新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop 胸臆の間奏曲 -プリベンター5-(前編)
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[新機動戦記ガンダムW]
胸臆の間奏曲 -プリベンター5-(前編)
≪あらすじ≫
アフターコロニー196年、12月26日。マリーメイア・クシュリナーダによる叛乱は、真の首謀者であるデキム・バートンの死と、ウイングガンダムゼロによる高高度射撃によって立て篭もっていた地下シェルターがその機能を喪失したこと、なにより市民たちが平和を求め平和を維持していくことに決起したことで終結した。
以後AC暦には、《ガンダム》を始めとした兵器は二度とその姿を見せることはなかった。
しかし、それは表向きに過ぎない。
AC197年4月、すべての職を辞し一度は一般市民に戻ったリリーナ・ドーリアンは、3年後に予定されている大統領選挙への出馬を早々表明し、その3年間を政治家としての勉強に充てることを決めていた。
その一環として開かれたリリーナの誕生日会は、実に3日間も開催されるもので、それは誕生日会と言うよりは平和を考えるシンポジウムと政治家としての活動のソレに近かった。
しかし、サンクキングダム・キャッスルで行われた誕生日会は、『次の政府(エピオン・ド・テロス)』を名乗る武装集団によって占拠されてしまう。彼らの出す要求は無理難題ばかり。その要求に、プリベンターに身を寄せていた五飛は、彼らの真の狙いが別にあることを看破し、この事態に対し最も信頼を置く仲間たちの招集を決意する。
それはもちろん、オペレーション・メテオを共にし、EVE WARSをそれぞれの信念で切り抜けた“元”ガンダムパイロットたちで――
≪感想≫
ピースクラフトファイルをやっていたかと思えば、まさかの特別編。その内容は、一部のファンの間では有名なプリベンター5(サンク)の再構成と言ったところか。
この辺り、この作品いまだに安定しないと言うか、波に乗り切れない感じは否めない。色んな話を飛び飛びでやっている上に、その大部分は過去の話で、この物語の本筋であるMC暦の話が一切進まないので、その辺りに失望を覚えている往年のWファンも少なくないようだ。
実際、確かに私だって話が転々とし過ぎるやり方は、正直どうかと思っている。ヒイロたちが火星連邦に捕えられてからどうなったのかは気になっているし、ピースクラフトファイルだってあのまま万事解決ではなく、その後の歴史が「ピースクラフト王(マルティン)によって医療国家となることで莫大な負債を返済し、国を建て直した」と確定しているわけで、必ずカテリナとサブリナには「敗北」の二文字が待っているはずなのだが、それがまだ出てきていない。
いや、それを言ってしまえばトレーズファイルで一度は生死不明になったゼクスたちがどうなったのかさえ明かされていないのだ。新ガンダムも装備と機能がわずかに分かっているくらいで、TVシリーズから設定を引っ張ってきているエピオン以外は外観すら分からない。引っ張るにしても、そろそろこう、種明かし的な展開は必要ではないだろうか?
とまぁ、苦言も呈したものの、それとは裏腹に今回は往年のファンとしてはやっぱりワクワクしたし、面白かった。そりゃあ、Wの続編として考えた時にはこうしてTVシリーズ・EW直後のヒイロやデュオたちが微妙に噛み合っているのか噛み合っていないのか分からないような会話を繰り広げながら、敵に立ち向かっていく姿は面白くないわけがないのである。
そういう意味ではこの辺りはテコ入れだったのかも。実際書籍としてFTがどれくらい売れているかは把握していないが、そろそろテコ入れをしないといけないくらいまで業績は良くないのかも。そりゃあ、上で散々苦言を呈したことが、ファンではあるがド素人でもある私ですらスラスラと問題点が出てきてしまうわけだから、「Wの続編だから」と1巻は購入したけどその後は見限られてしまったケースも出てきているのだろう。
さて、話を戻して五人のガンダムパイロットとリリーナ。まだマリーメイア事変が終わって数カ月なのだが、個人差が大きい。ヒイロはあんまり変わってない。リリーナにぞっこんなのは今に始まったことではないし(笑)、むしろ海底の残骸を回収してキャンサーを自力で組み上げてしまう辺り、相変わらずの超人っぷりw 五飛もプリベンターに身を寄せたことで、生き生きしている感じがする。性格も丸くなったって言うか、マリーメイア事変では敵対しながらもそれでもやっぱりヒイロたち他のガンダムパイロットをこの男がどれほど信用しているのか、と言うのが伝わってくる。
デュオ、カトルはすでにこの時点で破滅に向かっている感じが残念。扱い酷くね?(苦笑 でも、戦争と言うものを考えれば、割を喰ってしまうのはこういう人たち何だとも思わされてしまう。戦後問題において大きな問題とされる一つが、兵士のアフターケアとも言われる。恐怖やトラウマ含めた精神的な問題もそうだし、経済的な問題もそうだ。何より戦争と言う命のやり取りをした人間が、日常生活に次の日からあっさり戻れるわけがないのだろう。
そりゃあ生き残ることと勝つこと以外を放棄してとにかく戦い続けてきた兵士が、いきなり日常生活に戻れと言ってもそれは無理な話で、実際に時折ふらりと出ていってしまい宇宙で月面を眺めているデュオやウィナー家当主としての業務に不向きさを感じてしまっているカトルは、兵士としてオペレーションメテオからこれまで戦い抜けてしまったが故の“疾患”を発症している感じは否めない。一度、普通の人間としての生活を捨ててしまっている以上、それはやっぱり安易には取り戻せないものなのだろう。
にしても、トロワはそういう意味では変わらないなw いや、戦時中からある意味転職活動は見事成功させていたわけだからな(マテ
リリーナの方は大統領選に出る予定のようだが、既定の歴史通りにことは進んでいて、今回の武装蜂起のせいでP3が起動しコールドスリープに入らざるを得なくなるのだろう。
しかし、彼女は一度全ての職を辞したんだよなー、と思うと、職を辞した人間がああもあっさり大統領選に出れるものなのかとも思ってしまう。もちろん職を辞した理由が分からないから何とも言えないのだけど……。
しかし3日間の誕生日パーティとはねw これはリリーナ、外務次官やってたら出来ないわなwww もちろん、出席者全員が3日全部に参加するわけじゃなくて、むしろ3日の中で都合のいい日を選んで訪れて、社交辞令的に祝辞を述べ、余裕があれば平和について考えるシンポジウムに参加したり、リリーナと会談したりってことなんだろう。
リリーナからすればコネを作る良い機会だったのかもしれない。良くも悪くもドーリアンとして政治家になるのであれば、この辺りの“能力”も必要になってくるだろうし。
『ガンダムW ENDLESS WALTZ 敗者たちの栄光』はヒイロの独白のみ。うーん、月刊誌でこれは酷い。これなら休載していた方がまだマシだっただろうに。一応、タイトル面はウイングのシールドに追加装備、背景にはTV版ウイングゼロのウイングユニットが見えていたので、その新装備情報だけが唯一の救いか。
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