Fate/Zero 第19話
『正義の在処』
≪あらすじ≫
ナタリア・カミンスキーに拾われた衛宮切嗣は、彼女の稼業――フリーランスの“狩人”を手伝う道を決める。ナタリアにいつも本気で、徹底的に鍛え上げられた切嗣が最初に彼女から与えられた言葉は、「まずは手段を選ばずに生き残ること」だったが、シャーレイを殺せなかった結果、アリマゴ島の村民を全滅させ、父を自らの手で討った過去からそれはなかなか受け入れることの出来ない言葉だった。
しばらくして本来持っていた資質を開花させた切嗣は、ナタリアの相棒として“仕事”をするようになる。切り札は彼女が、切嗣の肋骨の一部を抽出しすり潰して造った起源弾。魔術師相手には絶大な威力を発揮するソレと、ナタリアから叩き込まれた銃火器の知識と技術、そしてナタリアとのコンビネーションによって次々に報奨金のかかった相手を抹殺していく。
そんなある日、ナタリアと切嗣の下に入って来たのは一つの依頼を告げるFAX。そこに記された名前は、オッド・ボルザーク。「蜂」を魔術の媒介とし、自由に操るオッドはかつてナタリアが仕留め損ねたターゲットだった。
ナタリアはニューヨークへと向かう旅客機の機内でオッドを暗殺すると宣言。彼女は一人で行くことを決め、切嗣は先にニューヨークへ行き、オッド・ボルザークの仲間の始末を命じられた。
互いに無事仕事をやり遂げた二人。あとはオッド・ボルザークの死体を引き渡せばそれでいつも通り報奨金は下りる……はずだった。オッド・ボルザークが自らの体内に仕込んでいた蜂が目覚め、機内の人間を食屍鬼(グール))化させるまでは――
≪感想≫
父を殺し、母を殺し、片想いの相手の最後の願いすら掬うことが出来ず、のちの「魔術師殺し・衛宮切嗣」を作り上げてしまった二つ目のエピソード。シャーレイの一件と、この一件の二つを経て切嗣がどう大人になっていったか、というのが良く分かる。
シャーレイの一件とその後の村の全滅と父の銃殺が彼にとっての「原罪」なら、この一件は「覚悟」なのだろうな、と思わされる。
切嗣にとって、シャーレイの一件は原点となるべき罪であり原風景だった。あそこでシャーレイを殺せていれば全て丸く収まったかと問われればそれはIFであるので分からないし、魔術的な知識も経験も積んでいなかった切嗣がそもそも食屍鬼化しつつあったシャーレイを殺せたかどうかすら分からないと言う部分もあるので何とも言えないが、彼にとって重要だったのはその決断だったのだろう。
だからこそ、彼はナタリアを撃墜した。
自分が生き残ることを優先したから彼女は着陸を優先し、より多くの命を救うことを優先した切嗣はそんな彼女ごと旅客機を撃墜することで食屍鬼と蜂を始末することを優先した。
それは「覚悟」であり「決意」だと思う。シャーレイの一件の愚行は繰り返さないと言う、理性で経験を積み重ねていくことが出来ると言う人間だからこそ出来てしまった「覚悟」と「決意」。もちろんそれは、引き金を引く指と心を切り離せてしまう、という悲しいほどの素質があったからこ出来てしまったことでもあるが……。
シャーレイを見捨て、父親を殺した彼からすれば、ナタリアだけを特別視することも出来なかったのだろう。それは、第四次聖杯戦争の際のアイリスフィールにもイリヤスフィールにも当てはまってしまったこと。アインツベルン城で切嗣は、アイリとイリヤを連れて逃亡したい心を打ち明けたが、それにアイリは「それはあなた自身が自分を赦せない」と語ったが、その真意がここにある。
より多くの命を救うために、少数の命を切り捨てる――それが例えどれだけ親しい人間だったとしても。
そうした過去を持つからこそ、彼はあの時にアイリを連れてイリヤを誘拐して親子三人で逃げると言う選択肢を選べなかった。その是非はまた別の問題なのだけど……。
どちらにせよ、彼には最初から救うべきものは「大勢の命」で固定されているのだな、と思う。「愛する人を守るためなら世界の全てを敵に回してもかまわない」というのが主人公的言動ではあるが、それとある意味同じで、ある意味真逆の思想として「愛する人だろうがなんだろうが、とにかく一つでも多くの命を救う」と言う願いと要求で固定されている。その是非を、きっと切嗣はずっと考え続け苦悩し続けているのだろうけど、それとは裏腹に積み重ねてきた死体の数だけ今さらそれを変えることも出来なくなっているのだろうな、と。
