ペルソナ4 #21
『DON'T SAVE ANYONE ANIMORE』
≪あらすじ≫
悠の下に送られてきた脅迫文。直斗の力を借りて差出人を特定しようとしたが、情報が少な過ぎてそれは難しかった。推理の行き詰る直斗とは裏腹に、「それよりも悠の住所を犯人が突き止めたことが心配だ」と語る面々に、直斗は悠への心配よりも推理を優先する自分は「皆とは違う方向を向いているのかもしれない」と悠に心情を吐露する。
そんな折、直斗以来のマヨナカテレビが映し出される。しかし、あまりに画質が悪く“誰かがいる”と言うことくらいしか分からず、その特定には至らない。
情報がありながら、犯人も次の被害者候補も特定出来ないまま、悠に二通目の脅迫文が届く。それを目撃した遼太郎は、悠を半ば強制的に警察署まで連れて行き、事情聴取を行う。悠は腹を決めて全てを包み隠さず話すが、傍から見ればそんな荒唐無稽な話を良い大人の遼太郎が信じてくれるはずもなかった……。
一晩、事情聴取を取り行った部屋に軟禁される悠。その部屋にあったテレビは0時に映る。以前より鮮明に映るソコに映っていたのは――菜々子だった
≪感想≫
犯人は宅配業者を装いトラックにTVを固定して犯行を続けていた。私の推理は見事当たったわけだが、それ以上に菜々子が心配で心配で、もう自分の推理の正否なんて正直どうでもよかった……。
とはいっても、私が登場人物の心理描写の解読と謎ときの推理をしなくなったら、この感想が成り立たないので今回も推理w
(以下、犯人の犯行手段を明確に特定する考察です。当たっているかどうか分からないものの、当たっていたら申し訳ないので、そういった事件の真相に関わる推理や考察を嫌う方は閲覧しないことをオススメします)
◆犯人は運送業の生田目太郎か?
生田目太郎。元議員秘書で、山野アナとの不倫疑惑によって稲羽市にて運送業を営む。
現時点で彼以上の犯人は存在しない。
山野アナとの不倫関係にあったわけだから当然接点や最初の殺人と思われる彼女への殺意・動機も十分にある。小西も彼女が第一発見者だったため、彼によって何か語られてはまずい口封じとして殺された可能性がある。そして、彼のノートには警察では事件化されていない天城雪子以降の被害者の名前と現住所が記されていたわけだ。
おそらくテレビの中に雪子たちを入れたのは間違いなく彼だろう。それは移動手段・犯行方法を考えてもおそらく間違いない。だが――いや、だからこそ、幾つかの疑問がある。
疑問1)ノートと脅迫文における矛盾
被害者の名前と現住所が記されたノート(手帳)には、
・新世界を見つけたこと
・自分が救わなくてはいけないこと
の二点が、生田目の言葉として記されていた。
「新世界」は間違いなくテレビの中の世界のことだろう。それは良い。だから問題は後者なのだ。彼はテレビの中に入れることを「救い」だと考えている。これはややフライングだが、次回予告で彼は自分のことを「正義のヒーロー」とも語っている。
通常、死は救いにはならない。だが、彼は死ぬ可能性が極めて高いテレビの中に入れることを「救い」と表現している節がある。これはどういう意味なのか。
精神的に通常状態を保てていない場合、死後の世界(=天国?)にこそ救いがあり現世には救いがないため殺すことで相手に救いを与える、と言う考え方も出来るし、生田目もその手の通常の精神状態ではない可能性が十分にある。
しかし、それなら悠への脅迫文とは何だったのか? 悠の脅迫文にはハッキリと「コレイジョウ“タスケルナ”」とあったわけだ。
ここにまず矛盾がある。
仮に生田目が上記のように「死こそが“救済”」と考えているのなら、悠への脅迫文に“タスケル(=救済)”なんて言葉を使うだろうか? だって生田目の視点から言えば助けているのは生田目であって、悠たちはその救済を邪魔しているわけだ。ならもっと的確に「ジャマヲスルナ」などの言葉の方が適切に見える。
なのになぜ生田目は、そんな自分の理想とは矛盾する脅迫文を送ったのだろうか?
