやしもん リターンズ 第9話
『グラン=グリュ街道にて』
≪あらすじ≫
遥の政略結婚を阻止する意味も込めて、親同士が勝手に決めた彼女の婚約者・龍太が主催したパーティを見事に“潰した”直保たち。遥も、あまりに自分本位な彼のパーティの在り方を非難すると龍太は激怒して帰ってしまう。
ホテルに戻る途中でワインを口にした遥はその“酒乱”っぷりを発揮して、龍太と一夜を共に過ごし、彼に恐怖を植え付ける。
翌日。朝市に出かけると言って独りで出た車内で付き人の運転手から「お嬢様の自由は本日の午後までです。すでに何人かが龍太様をサポートするため送り込まれており、お嬢様と龍太様を常に一緒にいさせるように、とのことです」と密告を受けた遥。朝市でまたしても美里たちと遭遇すると、事情を話して「自分を逃がせ」と命じる。
美里たちももとからその気だったため、ひとまずマリーの家を目指すことに。すでに市街には追手がいると考え美里と遥はカップルの振りをしてやり過ごし、その間に川浜がマリーの家に行き、別行動中のマリーと直保と共に車で戻ってくる手はずに。
カップルの真似事をして追手をなんとかかいくぐる二人は、あまりに川浜の迎えが遅いため徒歩でマリーの家を目指すことにしたが、その途中で遥は「どこまで行っても(自分は父親の)かごの鳥」と愚痴る。そんな彼女に美里は……。
一方、当初からマリーと共に待機だった直保は、マリーの家庭環境を目の当たりにする。サラリーマンをしながらも戻ってきた父はワイン造りに素人で、周囲の人含めて幼いころから祖父の教育を受けていたマリーが後継者にふさわしいと考えていたが、その父はマリーたちの協力を拒み、マリーもそのプライドを受け入れていた。
しかし直保には、マリーがワイン造りを手伝いたくて仕方ないように見えて――
≪感想≫
◆継ぐ者たち
直保にしろ、マリーにしろ、ある意味で遥にしろ彼らは自分の家や一族が代々守り伝えてきたモノの伝承者であり継承者だ。伝承者や継承者と単語を使えば良く聞こえるが、一方でそれらを「生まれた時から親や一族に進むべき人生のレールが決められている」と言われ同情されたり悪く言われたりもする。
私も全てのサブカル作品に目を通しているわけではないが、どちらかと言うとこうした分野だと後者での扱われ方が多いのかなと思うし、そうであるのが現実世界で「後継者」と周囲から目されている自分からすると残念だと思っていた。
そう思っていた分だけ、今回の直保にはこれ以上なく共感した。共感できた。もしかしたら、アニメや漫画の中で今回の直保に対してほど、二次元の登場人物に共感したことはなかったかもしれない。
私の場合は酒蔵ではなくて稲作になるんだけど、秋には独特の匂いがあって、それがとても心地良いのだ。普通の人からすれば好ましい匂いではないかもしれないけど、その匂いが意味することとその先にある一年の集大成が結実した収穫があることを知るから、感覚として心地良く思えるのだろう。
話は戻すが、もちろん直保にもいろいろあったはずだ。次男坊だったのに後継ぎと目されているということは、本来の長男が放棄したか逃げ出したか何だったかで、その役目が回ってきたのだから。
それでも直保は、後継ぎであることを誇りに思っているように見えた。無論、長男(直保から見れば兄)との確執やわだかまりっていうのはあるだろうけど、それを超えたモノ・意思をどことなく感じ取れた。
そう。後を継ぐ者からすれば、そんな同情なんてのはお門違いで、むしろ継ぐこと・継ぐモノに誇りを持っているのだ。確かにそのレールは生まれた時から、もしかしたらある日突然敷かれたモノでその上を走ることを決められていたのかもしれない。だが、その上を「走る」と決めたのは自分だ。道があっても、その道の通りに走ると決めた想いがあると私は想っていて、その一端をどことなく直保も想っているんじゃないかって思えたのだ。
無論、その道は易しくない。一度継ぐ道を選べば周囲の人や一族からの期待を背負うわけだから“重い”。大変なことも多い。衣食住、労働の形が欧米化していく中で「後を継ぐ」こととその決意をしたことの重大さを正しく評価してくれる人や会社も少なく感じる(まぁ、そこはプライベートな部分だから当然と言えば当然なんだけど)。
だからこそ、その道を選んだこと――いや、“選べた幸運”と“選んだ決意”と“選ばれた誇り”が後継者には多かれ少なかれあるのだと思っている。
傍から見れば、もしかしたら「後を継ぐことは、周りから人生を決められてしまっていて可哀想」と見られているのかもしれないし、実際にその同情が正しいような嫌々何らかのモノの後を継いだ人もきっといるのだろう。
でも、今回の直保の姿を見て、一人でも多くの人が後を継ぐ人たちが本当に持っている誇りや決意に触れて真実を知ってくれれば良いなと思えた。
◆マリーと遥
そうした一方でワイン造りを継ぐことなく家を出て行こうとしているマリー。端々にワイン造りに関する情熱と愛情を感じているだけに直保としてはモヤモヤした感じがいつまでもぬぐえない感じなのだろう。
協力を拒んだ父を尊重し協力を拒否するマリー。それは確かに家族で支えているのかもしれないが、その一方で本当の意味で支えるってそれぞれの力を発揮して集結させるものだと思うし、そうした想いがたぶん直保にあるからあんな感じだったのだろう。
こればっかりはマリーが悪いっていうわけではなく、父のプライドが邪魔している感じだけどね。自分自身もワイン造りを手伝って仕事を覚えていくことは悪くないが、業界としては祖父のほかにマリーという先達もいるわけで、技術も知識も上のマリーを(言葉は悪いかもしれないが)利用するくらいの度量は欲しいところだよね。
逆にマリーたちにはないサラリーマンとしての経験が父にはあるはずで、それを発揮して取引先を交渉したりすることも出来るだろう。
出戻りの人間がデカイ顔をするって難しいんだよね、やっぱり。直保にあてはめれば、いきなり兄が帰ってきて「やっぱりおれが後を継ぐ」と言い出すことと同じだろうし……。
マリーがこのまま家を出るのか、やはりワインへの情熱を捨て切れずに残るのかは分からないが、その辺りが物語としては焦点になるか。
遥の方は、後継ぎというよりは繁栄目的での勢力拡大のための結婚みたいなものだからね。でも、それも「生まれた時から決められていたレール」と言われればその通りで、それを今回最も色濃く演出したのも遥だった。
美里とラブコメってたけど、あれはあれで彼女にとっては救いだったのだろう。自分を必要としてくれる人たちがいる、後輩たちがいる、励ましてくれる人たちがいる。
そして、実はそこに龍太が含まれていないことに気付いた。木登りを拒み、靴を脱いで遥のために汚れることを拒んだ龍太。その一方で、それとは対照的に今回泥だらけに汚れた自分の足と美里たちを見た遥。その対比は、改めて龍太との違いを明確にしていたように思える。
マリーの事情を知った直保と、みんなの想いで決意を新たにした遥。いよいよフランス編も佳境か?
しかし、お約束とはいえ遥のセリフが良いタイミングで決まって美里を追いこんでいくなw これは気がつけば外堀は完全に埋められるパターンか?(ノ∀`)アイター
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