アクセル・ワールド 第4話
『Declaration ; 告白』
≪あらすじ≫
ハルユキは、幼馴染のチユリのニューロリンカーからバックドアという不正な存在を発見してしまう。その性質から、チユリは利用されているだけ。その場で削除することも出来たが、ハルユキはそのまま泳がせておいてシアン・パイルの特定をしようと考える。
翌日、そのことを黒雪姫に伝えようとしたハルユキだったが、彼がチユリと直結した――しかも、短いケーブルで――ことを知ると、なぜか彼女は突然不機嫌となってしまい、その日は話すことすら出来ずじまい……。
ハルユキはそのことを疑問に思いつつも、校内の新聞部の女子生徒から黒雪姫との関係を問われた際に、「他の女の話を聞いて嫉妬って、マジってこと?」と言われ、「自分なんかを先輩が……そんなことはあり得ない」と動揺する。
次の日の放課後、下校の際にようやく先輩と話す機会を得たハルユキだが、自分が自惚れぬようにと意識して機械的なやり取りに終始する。そんな彼の態度に、「昨日のことを怒っているのか?」と尋ねシアン・パイルとのことではなくハルユキ個人の話題を振る黒雪姫だったが、ハルユキは彼女に「貴女は自分が嫌いだから、こんな僕なんかと一緒にいて自分を貶めようとしている」と指摘し、「僕は使えなくなったら捨てれば良い、あなたの駒で、道具だ」と自分を卑下する。
その直後、交差点を乗り越えてハルユキたちめがけて突っ込んでくる暴走車。運転手は、逮捕された荒谷!?
《バーストリンク》を行い、一時的に《加速世界》へ逃げた二人だが、時間が止まったわけではない。打開策を見出さなければ二人一緒に車に轢かれてしまう。
その極限状況において、なお黒雪姫はハルユキに「最期の瞬間の言葉なら信じてもらえるだろう」と前置きをし、「好きだ」と告白する。
犠牲になるのなら僕がなる
「自分は先輩の駒だから」と言うハルユキに、この現状を打開出来るのはLv.9以上のみに許された“とある機能”が使える自分しかいないのだと告げた黒雪姫は、自身の願いをハルユキに託して――
≪感想≫
本当は前節でいろいろ書いていたんだけど、思いのほか、考察部分が長くなったので割愛。あのシーンでの規制のされ方はそういうことなんだろうな、とか。でも、面白かった。ノイタミナ枠とかもう観てないので、一概には言えないけど、この作品は今期と来期の私的な本命になるだろうし、感想を書いてて良かったと早くも思っている(ぉ
でもまぁ、そうだね。前節として一つだけ言っとくとしたら……嫉妬する先輩、可愛いね(マテ
あと、やっぱり黒雪姫は感情が高ぶったシーンの台詞に違和感が(苦笑 まぁそれも良いじゃないか、と思っている。新米の声優さんが2クールの間、頑張って成長していくのを感じるのも、またアニメの醍醐味の一つだろう(ぉ
◆卑屈なハルユキ、好意を抱く黒雪姫の背景は
今回、賛否を生みそうなのがこの二人だ。相手からの好意を卑屈になって素直に受け取れないハルユキと、大した描写もないのにどうやらマジで惚れていたらしい黒雪姫。どちらも決定的な描写不足――と言うよりも、こう説得力を持たせる背景(バックグラウンド)がないのが原因だろう。
ハルユキの場合、あそこまで卑屈になってしまう、もっと決定的な理由がやっぱり欲しいところだろう。あの容姿だし、後述するがこんな自分に美人が近寄ってきて仲良くするなんてあり得ない、と普通なら誰もが思うだろう(まして出逢って間もないわけだ)。自分の容姿に自信がない人なら、この程度の卑屈――というよりも、相手に騙されないための防衛本能は、持っていて当然。
ただ、ハルユキの場合、度が過ぎている部分があるから、そこに至ってしまった理由はやっぱり事前の伏線として欲しいところ。例えば、彼はイジメられていたわけだから、「以前、自分に好意を向けてくれた相手(特に女性)が、実は自分をからかって遊んでいただけで気持ちを弄ばれたことがある」とか。もちろん、あの体形だから周囲の美的な部分に敏感そうな思春期の女子からは、自然と倦厭されていそうなイメージはあるんだけど。
彼はイジメられてはいたけど、劇中で見える描写は荒谷による一昔前のような暴力と体格にモノを言わせたようなものばかりだけど、もっとこんな形をイジメを受けていたのなら、またこのシーンは格段と違った説得力を持ったはず。
物語としても良いと思うんだけどね。チユリとの関係がやや矛盾しそうだが、彼女は幼馴染だし、タクムに自分のことがバレた時も、「対等にいたいタクムに自分のことがバレた」という衝撃より「チユリに裏切られた」という衝撃の方がインパクトあるし、視聴者も分かりやすいだろうし。
