ハヤテのごとく! 第31巻(限定版)

≪あらすじ≫
6月、いよいよ同人誌即売会の日が目の前に迫っていた。千部刷ると決意したナギは同人誌もそこそこに、なぜかネットに手をつける。作ったのは架空メイドアイドル・マリアのサイトで、それを駆使し即売会までに百万を超えるネットワークを構築し、これを利用して売るという。
「そんなやり方は普通じゃない」と反対する千桜を押し切って「売れれば良い」と作戦を決行するナギ。
一方ルカは、ヒナギクという最強のアドバイサーの手によってある秘策を授けられていた。それは、「読者が最後まで読めるマンガを描く」という、ただそれだけ。だが、ただそれだけのことでルカのマンガは格段に向上していた。
いよいよ即売会当日。マリアの人気を利用し自分の同人誌とセット販売で午前中に三十部を捌いたナギの傍らで、お昼前に同じく三十部の同人誌を完売させたルカ。刷った部数は千と三十。一日売れば売上部数はナギの方が上。しかし、同じ時間で同じ部数を売ったルカにショックを受けたナギは同人誌会場を飛び出して――
≪感想≫
タイトル通り限定版を購入。画像はコミックの表紙で限定版もコミックは一緒です。限定版は、劇場版のDISC付き。劇場版の感想はまた別途。
31巻は、同人誌対決編。
実質的にナギとルカの対比になっているが、興味深い。「売れる本≠面白い本」ということを如実に示している。私なんかは、割とナギに近い思想だった。例えば、アニメなんかはDVDやBDの販売本数が多ければそれだけ人気で評価が高いのだと解釈する。でも、それは売れる要素があるというだけで、作品の完成度や芸術性とはまた違うわけだ。
どちらが正しいとは言いたくない。ナギが作中で口にしたように「売れないものを売るのが営業」といったように、アニメの場合映像パッケージの出荷本数を伸ばした部分にはその作品に携わった並々ならぬ努力と営業の賜物であり、そういうスタッフを揃えられた・恵まれたという点もまた評価されるべきだと私は思うから。
もちろん、作品としての完成度や芸術性、メッセージ性もまた大切な要素ではあるのだが。
さて、それを踏まえたうえでナギvsルカ。ネットを最大限駆使し、人気を高めた架空メイド・マリアの同人写真集とのセット販売で部数を伸ばそうとしたナギと、部数は30部だが読者に面白いと思ってもらえるマンガを描こうとしたルカ。
結果的に、ルカの勝利だったわけ。これがルカの勝利といえるのは、ナギにとって「本を売る」ことが目的じゃなくて「面白い本を作る」ことが目的だったからだ。一兆部売るマンガ家を目指す上で、“一兆部”というのは結果を示すための数値であって手段はおろか、目的ですらないわけだ。
「私は山を登って、山登りの素晴らしさを皆さんに伝えたい!」という登山家が、「じゃあエベレストに登って感想を言おう」として「エベレスト登頂」という手段を達成するためにヘリコプターを使うようなそんな感じ。
ナギの目標が「売れる本を作る」ならナギの手法でも問題はなかったわけだけどね。
ただ、そうした試練にぶつかった分だけ31巻はナギが主人公でありヒロインだったと思う。ナギがこういう面を見せたのってとても久しぶり。巻が進むにつれて他に人気のキャラが出てきて、そうしたキャラたちの編がスタートしてしまうからナギは丸くなったものだと思ってしまっていたが、やっぱり彼女はわがままなお嬢様なのだな、と再認識出来た。
どうでもいいが、千桜可愛い(笑 表紙サービスしすぎだろwww でも、その分あーたんの出番がぁぁぁぁぁ(泣 すっかりおまけコーナー要員になってるんですけど(苦笑
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