[新]偽物語 『かれんビー 其ノ壹』
『かれんビー 其ノ壹』
≪あらすじ≫
蟹、蝸牛、猿、蛇、猫。
直江津高校周辺に現れた怪異に関わった五人の少女の事件は解決し、文化祭を終えた夏休み。
阿良々木暦(あららぎ・こよみ)の妹で、栂の木二中のファイヤーシスターズの異名を持ち、正義の味方を自称する阿良々木火憐(あららぎ・かれん)と阿良々木月火(あららぎ・つきひ)。
火憐が対峙する「化物」ならぬ「偽物」とは?
月火がその身に取り込んだ、吸血鬼をも凌駕する聖域の怪異とは?
青春は、“ほんもの”になるための戦いだ。
(公式サイト 概要より抜粋)
≪感想≫
2012年第1四半期の新番組。
もはやわざわざ紹介するまでもないほど有名な西尾維新さんによる『化物語』の続編にあたる作品のアニメ化。TOKYO MXでは2011年第4四半期に全話再放送(TV未放映話含む)されていたため、実質2クール『物語』シリーズの作品に触れていられることになる。そのため、原作未読だがアニメ化された部分だけは予備知識はバッチリ(笑
◆独自の色彩感覚
相変わらずシャフトらしい独特の色彩感覚を使いながらベーシックな色彩イメージを堅実に使ってくるイメージ(TOKYO MXで視聴しているとその次の『ひだまりスケッチ』セレクションを視聴していても思うが)。
シャフト作品というと奇抜なカット割りや色彩による作画というイメージがあるし、確かにそういう部分もあるのだけど、でも“色”というものが持つイメージや概念だけは絶対に崩さないというのが、私の印象だ。こう、色の持つイメージは割と固定された概念だと思っている。人によってもちろん多少の差があるものだけど、そこに大差はない。
例えば、ピンク。
この色のイメージの一つに、色気やエロさがあるのは言うまでもないだろう。ピンクという単語や色を使った“其ノイメージ”を確立するようなモノが日本という文化にはあるからではあるが、一般的にピンクにはそういうイメージがある(もちろん、それだけではないが)。
そのピンクという色彩を、アバンで学習塾跡に拉致監禁された暦がひたぎから飲まされた水に使っていた。むろん水は本来無色透明であんな色はしないし、あんな輝きは放たない。だが、それは視聴者目線で、あるいは暦目線から見て、ただの水がシチュエーションのせいでとても色っぽいものに見えてしまった。その比喩的な表現である。
つまり、そこには奇抜さや斬新さはない。お色気を表現するためにブラックやホワイトやブルーを使うということはない。あくまで私たちにあるもともとの固定概念的な色のイメージを堅実に使いながら、それを抽象的に使える(それこそ、本来無色透明の水をピンク色に描ける大胆さのようなもの)のがシャフト作品の強みだろう。
シャフト作品を全部観ているわけではないので何とも言えないが、こと色彩表現に関して『物語』シリーズは本当に凄いと思わされる。作画として観た時に、その労力は他の作品よりも別段多いとは思わない。もちろん、『物語』シリーズはカット数が多いため、その分描かないといけない作画数が多そうなので、そういう意味で労力は多そうだけど、一枚当たりの労力という意味で。
例えば、暦と真宵が話をしているシーンの中に、カフェテラスでお茶をしているようなシーンがあった。むろん、それはただのイメージ画だと思うが、そのシーンでは暦と真宵以外のテーブルやイスは全部白。影などで若干の色彩を使っているけれど。そのバランスを取る作業は大変そうだが、はたから見ているとそこまでの画には見えない。
けど、実際に観ているととてもよく見える。綺麗に丁寧に、細部まで描き込んでいる作画とはまた違った味がこのシャフト系の作品にはあるのだと再認識させられるのだ。
◆主観の押し付け合い -人と人との付き合いとは-
さて、そんな相変わらずのシャフトテイストで描かれた『偽物語』。アニメ版『化物語』をTOKYO MXの再放送で視聴した私にとって最大の違和感は、小さいほうの妹こと阿良々木月火だろうか。いつも大きい方の妹こと火憐と一緒にいるイメージがあったし、さらに言えばもっとこう暦にベッタリな妹という認識があった。
それが途端にあの気だるさと冷たさである。そのギャップには、もちろん意味があるのだろうが、さすがに今は分からない。このお話だし、すでに公式サイトで暴露されていることなので、こうした月火の状況も“怪異”の前兆として捉えても良いのかもしれない。尤も、私にはあの年代特有の不安定な精神状態の一端にしか見えない、とも思えるが……。
そんな月火はともかく、意外と出番が多かった真宵との会話で今回感じたことは二つ。
一つは、日本語についての行(くだり)の部分。
