ベン・トー 総評
私立烏田高等学校1年・佐藤洋(さとう・よう)。彼は、寮による仕送り生活という苦しい資金のためスーパーの半額弁当に手を出そうと決める。しかし、彼が訪れたスーパーでは突如乱闘に近い争奪戦が勃発!? 洋もまたボコボコにされ半額弁当を手に入れることができず、《氷結の魔女》と呼ばれる人物によってスーパーの床に倒された……。
翌日、洋は大量のプラスティック容器を捨てようとしている女生徒を発見する。彼の先輩で2年の槍水仙(やりずい・せん)で《氷結の魔女》と呼ばれる“狼”だった。彼女は、洋の同級生で同じく昨日スーパーに居合わせた白粉花(おしろい・はな)とともに自分の部室へと導く。そこは「ハーフプライサー同好会」と書かれており、毎晩ハーフプライスラベリングタイムで半額になる弁当を争う部活動の拠点だった!?
半額弁当を巡る熱き戦い。そこに洋の幼馴染で“狼”の奢我あやめや双子の姉妹《オルトロス》も加わって――
そんな『ベン・トー』の私の評価ですが...
A+
です。(SS、S、A~Dの評価)
では、詳細は続きをどうぞ。
※あくまで評価は、私的主観によるものですのでご了承下さい。
ベン・トー 総評
放映日:2011年10月~2011年12月(全12話)
私が視聴した放映局:TOKYO MX
総評
※評価についてはこちらからどうぞ→評価について。
シナリオ構成 評価:B
ところどころで失速してしまった感じが否めない。全体的に12話という尺に収めるため、だいぶアニメ用に本来の原作ストーリーから改変している場所も多いらしく、そうした影響はそこから来ているように思える(原作ファンの感想を拝見すると、もっと流れは自然で分かりやすい形になっているようだ)。
アニメオリジナルストーリーもそこまで面白いとは思わず必要性も特にコレといって感じないし、最終回のバトル要素は良かったけどそこに中核の槍水先輩は出てこずじまいで終わるなど、分かりやすいストーリーで燃え要素の強いらしい『ベン・トー』という作品を活かし切れたとは言い難い。
ただ奢我が絡んで以降や、プール回などキャラクターが増え始めた中盤の面白さは間違いなく良かった。それだけは言える。また、登場当初から白梅やオルトロス姉妹に好感が持てた人ならもっと高い評価になるかもしれない。
演出 評価:S
強くて魅力的な女の子たちがあそこまで絡みながら恋愛要素が皆無に近い、というのはある意味奇蹟的かもしれない(笑 まぁ、奢我とかはともかくとして、安易に恋愛方面に流れなかった演出(とストーリー)は評価したい。
しかしなんといってもこの作品の演出がSなのは、バトル演出のすごさだろう。とりわけ目立った斬新な技術やカメラアングルが使われているとは思わないが、既存の技術と多彩なカメラワーク、それらを一瞬で切り替え続けることでバトルシーンの演出だけなら『Fate/Zero』『ホライゾン』『ギルティクラウン』といった本格バトルモノに肩を並べる。
(『Fate/Zero』は戦闘シーンで一枚上手だが戦闘そのものが少なめだった。『ホライゾン』『ギルクラ』は演出もあるがそれ以上に作画のクオリティで押し切った印象)
さらにこの作品のバトルシーンがすごいところは、ほぼすべてのキャラに特殊能力がないことだ。魔術、超能力、あるいは超科学的兵器。そういったものが一切登場しない、生身の人間の殴り合いだけのバトルであそこまで魅せられるというのは、かなり凄いことだと思う。
(生身のバトルということはその分だけ特殊能力によるエフェクトが使えないわけだ。オルトロスなど例外は若干あるが殴り合いだけでここまで魅せられるのはすごい)
作画 評価:A
まず一つ。弁当が旨そうだった。
これ、結構重要だと思っている。『ベン・トー』というタイトルと、半額弁当を競い合うというコンセプトから考えても、その“弁当”たちが美味しそうに見えなければ何の意味もないわけだ。時に狼たちの“目”というフィルターを通して美化され魅力的に映る半額弁当の美味しさあってこそ。
そしてもう一つ。槍水先輩が可愛かった。
立場的に主人公の師匠ポジで、先輩で、そしてヒロイン。それだけの先輩をとにかく可愛く、ときどき見せる何気ないエロさをアクセントに描き切ったのも評価が高い。特に色っぽさを演出するシーンでは唇をほんのりピンク色で表現するなどの工夫もいい。
