Another 第4話
『Put flesh -輪郭-』
≪あらすじ≫
桜木ゆかりが事故死した。同じ日、彼女の母親もまた交通事故で亡くなっていた。
緘口令(かんこうれい)を敷かれ目撃した現場について何かを語ることを禁止された恒一だったが、幸か不幸か病院への検査のため学校は休むことになった。激しい運動こそ禁じられたが特に目立った異常は見当たらなかった恒一は、仲良くなったナース・水野と情報交換。水野は恒一が気にかけている謎を耳にすると好奇心半分で弟で恒一と同じ三年三組の猛(たける)に聞いてみる、と約束する。
水野と別れ、帰宅途中で学校をサボったクラスメイトの綾野と遭遇する。だが、その時綾野に向かって倒れる大きなガラス片。間一髪、恒一が身を呈して守ったおかげで二人とも大事には至らなかったが、次の瞬間綾野は「死にたくない」と過敏に何かに反応していた……。
何かに取り憑かれたように三年三組の秘密を探る恒一は、叔母の怜子も問いただすが怜子はどうやら慢性的な頭痛に悩んでいるようで話の要領を得ない。ただ恒一に分かったのは、怜子がなぜか家にいる九官鳥と「どうして?」という声真似を異常に嫌っているということだけだった……。
翌日、学校に登校して見ると何となく空気がおかしい。そのことに疑問を抱きながらも恒一は昼休みに勅使河原の居場所を突き止めて言い寄った……「六月になったら教えてくれるって約束だよね」。一緒にいた対策係の赤沢泉美はその言葉に勅使河原を睨み返すと恒一に「事情が変わったから教えられない」と突っ撥ねる。
その様子に半ばあきらめた恒一だったが、その時携帯電話に着信が入る。相手は水野だった。電話に出た恒一に水野は「本当に“見崎鳴”は実在するのか?」と執拗に尋ねてくる。その言葉に頷く恒一に、水野は「弟がその名前を聞いた途端、執拗に脅えて『見崎鳴なんていない』と言うばかりだった」と証言する。しかし、その直後水野が乗っていたエレベーターが――
≪感想≫
水野さぁぁぁん・゜・(ノД`)・゜・
あぁ、もうね。こう個人的には、最終話で今回の一件を入院先の病院で振り返りながらも恒一と趣味の読書の話をしながらお世話してくれる水野さんの姿が頭の中にあったわけですよ。だから仮に泉美が死んでも、本当に鳴が幽霊だったとしても、それだけあれば最後に救いはあったのに……なのに、なのに……
そりゃねぇよorz
もう見終えた直後から放心状態。ちょうど( ゚д゚)ポカーンってこんな感じwww まぁ、でも彼女が死んでくれたから見えた部分も少なからずあるんですけどね……。
◆呪い? 事故死?
実は、この三年三組の呪いにはずっと違和感があった。それが今回何なのかハッキリした。それは『呪われる対象が曖昧すぎる』と言う点だ。
通常、呪いと言うものは呪われるべき相手がいて、そのために何らかの原因が発動して呪いと言うモノが具現化するわけだ。不特定多数を呪うための呪いなんてあまり耳にしたことがない。それだけ呪いというものは、人の“怨念”という感情部分に直結するものだと考えている。なのに、この三年三組の呪いは呪われる相手がいないのに、呪われる原因や呪いと言うモノだけが独り歩きしている感じが否めない。
もし仮に本当に呪う相手もいないまま発動するモノなのだとすれば、もはやそれは呪いではなく一種の天災だ。それこそ“対策係”というものも必要になってくるだろう。だが、そこに恒一を巻き込んでクラスで一致団結して乗り越えようと言う前向きな要素がないのは、クラスの誰もがこの状態を天災ではなく呪いと捉えている何よりの証拠なのだろう。
さて、話を戻してこの三年三組の呪いには前述のように不自然な点が多い。呪いの矛先がないのに呪いだけが独り歩きしているのもその一つだし、結果的にこの呪いの犠牲となった(と思われている)人たちには実は一貫性がない。