勇気をつけるとカッコ良く聞こえるというソレのところ。それって要は、良くも悪くも事実を主観で都合よく塗り替えているということだと思っている。暦がことごとくツッコんでいるが、「恋人に嘘をつく“勇気”」「仲間を裏切る“勇気”」などというのは、客観的にいえば「恋人に嘘をついた」「仲間を裏切った」であり、同時に恋人や仲間の側から立てばやっぱりそれは「恋人に嘘をつかれた」「仲間に裏切られた」という事実でしかないということだ。その前後に取ってつけたような言葉なんて、それは突き詰めればそれを行った人のただの言い訳でしかないのだ。
つまり、真宵が口にした「“勇気”という言葉をつけるとカッコ良く聞こえますよね」というその言葉は、ただの自己擁護・自己保身に過ぎない行為ということだ。自分の主観を取り入れて表現することで、自分自身を、そして時に他人までも、自らの主観を押し付けて自分にとって都合のいいものに塗り替えているだけ。
それは暦が最後に指摘された部分に通じてくる。真宵に珍しく自分の都合を押し付ける暦に、彼女はそう指摘したのだ。
例えば『化物語』であの街を去った忍野メメ。暦は彼のように真宵がいなくなることを怖れたが、どちらにせよいなくなるのであれば“別れ”という事実は変わらない。メメや、あるいはこの先真宵が成仏するようなことがあった時、彼らからすれば暦に挨拶をしようがしまいが、“別れ”という事実は変わらない。ただ、そういう時に一言でも欲しいというのは、暦の主観において「区切りが欲しい」という彼の主観でしかないのだから。
でもまぁ、これは極端な話だ。
例えば先の別れの話は、メメも真宵も何も言わずいなくなることを良しとはしなかった。それは一歩立ち位置を変えて彼らの視点から見た時に、やっぱり彼らが彼らの都合で、「阿良々木君(さん)には世話になったから何も言わずにいなくなったりしないよ(しませんよ)」という自分の主観を暦へ押し付けているわけだ。つまり、この部分から人と人との付き合いは互いの主観の押し付け合いかもね、という風にも捉えられる。
この場合、両者の思惑が一致しているから暦とメメ、あるいは暦と真宵が「別れの時には挨拶を」というのがとても良い話に見えるし、たいていの場合はそんなものだと思う。
ただ、そうした“たいていの場合”が取り扱われないのが、西尾維新の物語だろう(笑 この先、一方的な主観を暦は誰かから押し付けられることがあるかもしれないし、逆に押し付けてしまうことがあるのかもしれない。もしかしたらそれは、Aパートの月火との会話の最後「勝手に大人にならないでよね」という彼女からの主観の押しつけが、すでに該当しているのかもしれないが、それがどう転んでいくかは次週のお楽しみ。
ちなみに感じたこと二つ目は、暦が喪失に対して恐怖を抱いているということだった。
正直『化物語』を見ていた時は、そこまで暦が多くのモノを持っているとも思わなかったし、暦自身そういう認識はなかったのではないだろうか。
ただ、忍野メメが街を去ったことで暦は意外にも自分は多くのモノをこの短期間で獲得したことを悟ったのだと思っている。(まぁ、厳密にいえばブラック羽川の一件で忍を探していた時には悟っていただろうが)
ひたぎ、真宵、駿河、撫子、翼、忍、もちろん火憐や月火、街を去ったメメだって。それは恋人だったり、後輩だったり、妹だったり、同級生だったり、あるいは友達だったりするわけだが、その一つ一つがちゃんと暦の中で大切なものになっている。
だから、彼はそれらを喪うことに今更ながら恐怖感を抱いているように見えたのだ。それは人として当然の感覚。思えば吸血鬼になりかけたことで彼は、人として当然の感覚に対して無頓着な部分があると思っていた。例えば彼は自分の生に対して無頓着な部分が見え隠れする。それは死ぬのが怖くないというより、「死ぬ前に治ってしまうだろう」という実績のせいだけど、それは吸血鬼の一件が絡んでいるのだろう。
だから、想えば『化物語』から彼は少しずつ人間らしい感覚を取り戻しているようにも見える。今回見せた喪失への恐怖もその一端だ。
それが吉と出るか、凶と出るか。恐怖を知ることで彼は無謀な行動は出来なくなる。だが、その一方で恐怖を知ることで彼は護るべきモノを今まで以上にハッキリと目にするだろう。
これが暦にとって吉と出ることを願うばかりである。
追記
暦……変態紳士を超えてただの超絶変態だっ(爆
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NoTitle
これからどんな話になるのか、これから楽しみです
それと暦さんてそんな変態でしたけ?まぁ確認してみますね