ペルソナ4 #04
『Somewhere not here』
≪あらすじ≫
自分の抱えていた雪子への嫉妬と羨望を受け入れた千枝。体力の回復をまって再びTVの中に突入し、今度こそ雪子を助け出そうと奔走する。
ようやく辿り着いた現実世界の雪子のいる部屋。だが、そこにはシャドウとして出現した雪子もいた。天城屋旅館の次期女将としての修行と手伝いに辟易としていると暴露するシャドウの雪子。彼女が求めていたのは、そんな自分を閉じ込めるかごを壊してどこか遠い世界へと連れ出してくれる“王子様”だった。しかし、千枝もまた雪子の王子様にはなれなかった。
自分のいやな部分を暴露するシャドウ雪子を否定する雪子。その声に呼応し、シャドウは姿を変え、悠や千枝たちを攻撃し始める。炎に包まれる戦場で、千枝はそれでも雪子に向って前に歩を進める。悠は「どんな存在だろうと、ここまで助けにきた。それほど大事に想ってくれる人なのだ」と雪子に千枝の存在を伝え、千枝もまた雪子に自分の想いを伝える――
≪感想≫
◇家業継承が善し悪しではない。夢があるかないかだ
雪子の葛藤は、この手の設定を持つキャラクターとしては非常にオーソドックスな物。こういう描かれ方をすると、まるで「自分の生まれた家の家業を継ぐこと=良くない」という誤解を生みそうだから正直好きではない。家業というものは、確かに束縛も多いがそれと同等の得られるモノだってあるのだから。大切なのは、そうした周りの環境ではなく自分自身の抱く夢だと思っている。
さて、ではこんな「たまたま生まれた家の存在によって自分の生き方が決まってしまう」ということを経験したことがある人はいったいどれほどいるのだろうか?
私はどちらかと言うと雪子の側で生まれ育って来た。生まれた家には代々継承している家業のようなものがあって、それを自分も受け継ぎ、そして次代へ引き継いでいくものだと感じている。そのことを今は不幸に感じたこともないし、それを束縛だとも思わない。むしろそうしたものをこうしたご時世の中で持てていることに強い誇りを感じている。
だが、それでも思春期の頃には雪子のように、そうしたモノが自分自身を絡めている鎖や鳥かごのように思えたこともあった。
私の場合はそういう365日休みなしの接客業のような家業ではないが、それでもそういう家に生まれれば自然と自分たちの生活のリズムはそれに合わせた生き方になる。例えば、世間では遠出をしたり遊びに行ったり休日や娯楽を満期するというイメージが強い5月のゴールデンウィークに、私は実家の都合で生まれて26年間どこか遊びに行ったという経験はないし、おそらくこの先もないだろう。
思春期の頃、それはとてつもない不幸に思えた。世間は浮かれ騒ぎ、TVのニュースでは行楽地の様子やそのせいで渋滞する高速道路の映像が伝えられるのに、自分はこの家にいる限りそれには一生縁がないのだ、と感じるとそう思ってしまうのも無理はなかっただろう。
だが、自分も年を取って社会に出てみると、驚くほど考え方が変わる。まぁ、変わらないケースもあるだろうが、自分を取り巻いていたある種特殊な関係がとても愛おしく思えてくるのだ。そういう家に生まれたからこその経験や絆もあったりするものなのだ。
思春期の雪子にとって旅館業というのは、まだまだ重くシガラミでしかないのかもしれない。旅館業の経験はないが、おそらく家族で遠出の旅行をした経験はほとんどないだろうし、そもそも休日という概念がないかもしれない。接客業には向き不向きもあるし、広い旅館を管理・維持するためには寝る間を惜しんで働かなくてはいけない日も少なくないはずだ。
そうしたモノが日々積み重なった結果があのシャドウなのである。シャドウが王子様を求め続けたのは、そんな自分の境遇から引っ張り出してくれる存在として考えたのが、おとぎ話に出てくるような理想の王子様ということなのだろう。
だが、王子様である必要性は別にあったように感じている。
それは、“夢”だ。
雪子には、旅館の跡継ぎではない自分の未来像が描けていないような気がする。「“何かになりたい””何かをやりたい”という自分の将来像に対して旅館の女将ではそれを成すことが出来ないから、ここから飛び出したい」という前向きなモノではないのだ。
彼女はただ漠然と自分を縛るモノから逃げ出したいだけで、逃げ出した先で何をしたいのかが何もない。遠くまで羽ばたけたとしても、いずれ彼女は自分が何のために羽ばたいていたのかという自問自答で落下してしまうだろう。
だから彼女が助けを求めるのは、王子様でなければならなかったのだ。
絵本の中の王子様のように、助け出すだけでなく、その先の自分の人生まで手を取り引っ張って行ってくれる人でなくてはいけなかった。自分を束縛から解放しつつ、自分の未来を狭めることなく、それでも自分を先導してくれるような理想的な人間を求めたからこそ“王子様”なのだ。
もちろんそんな都合のいい人なんて早々いるものではない。雪子自身が悟ったように、自分で何もせずに他人に「救ってくれない」と依存していてはいけないのだ、と。
大切なのは自分が生まれた家が家業を持っていて、自分がそれを継ぐ立場にあるという環境ではない。大切なのは、自分自身が成したい夢があるのかどうか。
この先、雪子はどうするのか、というのはちょっと気になるところ。千枝に言われたように(漠然としながらも)遠くへ羽ばたく道を選ぶのか、はたまた女将の座に収まるのか、それとも彼女なりの具体的な夢を発見するのか。
最終話までには、この先彼女がどんな道を歩むことになるのか描いてくれるのだろうか。もしそうだとするならば、彼女や私のように生まれた家で人生が決まってしまうような家系に生まれた人たちが、この先どう生き、どう考えていくべきなのかを考える、一つの方向性を描いてくれることになるかもしれない、と期待したい。
次回『Would you love me?』
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