神様のメモ帳 4話
『はなまるスープ顛末記』
≪あらすじ≫
アリスたちにとっていろいろな意味でなくてはならない場所・ラーメンはなまる。そこにここ数日、サングラスをかけた不審な男性が出入りしていた。連日違う味のラーメンを注文しては、ほとんど手を付けず代金を払ってさっさと帰ってしまうという奇行を繰り返していた。
そんなある日、はなまるの店長ミンが普段胸に巻きつけているサラシが盗まれてしまった!? さすがの事態にミンも、アリスへ事件解決を依頼。アリスたちは部屋に侵入して入浴中のミンの隙を狙った犯行が、サングラスをかけた男と関連があると決めた。
防犯強化のため、出入り口のカギの付け替えを提言されるがミンはそれを頑なに拒む。そのことを鳴海から聞いたアリスは事件の全貌を把握する――
≪感想≫
◆ミンの想い -口にしないからこその重み-
ここ数回は、主人公・鳴海がメインであったせいか酷評ばかりだった『神様のメモ帳』だが、今回はこのBlogらしく一キャラクターの心情に着目して記事を書けそうだ。
ラーメンはなまるの店主・ミン。彼女の過去は、メオ編で語られた通り。彼女の中には複雑な胸中があったに違いない。
元々、彼女はラーメンはなまるを継ぐつもりなどなかった。だからラーメンに関してはまったく勉強していない。こうした一種の反発にも似たものが、何か親子の関係に溝を作るような事件があったせいなのか、それとも思春期特有の反抗期だっただけなのかは、ここでは解らない。けれど、そんな親子仲のまま父親は蒸発し失踪してしまう。
これだけ書けば親子の仲は悪いようにも思えるが、私にはそうには見えない。前の段落でこの反発がどんな理由によるものなのかを言及したが、(原作で言及されているかどうか解らないが、アニメ版を視聴する限り)実際には反抗期だっただけのような気がしているのだ。
理由は、彼女が父親と反目し合いながらも父親と同じ道を歩いている点を挙げれば十分だろう。それは、まだ父親が失踪する前から、だ。
父親がラーメン店の店主だったミン。継ぐ気なんてさらさらなかったミン。でも、彼女が学生時代に学んでいたものは何だったのか、思い出して欲しい。
そう製菓学校である。しかも首席で卒業している。
彼女はちゃんと父親の背中を見て育ち、偶然か、あるいは必然か父親と同じ道を歩いている。二人とも、ラーメンと製菓(アイス?)と求めるモノは違えど同じ料理人としての道を、だ。
父親が失踪したあと、店を閉めることも出来ただろう。だが、それをしなかった。それは彼女の天性の姉御肌(面倒見の良さ)や常連客を慮ったもの……だけではないはずだ。もしそうなら、なぜ彼女は家の鍵の付け替えだけは頑なに拒んだのか?
あの店は、ミンにとって父親との唯一の繋がりだったに違いない。メオ編で言う、『携帯電話』と同じくらいのキーアイテム。それがラーメンであり、ラーメン店なのだ。
もしかしたら父親が帰ってくるかもしれない。あんなのでも父親だし、いつ帰ってきても良いように、いつでも帰ってこれるように……。
ミンにはそんな感情があったのではないだろうか。だからこそ、彼女は家の鍵の付け替えだけは頑なに拒んだ。おそらくその鍵だけは、あの店があの場所にある時からずっと変わらないものであり、家族だけが入ることを許された扉という意味があったから。
反発しながら親のしてきたことを継ぐのは並大抵のことじゃない。まして自分にとって門外漢(まぁ、料理人としては同じ道なので門外漢と言い切るのは難しいが)ならなおのことだ。もしかしたら、こんなことでも「ツンデレ」なんて言葉が当てはまってしまうのだろうか? 個人的にはその呼び方はオススメしないなぁ、と思う。ミンの想いと決意は、そんな俗物的な単語で片づけられるようなものではない。
「父親が帰ってきたら一発殴ってやらないと気が済まない」と鳴海に公言するミン。でも、それは愛情の裏返しだろう。本当に愛想を尽かしたなら殴ることすらしないと思わないだろうか? 顔を見るのも嫌だからむしろ帰って来て欲しいとさえ考えない方が普通じゃないか?