最初の犠牲者は桜木ゆかり。言うまでもなく三組の委員長だ。彼女は良い。三組の関係者である。だが、その後に亡くなった桜木ゆかりの母親と水野は三組の関係者ではない。
そう、彼女たちは厳密にいえば関係者ではないのだ。
正しく表現するなら彼女たちは“関係者の関係者”でしかない。果たしてそんなもので呪いと言うものは発動し拡散するように広まっていくものだろうか……まして、人が死ぬほどの呪いが。
これで順番が逆ならまだ分かる。
先に桜木ゆかりが死んで、その後にその母親が死んだというのであれば、それは呪いが「三組」という根源から「桜木ゆかり」に伝播し、そこから「桜木ゆかり・母」へと拡散したのならそういうこともあるだろう。「末代まで祟ってやる」と言うのは、(どこまで本当なのかはともかく)恨み節としては耳慣れた台詞である。
だが、水野の場合はそうではない。先に彼女の弟「猛」が死んで、その後に姉である「水野」が死ぬのであれば、桜木ゆかり同様呪いが親族へ伝播していったのだなと(前述のように呪いが伝播すること自体が、正直信じがたいが、ここではスルー)。しかし、先に死んだのは「水野」だ。来週、「猛」が死ぬのかもしれないがそれでもタイミング的にはおかしいし、もしこれで「猛」が死なないようであればなおのことおかしい。
別のクラスメイト(?)らしき二人が会話のみのモノローグで三組の呪いについて語っているが、あのモノローグ自体がそもそもひっかけであり、証拠のない噂のアヤフヤさを証明している。
そもそも呪いの元凶とも言うべき三組にいる人間ではなくその親兄弟の方が危険なんてことは普通あり得ない。轟々に燃えている焚火の真ん前にいる人が火傷をせずに、そこから離れている人が火傷することなんてないように......。
ならば、これは当然呪いではなく事故死ないし人為的な殺人と言うことになる。現状では当然事故死だろうが、「水野」に関して言えば彼女だけは呪いの秘密に迫りそうになったので人為的に殺害された可能性もある。いわゆる「お前は知り過ぎた」ってやつ。
エレベーターケーブルに細工をする、なんてこと普通は出来ないし、まして意図的に水野が乗った時だけケーブルが切断されるように細工するなんてどんなトリックを使えばいいのか分からないが、可能性としてはゼロではない。
実はもう一つ、前々からこの呪いに抱いていた疑問がある。それは『そもそもこれは何の呪いなのか?』と言う点だ。
呪いと言うのなら、それには大本となった原因があるはずで、それが一般的には「ミサキ」と言う名の少女と言う風に考えられている。
だが、それはおかしくないだろうか?
彼女は、あたかも自分がいるかのように卒業まで振る舞ってくれたクラスメイトや担任の教師、便宜を図ってくれた校長などに感謝こそすれ憎悪するようなことはないはずである。もし彼女が「私は死んだのに、どうして死んだように扱ってくれないの! 供養してくれないの!」と恨んでいるのなら、そういうこともあるだろうが、やはり普通に考えれば死してなおそこまで想ってくれる人たちに憎悪など抱くはずもない。
ならば、この呪いがあるとする人たちにとってそもそもの“元凶”とはどこにあるのだろうか? それとも、まだ私たちや恒一には開示されていない「始まりの年以降」の出来事に“元凶”は隠されているのだろうか?
◆対策係
なるほど、と思った。対策係とは、「不可解な連続死が起こってしまった年に、いかにその被害を軽減・緩和するか対策を立案し実行する係」と言うことか。呪いと思われていることを整理してみよう。
1.起こる年と起こらない年がある(昨年は起こらず二年前は起こった?)
2.一度起こると毎月一人か、それ以上の犠牲者が出る
3.例年ならば四月から犠牲者は出始める(が、今年はなぜか五月から)
4.始まってしまってからの部外者には混乱を避けるため情報を封鎖する
5.クラスで一人を居ない者として生贄に捧げることで起こらないようにしている?
