アクセル・ワールド 第20話
『Domnation ; 支配』
≪あらすじ≫
あと一歩のところまで能美(ダスク・テイカー)を追い詰めたハルユキ(シルバー・クロウ)とタクム(シアン・パイル)だったが、チユリ(ライム・ベル)の思わぬ裏切りで形成は逆転してしまう。
チユリが何かされたのではないか……
その言葉が頭を過ったハルユキとタクムは激昂して能美に襲いかかるが、冷静さを欠いた状態で勝てる相手のはずもなくあっさりとタクムのシアン・パイルはバラバラにされてしまう。
なんとかタイムアップとなったものの、チユリは「ポイントのため、自分の意思で能美と組んだ」と二人を突き放す。
自分たちにとってチユリがどれほどの存在だったのかを改めて思い知った二人。状況を打開する策を模索する。
一方、学校ではハルユキの盗撮疑惑が広がり、それが目に見えてハルユキへの辛辣なイジメの形で表面化を始めており――
≪感想≫
二回分の外伝を挟んでの三週間ぶりの
正直、外伝との落差が大き過ぎて観ている側としては精神的に重いし、続きが気にはなるのだけどどうも気が乗りきらない。そんなわけで、今回は敢えて物語の中身には触れずに感想を書いてみたw 書こうと思えば書けるものだと思ったが、これって20話の感想じゃなくね?とも思ったり(ノ∀`)アイター
もちろん書こうと思えば本編の内容で感想は書けたとは思う。けど、絶対に最初から最後まで批判してる気がするんだよね。主にチユリに(笑
私の感想は、物語を一歩引いて作品として語るか、あるいは登場人物に共感(あるいは反発)してフィクションと分かっていながらも、そこから何か現実世界でも活かせる部分はないかと模索するかのどちらかが多い。そうなると今回のチユリの行動は、私からすれば反面教師として徹底的に叩いてしまう気がするのだw
でも、チユリって中学生だからさwww まぁ、未熟で当たり前な(フィクションの)中学生相手にアレコレ偉そうに書いていくのもちょっと違うかな・可哀そうかなとも思ったので今回はそういう感想は避けようかなと思い至った。
高位《バースト・リンカー》は蓄積している体感時間が膨大なのでこの限りではなく、まぁ中堅のハルユキたちも相応の時間を積み重ねていそうなのでアレコレと言えそうだが、チユリはほぼ生粋の中学生だからね(苦笑 そしてたぶん私がそんなこと書かなくても、他に書かれそうだし。
なのでそうした未熟さは作中の年齢を考えれば当然だとも思ったので、ここでは敢えて触れない方向にした。
◆物語を読む/観る“勢い”
さて話を戻すが、前回までとのギャップがやはり大きかった今回。
そもそもあの外伝を挟むべきだったのだろうか、というのは今でも疑問だ。時系列順としては正しいのかもしれないし、何か本編の方にも絡むような要素があったのかもしれないが、一つの章としての“流れ”や“雰囲気”みたいなものを考えた時には首をひねる。
例えば小説を読むことに時に“勢い”が必要なように、ぶっちゃけアニメでもこの手の観てて心地良くない鬱展開を乗り切るのも“勢い”が必要だと思うんだよね。それが外伝を挟んだせいで途切れてしまった感じは否めない。鬱展開の「緩衝材」にしてもレイカー師匠や次回出てきそうなニコなどいるわけだし……。
これは原作者ではなく、アニメスタッフの手腕だね。例えば、あの外伝をアニメ化するにしても能美編が終わった後に「そうか、そんなことがあったのか。実は私も――」という形で黒雪姫の回想にしても良かったと今も思ってる。あるいは彼女の首に光るアクセサリーに気付いたハルユキが「先輩、それは?」「これか? 実はな――」と尋ねたところで回想がスタートするのも、そのアクセサリーに意味することがあっただけに面白かっただろう。
メタな見方をすれば、視聴者からすれば鬱な展開が多い能美編を乗り切ったご褒美的な感じで外伝を黒雪姫七変化として楽しめたような気もする。
だが結果として時系列順にしたために、大きなギャップが生じた。それを「歪(ひず)み」とまで大げさに批判するつもりはないが、緩急の差が激しい川下りのように突然の流れの変化に戸惑う。切羽詰まっているハルユキたちと、旅先(修学旅行先)での珍事に遭遇した黒雪姫では同じ作品でも纏っている雰囲気やオーラがまるで違うのは当たり前だからだ。
それはスタッフも分かっていたはずなので、原作にはない視聴者のモチベーションの変動を起こしてまで、あの外伝をストーリーの半ばで捻じ込む必要性があったのかは、たぶんこの章が終わるまで持ち続ける疑問なのかもしれない。
◆制約多き能美編は成功するか?
