灼眼のシャナⅢ-Final- 総評
「私たち二人のどちらかに会いに来て下さい」。クリスマスイブの夜、悠二を呼び出したシャナと一美。しかし、二人とも悠二とは会えなかった。その夜を境に、悠二が消えたからだ。ただ姿を消したのではない。悠二という人間が存在した痕跡や、母である千草、学校の友人たちの記憶からも全て。それはまるでトーチの火が、存在の力が消えてしまったかのように……。
だが、シャナは悠二が生きていることを信じていた。他の痕跡と一緒に消えるはずの手紙が、あの夜、悠二が書いてくれた手紙がまだ消えずに残っているから。そして、シャナは新たな戦いへ向けた準備をスタートさせる。
(公式HP1話あらすじより)
そんな『灼眼のシャナⅢ-Final-』の私の評価ですが...
S
です。(SS、S、A~Dの評価)
では、詳細は続きをどうぞ。
※あくまで評価は、私的主観によるものですのでご了承下さい。
灼眼のシャナⅢ-Final- 総評
放映日:2011年10月~2012年3月(全24話)
私が視聴した放映局:TOKYO MX
総評
※評価についてはこちらからどうぞ→評価について。
シナリオ構成 評価:S
第一期、第二期と比べて戦術や戦略が重視された展開と、その中での悠二やシャナと言った主要キャラの心理描写の描き方など全24話2クールのシナリオ構成はかなり優秀だと思う。最終シリーズとしてどれだけ気合いが入っていたかが伺える。
個人的には、ラノベっぽさが薄まったと言うか、テンプレ的な展開ではなくなった感じがとても好きだった。普通ならこの手の作品は悠二とシャナが戦闘したり、あるいはあっさり和解して最後は二人で協力してラスボスを倒したりして終わるが、この第三期(Finalシーズン)は違った。
悠二、シャナにそれぞれ思惑があってそのために軍隊とも言うべき大部隊を使って「戦略」というものを見ながら引いたり押したりする駆け引きが、まさかこの『灼眼のシャナ』というこれ以上ないほどラノベっぽいラノベのアニメ化作品で見ることが出来るとは思わなかった。
演出 評価:S
バトルシーン、心理描写シーン含め両方ともとても良い。バトルシーンは異能バトル的な要素が強いが、悠二・シャナともに技にバリエーションが増えたことや二人だけでなくバルマスケとフレイムヘイズ軍団の戦いがメインになったことで、さらに戦闘に幅が出たことを活かしていたと思う。
作画 評価:S
とにかくラストシーズンだからか、作画の気合いの入り方が凄い。まぁ、さすがに『Fate/Zero』『ホライゾン』クラスのクオリティかと問われるとアレだが、23話のタイトルロゴの背景にあたるシーンなど特に炎や光などエフェクト系の演出は、一日の長があると言うか、とても美麗に出来ていた。
CAST 評価:A
基本的には一期、二期から引き続き出演される方がほとんどの状況なのでこの辺りの評価は難しい。厳密に言えば新キャラもいるにはいるのだが、数が多過ぎてそれが適切だったかどうかというのは悩ましい部分ではあるだろう。
っていうか、たぶんここ数年で一番総キャスト数の多い作品じゃないのか、これwww フレイムヘイズは出てきたら必ずペア以上だしw
OP/ED/BGM 評価:A
『シャナ』だなーと思わせるOP・EDは相変わらず。BGMは……どうだっただろう。いや、良かったんだけど、第二期のとかもう何年も前だから変化があるのかないのか覚えていないと言うかw ただ、そうした過去はともかく、今の作品としてはとても合っているモノだったと思う。
総合 評価:S
内訳:S評価(5点)×3+A評価(4点)×2=S(4.6点)
いかにもラノベ的な「巻き込まれ型」で「異能の中でもさらに特殊な能力持ち」の主人公と、「日本刀」片手に「炎」を操って戦う戦闘系ヒロインという要素だった第一期。原作未読だとイマイチ良く分からず、展開的にもマンネリを覚えずにはいられなかった第二期と来て、ラストシーズンの第三期。
昨今の作品で原作の有無を問わず第三期まで造られることは極めて稀で、そのことを考えればこの作品が原作あるいはアニメなど多数のメディアミックスにおいてどれだけのファンを抱え、そして完結編を期待されていたかは容易にうかがい知ることが出来るだろう。