帰ってきたことを仮定してそれを堂々と口に出来る。それはきっと、彼女なりの失踪した父親へのたくさんの愛情とほんの少しばかりのやるせなさが詰まったモノに違いない。
さて今回の短編は、前回までに散りばめられていた要素(伏線・布石)を回収出来た良い物語だったと思う。もちろん娘がサングラスをかけていたとはいえ父親に気付かないのはなくないか? という無理のある部分もあったわけだがw(ただこれには異論があって、人は目と目元を隠すだけでもだいぶ印象が変わる(犯罪者の写真で目と目元が黒い線で塗り潰されるのもこれがあるからだろう)。まして数年会ってなくて髪型や若干体系や着衣が変わればガラリと変わるものであるから解らなくても不思議ではない)
ただ、そんなことを記事で言及することを忘れるほど、良い意味で多くを語らない登場人物と演出が観ていて心地よかった。
ミンに関して今回その心情を掘り下げた記事をメインに書いたが、私の書いた部分の多くは与えられた情報から推測したものばかりであり、劇中で明言された部分は実はそんなに多くない。それでも、多くの人たちがこれに似たような感想を抱いたのではないだろうか。
こうした物語が展開されるモノは、アニメ問わずドラマや映画といった分野でも視聴者や読者が推測するマージン(空白)部分や余韻を得られるような部分があることが望ましいと思っている。もちろん作品にもよるが、何でもかんでも登場人物の口から、一から十まで語られるのは無粋というものではないだろうか。かといって語られ過ぎないと、今度は描写不足を感じてしまうから、この辺りの塩梅は本当に難しいと思う。だが、それだけにこうした部分が巧い作品は本当に、分野を問わず楽しめる。
『神様のメモ帳』は2・3話では、悪い意味で語られない部分が多過ぎて原作未読の視聴者としては正直困惑したし、理解し難い部分もあって今後に不安を残していたが、この短編を視聴する限り、モノによっては“語られない”という部分を巧く活かしているエピソードもあるのだな、と感じさせてもらった。
余談
結局、どうして最後はあんな風になったんだろう? えっと単純にアリスのバストサイズが知りたかったけど、あの下着メーカーの変態が気を遣ってお詫びとばかりに適合するサイズの下着を持ってきたけどかけ間違えたってこと?
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NoTitle
あっちが面白かっただけに、余計にそう感じます。
最も悪いところは、JCにはよくある『原作の改悪』。
アニメでは1話(オリジナル)→2、3話(2巻)→4話(4巻短編)→予告5話(5巻)…という、原作組をこれでもかと振り回す内容。
論理的に、順序立てて組み立てられていた、原作の伏線を見事に無視しています。これは1巻をやらなかったため。
シリーズの中でも1、2を争うほど人気のある1巻を飛ばすというのはあんまりな選択。
ハルヒみたいな作品でもないのだし、推理物なのだからシャッフル式(厳密にはこれも違うのだが、ネタバレになるので控えます)は使うべきじゃなかった。
伏線や物語をすっ飛ばしているので、四代目との盃なんかものすごく薄っぺらく感じました。
トリックも意味のない改変を加えたり(メオの携帯のシーンとか)、説明をまるごとはしょったり(3話でのナルミの作戦)。
…とはいえ、アニメ化するには難しい作品であることは分かります。
でも、改悪さえなければここまで評判が落ちなかっただろう…と言うのが、正直な心情です。
ちなみに、今回の話のオチは「テツ先輩やヒロさんらに、警察に通報しないかわりにアリスとミンさんの下着を無料で作ってプレゼントさせようとしたものの、入れる箱と中身を逆にしてしまってどちらも使えなかった」…というものでした。