Fate/Zero 第20話
『暗殺者の帰還』
≪あらすじ≫
時間を追うごとに人間としての機能を喪失していくアイリスフィール。もはや組んだ魔法陣の中で横たわった状態で、ようやく話が出来るほどにまでに機能喪失は進行していた。そんなアイリスフィールと面会した切嗣は、彼女からセイバーの召喚に使った《エクスカリバー》の鞘・《アヴァロン》を譲り受ける。
「最期の戦いで必ず必要になるはずだから」
自身の理想実現のため、聖杯獲得のためには妻の犠牲は最初から決まっていたこと。切嗣は無表情を決め込んで《アヴァロン》を受け取り、舞弥にアイリスフィールの警護を命じる。
一方、二度の固有結界の使用とキャスター戦の影響で大幅に魔力を減衰させていたライダー。ウェイバーは何とかライダーの魔力を早急に回復させようと、ライダーと相性のいい地脈の場所まで移動し、自身は精のつく飲食をするだけして寝袋に入ることで可能な限り自身の魔力をライダーへ譲渡する。
そんなウェイバーは霊体化したライダーから魔力回復次第、次に相対する相手を告げられる。それはセイバーだった……。
その頃、遠坂邸近くの森に潜む切嗣は屋敷の様子がおかしいことに気づく。張られていない結界。内部へと潜入した切嗣は、遠坂時臣がすでに何者かの手によって殺されている事実に気づく。
そして同時刻、切嗣、そしてライダーのアジトへ向かったセイバー不在の中、アイリスフィールたちが隠れ潜んでいた旧武家屋敷の蔵にライダーが現れる。応戦虚しく致命傷を負う舞弥の声に切嗣は三度しかない“切り札”を行使する――
≪感想≫
残り話数が少ない中で、物語は再び加速。もう、原作読んでいなくても切嗣とアイリスフィールの会話が、こういろいろと意味深だと分かってしまう……。
さて、本編の中身としては前回・前々回に近い回想中心と言っても良いかもしれない。もちろん、その合間にはライダーとウェイバーの会話、まだもうひと波乱巻き起こしそうな雁夜の存在を明示していたものの、それでもメインはやっぱり切嗣だったわけだ。
前回、前々回は切嗣自身の回想だったが、今回はアイリスフィールと舞弥の視点による「衛宮切嗣」という人間の回想と言っても良いだろう。そうした「絵的」なシーンは無いが、会話の内容は十分にソレに値する。
切嗣の理想のなんたるかを本当の意味では理解していないけれど、夫の理想を応援する妻でありたいと願い続けたアイリスフィールと、自らの過去と自分を拾ってくれた切嗣への想いが見える舞弥。
きっとナタリアごと旅客機を撃墜した後も、切嗣は変わらぬ戦いを続けたのだろう。舞弥を拾ったのは、もしかしたらナタリアに拾われた自分を重ねたのだろうか? その辺りは切嗣にしか分からないだろうけれど……。
その舞弥はおそらく今回でリタイア。切嗣の、その貴き理想とは裏腹にすぐにでも壊れてしまいそうな弱さを本当の意味で理解していたのは舞弥だったのかもしれない。
「その涙は、奥さんのために」
その一言の重み。その一言が言える想い。口数は少なく、もともと物語に絡むようなキャラクターではなかったが、それでもこの台詞に籠っている感情は十分に感じ取ることが出来る。
個人的には、その後の切嗣の台詞の方がグッと来てしまったのだけどね。
「舞弥の役目は終わりだ」と言う一言。
台詞だけを文面で目にすると非情な一言に見えるが、おそらく致命傷を負ってそれでも切嗣が来るまでその身体を精神力だけで保たせてきた舞弥を想っての一言だろう。
きっと切嗣がそう言わなければ舞弥は死ぬ痛みの中で、それでも精神力だけで生き続ける。不思議な話だろうが、実際にそういうモノなのだ。これは体験したことがある人じゃないと分からない……と言うか、信じてもらえないだろうけどね。そんなファンタジーみたいなこと、って。でも、実際にそういう役目だったり背負っているものだったりから、言葉一つで解き放って上げるだけで安らかに眠ってくれると言うのは本当にあることなのだ。
もちろん肉体的な限界が来れば、話すことも出来なくなり、五感も失われてしまうが、それでも生きようとする意思は何とか生きようとあがき続けてしまう。
それを“諦めさせてしまう”一言が正しいかどうかなんて分からないけど、少なくとも切嗣は「せっかく昔のあなたに戻ったのに」と口にした舞弥の理想を背負って、言葉を選んだのだろう。
自分は君の知る“魔術師殺し”衛宮切嗣だ、と。
その自分がこれから先負ける要素はあるはずが無い、と。
だからもう舞弥の役目は終わったのだからゆっくり休め、と。
当然、そんなのは実際にふたを開けて戦いが終わって聖杯を手にするその瞬間まで分からないのだけど、そんなこと、野暮ってものだろう? アイリスフィールとはまた違った絆と関係を築いていた舞弥。そんな彼女に対して報いることが出来たのは切嗣しかいなかったんだから……。
そして何より、その戦場では命取りになる優しさを、なんだかんだで捨てていないからこそ彼はああいう理想を掲げているのだから――。
そう言えば、アイリスフィールを連れ去ったライダー。というか、ライダーって潜伏先知ってたのか? 潜伏先を知っているのは綺礼だから、てっきり襲ってきたのは綺礼だとばかり思っていたが……綺礼(アーチャー)が極秘裏にライダーと接触している、と見て良いのだろうか?
