ペルソナ4 #25(終)
『We Can Change The World』
≪あらすじ≫
テレビの中に逃げ込んだ足立との勝負に挑む悠たち。思い通りにいかない、厳しいばかりの現実を批難し否定する足立は、霧に包まれ人間全てがシャドウになり、本能のまま過ごせることこそが理想だと語り悠たちを追い詰める。
だが、悠はそれに決して屈しなかった。
友と出逢え、仲間と戦い、育んで絆は決して悪いものではなかったと語る悠は、現実も悪いものではないと反論。悠たちが追い求めて来た真実は所詮人の興味の移り変わりに過ぎないと口にする足立に、悠はそんなことを言ったとしても足立の罪は消えないのだと厳しく言及する。
想いの力で足立に打ち勝つ悠たち。だが、倒れたはずの足立は黒い霧に包まれる。そして彼を核として出現したのは、巨大な目玉の形をしたアメノザギリ。
アメノザギリは、このテレビの中の世界が人間たちの欲望の世界であり、その欲望によって際限なく拡大し、そして本来の世界と一つになるのだと語る。
マヨナカテレビが映るのは、「観たい」と願う人々の欲求だから。
テレビの中に入れるのは、アメノザギリが力を与えたから。
次々と語られる真相の中で、アメノザギリは「(悠たちを)試さなくてはいけない」と口にする。本来は自分自身を殺す内なる自分であるシャドウを乗り越え、打倒し、逆に制御し己の力とした。それはアメノザギリですら想定していなかった事態。
悠たちの見せた可能性は、人々の新たなる可能性なのか否か。
現実を霧の世界に閉ざそうとするアメノザギリに、悠もまた足立のように取り込まれてしまう。そんな彼を前にして、陽介が、千枝が、雪子が、完二が、りせが、直斗が、クマが、その育んできた絆を示すように新たな力を発現させる。
仲間たちを救い、そして救われてここまで来た悠。彼もまた、その絆を一つに束ね、今、悪魔の王ルシファーのペルソナを呼び出す――
≪感想≫
ひとまずは無事終わったなー、と言う印象。
マヨナカテレビ、ペルソナの力、そこに隠された意味と言うものもアメノザギリが懇切丁寧に語ってくれたわけで、そういう意味ではとても満足した終わり方だった。
バトルシーンも熱い。足立の口にしていたこと全てが間違っていたとは思わないが、だからこそそんな足立と戦いながらも論破すると言う形が、ベタな流れと展開ではあるがとても燃えるシチュエーションだった。
◆足立の指摘
彼の指摘が全て間違っていたわけではないのだと思っている。人が持つ興味や関心。それは彼の言うように移り変わるものだし、彼の言うように彼が逮捕されたとしても生田目から足立へと興味関心が移るだけだ。マスコミが真実を報道してくれるように私たちは錯覚しているが、実際にはそうではない部分もある。端的に第三者の目線から公平に報道されることが理想だが、そこにはテレビ局各局の視聴率争いやら何やらによって、より視聴者の興味と関心を掴むようセンセーショナルに、オーバーに表現され、そのためならば正直モラルや倫理観を疑うような取材を時として平気に行う。そして、それに私たちは惑わされてしまうのだ。
(まぁ、それについて語り始めたら止まらないので割愛するが、3.11の報道の仕方だってそうだろうし、一昔前なら某地下鉄事件での誤報道とか)
だから、彼の指摘はある意味でとても正しかったのだけど、それを知りながらとった行動がこれ以上なく自分本位で子供っぽかったと言うのが、勿体ないなぁと思ってしまう。まぁ、これで言動まで完璧だったら悠たちとしては成す術なくなってしまうから、きっとそれはダメなんだろうけど(苦笑
彼には仲間がいなかったからダメだったのだ、とは思わない。アメノザギリが悠に言ったように、人はどこまで行っても一人なのだ。一個人として一つの肉体で生命体として完結している以上、それもまた真実であり、仲間の有無は真実にたどりつくカギになってはいけないと思う。
でも、一つの肉体で完結した存在だから孤独なのではない。
人はどこまで行っても一人だが、同時に人はだからこそ他人の存在を認め、時に本音でぶつかり合いながらも尊敬し合い、そして社会を形成する。人はどこまで行っても一人だからこそ、自分と同じ者たち同士で絆を築き上げることが出来る。
足立が知らなかったのはこの部分なのだろう、と言うのが私の解釈。
人はどこまで行っても一人。だからこそ、他の人をまた違う一つの個人・個体として認め尊敬することが出来る。足立の周りに、足立が信頼出来る人や尊敬出来る人がいなかったのだとすれば、それは「周りにそういう人がいなかった」わけではない。それは、足立が周りにいる他人を認めることすら出来なかった幼さにあるのだろう。
自分以外を許容出来ない、認められないと言う足立の姿勢は悠たちとの戦いでも顕著にうかがい知ることが出来る。彼は悠たちの言葉を反論すると言うよりは、悠たちの存在や行動の否定に終始していた気がする。相手の意見や言葉を受け止めた上での反論ではなく、そういったモノを全て跳ね除ける否定だ。
◆悠たちの強さは容認
そんな足立を打ち破った悠たち。そんな彼らの強さって絆とか仲間の存在だとかいろいろとあるしいろいろいわれるのだろうけど、上記の論理で言えば足立と紙一重の差が、許容し認める力――「容認」する力だと私は思う。懐の広さというか、度量の広さというか、器の大きさというか……。
悠の決断があったおかげとはいえ、彼らは生田目を殺さなかった。久保も同じだ。そして、悠は足立にも最後まで目上の人としての敬意を払い手を差し伸べた。もちろん「許した」わけではないだろうが、足立と違いその存在を否定したわけではなく、ちゃんと彼らも彼らなのだと認めてはいるのだと思う。
容認と書くと語弊があるのだけど、悠たちが本当に強いのはそうした事件に深くかかわり、法律的にも倫理的にも、あるいは結果的に罪を犯した彼らにも手を差し伸べることが出来る「相手を認める心の強さ」なのだと思う。そして、それは自分の中から現れたもう一人の自分を認め受け入れることが出来る強さがあったからこそ、辿り着けた境地ではないだろうか。
一個人として完結した自分の中から出てくるもう一人。それはある意味、究極の同族嫌悪だ。だってそれは同族嫌悪も何も自分自身。故に、相手は自分以上に自分を知り、自分の観たくない部分を突きつけてくる。
それを乗り越えて、そんな自分もまた自分なのだと認め、もう一度完結した自分の中へ受け入れると言うことは、その「認め受け止める」と言うこと自体が、もはや究極の強さのように見えたのだ。
一番自分が観たくない自分自身を認め受け入れられる彼らが、他人を認め受け入れられないわけがないのである。
◆残った幾つかの疑問はTrue endへ持ち越し?