黒雪姫も、最初はアバターで逢っているだけだから中の人の性別なんて分からないから、結果的に女性であっても問題はないわけで。
ただまぁ、そう言ったキャラ背景がなかったとしても、前述のように自分に自信がない人にとって、美人だったり有能だったりする人の好意に敏感になってしまうのが劣等感を持つ人の自己防衛本能なのかもしれない。昔なら美人局なんてのもあって、今はそんな金品が絡むようなことはないだろうが、上記のように劣等感を持つ者に対して好意を向けておいてから突き落とすと言う、相手の気持ちを弄ぶようなヤツだっていないわけではないだろう。
そうした被害に直接遭った・遭わないは別として、そう言ったコトがあるのだと知っていれば、自分はその格好のターゲットになるだろう、と言う認識と防衛本能がハルユキの中にはあって然るべきで、あるべくしてあった気持ちなんだろうな、と。
って言うか、出会ってどれくらいか分からないが、たぶんそんなに経っていない間もない相手を疑いもせずに信じ切ってしまう方がいろいろと問題はあるわけか(笑 いや、そりゃあ知り合って一週間やそこらで「君に気があるらしいよ?」ってことが分かっても素直に受けられないことを卑屈って言われても困る気がするw そういう意味では、ハルユキは自身の卑屈さを逆手にとって自己防衛と、相手への懐疑としていたわけだから、ハルユキの方がずっと自然なのだろうね。
実際、黒雪姫には彼女の目的があるわけで、彼の認識だと今は共闘者ってところだろうし、そこでいきなりリアルな好意云々の話に持っていかれてもな、ってのがハルユキの本音かwww
と言うわけで、その黒雪姫。正直、惚れる理由が見つからないが、人の恋慕・惚れたはれたなんてのはそもそも絶対に理由のあるものでもないわけだから、まぁこういうこともあるだろうなと(一目ぼれとかね)。そんなことを言ったら今期はニャル子だったり何だったりと最初から好感度MAXだったり、一目惚れだったりしたヒロインばかりなんだし。
ハルユキはそこの部分を知らないと言うか、失念していたのだろう。
黒雪姫の場合、一目惚れと言うか、二目惚れ? 最初の一目は自分の目的を達するために興味を引くだけの能力をオンラインゲームプレイヤーとして、次の一目は実際にリアルで逢って見ての人となりに触れて、といったところか。
結局、彼女の場合は庇護欲をくすぐられるってところか。庇護欲とは弱い立場の人に対して護ってあげたいと思う気持ちのことだが、まぁいわゆるちょっと前――というか王道、スタンダードな「護ってあげたくなる相手」という部分。普通はヒロインに使う賛辞だったり、評価だったりするんだけど、それがヒロインではなく主人公に当てはまってしまう辺りが、いかにも昨今のラノベらしい形である(苦笑
まぁ、庇護欲って言われれば、そうだろうなって感じはする。リアルでのハルユキの容姿、能力、立場など総合的な部分では“弱い立場”の人間であることには変わりはないし、それに対して黒雪姫は容姿、能力、立場などにおいてそんなハルユキを護れるだけの“強い立場”の人間であるわけだし。
しかも黒雪姫としては、庇護するだけではなくて、ある一分野においては極めて秀でた才能を持っていることを実感しているわけだから、その才能に惚れこんでの先行投資と言う意味もある。
そして、その才能に気付いたのが自分であり、自分が発掘し、自分が導いたという「自分だけが彼に気づけた(自分には見る目がある)」という、(ハルユキ以外の見る目のない周囲への)自身の優越感に繋がることを考えれば……まぁ、言われてみれば、そういう形での恋慕もあるかな、と言う感じ。
黒雪姫の感情(好意)は、こうしたある種の強い立場の者が弱い立場の者を護り導けると言う優越感からの派生を辿った、独占欲と言う形での恋慕。こうやって文字にして書き出してみると、全然対等な恋愛じゃないな(笑 そりゃあハルユキだって直感で、こんあ不等な恋愛なんてあるはずがないと卑屈にもなる(苦笑
ただまぁ、チユリに対する嫉妬を考えればこういうことなんじゃないかな、と思わずにはいられない。ただ「普通の中学生女子として、好意を抱いている相手が別の異性と親しい間柄でないとしない行為をしたから」と言うには説得力が足りないが、それに加えて「自分が護って来た人、自分が導いてきた人が自分ではない人と親しげにしている」という独占欲があったのだと考えると納得もいく。
そして、同じ傾向はたぶんチユリにもあったのだろう。それは前回彼女自身がいきなりポッと出てきた黒雪姫が、ハルユキの難敵を排除してしまったことに対する不満の露呈からも分かること。
◆積み重ねの浅さ
