輪廻のラグランジェ 第5話
『鴨川に来た男』
≪あらすじ≫
レ・ガリテとデメトリオ。同じ人間同士が争い合う中で、かつてランはレ・ガリテの王位を継承しようとする兄・ディセルマインに、自分と共に付き従ってくれる一人の青年がいたことを夢に思い返す。今では敵となってしまったその者の名は――ヴィラジュリオ。
相変わらずムギナミの情報が得られず彼女の監視を続けるラン。そんなランにムギナミはやたらに接触を持とうとしてくる。まどかを上手く行って先に帰し、ランはムギナミに直接問いただすがムギナミはランの敵であり、互いの信念がぶつかり合う以上、ここは戦場になる。「だから楽しもう?」と相手の神経を逆なでするような言葉を平気で放つムギナミは、さらに「兄が来ればもう戦いは止められない」と不敵に告げる……。
その頃、まどかは同居させてもらっている叔父である中泉浩(なかいずみ・ひろし)に頼まれていた買い物をしていたが、真昼間から海岸線で酒盛りをしている叔父と謎の男を発見。サボっている浩を一喝し買い物に行かせるとまどかは散かった空き缶を片づける。そんなまどかを手伝ってくれたのはその謎の男。
まどかはその礼として浩が経営するサーフショップ兼レストランの「B.H.W」へ案内する。店の手伝いをしていたムギナミはその男を兄と慕い、同じタイミングで帰って来たランはその男を見て驚愕する。
それは、かつて自分もまた慕っていた青年将校・ヴィラジュリオだった。
ランはまどかにムギナミとヴィラジュリオが自分たちと敵対する陣営の者であることを明かす。まどかは敵と分かっていながら笑顔で接してまるで同志のように振る舞ったムギナミを問いただすが、ムギナミは「敵対しているのはランであってまどかではなく、そして戦争しているのは私たちとランたちだからまどかには関係ない」と笑顔で切り捨てる。
その言葉にまどかは「関係ないわけないじゃん!」と激怒する。しかし、ムギナミはどこ吹く風と言わんばかりに今までの生活が「楽しかった」と、またしても相手の神経を逆なでするような言葉を連呼。
それを隣で聞いていたヴィラジュリオは「もうつまらないから、キッス(ヴィラジュリオが頭領を務める宇宙義賊)に帰ろう」と言ってくるムギナミに対し突如豹変して――
≪感想≫
◆久々に観た清々しいまでのどんでん返し
そんな感じだった。まさにラストシーンまではムギナミ無双。とにかく自由奔放で、どこまでも刹那的快楽主義な彼女はその一瞬が楽しければそれで良いと言った感じだ。私たちからすれば、レ・ガリテとデメトリオの言い分や争っている理由、信念、地球に対する態度などがまるで見えないから、実際にどちらの口にしていることが正しいのかが見えない。その中でランはまどかにフォクスの鬼の伝承を隠しており、命の危険があると思われる伝承を隠しているランの方が、どこか後ろめたいことが大きくて、実はまどかや地球人から見ればデメトリオよりもレ・ガリテの方が悪質だったという伏線じゃないかと言う考えをやっぱりずっと持っていた。
それは今も持っているし、こういう結末になったからと言ってその伏線が消えたわけではないけれど、人に取り入るのが上手くて快活で器用で、普通に考えれば人間的にモテる(実際まどかにモテていたわけだし)ために自然と上昇していたムギナミの好感度が急落したことで、私たちはたぶん改めて地球人としてレ・ガリテとデメトリオの争いに対して中立な立場で見ることが出来るのではないだろうか。
その原因を作ったムギナミの刹那的快楽主義。明日敵でも今楽しければ今は友達と言う発想は、なかなか受け入れられるモノではない。真面目なランはもちろん、あのまどかすら受け入れられないのだから、これはある意味人間というか群れをなして活動する生物特有の本能に近い理性のかもしれないし、そんな理性から真っ向から逆走しているムギナミは腹黒く知性派に見えて実は本能に従順なだけなのかもしれない。
どちらにせよ今回の感想で「ムギナミ、ウゼェ」の文字を見ることに欠かすことはなさそうだ(笑
そんなムギナミはラストシーンで兄と慕っていたヴィラジュリオから見事に切り捨てられたわけだ。これまた感想系ブロガーの記事に「ザマァ」の文字が躍っていそうな予感があるが(笑)、でもまぁこれがヴィラジュリオなりの教育方針なのかもしれないなー、とは大雑把に想っている。
というか、明らかに本心じゃないよね、ヴィラジュリオwww
そう、あれはとても本心には見えない。彼女は仲間だと思って接してくれたまどかの神経を逆なでするような言葉を平気で口にしたムギナミを想ってこその決別のように見える。このままムギナミが育つことの危険性を感じ、その責任を取るわけではないが敢えて突き放した言い方によって、ムギナミの曲がっている性根を叩き直すのが目的に見えるのだ……やられた側としては「もっと早く指摘しくれれば良いのに」と思うので、凄く嫌なやられ方なんだけどw
ただ、そうしたキャラクターたちの人間関係はともかくとして、物語の展開としては久々に良い形でのどんでん返しを見た気分。完全にムギナミ無双で本編ラスト数分前まで進んでいたのに、一気に形勢逆転し無双をしていたはずのムギナミは手痛い裏切りを受けてどん底に突き落とされたのだから。
まどかとランの心を逆なでするような言葉を平気で口にしていた報い、と言うのはさすがにちょっと言い過ぎだろうか? でも、まどかがとても真っ直ぐでランがとても真剣だからこそ、ある種の不誠実を持って接しているムギナミにこうした因果応報がちゃんと起こるのは、(ムギナミファンには申し訳ないが)とても清々しい気分。