また、奇しくも脅迫文の通り悠は大切な人をテレビの中に入れられてしまったわけだが、これは偶然だ。ここまでの生田目の行動原理から言って彼が狙うのはテレビで報道され一躍時の人となった稲羽市内の地元住民であり、悠の大切な人をピンポイントで狙ったわけではない。菜々子が有名になってしまったのはただの偶然のはずだ。
彼はノートにそんな自分の心情を書いてしまうほど“救済”“救う”ということに対して固執している側面があると見える。そして、彼は模倣犯である美津雄によって殺された諸岡以外――つまり彼の犯行と思われる被害者は全て「テレビ報道によって一躍有名になった地元住民」という狙いを頑なに守っている。
(直斗が心配より推理が優先している理由も実はここにあると思っている。つまり注意深く観察していれば次の被害者は事前に突き止められるため心配する必要がない。彼としてもまさか犯人がここにきて自らのルールを破ってテレビ報道とは無関係にピンポイントに特定の人物を狙うとは想定していなかったのだろう)
なら、悠の大切な人だからという理由で菜々子を狙う可能性は逆にないし、あってはならないはずだ。だって彼のテレビの中に入れると言う行為は私怨ではないからだ。もしそんな私怨的な理由で菜々子を狙いテレビの中に入れるなら、それは彼自身の基盤である彼なりの“救う”という根幹を自ら揺るがすことになってしまう。
疑問2)なぜ生田目は同じ人間を狙わないのか?
これは大きな疑問だ。
生田目がテレビの中に入れ、結果的にそれで対象が殺されることが“救い”だと考えているなら雪子以降のマヨナカテレビ登場者が再度狙われていないのは矛盾だ。
それはそうだろう。だって“救う”べき対象はテレビの中から生還しているのだから。当然、“死=救済”だと考えているのなら、彼女たちを二度・三度と狙うはずだ。
だが、その気配はまるでなかった。これはどういうことを意味するのか?
それはつまり、彼にとって“救済”とは「テレビの中に入れること」ではあるが「死」ではないのではないか、と言うことだ。彼の目的は「テレビの中に入れること」であり、その結果の生死を彼は重要視していない。
私たちは悠たちを通して、対抗手段を持たない人間がテレビの中に入れられれば自らのシャドウと向き合い切れずに死ぬ確率が高いのだと知っている。
だからどうしても「テレビの中に入れられる=死」と結び付けてしまうが、それは必ずしも直結するとは限らないわけだ。それを私たちは雪子以降、テレビの中に入れられながらも生還したキャラクターたちによって知っていたはずなのに、どうしても見落としてしまいがちだ。
「テレビの中に入れること」と「死」はイコールで結び付けるものではないのだ、と言うことを。
生田目の目的が「相手を殺すこと(死後の世界に相手を連れていくこと)」ではなく「テレビの中に入れること」だとすれば、彼が雪子たちに対して二度目以降の犯行に及んでいない理由も納得する。相手の生死は重要ではなく、彼にとっては「テレビの中に入れること」が重要なのだから、それが成功した時点で雪子たちを再度狙うことはないわけだ。
ならなぜ彼はそれを“救う”と表現するのか。テレビの中を新世界と表現しているようにも見える彼からすれば、「テレビ報道で有名になった人物(マヨナカテレビに映った人物)を新世界(テレビの中)に入れることで“救おう”としている」と言うことになる。
だが、“救う”という概念において生死が重要視されない、と言うことが果たしてあるのだろうか? 普通“救い”とは生死が伴うものだ。生きることを良しとするにせよ、死ぬこと(死後の世界)を良しとするにせよ生死の判定は重要な要素だが、生田目にはそこが欠如しているように見える。
結論)生田目は本当に救おうとしている?