◇現在の陣営
◆衛宮(アインツベルン)陣営
▽マスター
衛宮切嗣
▽サーヴァント
セイバー(アルトリア・ペンドラゴン=アーサー王)
▽その他
アイリスフィール・アインツベルン、
『魔術師殺し』との異名を持つ衛宮切嗣は魔術師だからこそその裏をかき、魔術師としての規則の隙を突いて相手を抹殺する戦闘スタイルを得意とするが、呼び出したサーヴァント・セイバー(アルトリア・ペンドラゴン=アーサー王)は正面からの正々堂々を得意としているため相性は最悪。
それを解消するためアイリスフィールを偽りのセイバーのマスターに仕立て上げ、切嗣は助手の舞弥と共に後方からの支援と策謀に徹する戦略を取る。アイリスフィールには、セイバーを召喚した際の触媒である『全て遠き理想郷(アヴァロン)』を封じることで、セイバーの魔力が注がれる限りの疑似的な不死を体現している。だが、アイリスフィールの肉体は何かに侵されているようで体調不良が続く。
切嗣、アイリスフィールをサポートしていた舞弥はライダーの強襲を受けて死亡。
彼が目指す目的は「世界の救済」というとんでもないものだが、その目的に関してだけはセイバーも同意している。
セイバーの持つ宝具(宝剣)は風の結界『風王結界(インビジブル・エア)』に護られた聖剣『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』。ランサーが自らの宝具を破壊したことで左手の傷が癒え、使用可能となった。
◆遠坂陣営
▽マスター
▽サーヴァント
アーチャー(ギルガメッシュ)、
▽その他
遠坂時臣と言峰綺礼による秘密裏の協力関係。時臣のサーヴァントはアーチャー。その真名は世界最古の王・英雄王ギルガメッシュで「世界の財宝を手中にするため」聖杯獲得を目論むが、高いプライドと単独行動スキルによって時臣は御し切れていない。
綺礼のサーヴァントはアサシン。アサシンは“単一”ではなく“群”の存在だった。しかし、セイバー、アーチャー、ライダーによる聖杯問答の最中、唐突に姿を見せるがライダーの固有結界によって返り討ちに遭い、アサシンは消滅。
ギルガメッシュの入れ知恵で綺礼は各マスターの動機を調べた言峰綺礼は、聖杯に選ばれ再び令呪を獲得。時臣の弟子であり協力者を演じながらも、彼が討ったはずの間桐雁夜を蘇生させた。
さらに、父親である璃正から過去の聖杯戦争で残存した令呪を継承した上で、時臣を殺害し、ギルガメッシュの新たなマスターとなった。
◆ウェイバー陣営
▽マスター
ウェイバー・ベルベット
▽サーヴァント
ライダー(征服王・イスカンダル)
魔術師の総本山・ロンドンの時計塔の学生。聖杯を得る目的は魔術師としての実力を他人に認めさせるため。
呼び出した英霊のクラス(役職)はライダー。その真名は征服王の異名を持つマケドニアの英雄・イスカンダル。世界征服を考えているが、その性根は豪快な豪傑。そんな彼にウェイバーは振り回されっぱなしだが……。
ウェイバーが突き止めたキャスターの陣地に突撃。そこでアサシンがリタイアしていなかった事実を知る。だが、聖杯問答の際に割って入ったアサシンに対しライダーの固有結界によって撃退。奇しくも最初の勝利者となった。
◆間桐陣営
▽マスター
間桐雁夜
▽サーヴァント
バーサーカー(???)
