輪廻のラグランジェ 第9話
『勝浦発→鴨川行』
≪あらすじ≫
キリウス、イゾ、アレイ。王女ユリカノのことを胸に地球へウォクスシリーズの奪還を目指した三人だったが、京乃まどかとウォクス・アウラによってその目的はことごとく阻止され、いまやオービットもないまま、ヴィラジュリオに言われるまま地球に降下。
鴨川から離れた勝浦の一軒家を拠点にするようにと言われる。
メモリアが果たされたウォクスシリーズを「奪取する手段が今の自分たちにはない」と時が来るまで静観を決め込むキリウス。同様に気がついたらノウムントゥス財団会長代理のメイドに仕立て上げられていたアレイも「京乃まどかは『ミリティア・ゾデアの惨劇』を引き起こす可能性があると財団も考えている」として派手に動くつもりはない。
しかし、イゾだけは違った。彼は隙を見計らって二人が居ない間を狙い、大切に保管してあった短剣状の武器を手に京乃まどかの暗殺を目論む。
一方、おらが祭――文化祭を目の前に控えた鴨川女子高ではその準備に大忙し。人手の足りない部活やクラスから捌き切れないほどの応援要請を受けるジャージ部は、騒がしい校内を誰よりも右へ左へと走る。
アウラ凍結は未だ解除されていない。「親友から強引に精神的に引きはがされる気分」だろうと推察するランやムギナミは、カラ元気のように振る舞うまどかを心配する。
鴨川へ到着したイゾ。そして、イゾの目的を察したキリウス、アレイもまたイゾの独断専行を止めようと鴨川へと向かう――
≪感想≫
最後まで噛み合わない地球側とデ・メトリオ側三人の邂逅が面白いw
こういうお話――特に対面でないロボットモノだと、相手を命のやり取りをした敵同士だと知らぬまま生身で出逢っていた、と言うのはお約束な展開だが、そこで絶妙にズレる両者が面白い。
同時に宇宙人モノとしては、地球人と宇宙人の感性と知識の違いから会話劇にズレが生じ、噛み合っていないのに噛み合っているようにすら見えるようなコメディに近い会話劇というのもテンプレ的なものだが、それらが本当に上手く物語としては噛み合っているから面白い。
でも、ただのコメディで終わらせないのが、残り話数も少なくなってきたこの終盤にわざわざこの回を持ってきた意図なのだろう。
簡潔にいえば、デ・メトリオ側三人が地球側につくフラグがちらほらと出て来たな、と。
もちろん、彼らの目的やまどか側にランがいる以上、安易な共闘と言うことにはならないだろう(共闘するとしたら、相手はディセルマインになる可能性が高いから)。それでもキリウスは生身のまどかを知り、イゾは大切な者を喪いながら立ち上がったまどかの過去を聞き、アレイは鴨川市民の温かさを体感した。
これは当然伏線として考えて良いのだろう。別の惑星からやってきて鴨川のことなどお構いなしに戦っていたこの三人が、再びオービットで戦場に戻った時に果たしてどのような対応をするのかと言うのは大きな楽しみだ。もともと「悪役っぽくない。むしろまどかより主人公じゃね?」とさえいわれていた三人組だ。彼らがまどかと共に一時共闘してもそれは不思議なことではないし、むしろそれを見越した上でのこうしたキャラ付けだったのかもしれない。
そして、先に触れたようにまどかの過去が明らかになったのも視聴者にとっては大きいのだろう(もちろん劇中ではまどかの過去を聞いてイゾもどこか思うところがあったようだが)。ムギナミから「自分の為に人助けをしている」と指摘されて反論出来なかったまどか。それも仕方がなかったのだろう。彼女にとってジャージ部魂は、従姉であるようこ、そして母親からの受け売りでしかなく、自分の心から自然発生した信念ではないのだから。
他人を助けようとして自分の命を落とした母。
そんな母にまどかは何を想っていたのだろうか? そんな状況なんて分からなくて、ただただ母親を喪ったと言う悲しみだったのか、それとも他人を助けようとして自分が死ぬなんておかしいと思ったのだろうか。それはもうまどかの口から語られる以外に誰も知る術はないが、まどかが他人の為に駆けまわり命を張れるようこを見て“何か”を感じ取り、掴み取ったのは間違いない。
それまでモノクロだった世界が、溺れるまどかの同級生を救うため迷いなく海に飛び込んだ姿を見た途端、カラーの世界になった演出は“そういう意味”があったと捉えるのが自然だろう。
その“何か”をまどかが自覚し、そしてムギナミに言われた言葉に明確な反論が生まれた時、まどかは本当のジャージ部魂を手に入れるのかもしれない。
余談だが、まどかのこういう過去があるのだと知ると『Fate/stay night』の衛宮士郎を思い出す。共通点が多いのだ、この二人は。例えば幼い頃に肉親を喪った点、ぽっかりと空いた感情や信念を埋めたのは『正義の味方(ジャージ部魂)』という他人の掲げた理想であった点、そしてその他人の理想を自分の理想として今も走り続けている点。
衛宮士郎は、とある敵に「その理想は借り物に過ぎない」と指摘された際、「それでもその理想が美しいと感じたこの“心”は間違いじゃない」と借り物の理想だろうが、その理想に憧れた気持ちは本物だと反論した。
そんな衛宮士郎と同じように借り物の理想で戦うまどか。すでにムギナミから一度指摘されていることを考えれば、再びその借り物の理想について問われ指摘されることもあるだろう。果たして借り物の理想を抱くことに対して一体どんな答えを見せてくれるのだろうか。
さて、最後に少しだけ考察。
これまでずっとレ・ガリテとデ・メトリオとの戦いはレ・ガリテの優勢だと思っていたが、それはここ最近のことのようだ。