ただ、裏を返せば、それだけ敵役である能美をここまでの外道として描き切っているわけだから、原作者には頭が下がる。(能美のバックグラウンドが見えてこないので何とも言えないが)これは見事な“勧善懲悪”だ。昨今のアニメだと、こうした形式は珍しいのかもしれない。
“勧善懲悪”は敵が倒されるべき悪であることに疑いがないので、その分だけ倒すべき善(主人公たち)に注目し続けられるのは強み。主人公視点がメインになる描き方との相性も良い。そういう意味では、古典的な要素(王道と呼ばれる手法やファクター)を外さず確実に踏んで物語を作るこの作者らしいといえばらしい。
もちろん、この能美編が終わってみないとこの章とその敵であった能美が“勧善懲悪”に当てはまるかどうかはわからないので、今はまだ断言は出来ないけれど……。
でも、今のこの手の敵ってアッサリと敵側の正当性のある主張や事情、あるいは同情出来る過去や背景が出てしまうので、そういう意味ではその部分は最後まで引っ張るか、あるいはほとんど明らかにすることさえないのかもしれない。その善し悪しは、物語の描かれ方にもよるのでこれまた今断言すると原作ファンにアレコレといわれてしまいそうwww
でもまぁ、原作でコレを読んでいた人たちも凄い。数か月待たされて始まってハルユキが新技習得したと思ったらまだまだ続く鬱展開に付き合わされたわけだからねw はたして原作ファンは、この能美編をどう評価しているんだろう。「挫折して立ち上がったかと思ったらまた挫折して~」という繰り返しは、物語の作り方としてはベーシックだけど、読む方も結構負荷が大きいと思う(まぁ、個人差があるけど)。
それこそ先にあげたような“勢い”があるかないかで結構違ってくる部分かな。原作だとその辺りは(外伝を挟んでいないこともあって)そうした挫折のシーンを一気に読み進めて、そうした難敵をどうやってハルユキたちが打ち倒していくかを楽しみにできる“勢い”があるのかもしれないね。それも凄いこと。熱い展開を読ませる力より、鬱展開を読ませる力がある方が、作品としてはやっぱり勢いやポテンシャルを感じる。
しかし、アニメはともかく原作褒めまくりだな、今回の感想w なんか、それはそれで私らしくなくて気持ち悪いので(ぇ)最後にちょっとした苦言を呈すれば、制約された能力や状況の中で試練や難敵を乗り越えると言うのは燃える要素だが、それをもう少し巧く使えればもっと面白い作品になった印象はある。
及第点は超えたけど、合格点にはギリギリあと一歩届かないような感じ。
その最大の原因はどう考えても、せっかくの制約ある状況を無意味にしたチートの《心意》システムなので、アレコレ書き過ぎるとまたコメント欄が荒れそうだが(爆
そういう意味だと、やっぱりこの作品(アニメ版)の評価を大きく分けてしまうのは《心意》システムの是非に直結すると思う。まだ明らかになっていないがいろいろと制約やデメリットも《心意》システムにはあるようだが、今の様子を見るとそこまで大きなマイナス要素ではなさそうだし……。
また、メタな見方をすれば「主人公に制約を設けたのは良いけど、このままじゃ打開出来ないから新しい設定を入れよう」とした結果のようにも見える。こういうのが面白いのは「もう決まった枠組み」の中で「制約」が設けられた上でどうすれば勝てるのかを模索する「頭脳戦」な部分なのに、肝心のそれを打開する策が「もう決まっている枠の外にある新技(新しい設定)を持ってくる(それを学ぶこと)」というのはせっかくの要素を殺してしまっていて勿体ないと言わざるを得ない。
そういうの、気にしないで観ている方はまた違った評価をすると思うのだけど、一度気になってしまうとやっぱり人として気になってしまうよねw
とはいえ、物語も20話を超えこのアニメ版『アクセル・ワールド』も残すところ4~5話といったところだろう。そろそろ視聴者としても、そうした作品全体の評価やらなんやらを気にするわけだ。
個人的には、よくここまで見続けてこれたな、とw さすがにここまで来たら観るのを止めるということはないしね(爆 原作から続くものにせよ、アニメ化にあたって生まれたものにせよ粗も多いが、それを超えるポテンシャルがあることも間違いない。
能美編も佳境に入ってきただろうし、どこまで視聴者を愉しませてくれるのか、そのポテンシャルを見せつけてくれるのかに期待しよう。