これまで幾つかの疑問を書いてきたが、そこで出してきた生田目の心理状態の推理こそが実は大きな思いこみなのかもしれない。別に生田目は「死=救済」の思想を持つとは限らない。もしかしたら、彼は本当に助けようとしているのかもしれない。
そう、私たちはどうしても被害の大きさから犯人の目的が「殺害」だと考えがちで、殺害出来た山野・小西の例を犯人にとっての成功例、以後の雪子たちの例を犯人にとっての失敗例だと判断してしまうが、もし目的が「救済」だとしたら、当然この成功・失敗例は逆転する。つまり、テレビの中に入れられながら死んでしまった山野・小西が失敗例で、以後のテレビの中に入れられながら生還した雪子たちが成功例と言うことだ。
つまり、生田目はテレビの中に入れることで有名になった地元民(結果マヨナカテレビに映る人物)を救うためにテレビの中に入れた。結果として、雪子以降は山野たちとは異なり生き続けていることから彼は自分のしたことで人の命を救えている……つまり救済出来ているのだと考えているのではないだろうか。
そうなると、実は別の犯人がいることが分かる。なぜなら、悠の脅迫文には明確に悠の身の回りの人間への危険が及ぶのだと示していた。それはおかしい。彼が本気でテレビの中に入れることで命を救おうとしているのだとすれば、悠の身の周りに危険が及ぶことを示すはずがないし、そもそも悠に脅迫文を送る必要性がない。
◆そういえば……
「そりゃあ決まりだよ」
と足立が言っていたけど、“何が決まり”なんだろう? 生田目のノートにあったのは山野・小西に加え、諸岡以外の名前と現住所。私たちから見れば、それは確かに“決まり”だ。つまり、犯人しか知り得ない殺害された人物以外に誘拐され悠たちによって生還出来た雪子たちの名前があった(明確に狙った痕跡があった)のだから。
そう、これは犯人しか知り得ない情報なのだ。
なぜなら、誘拐され一時失踪(テレビの中に入れられていた)していた事件と殺人事件が直結するものだと知っているのは、悠たちと犯人しかいないのだから。警察は遼太郎を代表するように二つの事件を結び付けてはいない。そもそもテレビの中に入れられることで殺されるなんておとぎ話みたいなことを信じているはずもない。
そう、たった一人“足立”という例外を除いて。
足立は、直斗の読み上げたノートの情報の何に対して“決まり”だといえたのか? これに対して“決まり”と言えるのは、救っている悠たちと犯人しか知り得ない情報を知っている者たちだけである。ならどうして足立はそんなことで「決まりだよ」といえたのか。それはつまり、悠たちのようにテレビの中に入って救助しているわけではない足立が、この情報で“決まり”だと言えると言うことは真の黒幕は足立ではないか、と言うことになる。
なるほど、足立が真犯人だとするなら悠に対して脅迫文が届いたのも納得出来る。彼なら悠たちが警察よりも先に動けていたことを知っているし、悠たちのグループにおいて中心核が悠であることも知っていそうだ。何より、彼は堂島家に何度も足を運んでいるわけだから、直接脅迫文を投函できるし、その仕草が不自然には見えない。
問題は彼が黒幕だとして、彼はどの部分に関わっているのか、どんな部分で黒幕と言えるのか、と言うことか。テレビ報道で有名になった地元民を狙うと言う生田目の犯行スタイルを考えると、彼がどの部分に対して関わっていたのかが正直分からない。
生田目との共犯説も考えたが、仮に生田目の目的が「テレビの中に入れること」で“救おう”としているなら、脅迫文を書いた足立はそれとは真逆にテレビに入れることを殺害ツールに使えると知っているのは明白であり、二人の目的はまるで違うためこの二人の共犯の可能性は極めて低い(生田目が騙されて共犯させられている可能性はあるが)。
あとは一見すると全て一連の事件に見える連続殺人事件と連続誘拐事件は実は繋がっていなくて、殺人事件の犯人が足立、誘拐事件の犯人が生田目と分離出来る可能性くらいか。正直コレは生田目が、私の推理通り「テレビの中に入れる」ことが目的でそれによって“救える”と本気で信じていた、と言う部分が立証出来ないと成り立たない厳しい推論なのだけど……。
次回『It's just like Heaven』 悠たちは菜々子を救えるのか? そして生田目の動機とは何か? その辺が明らかになることを……っていうか、サブタイの『Heaven』が凄く嫌なフレーズ(汗 まさかDEAD ENDとか勘弁して欲しい……。
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NoTitle
推理についてはお楽しみです。
菜々子ダンジョン ゲームでのダンジョン名は 『天上楽土』
流れるBGM名は 『Heaven』 です。名曲です。
悠は当日助けにいけていいなぁ…。
原作ではシステムの関係上どうしても翌日救出だもの。
今後がどう魅せるのか(原作知ってるから余計に)怖いけど、楽しみです。