あとは悲しいかな、起源的な部分もあるのかな、と。「切って嗣ぐ」わけだから、引き金を引く指と心を切り離せてしまうわけだから、それがもう一度結びついた時にはさらに結び目が出来て強固になってしまっているのだろう。
というか、肉親殺しと言う意味ではセイバーも切嗣も同じなんだけど、向かうベクトルがまるで違うと言うのはもうこの二人は致命的に生まれ持ってソリが合わないのだな、と思うしかないw
しかしまぁ、ナタリアの言葉はいろいろと的確過ぎて、ねw 発言に使われる単語やら何やらがのちの切嗣や、衛宮の名を継いだ士郎にとって重要な単語が羅列されるのは、シリーズを知っているものからすると苦笑以外のなにものでもない。
まず自分が生き残ることを考えると言う思考的ウェイトが切嗣は薄く、さらに彼に拾われた士郎に至っては思考ウェイトどころか発想そのものが欠けている。もしも彼女の言葉を切嗣自身が、仮に理解・納得出来なかったとしても士郎にちゃんと伝わっていればまた違っただろうに、とも思うがそれはIFでしかないかw
そう言えば、ナタリアが吸っていた煙草の銘柄とか、ナタリアの髪型とか髪の色とか見てると空の境界Ver.蒼崎橙子の初期キャラデザを思い出す(笑
◇現在の陣営
◆衛宮(アインツベルン)陣営
▽マスター
衛宮切嗣
▽サーヴァント
セイバー(アルトリア・ペンドラゴン=アーサー王)
▽その他
アイリスフィール・アインツベルン、久宇舞弥
『魔術師殺し』との異名を持つ衛宮切嗣は魔術師だからこそその裏をかき、魔術師としての規則の隙を突いて相手を抹殺する戦闘スタイルを得意とするが、呼び出したサーヴァント・セイバー(アルトリア・ペンドラゴン=アーサー王)は正面からの正々堂々を得意としているため相性は最悪。
それを解消するためアイリスフィールを偽りのセイバーのマスターに仕立て上げ、切嗣は助手の舞弥と共に後方からの支援と策謀に徹する戦略を取る。アイリスフィールには、セイバーを召喚した際の触媒である『全て遠き理想郷(アヴァロン)』を封じることで、セイバーの魔力が注がれる限りの疑似的な不死を体現している。だが、アイリスフィールの肉体は何かに侵されているようで体調不良が続く。
彼が目指す目的は「世界の救済」というとんでもないものだが、その目的に関してだけはセイバーも同意している。
セイバーの持つ宝具(宝剣)は風の結界『風王結界(インビジブル・エア)』に護られた聖剣『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』。ランサーが自らの宝具を破壊したことで左手の傷が癒え、使用可能となった。
◆遠坂陣営
▽マスター
▽サーヴァント
アーチャー(ギルガメッシュ)、
▽その他
遠坂時臣と言峰綺礼による秘密裏の協力関係。時臣のサーヴァントはアーチャー。その真名は世界最古の王・英雄王ギルガメッシュで「世界の財宝を手中にするため」聖杯獲得を目論むが、高いプライドと単独行動スキルによって時臣は御し切れていない。
綺礼のサーヴァントはアサシン。アサシンは“単一”ではなく“群”の存在だった。しかし、セイバー、アーチャー、ライダーによる聖杯問答の最中、唐突に姿を見せるがライダーの固有結界によって返り討ちに遭い、アサシンは消滅。
ギルガメッシュの入れ知恵で綺礼は各マスターの動機を調べた言峰綺礼は、聖杯に選ばれ再び令呪を獲得。時臣の弟子であり協力者を演じながらも、彼が討ったはずの間桐雁夜を蘇生させた。
さらに、父親である璃正から過去の聖杯戦争で残存した令呪を継承した上で、時臣を殺害し、ギルガメッシュの新たなマスターとなった。
◆ウェイバー陣営
▽マスター
ウェイバー・ベルベット
▽サーヴァント
ライダー(征服王・イスカンダル)
魔術師の総本山・ロンドンの時計塔の学生。聖杯を得る目的は魔術師としての実力を他人に認めさせるため。
呼び出した英霊のクラス(役職)はライダー。その真名は征服王の異名を持つマケドニアの英雄・イスカンダル。世界征服を考えているが、その性根は豪快な豪傑。そんな彼にウェイバーは振り回されっぱなしだが……。
ウェイバーが突き止めたキャスターの陣地に突撃。そこでアサシンがリタイアしていなかった事実を知る。だが、聖杯問答の際に割って入ったアサシンに対しライダーの固有結界によって撃退。奇しくも最初の勝利者となった。
◆間桐陣営
▽マスター
間桐雁夜
▽サーヴァント
バーサーカー(???)