次回『Insurrection ; 反逆』
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能美君のセリフまわしが原作よりゲスいです。
勧善懲悪というジャンルでは悪役の魅力(?)の一つとして「突き抜けた醜悪」表現が必要とされる場合があるように思います。
能美少年の場合、キャラ表現のポイントは狡猾さでも陰湿さでもなく、ただひたすら誰が見ても不快であるということです。
例えるなら「当たり前に過ごしていた日常に猟銃を乱射する薬物中毒者が乱入してくる」ような。この場合彼に対して「なぜ薬物中毒になったか」とか「銃砲免許は所持しているか」「射撃の腕前は」といった考察はあまり意味がありません。少なくとも襲われている人を救う役には立たないでしょう。
彼がハルユキ達に向けた悪意はそういう「言い訳や正当化を拒否させる」類のものであるといえます。
EDにつながるシーンで能美の浮かべた嘲笑はハルユキへの嫌がらせが成功したことへのゆがんだ満足感にあふれていました。つまり彼の抱いている悪意とはそのレベルのものでしかないということだと思います。
遠大な野望を語るでもなく世界への反骨を主張するでもない、現実世界にごくありふれた悪意だからこそ不愉快極まりないという感じでしょうか。
能美征二が脅威と認識されるのは「その悪意の対象になると何をされるかわからない」という一点に由来し、その恐怖を以てハルユキ達の状況を支配している。その意味でハルユキの心が最後まで折れることなく能美に対峙し続けるシーンで切ったのはよい演出だったと思います。
今回チユリが能美側についたことで盤面はこれまでと大きく変わってしまいました。
「飛行」「遠距離大火力」「回復」という加速世界で唯一の永続戦闘可能な戦力を手に入れた以上、もはや能美にとってハルユキとタクムに関わる意味は薄く、チユリの提案通り相互不干渉として次の局面に向けて手を打つ段階にきています。
ここで下手に挑発して逆切れした相手にリアル割れ覚悟でPKとして告発されたら都内のレギオンほぼ全てを敵に回すという綱渡りな状態にも拘らず、まずは嫌がらせによる自己満足を優先する辺りに能美の歪さがうかがえます。
経緯について原作に明示はないので私の想像ですが、能美は学校側に「日曜日に部活棟に見慣れない2年生(青いネクタイの生徒)がいた」と匿名で投書、結果として学内ネットのアクセスログから部活に所属しないハルユキの休日登校が疑いの対象となって進路指導室への呼び出しという形に繋がったものと思われます。
梅郷中学は私立の進学校であり出資者は学校法人でなくVR教材を扱う営利企業です。そのため企業イメージを下げる事件が校内で起きた場合は教師でなく企業の管理部門により対処されるようですが、証拠不十分ということでひとまず担任の菅野先生が直接ハルユキと話をしています。恐らくまだ内申点とかに影響するくらいで済んでいるんじゃないでしょうか。
菅野先生としては管理部から警察に突き出される前になんとか生徒を庇ってやりたかったのだと思いますが、やり方が最悪です。呼び出しが登校直後だったこともあり、どこからか流れた「盗撮犯が呼び出しを食らったらしい」という噂が学校中に広がってハルユキを孤立させてしまいました。
先生自身別に悪い人じゃないのは確かなんですが、こう空気を読まない前時代的な熱血教師なんですね。悪気はないけどやることがずれているというかはた迷惑というか困った人です。
ちなみにこの先生、アニメ放映開始以来初めて「面と向かってハルユキと対話した周囲の大人」だったりします。あ、黒雪姫の入院した病院の看護師さんやお店の店員さんとかは例外で。
一話以来しつこいくらい周囲の大人の姿を描かずに来たこの演出(ハルユキ・タクムの母親は出ても声のみ、黒雪姫に至っては原作でも家族の見舞いすら無し)で初の大人キャストがこの人という辺りがこの作品らしいと思います。最後まで子供たちの物語なのだなあと。
さて事ここに至ってハルユキ達も能美征二との決着はポイント全損をかけての死闘以外にないと決断しました。
たとえ翼を永久に失ってでも加速世界からこの悪意を追放する、それがバーストリンカーとしてのハルユキの守る最後の一線。そして久々登場赤の王がハルユキお兄ちゃんの決意に対して提示する答えは。次回チンピラえんじぇる幼女再臨です。