ヴィラジュリオは「ディセルマインにこの海の素晴らしさを見せたい」と語った。つまり、少なくとも彼らの惑星における大きな支配能力は実はデ・メトリオの方が持っていた可能性が考えられるわけだ。そしてレ・ガリテはそんなデ・メトリオとは違い、小さな領土しか持っていないか惑星外(宇宙空間)のコロニーが拠点だった可能性。
ガンダム風に言えばデ・メトリオがアースノイドで、レ・ガリテがスペースノイド。
しかし、それはユリカノによる『ミリティア・ゾデアの惨劇』によって逆転。おそらくこの惨劇は、ウォクスによる暴走状態だと考えられる。その暴走状態による破壊によってデ・メトリオは、ユリカノとウォクスという自軍最強(と思われる)戦力の暴走によって戦力を大きく消耗し、その隙を突いてレ・ガリテは侵攻を開始し形成を逆転させたのだ、と。
ここで大切なのは、ずっと地球にしかないと思われていたウォクスシリーズが少なくとも一機、デ・メトリオが保有していたと言うことだ。ウォクスを四大元素に当てはめれば、『アウラ(風)』『リンファ(水)』『イグニス(火)』なわけだから最後の一機は土か?
まぁ、それはともかくウォクスは最低もう一機存在し、そしてメモリアを果たしたパイロットはユリカノ。ユリカノはデ・メトリオの王女であり、(キリウスたちの王立軍航空アカデミーで教育実習を担当するほどの腕前の)パイロット。おそらく彼女が、デ・メトリオに残されていたウォクスとメモリアを果たし、そして戦闘の途中で暴走状態に突入してしまい、惨劇を産んだと。
ちなみにユリカノは死亡したのではなく行方不明らしい。デ・メトリオがウォクスを必要としていることを考えると、ユリカノはデ・メトリオに残っていたウォクスと共に姿を消したのだろう。それはもしかしたらνガンダムとアムロのように……。
そして、いよいよ胡散臭さが露呈し始めたモイド、そしてそのモイドに指令を出すランの兄・ディセルマイン。こうなってくると、ランはディセルマインと決別をしなくてはいけないか、あるいはまどかを裏切らなくてはいけないかの二択になりそうな予感があるが、果たしてどうなるか。
もちろん、問題を先送りにしていただけのムギナミにも同じことが言えるわけだ。彼女はヴィラジュリオらキッス側につくのか、それともまどかたち地球側につくのか。その二者択一の選択をムギナミにも迫られるわけだ。
ここで一番効いてくる設定が、まどか(地球)・ラン(レ・ガリテ)・ムギナミ(デ・メトリオ)と三体のウォクスがそれぞれ別々の陣営のパイロットがメモリアを果たしている点だろう。
嫌な予感はしていたが、これは第二期へ向けてラストでの引き裂かれフラグとなるのか、それともそれを超越しまどか・ラン・ムギナミは勢力を超えた共闘体制の中核となるのか。その辺りの片鱗は、次回に確認出来そうだ。
しかし、私がガンダム大好きだからどうしてもガンダムとばかり例えてしまうが、実はこれがガンダムを少しでも知っている人なら通じてしまうレベルで説明出来てしまうから便利(マテ
次回『さらば鴨川』 もうさよなら!? 果たしてさよならを告げるのは、まどかか、ランか、ムギナミか、それとも……。
≪TB先 参照リンク(URLアルファベット順)≫
赤字はTBが現在弾かれてしまっているBlog様です。
現在、nifty系、so-net系はほぼ全滅。livedoorは調子がいいと送れます。
・http://adria7.blog92.fc2.com/blog-entry-1223.html
・http://aircastle.blog11.fc2.com/blog-entry-2525.html
・http://akihiroblog555.blog.fc2.com/blog-entry-293.html
・http://alicetail904.blog42.fc2.com/blog-entry-1074.html
・http://ameblo.jp/brook0316/entry-11178916498.html
(http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201203050000/)
・http://ameblo.jp/gintoki-sakata-vol2/entry-11183868525.html
・http://animetureduregusa.blog65.fc2.com/blog-entry-1631.html
・http://bbog920.blog.fc2.com/blog-entry-266.html
・http://beyondloop.seesaa.net/article/255846375.html
・http://blog.goo.ne.jp/nijigen-complex/e/e15d3128198a417f59
99c3d612787fe4
・http://blog.livedoor.jp/rin20064/archives/52255143.html
・http://blog.livedoor.jp/sumi4460/archives/67352566.html
・http://blogs.yahoo.co.jp/tebuku/30379727.html
・http://civer.blog122.fc2.com/blog-entry-4429.html
・http://coffeemonster.at.webry.info/201203/article_3.html
・http://diconoir.blog94.fc2.com/blog-entry-396.html
・http://dokuatari.blog137.fc2.com/blog-entry-647.html
