Another 第2話
『Blueprint -思惑-』
≪あらすじ≫
不思議なオーラを放ち、クラスから孤立しているように見える見崎鳴に、強い興味を抱く榊原恒一。転入したばかりでクラスメイトたちとも軽く雑談はしながらも、視界に止まれば鳴に声をかけるが、当の鳴からは暗に「自分に接していていいのか?」と忠告とも取れる突っぱねた発言だけが返ってくる。
気がかりだけが恒一の胸に残る中、美術の授業で恒一は美術部の望月(もちづき)と親しくなる。彼の描く絵は独特で、スケッチの課題に出されたレモンをムンクの叫びのように描いてしまうほど。3組の副担任で美術部の顧問も務める美人教師・三神(みかみ)は呆れながらも「そういうのは部活でね」と諭す。
そんな三神に好意を抱いているらしい望月と会話しながらクラスに戻る途中、恒一は第二図書室に鳴がいる事実に気づく。制止を振り切って第二図書室に入るが、やはり返ってくるのは忠告のような言葉だけ。予鈴がなったところで恒一に声をかけてきたのは、千曳辰治(ちびき・たつじ)という司書を務める男だった……。
一日の学校生活で鳴の存在に疑問を抱いた恒一は、夜間こっそり自分が入院していた際に共通の興味で仲良くなった看護師・水野(みずの)の下を訪れ、「自分が入院していた日、眼帯をした女の子が亡くならなかったか」と問いかける。「自分の担当の患者ではいなかった」と答えた水野は事情を察し、それとなく調べてくれるという。
翌日、下校の際に恒一はクラスの“対策係”を務める赤沢泉美(あかざわ・いずみ)に呼び止められた。泉美は恒一が以前夜見山に住んでいたかどうかにどこまでも固執していたが、恒一は「夜見山で出産されたが、すぐに母が他界して以降、訪れた記憶は薄い」と返答。
そんな恒一に「クラスのルールを知っておいてもらいたくて」と告げる泉美だったが、その“ルール”を口にする前に、一緒にいた望月と桜木ゆかりは何かを泉美に耳打ち。「たった一日空けただけでこのありさま」と何やら憤慨する泉美と肩身を狭くする望月たちを残し、恒一は下校途中の姿を見かけた鳴を追う。
鳴を尾行するが途中で姿を見失った恒一は、路地の一角で謎の人形屋を見つける。ちょうどその時、恒一の携帯電話に水野から電話がかかり、恒一の疑念通り恒一が入院していた時に中学生の女の子が一人亡くなっていた。「名前は、あいまいなんだけど“ミサキ”だったかマサキだったか……」と告げる水野に礼を言い、恒一は人形屋へ足を踏み入れる。
薄暗い不気味な人形館の地下で恒一は鳴に良く似た人形を目撃するのだが――
≪感想≫
BGMが最高に怖いw 厳密にいえば演出と作画の威力をBGMが最大限に引き出していて相乗効果で怖く見える。こういう作品を待っていたんだーと思ってしまった。別にホラー作品が得意というわけではないが(むしろあまり得意ではないがw)、やっぱり私はこういう作品が好きなのだと改めて思った。
ムンクの叫びに対する見解はちょっとおもしろかった。もしかしたら、割と一般的な評価なのかもしれないが、絵画について無知な私からすると「あれはそういう風にも見える絵なのか」と思わされた。
一見すればあれはムンクが叫んでいる絵なのだが、劇中登場した美術部員・望月に言わせれば「叫んでいるのは世界の方で、アレは耳をふさいでいるんだ」ということらしい。なるほど。確かに、“ムンクの叫び”というタイトルとあの絵を一見しただけではムンクが叫んでいるようにしか見えないが、実は叫んでいるのは周りだったというのは逆転の発想といえるのだろう。
ただ、そんな見解を耳にして思ったのは、「きっと叫んでいるのは世界とムンクの両方なんだ」ということか。世界が叫ぶからそれに対してムンクは耳を塞ぎながらそのことに対して叫ぶのか、あるいはムンクが叫ぶからそれに呼応するように世界も叫んだのか。それがどちらなのかはともかくとして、どちらも原因でどちらが結果なのかというのはもう分からないのかもしれない。
それはコインと同じで表裏一体。加害者が被害者で、被害者が加害者という両面性。そして、そんな状況は今の3年3組のようにも見えて……。
さて、それでは今回の考察。前回ほど長くは書かず、単発箇条書きみたいな形で今回はサクサクとやっていこうと思う。まぁ、深く考察するネタがなかなか見つからなかったというのもあるし、たぶん今回重要なのは実はムンクのくだりじゃないかって思っていることもあるし。