第三期は個人的に言わせてもらえれば大満足だった。ラノベ的、あるいは少年漫画的に主人公やヒロインが戦って終わるのではなく、そうした戦いよりもさらに大局を見た戦術や戦略と言うモノが多くて、第一期・第二期の積み重ねがあって出来る第三期ではあるが、完全に一線を画したなと言う印象。
戦闘も少人数ではなく、それこそ「戦争」と読んでも差し支えないほどの大人数での合戦形式の戦闘は見ていて楽しい。たった一人あるいは少数の英雄ではどうにも出来ず、相手の数や策略の前に敗北と撤退を余儀なくされる序盤のフレイムヘイズとかね(笑
相手の裏をかくための戦術や、それを全て見越した上で立てられた戦略。そうした策略的な部分がどこまで評価できるかは個人個人違うだろうが、私は高く評価したい。最後の最後、最終話直前までは軍対軍の戦争を文字通りこの作品はやっていた。それはやっぱり面白かったし、評価すべきだろう。
最終話だけはそうした部分を描き終えたエピローグ的な要素だが(まぁ悠二とシャナにとってはこの最終話こそがある意味“本番”だったわけだが)、そこで明かされる悠二の策略と決意、そしてシャナの想い。そこに至るまでの積み重ねと言うのが、さすがに前作から時間が空き過ぎているので原作未読としてはやや理解に苦しむ部分はあったが、それを差し引いても良いモノだったと言えるだろう。
足掛け七年。
この作品のアニメ化に費やされた時間だ。同時期に、同じように日野聡さん・釘宮理恵さんが主演を務める『ゼロの使い魔』のアニメ化も最終話を迎える。
アニメを視聴してきたモノなら誰もが「一つの時代が終わった」と想うのではないだろうか。実際に、これで一つ区切りはついたのだろう。シャナのようなある意味王道的な作品はここ数クール、そこまで多いようには思えず、主力となっている作品は少しずつ移り変わっている気がする(まぁ、何をもって「王道」とするのかも人によって違うだろうが)。
駆け足気味だったが、しっかりと完結を迎えたことは素晴らしいと思ったし、第三期はシリーズ中でも屈指の出来栄えだったと思う。そんな一つの時代を築いた作品としてきっと後世に語り継がれる作品になってくれるのかもしれない。
おまけ
ベストキャラTOP3
1位 坂井悠二(祭礼の蛇)
やっぱり彼の立ち位置がフレイムヘイズ側からバルマスケに変わったことと、それによって彼が一つの目的の為に「使えるモノなら神をも使う人間」として立ち回ったのは良かった。戦略や策略と言うのは、彼が全て決めたモノではないだろうが、それらを統括してやっぱり悠二と言うキャラクターの変貌は良い意味で大きな変化だった。
2位 ベルペオル
彼女含めてバルマスケ勢力がとても好きになった。今までは敵として描かれていて、その時は結局彼女たちの手のひらの上で踊らされている感を描く部分も多く苦々しく思った時もないわけではないがw というか、第三期だけ見たら絶対フレイムヘイズの方が悪だよな(マテ
彼女を選んだのは23話でデレたからかなwww まぁ、そういう意味では将軍シュドナイを選んでもよかったのだが(ノ∀`*)アイター
3位 シャナ
まぁ、メインヒロインだしね、と言うことでw 最終話の痴話喧嘩するなら最初に連れ去られてた時から一緒にいれば良いじゃんとも思ったが、まぁそういうことじゃないんだろうね(苦笑
どこかのBlogかスレで見かけた言葉がまさに適切で、「『別れよう』と言う彼氏に対して追い掛けて『絶対別れない』と言いながら腕力にモノを言わせている」感じが、なんかいまどきっぽいなって思う(爆
- at 12:25
- [アニメ(放送中):総評(カテゴリのない作品)]
- TB(1) |
- CO(8)
- [Edit]
今までヒロイン二人の間でどっち付かずにふらふらしてた、テンプレ巻き込まれ型主人公だった裕二がラスボス化してからメチャクチャ活き活きしててなんともw
ベルペオルは盟主が計画通りに新世界を創造しなかったときの「ああ、もう…」とか艶っぽくてヤバかったです。
声優の世代交代がよく話題になる昨今ですが、こういうのを聞くと改めてベテランの凄さが感じられました。