セイクリッドセブン 第6話
『ワンモアナイト』
≪あらすじ≫
輝島ナイトは、悪石化をしても自我を保つために必要な血清を確保するため、藍羽ルリの誘拐を決行する。一方、そのナイトが敵視する研美悠士は、自らの組織に所属するセイクリッドテイカーの脱走を阻止するため自ら出撃するも、左腕を負傷していた。
その頃、ルリに昼食を誘われたアルマ。しかし、人を避けて生活してきた彼にとって急激に距離を縮めてくるルリにどう対処していいのか解らず、結局昼食を断る形になってしまう。
そんな折、財団理事会へ向かう途中、ルリがナイトによって誘拐されてしまう。誠がすぐに捜索を開始し、悠士も部下のSPを連れて出撃。ルリを誘拐したナイトは、次の狙いをアルマへと向ける――
≪感想≫
◆ブレない主人公の設定
今回意外だったのは、アルマが結局ルリの誘いを断ってしまう形になったこと。従来の作品ならあそこでルリを呼び止めて一緒に食事を取ることで、二人の距離が縮まっていく展開になったことだろう。でも、そうはならなかった。なぜか? それは、アルマの設定が背景にあるからだろう。
アルマは、過去の事件をきっかけに他人を寄せ付けない生活を送ってきた。そんな彼にとって他人との接触は、未知の部分が多過ぎて、対応の仕方が解らなくなり、一種の恐怖さえ感じているのかもしれない。確かにずっと、人を避けて生活してきたはずの彼が、いきなりルリの心をフォロー出来るような配慮が出来るとは思えない。恐ろしいほどに不器用なうえに、経験もないからアルマには何も出来なかったのは、とてもリアルに感じる。
一方のルリは、幼少期から両親が殺され財団のトップとして奔走してきた。おそらく財団幹部や他財団の幹部とも社交界や会食の席が設けられており、彼女はアルマとは真逆に他人との接触を多く経験し乗り越えてきた強者なのだ。
だから、彼女は「まずは食事でもしながら少しずつ」と思い、アルマとの距離を縮めようとする。普段は、そういった幹部クラスを相手にするから、相手もそれなりにそうした場を経験し社交というものを理解するから、ルリの対応でOKだったが、さすがに相手が悪かった。前述のように、アルマにはそうした人付き合いの経験値が絶対的に足りないのだ。ルリの対応は相手のレベルを見誤ったところにあるともいえる。
こうした二人の対比は、二人の背景にある設定がしっかりと活かされている良い展開と言えるだろう。安直に仲良くなるのではないのは、人間関係としてはとてもリアル。
その証拠に彼は未だにルリを「藍羽さん」と呼ぶ。まぁ、「ルリ」なんて呼んだら鏡誠にブッ飛ばされそうだがwww しかし、この“名前”というのは一つのポイントになるかもしれない。単純な話だが、お互いの呼び名は互いの好感度や親密度が反映されるからだ。もしも、アルマが彼女を「ルリ」と呼べる日が来るのなら、それは二人の距離が縮まった証になるだろう。
◆いろいろと考察してみる
1.ルリの能力「善石」とは
ルリの能力である「善石」は、悪石化した人の自我を取り戻させ、危険のない変身を可能とする。
おそらくルリはアルマの記憶を受け入れ共有することで、アルマ本来の自我とセイクリッドアルマとして暴走する精神を分離させ、暴走した精神だけをルリが取り入れ浄化することで、アルマは自我を持った状態でセイクリッド化を可能とする。
しかし、そこには大きな時間制限もある。それはそうだろう。所詮アルマとルリは別々の人間なのだから、記憶の共有とそこから浄化までを続けるには、たぶんずっとアルマとルリが接触しているか融合するくらいでないといけない。
そこで、その代用品となるのが宝石。宝石の中にルリの浄化の力を溜め込んでおき、それをアルマが取り入れることでその宝石がアルマとルリを仲介する装置となり、ルリはアルマの暴走する悪しき精神だけを浄化し続ける。そして宝石が耐久値の限界を超えると粉々に砕け、ルリの力はアルマに届かなくなる、と。
悪石に対して使われる「血清」はこのルリが持つ浄化能力を人工的に生み出すものだと考えられる。悪石の血液を採取しその血液を特殊な機械にかけることで血清を生み出し、それを体内に取り入れることで暴走する精神を鎮静化させるものだと思われる。
研美の下を離れたナイトにとって血清は必需品。だが、血清を作れる翡翠も人なのだから量には限界もあり、悪石のものを使った血清にも限界がある。だから、彼は天然の血清であるルリを狙う。おそらくルリの力は血液を通して全身をめぐっているものと考えられ、彼女から得られる血液はそれだけで強力な純度を持つ血清になる可能性を秘めているはずなのである。