間桐家の次男だが、魔術師になることを拒む出奔。しかし、遠坂家の次女だったはずの桜が間桐家に養子に出されたと知って出戻り。彼女を解放するために、自らを犠牲にしてでも聖杯を得ることを望む。余命一カ月。
呼び出した英霊のクラス(役職)はバーサーカー。真名は不明だが、漆黒の霧をまとっていることで相手マスターにステータスを悟らせていないようだ。さらに自身が手にした物体を宝具と同じように扱うことが出来る。しかもバーサク(狂化)状態でも精密な動作が可能。
しかし、セイバーを見るたびに戦闘や状況お構いなしで攻撃を仕掛けてくるようだが……。一方で、マスターの雁夜は時臣に全身を焼かれたものの綺礼による蘇生の施しを受けた。
◆雨生陣営
▽マスター
▽サーヴァント
殺人鬼の少年と人の恐怖を最大の喜びとする狂った魔術師・キャスターの英霊のコンビ。目的は不明だが、龍之介にとって聖杯という存在はどうでもいいのかもしれない。現段階でマスターとサーヴァントの相性という一点において最高だと思われる。
キャスターの真名は、ジャンヌ・ダルクの逸話で有名な百年戦争でオルレアンを解放したフランスの救国の英雄の一人であるジル・ド・レェ。その目的は、後に異端裁判にかけられあらゆる凌辱を受け、その尊厳と奇跡を奪われて処刑されたジャンヌ・ダルクの復活。セイバー(アルトリア)をジャンヌ・ダルクだと誤認しており、セイバーにジャンヌ・ダルクとしての記憶を取り戻してもらおうと後先考えず行動を開始。子供たちを拉致し、アインツベルンの森でセイバーを荒療治でジャンヌ・ダルクとして復活させようと目論む。
拠点としていた地下貯水池からは移動していたが戻ってきて壊された状況に愕然。しかし、龍之介の言葉に得心を得たキャスターは新たな策として巨大な海魔を召喚。しかし、川岸で興奮しながらキャスターの行動を見守っていたところを、切嗣にマスターだと看破され河川上のボートからスナイパーライフルによって射殺された。
キャスターも左手の傷が癒えたセイバーの『約束された勝利の剣』を受けて海魔ごと消滅したことで、聖杯戦争初のペアでの脱落ペアとなった。
◆アーチボルト陣営
▽マスター
▽サーヴァント
▽その他
マスターはケイネス・エルメロイ・アーチボルト。ウェイバーに召喚するための聖遺物を奪われたはずだが、どうやら別の聖遺物を手配しランサーを召喚。聖杯戦争に間に合わせ、参加したようである。
降霊科の天才としてケイネスは自らに令呪の契約を、婚約者のソラウ・ヌァザレ・ソフィアリに魔力供給の契約という本来のマスターの契約に細工し別々に契約を施すという手段でランサーと契約した。これによってケイネス自身の魔力を温存することが狙いだと思われる。
ケイネスは切嗣の『起源弾』を受け、肉体も魔術回路もボロボロになる。そのためケイネスは令呪をソラウに奪われ、ランサーは渋々ソラウをマスターとして聖杯戦争を続行することを決めた。
サーヴァントはランサー。真名はケルト神話に出てくるディルムッド・オディナ。二刀流ならぬ二槍流の使い手。その宝具は相手の魔術効果を打ち消す(削る)ゲイ・ジャルグと通常の方法では治癒しない傷を負わせるゲイ・ボーの二種類の長さの違う槍。
サーヴァントの意志を無視し結果を求めるケイネスと、騎士としての誇りを持つランサー、おまけにランサーに心奪われたソラウという三角関係が出来上がってしまっており、内部崩壊を起こしかねないのではないかと思うほどに相性最悪の状態。
キャスター討伐戦の隙を突いてソラウの令呪を破壊、拉致。彼女を人質にされケイネスは切嗣の思惑のままランサーを自害させ、自らもまた舞弥の狙撃によってソラウともども殺害された。
次回『暗殺者の帰還』
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NoTitle
そう思うと何とも言えない気持ちに。これが虚淵流か(´;ω;`)ブワッ