個人的には勿体ない、と言うのがここまでのシリーズ全体の感想だろうか(全体と言ってもまだ4話だけど)。このエピソードを序盤ではなくて中盤や終盤にやっていたら、きっとハルユキの卑屈さも黒雪姫の恋慕ももっと説得力があって、視聴者を引き込めるだけのパワーあるモノになっていたに違いないと思えてならない。
黒雪姫がポイントの99%を使った命がけの行為も、死に等しい恐怖を前にしているからこそ黒雪姫の言葉(告白)が本物だと感じさせる演出も、幼馴染のタクムが敵だったと言う衝撃も、本当は物語として観た時にとてもパワーあるイベントなのに、ここに至るまであまりにも視聴者からすれば積み重ねがなさ過ぎて、どれもこれもインパクトが薄くなっている。
積み重ねの大事さ、と言うのは今回ハルユキが結果的に黒雪姫の命をかけた行動と告白によって、卑屈になっていた自分をいったん封印し、戦闘モードに入り、さらに「先輩が目を覚ましたら伝えたいことがあるんだ」という強い想いと言う名の原動力を得た部分に見てとれるだろう。
いきなりこうだったら、そこになんの重みも感じない。
だけど、いったん卑屈になって先輩を拒絶した彼がいて、そんな彼に命をかけた告白をした先輩がいると言う積み重ねが、あのシーンの重みを出しているのだ。
だからこそ、この部分以外は積み重ねが浅いので、重みやインパクトが薄く、残念だと思っている。
まぁ、原作小説からすれば続編出すことを前提にプロットなんて組んでないだろうから「最初からクライマックス」で1巻の中に注ぎこめるだけ注ぎこんだのだろう。この辺り、ラノベの難しいところ。結果として、今は10巻以上刊行している人気シリーズでも最初の1巻目は当たるか外れるか分からず、外れれば単発で終わる可能性もあるものになるわけだから、結果として最初の1巻に筆者の書きたいことが詰め込まれ過ぎてしまう。
ラノベとしてはそれでも良いのだろう。そこで売れなければ後がないわけだから。ただ、それが他のメディアへ進出し、例えばアニメ化とかになった時、原作を知らずに観た人からすればそう言った原作1巻からアニメ化するが故の粗さがどうしても出てきている。
本作もちょうどそんな感じ。だから、積み重ねは無く強引ではあるがイベントを起こしてとにかく勢いで乗り切る!と言う部分があるのは、まぁアニメ化で早々直る部分ではないけど、そこはもう少しスタッフ以下汲み取ってアニメなりのフォローを入れるべきだったのではと思わずにはいられない。
さて原作の話が出たが、原作小説がどうだか知らないが、たぶんここまで黒雪姫やチユリのキャラ背景の薄さを見ると、ハルユキの一人称で描かれているんだろう。ハルユキの一人称で書かれているなら、この辺りの描写が決定的に欠ける部分があるのも致し方のないことだ(もともとハルユキが見聞きしたものしか分からないのが一人称の書き方である)。
一人称は推理系の作品では好まれる描き方(読者に一緒に推理させるためには、主人公と同じ情報“だけ”を与えることが出来る。推理系で三人称を用いた形もないわけではなく、それはそれで一風変わった面白い形になるんだけど。例えば『古畑任三郎』とか)。ラノベでもありふれてはいるが、有名なのはやっぱり『ハルヒ』だろうか。あれはキョンという主人公が見聞きしたものしか読者も知らない一人称形式(基本的に、だが)。
まぁ、その分だけ実はあまりアニメ化に向いていない形式だと個人的には思ってて、その悪い部分が出たのが今回かなーと。一人称は主人公の知ること(あるいは、その視点によって得られる情報)しか得られないため、相手の突発的な言動が増えるので、想像で補わないといけない部分が大きくそのための伏線を張らないといけない。
が。
アニメにそんな余裕がある場合は少ないので、バッサリと実は後々の伏線となる一言二言がカットされてました、なんて良くあること。何より一人称ではあるが、画面の外側にいる視聴者にはいろいろなものが映像として見える三人称の立場であるので、その溝を埋めるのが大変だとも感じている。
それにしても次回予告、ネタバレ過ぎじゃね?(爆 原作知らなくても、次回の展開と結末が見え見えなのだが、これは良いのか?(苦笑 それ以上の大どんでん返しがあるとでもいうのだろうか……。
次回『Aviation ; 飛翔』
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NoTitle
EDまでの繋ぎが非常に素晴らしく、好奇心がくすぐられる。
個人的な主観ですが、久々に良アニメに出会えた気がしますよ。
まぁ積み重ね云々は確かに唐突感かんじられますねσ(^◇^;)
でもそういった部分も含めニヤニヤしながら観ておりまするww
あと先輩が可愛いのは同意。嫉妬して小走りするところがまた可愛かったりww