どうやらパッケージ版ではディレクターズカット版の25話のほかに、TV未放送の『True End Episode「No One is Alone」』が収録されるらしい。
残った疑問は、これくらいだろうか?
・悠はなぜシャドウを出さなかったのか?
・悠のペルソナ(イザナギ)は進化(?)しないの?
⇒総じて「悠はなぜ特別だったのか?」
・マヨナカテレビの噂は誰が広めたのか?
悠がシャドウを出さなかった疑問は当初から多くの視聴者の間にあったものだ。まぁ、これは原作ゲームを考えれば主人公的な設定の処理だけな気もしないでもないが。
二つ目は単純な疑問なんだけどね。陽介たちのペルソナが進化した。それは公式HPによれば絆による進化らしいが、絆とは一方通行のものではないだろう。例えば悠と陽介なら、二人の間に絆が高まって陽介のペルソナが進化するなら悠のペルソナにも進化とまで言わなくても変化くらいあっていいものである。まぁ、陽介たちのペルソナが進化した絆の対価として悠は、各個のペルソナの力を自在に使い、時に融合までしてしまうのかもしれないけれど。
これら二つから総じて、悠の持つ特別性には「主人公だから」と言う以上の意味があったのかと言うのは、素朴な疑問である。シャドウを生み出さず最初からペルソナとして制御出来ていた点、そのペルソナは最後まで進化をしなかった点、そして他人の絆によって獲得したアルカナの力はどうして悠だけに与えられた力だったのか。
これはアニメであるのでその辺はTrue Endがあるのであれば明かしてほしいなと思う(追加エピソードがTrue Endならなおのこと)。
三番目も疑問なんだよね。仮にマヨナカテレビと言う存在があってもそれを知ってもらわないと意味がない。その仕組みやテレビの中の世界について統治能力があると言うか管理能力があるのはアメノザギリなのだろうし、もしかしたらアメノザギリが全て創造したのかもしれないが、噂っていうのは伝播させないと意味がないわけで。
でもまぁ、これはあのガスマスク男のような輩はどこにでもいるだろうから、人としての特性からわざわざ意図的に伝播させなくても勝手に広まるのかな?(苦笑
アニメ版として一つの綺麗な区切りがついた『ペルソナ4』。おそらく25話のディレクターズカットは本筋として大切なものは本編に際してカットしてないだろうからそこまでの興味は無いのだが、本編未放映話がやはり気になるね。ただの本編未放映話だったら、悠が帰るまでの数日間、仲間たちや菜々子との楽しい日々を描いたおまけエピローグ的なものだろうとも考えたが、「True End」と銘打たれているのが特に……。菜々子は無事生きて退院し、足立はたぶん逮捕出来たのだろうし、これ以上ないエンディングだと思ったが、それは「GOOD END」ということで真相・真実と言う意味での「True End」が別にあるのだとすると気になってしまう。
でもまぁ、気にしていても今すぐその内容が分かるわけではないし、あくまでTVアニメとして観た時にはこの25話までが全てなわけだから、それを考えてもとても充実した内容だったと思う。
まだまだ忙しい作業はありそうだが、まずは監督以下スタッフの皆様方、お疲れさまでした。
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NoTitle
アニメ最終回…ノーマルエンディングで一応きれいに終わりましたね。
いつも、鋭い考察、感想を楽しみにしていたの寂しく思います。
原作をプレイしていると「あのイベントも見たかった!」と、いう感想も出てきてしまっていますけれど、見たいイベントTRUEで追加されてほしいなぁ。
おっしゃる通り、P4の裏テーマは情報、メディアリテラシーだそうです。(前期OPが思いっきり主張してて裏?ってかんじですけど。オーディオコメンタリーで岸監督がおっしゃっていましたけどw)
TRUEについては触れません。
半年間お疲れ様でした。