間桐家の次男だが、魔術師になることを拒む出奔。しかし、遠坂家の次女だったはずの桜が間桐家に養子に出されたと知って出戻り。彼女を解放するために、自らを犠牲にしてでも聖杯を得ることを望む。余命一カ月。
呼び出した英霊のクラス(役職)はバーサーカー。真名は不明だが、漆黒の霧をまとっていることで相手マスターにステータスを悟らせていないようだ。さらに自身が手にした物体を宝具と同じように扱うことが出来る。しかもバーサク(狂化)状態でも精密な動作が可能。
しかし、セイバーを見るたびに戦闘や状況お構いなしで攻撃を仕掛けてくるようだが……。一方で、マスターの雁夜は時臣に全身を焼かれたものの綺礼による蘇生の施しを受けた。
◆雨生陣営
▽マスター
▽サーヴァント
殺人鬼の少年と人の恐怖を最大の喜びとする狂った魔術師・キャスターの英霊のコンビ。目的は不明だが、龍之介にとって聖杯という存在はどうでもいいのかもしれない。現段階でマスターとサーヴァントの相性という一点において最高だと思われる。
キャスターの真名は、ジャンヌ・ダルクの逸話で有名な百年戦争でオルレアンを解放したフランスの救国の英雄の一人であるジル・ド・レェ。その目的は、後に異端裁判にかけられあらゆる凌辱を受け、その尊厳と奇跡を奪われて処刑されたジャンヌ・ダルクの復活。セイバー(アルトリア)をジャンヌ・ダルクだと誤認しており、セイバーにジャンヌ・ダルクとしての記憶を取り戻してもらおうと後先考えず行動を開始。子供たちを拉致し、アインツベルンの森でセイバーを荒療治でジャンヌ・ダルクとして復活させようと目論む。
拠点としていた地下貯水池からは移動していたが戻ってきて壊された状況に愕然。しかし、龍之介の言葉に得心を得たキャスターは新たな策として巨大な海魔を召喚。しかし、川岸で興奮しながらキャスターの行動を見守っていたところを、切嗣にマスターだと看破され河川上のボートからスナイパーライフルによって射殺された。
キャスターも左手の傷が癒えたセイバーの『約束された勝利の剣』を受けて海魔ごと消滅したことで、聖杯戦争初のペアでの脱落ペアとなった。
◆アーチボルト陣営
▽マスター
▽サーヴァント
▽その他
マスターはケイネス・エルメロイ・アーチボルト。ウェイバーに召喚するための聖遺物を奪われたはずだが、どうやら別の聖遺物を手配しランサーを召喚。聖杯戦争に間に合わせ、参加したようである。
降霊科の天才としてケイネスは自らに令呪の契約を、婚約者のソラウ・ヌァザレ・ソフィアリに魔力供給の契約という本来のマスターの契約に細工し別々に契約を施すという手段でランサーと契約した。これによってケイネス自身の魔力を温存することが狙いだと思われる。
ケイネスは切嗣の『起源弾』を受け、肉体も魔術回路もボロボロになる。そのためケイネスは令呪をソラウに奪われ、ランサーは渋々ソラウをマスターとして聖杯戦争を続行することを決めた。
サーヴァントはランサー。真名はケルト神話に出てくるディルムッド・オディナ。二刀流ならぬ二槍流の使い手。その宝具は相手の魔術効果を打ち消す(削る)ゲイ・ジャルグと通常の方法では治癒しない傷を負わせるゲイ・ボーの二種類の長さの違う槍。
サーヴァントの意志を無視し結果を求めるケイネスと、騎士としての誇りを持つランサー、おまけにランサーに心奪われたソラウという三角関係が出来上がってしまっており、内部崩壊を起こしかねないのではないかと思うほどに相性最悪の状態。
キャスター討伐戦の隙を突いてソラウの令呪を破壊、拉致。彼女を人質にされケイネスは切嗣の思惑のままランサーを自害させ、自らもまた舞弥の狙撃によってソラウともども殺害された。
次回『双輪の騎士』
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NoTitle
それは追々(というか次回か)、分かります。そして、セイバーの騎乗スキルがいかんなく発揮される時が来ます。