2.アーティジェムスーツ
セイクリッドテイカーを分析し人工的にその能力を与えるためのスーツだろう。機体を動かすのに必要なのは、おそらく宝石だと思われる。
#05のコランダムレーザーキャノンを覚えているだろうか? あの発射基部には小さな宝石が内蔵されていた。おそらくコランダムレーザーキャノンが強力だと言われている理由は、セイクリッドテイカーのように宝石の力を応用して出力を引き出すものだと考えられる。ならば、同様の技術をアーティジェムスーツに使っていてもおかしくない。
実際に今回研究員から「クラリティ」という言葉が出てきた。「ひそかにささやかにアニメ等を応援している日記」さんでこれもまた解説されているので、興味を持たれた方はクリックして跳んでほしい。これも宝石用語のようである。
しかし、これだけのものを作るとなると相応のセイクリッドテイカーのデータが必要になるはず。それも悪石化した状態でのデータが、である。
単純だがやはり研美は、セイクリッドテイカーをモルモットの人体実験を繰り返していたと見るのが妥当なのだろう。彼が藍羽ルリを重要視するのは、彼女の能力はもちろん彼女の藍羽財団が研美にある程度の出資をしているからではないかとも考えられる。つまり重要なパトロンであり、資金源だと考えられるのだ、ルリは。
3.なぜアルマは狙われるのか。
ナイトが執拗に狙うアルマ。
おそらく彼は外部にいる数少ないセイクリッドテイカーを同志として迎え入れ、研美を叩き潰して同胞を解放しようとしているのではないだろうか。ナイトがアルマを倒したところで彼にとって大きなメリットはない。もちろん、競合相手が一人減るだけで有利な部分はあるだろうが、先の戦いで同等の戦闘力を発揮したアルマとの戦いはリスクも大きいことを知っているはずである。
ならばナイトは打倒研美のためにアルマを取り込もうとする。アルマを味方に引き込めば単純に戦力は倍。アーティジェムスーツがあるとはいえ、まだまだオリジナルのセイクリッドに対抗出来る力があるとは言えない今なら、倍になった戦力で研美と研究所を破壊しつくすことも不可能ではないだろう。
また、同じセイクリッドの生い立ちを持つ者同士には彼ら同士にしか解らない部分があると感じているのかもしれない。ナイトも、アルマも、他人を避け他人から避けられて生きてきた共通点はあるわけだから、その孤独さは大きな共通部分である。
ルリの誘拐は単純に血清を得る目的はもちろん、彼女を引き込むことでアルマも一緒に引き込む狙いもあると感じる。そして、ナイトはおそらくルリにも真実を明かす。研美がしている人体実験を告発することで、ルリの協力も得られれば得たい考えだ(得られなければ無理矢理になるだろうが)。
逆にナイトはルリに対して脅迫をするかもしれない。「協力しなければアルマを殺す」と。
ただ、それにルリが従う可能性は半々といったところか。ルリは知っての通り、悪石を憎悪しすべての悪石を滅ぼそうとしている。すでにこの時点でアルマや鬼瓦はどうするのか、という矛盾を孕んでいる。
そして、もしナイトが研美の悪行を告発し、彼が行っている非人道的な人体実験を聞いた時、彼女は大いに悩むだろう。人としての尊厳が奪われるような実験をされているならそれを救いたいと考えるだろうが、それは悪石を救うということ。自分が滅ぼしたいと願う相手を救うことになるのだ。
このあたりが、次回以降どうなるのかの注目だろうか。
次回『真実のヨシアシ』
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月詠さん、こんにちは~
メチャ照れ臭いですね^^
記事の方、興味深く読ませて頂きました。
とても面白かったです!
そうすると、変身時にルリがアルマに「あげる」ものは、宝石の力で増幅させた強力な血清みたいなもの、という感じになるでしょうか。何かそこに心を込めてる感じがしますねw そしてアルマ一人の力でなく、ルリの力を用いて変身するところが面白いなーと思います。
それから、アシに対する血清が存在する、という事から研美研究所では、アシだけでなく、ヨシに対する研究も かなり進んでいるのかもしれないですね。
まぁ、とにかく様々な設定や用語が盛りだくさんで、頭が大変になる事も^^;
という事で、失礼しました~。