Another 総評
父親の海外転勤の都合で、残りの中学生活一年間を「夜見山市」と言う母方の実家で過ごすことになった榊原恒一(さかきばら・こういち)。四月からはその地区にある夜見山北中学に通うことになっていたが、気胸を患い一カ月入院することに。
入院中、訪ねて来たのはこれから彼のクラスメイトになる三年三組の代表三人赤沢・風見・桜木だった。だがその三人はどこかおどおどしており、何かを探るように恒一を見ている。
一方、恒一は偶然深夜の霊安室へと向かう左目に眼帯をつけた少女を病院内で目撃する……。
五月になってようやく登校出来るようになった恒一。外からの転校生である自分を快く受け入れてくれるクラスメイトたち。だが、そんなクラスメイトたちや担任たちですらまるで無視して扱う一人の女生徒がいることに彼は気付いてしまう。
見崎鳴(みさき・めい)
それは、彼が深夜の霊安室へ向かう時に目撃した少女だった。恒一の目には確かに見えている彼女を、どういうわけかクラスメイトの誰もが無視して扱う……まるで最初からそこには“居ない者”であるかのように……。
恒一は好奇心と興味で見崎鳴に声をかける。その“意味”を知らぬまま――。
「気をつけて。もう始まっているかもしれない」
彼女の謎の言葉。それは、夜見山北中学の三年三組にだけ伝わるとある“災厄”――
そんな『Another』の私の評価ですが...
S+
です。(SS、S、A~Dの評価)
では、詳細は続きをどうぞ。
※あくまで評価は、私的主観によるものですのでご了承下さい。
Another 総評
放映日:2012年01月~2012年03月(全12話)
私が視聴した放映局:TOKYO MX
総評
※評価についてはこちらからどうぞ→評価について。
シナリオ構成 評価:A
中盤までは文句のつけようのないホラー・ミステリーだったとは思うが、結局尺が足りなかったのか、予算が足りなかったのか分からないが、一気に惨劇・虐殺状態の最終話の展開は駆け足・描写不足と言わざるを得ない。
具体的にどこが描写不足って、疑心暗鬼と想い人の死と極限の精神状態によって殺人鬼状態になった風見の描写が決定的に足りない。1話で存在感示してもその後に一気に影の薄いサブキャラ化した彼が最終話だけ突発的に出て来るのは無理がある。それならゆかりの死の辺りから「恒一が死者じゃないかと思って調べてた」くらいの内面を隠してこっそり恒一に接近して傍にいて味方のフリをした、くらいの展開が有った方がまだ自然だった気がする。
あるいは風見をサブキャラのままにして、中盤以降描写が増えた小椋さんを殺人鬼にするとか、出番の多かった赤沢さんを殺人鬼にするとか……。もっと良い選択肢はたくさんあった気はするけどなぁ、と思ってしまう。まぁ、監督が『BLOOD-C』の監督だと聞いて、あの無駄な惨劇とか妙に納得しちゃったし、それを考えれば「まぁ、纏まった分だけましか」とか変な納得もあるんだけどw
演出 評価:S
怖かった。特に“現象”によって担任の自殺~隣町に行く途中の道路で脇を通り過ぎる大型車辺りがかなり怖い。と言うか、となりを大型車が通り過ぎるだけで怖いって、かなり巧くここまでの“現象”の積み重ねがあったからで、その辺りの恐怖の演出というものは(原作の良さもあるのだろうが)ピカイチだった。
内面描写だとやや欠ける気もするが、ミステリーでホラーな作品であることを考えればBGMの使い方など含めて本筋の部分の演出は飛び抜けて良かった。
作画 評価:S
とても綺麗で、プラスアルファとしてこ「怖さを出す」絵だったことが大きい。まぁ、鳴や赤沢さんや小椋さんが可愛いと言うのも、作画要素では大切だったかもしれないが(笑)、あくまでミステリーでホラーだからねw やたら死に方がグロい人もいたが、そうしたグロさも含めて「恐怖」を与える作画だったと思う。
何でもかんでも綺麗で可愛ければそれでいいわけはなくて、この作品の特性というか性質を考えた上でのグロさだったり、ダークな描き方だったりしたと思う。