1~4は今回明らかになった事実。5はここまでの展開からの推察であるが、ほぼ事実だろう。人が死ぬほどの呪いにも関わらずその発動は不定期で、かと言って一度起これば律儀に毎月被害者が出るというのはやはり呪いとしてはどうも一貫性に欠くというか、法則性に欠ける。だからこその対策係なのかもしれないが……。
ただ、疑問があるのは5なのだ。クラスメイトは執拗に鳴を居ない者として扱う。それは良くないのだけど、呪いを起こさないための行動だとするならばまぁ今は目を瞑るしかないだろう。
だが、そもそもどうして「一人を居ない者として扱うことで起こらないようにできるのか」という部分が今の段階では決定的に欠けているように見える。
先に挙げたように元凶自体が怪しいこの呪い。もしも「ミサキ」が呪いの元凶だとして、どうして「一人を『居ない者』として扱う」ことで救われるのだろうか。
普通に考えれば、むしろ逆ではないだろうか。
「ミサキ」があの始まりの年を経て呪い化するのだとすれば、それはむしろイジメを否定するモノだろう。だって彼女は死んでなお、卒業まで大切にされていたのだから。だからむしろ、「誰か一人を無視する」という現状は(もし「ミサキ」が呪いの元凶なら)むしろ呪いそのものを助長しかねないはずだ。
もちろん、いろいろと妄想することは出来る。例えば「始まりの年だけは大切にされたミサキだったが、翌年は当然居ないわけだから居ない存在として扱われたことに逆上して生徒たちやその家族を殺した」とか「卒業式に自分が映った写真を、卒業後の同級生が気味悪がって処分したのを目撃し自分への配慮が偽りだったと知り、腹を立てて三組に居座っている」とか、無視している理由も「誰か一人を無視することで、逆にその空いた一人の空席にミサキをいることにして一年間の無事を祈っている」とか。
ただ、どれもこれも妄想の域を出ず、むしろ推論の域にすら到達しない。やはりカギを握るのは、誰もが口を紡ぐ始まりの年以降の出来事か。
尤も、仮にそれのどれが正しかったとしても、「恒一には黙っている」という情報封鎖の意味がまるで見えないし、クラス内ルールを徹底させたいのならいち早く教えるべきなのに教えない理由にはならないのだけれど……(後者は一般の学校から転入してきたためローカルルールとなっている三組の呪いを信じてくれなかったり、あるいは正義感が強いとより一層鳴に関わらせてしまうかもしれないという危惧から、という可能性もあるが)。だが、仮に赤沢泉美が言うように「二年前の状況と同じ=転校生によってクラスのルールが乱された」のであれば、それはやはり先に伝えておくべきだったと普通は教訓として捉えそうなものだが……。
っていうか、対策係って三人いたのかw
◆鳴は実在するのか・其の肆
恒例考察。今回は簡潔に。
答えは当然YESである。理由は簡単でクラスメイトたちが死の恐怖に脅えているからだ。もしも彼らに鳴の姿が見えていないのであれば脅える必要などない。「居ないはずなのに見えること」が危険だという認識なのだから。
でも、今回の綾野はどうだったか振り返ってほしい。彼女はただガラスが落ちて来たという事故に対して恐怖していた。そこには当然鳴はいなかったし、彼女も鳴が見えてはいなかっただろう(見えていたらもっと違う取り乱し方をしたに違いない)。
それなのに彼女は「死にたくない」と混乱した。どんな些細な出来事でも身の危険に繋がるようなことならば恐怖してしまう。それはつまり「普段鳴の姿が見えているのにクラスのルールで無視して見えないことにしている=見えてないフリをしているだけで見えている=死の影はすぐそばまで近づいているかもしれない」と言う恐怖だ。
つまり、あそこで脅えているというのは鳴が実在しているという何よりの証拠である。
◆そのほかいろいろと
・怜子の頭痛
⇒オーソドックスな展開だとこの頭痛が実は伏線になる。例えば『ひぐらし』風なら幻覚を見て錯乱する前兆とか……。でも、これは頭痛のレベルじゃない。まるで人格そのものが別人になったような、そんな感じ。これは怜子がまた三組の呪いとは違うカギを握っていそう……。
・九官鳥
⇒嫌いらしい、怜子は。いや彼女が嫌いなのは「どうして」と言う単語の方か。これも二十六年前に関わっているのだろうけど、今は情報が足りなくてさっぱり見えない……。
・どうして水野姉弟は違う学校?
⇒どうしてだろうね……いや、ほんと。三組の呪いを知っている両親があえて引っ越して学区を強制的に変えて水野姉は夜見山南?に通わせたんだけど、今は学区が変わってしまって弟の猛は夜見山北に通っているとかそういうことか。いや、さすがに考え過ぎか。普通に引っ越して学区が変わったのだろう。
・人形館の老婆
⇒恒一が来ても同じセリフ。痴呆症なのか、それとも実は老婆に見えて受け付け用の自動人形と言う可能性も(ぇ
・人形館に出入りする女性
⇒彼女が人形を作っている人か? 確か霧果とか言ったか。何となく人を寄せ付けない雰囲気は鳴に近いものがあったような気もするが……。
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NoTitle
みたいな台詞を振ったのでまさかと思いましたが
ガラスのシーンは古い映画「オーメン」のオマージュでした。
映画では人の首がスパッとちょん切れて35年前の当時の日本ではとても衝撃的だったのですが。今はもっっと上をいってますね。
原作中にもあるシーンなのかは知りませんが、原作者と私は同世代ですから「オーメン」の洗礼は受けているのはまちがいないでしょうね。
でも水野さんは6月6日6時に亡くなったわけではないですよね?