◆3年3組のルール
前回、すでに体育の合同授業から外されているということから考えてもこのクラス自体が特有な存在だとは感じていたが、どうやら伝承的なもののようだ。級友・勅使河原の会話から察すれば、夜見山北にもクラス替えがあるようだ(勅使河原は3組になったことを不幸だと口にした)。
てっきり、ずっとクラス替えのないまま3年まで進級していたのだとばかり思っていたから、個人的にこの情報は大きい。つまり、1話アバンのあの噂話が少なくとも今の3年3組に該当するわけではないという確証に等しいからだ。
もっと言えば、このルールは学内にのみ適用されるルールということがほぼ断定された。そうでなければ勅使河原は「不安? そりゃあ3組になったこと――」なんて言わない。町ぐるみのルールなら3組だろうが、学年が違おうが、同じ学校に通っていまいが関係なく鳴を無視する。しかし3組になったことで、勅使河原始めクラスメイトたちは「何らかの理由で鳴を無視する」という状況が発生していることになる。
その3組のルールは今回も明かされず。おおよその推測は経つが(泉美が一日休んだ間に恒一がしていてクラスメイトたちがしていないことなんて、「鳴に話しかける」「鳴の存在を認知する」くらいだろう)、そのあたりはやはりルールを守っている当人たちの口から聞きたいものだ。
何より、クラスのルールの結果、どうして鳴の無視がされているのかという因果関係がまだ見えてこないわけだし。
(この村八分的な慣習は現時点で3年3組固有のものと推察出来る。つまり、毎年鳴のように村八分に逢う生徒は少なからずいると言うことだ。では、なぜ鳴だったのか? という疑問が必然的に出てくるし、そもそもどうして村八分にする必要性があるのかという疑問もある)
◆クラスの対策係
どうやら3組には、特定のことに対しての対策を立案し実行するための係が設けられているようだ。それが赤沢泉美である。だが、結局泉美は“何に対して”の対策なのかは明言しなかった。まぁ、十中八九「3組のルール」に抵触することなのだろう。
だが、ここで一つ大きな疑問が残る。
「どうして対策係は必要なのか?」ということだ。
仮に「毎年一人(? もしかしたら増えるか?)を無視して村八分にする」というルールであれば、対策係など必要だろうか? 村八分にされた生徒が抵抗した時を想定しているのかもしれないが、それなら一対多なのだから多勢に無勢。中学生であること(98年当時ならばまだほとんどの都道府県で学区制が残っていて他学区から通うことは認められていないはず)、怜子の言動、悪しき慣習が残っているという閉鎖的な町の特性を省みても、町民の出入りはほとんどなく今の中学生の両親も夜見山北出身の可能性が高い。そうなると、保護者も村八分になった生徒の味方にはならない可能性の方が高いわけだ(仮に学内のルールだったとしても、そのルールを順守して卒業したのならそのことについてあれこれと文句は言わず、むしろ怜子のように「クラスの決め事やルールは守るように」というだろう)。
教師はすでに黙認している状況だ。
ならば、対策係は何に対する対策なのか? それとも、対策係は恒一が転校してきたから創設された外部の者に対する対策でしかないのか……。
逆にいえば、「対策しなければいけないこと」がルールであるとも考えられる。もしかしたら「クラスメイトを村八分にする」というのは何らかの手段であって、それ自体がルールではなく別のルールのための手段に過ぎないのかもしれない。
◆鳴は実在するのか・其の弐
これは前回書いたし、今のところ前回の内容を撤回するには至っていない。恒一の言動含めて、鳴が実は人間ではないのではないか、という思考がどうしても頭の中で飛び交うのだが人形館でのやり取りがそれを否定もする。
ただ、今もまだ「鳴が実は人形」という可能性もなくはないのだろうな、とは思うけれど。でもまぁ、たぶんないかな、と思う。間接とかがバレないように細工がされていたりすれば違うだろうけど。
余談だが、これでもし人形館のところで引いていたら(今週終わっていたら)、来週まで「もしかしたら人形なのか?」と悶々としただろうが(笑 でも、今回重要なのは鳴は実在するのだと恒一が信じ始めるところなのかもしれない。
◆美術部