・http://e102128.blog54.fc2.com/blog-entry-1928.html
・http://gomarz.blog.so-net.ne.jp/2012-03-07
・http://hibikidgs.blog.fc2.com/blog-entry-1214.html
・http://hienkyaku.blog50.fc2.com/blog-entry-2593.html
・http://hyumablog.blog70.fc2.com/blog-entry-2787.html
・http://innamiblog.blog28.fc2.com/blog-entry-681.html
・http://kakioki60.blog129.fc2.com/blog-entry-1204.html
・http://kate555.blog59.fc2.com/blog-entry-1722.html
・http://kyotofan.net/books_anime/lagrange/rinne09/
・http://luvnail.blog46.fc2.com/blog-entry-1285.html
・http://marixanzu.blog60.fc2.com/blog-entry-175.html
・http://muhanho.blog40.fc2.com/blog-entry-2518.html
・http://nanabachimemory.blog.fc2.com/blog-entry-347.html
・http://nextsociety.blog102.fc2.com/blog-entry-1808.html
・http://nikkananilog.blog.fc2.com/blog-entry-412.html
・http://norarincasa.blog98.fc2.com/blog-entry-773.html
・http://originscenery78121.seesaa.net/article/255863839.html
・http://riksblog.fool.jp/public_html/mt5/anime/now/2012/
03/rinne-09.html
・http://rouzekimono.blog.fc2.com/blog-entry-79.html
・http://saineria.at.webry.info/201203/article_5.html
・http://scriptor.blog54.fc2.com/blog-entry-1585.html
・http://seigenjikan.blog2.fc2.com/blog-entry-2297.html
・http://seraraku2.blog59.fc2.com/blog-entry-6537.html
・http://shino134.blog22.fc2.com/blog-entry-3120.html
・http://shittakaanime.blog86.fc2.com/blog-entry-608.html
・http://soraxcan.blog59.fc2.com/blog-entry-3213.html
・http://spadea.jugem.jp/?eid=15031
・http://takotakotakoyaki.blog52.fc2.com/blog-entry-3972.html
・http://timediver2010.blog27.fc2.com/blog-entry-2669.html
・http://tiwaha.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/tokyomx30409
-70.html
・http://ttyuasa.blog69.fc2.com/blog-entry-336.html
・http://uitosou.blog136.fc2.com/blog-entry-420.html
・http://vnr2034.blog133.fc2.com/blog-entry-1562.html
・http://wendykai.blog60.fc2.com/blog-entry-1706.html
・http://yasu92349.at.webry.info/201203/article_5.html
・http://zaregoto2nd.blog95.fc2.com/blog-entry-1622.html
もしよろしければ、拍手ボタンをポチッと押して下さいm(_ _)m 管理人のモチベーションが上がります(ぉ
Web拍手に頂いたコメントは後日『Web拍手レス』にてお返事させていただきます。
ユリカノ主人公の漫画が発売中ですよ!
その中で、このアニメは鴨川を押し過ぎていると批判されており、まどかが「鴨川は良いところだよ」と言ったりしているような、いわゆる『聖地巡礼』を狙っているかのような描写は良くないのではとされていました。
もしかして舞台は鴨川なんじゃないか?と思わせる方が良いのではという意見もあります。
つまり、舞台が鴨川である必要性を感じないのです。
「まるっ」や「わん」もそうでしたが、狙いすぎたり、あざとすぎたりする描写は逆効果だったのではないでしょうか。
個人的には、真っ当なSFアニメで良いとは思いますが・・・。
月詠さんの意見を是非とも訊きたいです。
最後に、番組内で紹介されたアニメファンの名言で締めくくりたいと思います。
―――――――「オタなめんな」