ただまぁ、これだけ高評価しながらもSに届かなかったのは戦闘シーンが動き過ぎているために、作画の質をギリギリラインまで落としたことかw 特に最終回とか。
でも、その割にこの最終話、槍水先輩のクオリティはそんなに変わってないように見えるし、最終話で競い合った国産うなぎ弁当はとてつもなく旨そうだった。まぁ、時間と労力が足りなくて上記二つに労力を割いた結果がアレなんだろうな、と理解は示そうと思う。
まぁ、そんなわけでAが妥当かな。
CAST 評価:S
凄く良いキャストだった。槍水先輩の声は伊瀬茉莉也さん以外には考えられなかったし、某マスコットキャラでもそうだったようにかなり特徴的な声をしている加藤英美里さんが、奢我あやめの声だとは最初聴いた時にはとても信じられないくらい新しい声域での演技を開拓したように思える。開拓したという意味では悠木碧さんもそうかな。
もちろん主人公の佐藤洋を演じた下野紘さんが『バカテス』などで積み上げた変態演技(マテw)を駆使してくれたから佐藤は「あー、変態ね」と二つ名を言われても納得出来たwww
何より、まさかの「やまとなでしこ」コンビの田村ゆかりさん&堀江由衣さんによる姉妹キャラキャストw
いろいろな意味で本当に「スタッフ、グッジョブ(`・ω・´)b」なキャスティング。
OP/ED/BGM 評価:S
OPは演出も含めてなかなか良かった。OPにサブタイトルが入るため毎回、その部分だけ新規に描き下ろして差し替えている努力を考えればかなり凄いことだと思う。
EDも余韻を引く形で良かったのではないだろうか。個人的にはED後のCパートのハッチャけぶりの方が目に入っていてちょっと印象が薄いのが難点だけど(笑
しかし、本作にとって最大の魅力はBGM(劇伴)だろう。バトルシーンを盛り上げ、コメディシーンを笑わせてくれるBGMの力を最大限に発揮できた作品の一つ。
総合 評価:A+
内訳:S評価(5点)×3+A評価(4点)×1+B評価(3点)×1=A+(4.4点)
まぁ、妥当な評価かなと思う。コレでSランクといわれるとちょっと首をひねるけど、A+なら納得という感じ。
しかしながら、魅力的だが分割2クールが結果的に作品全体にどのような影響を及ぼすか不透明な『Fate/Zero』『ホライゾン』や序盤の期待値は高かった『ガンダムAGE』『ギルティクラウン』『まじこい』などが私の中で中盤以降一気に失速したことを考えれば、数少ない今期右肩上がりの評価を見せてくれた作品である。
燃え要素であるバトルシーンの演出の上手さ。萌え要素である槍水先輩の可愛さ。そして旨そうな弁当の作画!!
今期のダークホースは、間違いなくこの作品だと断言出来る出来だった。
第二期を期待したいが、ぜひ二期はもっと燃え要素に寄った展開を期待したいな(笑
おまけ
ベストキャラTOP3
1位 槍水仙
銀髪、強い、可愛い。この三大要素が揃っている分だけでもう十分可愛いのに、黒ストが加われば鬼に金棒だろうという感じであるw
2位 奢我あやめ
金髪、グラマラス、メガネの三段コンボに加えて、この作品で唯一恋愛要素を感じさせるキャラ。その分だけ、また槍水先輩とは違った可愛さがあると思う。
3位 オルトロス
最初はかなり好きじゃない……というか、もうむしろ白梅並みに嫌いなキャラだったが、最終話で一気に好感度がV字回復したwww
- at 13:06
- [アニメ(放送中):総評(カテゴリのない作品)]
- TB(1) |
- CO(3)
- [Edit]
ベン・トーは原作がページの隅から隅まで文字を詰め込んである情報量の多いラノベで、しょっちゅう本筋から脱線するのでそのままアニメにすると確実にテンポが悪くなっていたと思います。文章だとその脱線が最高に笑えるんですが、やはりメディアの違いは大きいですね。
佐藤の性格がマイルドになり、同級生ネタ・家族ネタ・SEGAネタもゴッソリ無くなり、アニメでは佐藤周囲の人間のギャグと戦闘に絞って力を入れていましたが、それはそれで正解だと思います。それなら白梅様関係をもう少しなんとかして欲しかったところですが…。
先輩・姉トロスも可愛かったし、原作ストックもまだまだあるので第二期あるといいなあ