入院して転入が遅れるくらいだからさすがに運動部への勧誘はなかったかw 美術部というのはどうやら恒一の将来とも合致するらしい。怜子は「親が許さない」と言っていたが、電話越しの父親の性格を類推すれば割と許容してくれそうな気もするけれどw
今回は望月と、彼が好意を寄せる顧問・三神のような形で使われた美術部のくだり。この辺り(特に望月の好意は)もあとあと関わってくるのだろうか……。
◆大人たち-怜子と水野と三神と千曳と-
怜子は相変わらず。もしかしたら前回視聴者には教えてくれなかった夜見山北で生活する上でのアドバイスが聞けるかもと思ったが、残念な結果だった。ただ、彼女の言動からどうやら夜見山北には第二図書室があり、それとは別に新設の第一があるということになる。それも事件に関わってくるのか……。
水野は仲のいいナース。今後、病院での鳴の言動を探る上での協力者になってくれるようだ。今のところ、100%恒一の味方と言えそうなのは彼女ぐらいか。怜子も味方っぽいのだが、彼女の場合すでに判明している通りOBだから一抹の不安がある。
美術部顧問・三神。3組の副担任だが生気の欠片もないような担任とはまるで違う。何らかの暗黙のルールがある3組に割り当てられても平然としているのは、逆に不自然さが残る。副担任だから気楽なだけか、美術が専門だから3組に直接足を踏み入れる必要がないからマシだと思っているのか、それとも……。
そして凄く妖しい千曳。第二図書室の主のような存在らしいが、鳴には予鈴がなっても去るようには言わなかった。それは、千曳が3組のルールに関与して協力しているからなのか、それとも単にクラスには居場所がない彼女を半ば図書室に引き取って場所を与えているのか。壮大なオチとしては、実は妖しい風貌の彼だが一切ルールとは無関係だった、というミスリード的な展開もわずかに脳裏をよぎるが……。
実はこの第二図書室というのが、ルールに何らかの形でかかわっていると思っている。
そもそも、通常の公立中学に(仮に建て替えがあったとしても)第二図書室なんて贅沢な施設だ。まして、夜見山のような大都市でマンモス校というわけでもない夜見山北ならなおのこと。
裏を返せば、本来の図書室を「第二図書室」として生徒たちの手から遠ざける必要性があったということである。ここに何かヒントが隠されているのではないだろうか……。
今回はこんなところか。鳴が姿を消した番地が「3-3」だったところは印象的だった。あのまま消えていたら、そもそも「3-3」という数字自体に意味があるのかもしれない、と考えたくらい。
あとは、赤沢泉美がどう動くか、か。クラスメイトたちがしきりに躊躇していた「クラスのルールを榊原に教えると言うこと」を彼女は率先して実行に移そうとしていた。それが彼女なりの“対策”なのか、はたまた実は彼女には何か“裏”があるのか……。次週はそのあたりも気に留めてみたい。
追記
そういえば書き忘れていて感想の巡回をしていて気付いたが、「人形館で待ち受けの女性が『他に客はいない』と言ったのに鳴がいたという事実」は私の中で「あそこは鳴の実家(ないし現在の棲家)」だと勝手に脳内処理されているから(笑
鳴が人形を持って病院地下に現れていたこと、鳴が人形について詳しかったことなどからあそこが鳴の家だと今は考えている(ついでに言えば、鳴似の人形もあったのはあそこにいる人形師が鳴をモデルに作ったからだとも考えられるし、鳴がスケッチしていた人型もどことなく人形っぽさがあったのはここにつながるのではないかと)。
そうなれば、待ち受けの女性は嘘をついていないことにもなる。もし、あそこが鳴の家なら鳴はあの女性にとって“客”ではなく“家族(ないし同居人)”になるわけだから。
次回『Bone work <骨組>』
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NoTitle
正しい作品名は『叫び』で、『ムンクの叫び』ではありません。
「男が叫んでいる」のではなく「自然をつらぬく、けたたましい、終わりのない叫びに男が耐えかねて耳を押さえている」様子を描いた絵で、決して望月独自の見解ではないのです。
パリの人類史博物館に展示されていたペルーのミイラが『叫び』中央の人物のモデルであるという説があります。
日本では、よく漫画やアニメでパロディがされることでも有名な作品ですよね。