CAST 評価:S
出演者の方には失礼だが、改めてキャストを見直してみると、ほとんど声優ファンに媚びたようなキャスティングがない印象。まぁ、人気のある声優さんはそれだけ演技力や声質が良いわけだから、別にそういう声優さんをキャスティングすること自体は別に「媚びている」というのとは違うのだけど、そういう部分が見え隠れする作品もないわけではないので……。
カタコトではないのだけど、ちょっとこう不思議なイントネーションとテンションで喋る鳴(高森奈津美さん)も怖さを助長したし、何より赤沢さんがね。米澤円さんっていう人がやられていたんだけど、誰があの『けいおん!』の憂ちゃんと同じ人だと思うだろうか(笑 それくらい良い意味で衝撃があった。
OP/ED/BGM 評価:S
OP・EDのクオリティの高さはもちろんそうなのだが、何と言ってもBGM。恐怖心を煽るBGMとその使い方に関しては本当に秀逸で良かった。
総合 評価:S+
内訳:S評価(5点)×4+A評価(4点)×1=S+(4.8点)
昨今では珍しいホラーミステリー作品。グロ注意だけどwww
どちらかと言えばオカルト的なホラー要素が強く、ミステリー要素は通常では「犯人」にあたる「死者」を特定し見つけ出すことと言うことになっているため、ノーマルなミステリー作品と比べればやや変化球な作品ではあるが、ミステリー好きなら楽しめる作品だと思う。
普通のミステリー作品と比べて、例えば犯行に使う物理的・時間的・心理的トリックというものがないため、専門的な知識は不要で変化球な作品だが取っ付きやすい。とにかく与えられた情報から「死者」が誰なのかを推理していくことに特化しているとも言いかえることが出来る。
その分、犯人と同時にそうしたトリックをも見抜く通常のミステリーに慣れた人からすれば物足りない部分はもしかしたあるのかもしれないけれどw
まぁ、だからこそ「死者」を見抜くシーンはもう少し主人公の恒一や鳴には論理的な情報収集の結果が欲しかったかなーという本音も少しあるんだけど。
(そういう部分や上記のシナリオ構成での指摘部分を含めて終盤の展開にはもう少し中盤までのクオリティを要求したいところもあるので、それが「SS」ランクにはならなかった要因でもある)
ただ、本作が今期とても多くの話題や人気を持っていたのはそうした作品に出てくる鳴や赤沢、小椋と言った可愛いヒロインたちがいたおかげだろう。そのヒロインが鳴以外ことごとく死亡した結果には、賛否両論あるだろうが、賛否両論あると言うことはそれだけ(原作でどうだったか知らないが)鳴以外のヒロインたちの人気が出たと言うことだろう。
何はともあれ、とにかく毎週頭をひねって楽しめたのが最大の強みだったこの作品。こういう推理系のアニメは(まぁ某名探偵とかともかく)貴重な存在なので、とてもよかったと思う。
原作の方は続編の噂があり、実写映画化もすでにCMが流れている。
まだまださまざまな展開が期待出来る『Another』シリーズのアニメ化は、成功だったと思う。
おまけ
ベストキャラTOP3
1位 見崎鳴
何と言っても今期No.1ヒロインとも言われる鳴の存在がこの作品では大きかった。本領発揮は恒一が“居ない者”にされた時にデレたシーンからだけどねwww
2位 赤沢泉美
あの結末には賛否両論あるようだが、死んでしまった生徒たちの中ではかなり恵まれた境遇だったと思う。もちろん生き残って反省なり何なりしてくれるのが良かったのだろうが……。
3位 小椋由美
本当はあの人の名前を出したいけどネタバレになるのでw 中盤から出て来たような(序盤もたぶん描かれていたんだろうけど出番ほとんどなし)形だが、その可愛さのせいか終盤で大きな出番があったのが大きい。
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