最近の作品って、もちろん全部ではないけれど、「そんなに上手くは行かないよー」と言わんばかりに因果応報が起こらなかったり、起こったとしてもかなり先の展開として起こったりするケースが多くて、もちろんそれはそれでリアリティがあることなんだけど、フィクションとしてこの作品を見ていると「悪いことをして罰は無く、正しいことをして報いがない」というのは見ていてやっぱり気持ちのいいものではないと思うんだ。
アニメに限らずフィクションはフィクションだからこそ、ある種理想を説いて欲しいという気持ちがある。
良いこともあるし、でも世知辛さもある現実を見て毎日を生活している私たちがそうしたフィクションの中でもリアルな現実を見たとしても、それは実はそんなに面白いものだとは思わない。だって、毎日私たちが見て過ごしているモノをただ画面を通して見ているだけだから、そんなものを見たって面白いわけがない。もちろん、ノンフィクション的な、あるいはドキュメンタリー的な部分だからこそ面白い作品と言うのもたくさんあるにはあるんだけど、でもフィクションという性質がひと際色濃く出るアニメだからこそ、そこにはやっぱりフィクションだからこそ描けるものを描いて欲しいというものがある。
それはもちろんロボットだったり魔法だったり超能力だったりと言う、現実には存在しない(と思われる)ものでもあるのだけど、やっぱりそれは理想や信念なんじゃないかなー、と今回のラグランジェを見ていて想ったわけだ。
清々しいまでの今回のどんでん返し。それを「清々しい」と感じると言うことは、少なくとも私の中にはそうした展開や結末を「正しい」と認識している部分が少なからずあると言うこと。そして、それは現実世界ではそこまで上手くコトが進まないだろう出来事だと言う認識も一方であるからこそ、その対比としてこうした因果応報な展開を「理想的」「清々しい」と感じるのだと思う。
まどかを含めて、無償の愛で人助けをしたり、真っ直ぐな信念や正義を持っていたりするのって現実だとやっぱり難しい部分がある。でも、その制約が現実ではないフィクションならそれが可能なのだ。
フィクションだから可能な、見ていて心地いいまどかと言う存在、ランと言う存在がムギナミと言う存在に決して乱されたまま終わることがなかったのは本当に良かったと思うし、そんな二人にこの先ムギナミがちゃんとした同志として加わってくれれば良いなと思う。
◆古風なまどか
もしかしたらあっさりムギナミの言い分を受け入れるんじゃとさえ一瞬思ったが、反発して安心出来たまどか。そんなまどかからすれば、ウォクスのパイロットとして、ジャージ部として、そして宇宙人の勝手な都合で戦場にされる鴨川を愛する者として「関係ないなんて言えない」だろう。
まどかってとても絆や縁と言うものを大切にしているように見える。それは彼女があの年で親戚の家で厄介になる家庭環境だからかもしれないし、中泉家の影響かもしれないけれど、実はそれってとても古典的で古風な日本家族の在り方のように見える。
ジャージ部として困っている人を助け続けている彼女も、広義で捉えれば昔ながらの「困った時はお互い様」な日本民族的な発想の結晶のようにも見えるし、鴨川と言う地元をやたらと愛している姿も思えば昔は地域のコミュニティがしっかりしていて誰もが地域の一員としての自覚があった時の名残のようにも見える。
上の項目でも書いたけど、これも一つの理想な気がする。日本人が「古き良き」と認識しながらも、自分自身を含めて今は失われつつあるソレを体現しているのが京乃まどかと言う存在なのだろう。
だから、個人的にはもっと鴨川愛を打ち出して欲しかったかなwww
◆捕獲じゃなくて破壊?
最後にちょっとだけ。
ヴィラジュリオがウォクスに対する望みはどうやら破壊らしい。キリウスたちが鹵獲し自分たちの戦力として使おうとしていた割にどうもその辺りの利害がまるで一致していないのが不自然だ。
そうなると、実はヴィラジュリオはデメトリオと手を組んだと見せかけて、彼は彼の目的でウォクスと接しようとしている、という風にも見える。
デメトリオの手には渡さず地球に置いたままにしておきたい(?)レ・ガリテ、回収して自軍戦力として使いたいデメトリオ、そんな争いの火種はさっさと壊すべきだと義賊らしく思っているかもしれないキッス、そして結局巻き込まれているだけの地球www
ちょうどこんな感じだろうか。個人的には、
何らかの事件で袂を別ったディセルマインとヴィラジュリオは、それぞれの道で同じ平和を志していてヴィラジュリオはレ・ガリテとデメトリオの戦争を明らかに激化させる要因であるフォクスを破壊しようと考える。だが、破壊出来なかった時の保険としてムギナミを突き放し中立的な立場でフォクスのパイロットとして残しておくことで均衡を保とうとしている
という裏があるとなかなか面白いかな、と思う。
というか、ヴィラジュリオの若い頃がどうしても御狐神双熾とダブるんだが(ノ∀`*)アイター
次回『風と火と水と鴨川と』 分割2クールとはいえ、6話目にしていよいよウォクス全機揃うのか……長かったなwww
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NoTitle
そういった負のご都合主義みたいなものがある作品は面白くてもやはり釈然としない感じが残ります。
もちろんそれが悪いとは言いませんがw
それと自分としては、自省なしにこのままなし崩し的にムギナミが仲間になる展開は勘弁願いたいですねw
いずれにせよ物語が大きく動いてきたのでこれからますます楽しみになってきました。
感想も期待してます。