DOG DAYS EPISODE 13(終)
『約束』
≪あらすじ≫
地球に還れるが、フロニャルドで得た経験も記憶も喪い、二度とフロニャルドには戻ってこれない。その状況でもシンクは最後まで明るく振る舞う。自分も忘れないけど、自分のことも忘れて欲しくないから、彼は自分が地球から持ち込んだ私物の中で可能な限りのものを多くの人たちに形見分けのようにして遺すことを決めた。
送還の儀が始まる。「帰らないで」「大好き」と思いのたけを明かすミルヒに、シンクも応える。
――必ず、帰って、来るから、と……。
地球に帰還したシンク。彼には2週間の春休みの記憶がなかった。だが、心は何かが欠けたようにぽっかりと空白を感じ、切なさが去来する。
一方、シンクの去ったフロニャルドではガレットの書物の中からなぜかビスコッティの封がされた便箋が発見される。そこには勇者送還の儀式についての注意事項が書かれていて――
≪感想≫
◆偶然という名の必然、奇跡という名の常識
この展開と結末、予想出来た方もいればそうでない方もいるだろう。ただ、批判的な視聴者からは「ご都合主義だ」という声が上がりそうな展開と結末であることも事実だ。あの展開でシンクを再召喚するために必要な要素が実は全て満たされていた、というのはとてつもない偶然だし、奇跡だと言っていい。
だが、それをご都合主義の一言で片づけて良いものだろうか?
わずか2週間の滞在であったが、そこには大きな出来事があり、それに対してシンクはミルヒ、エクレ、ユキカゼ、ダルキアンらはもちろんガレットのレオやガウルらとも親交を重ね、友情を育み、信頼と絆を積み上げて来たのである。
もしそんな人たちと永遠の別れをしなければいけないと思ったら、少しでも自分のことを覚えていてもらおうと自分の身の回りにあるものを譲ったりメッセージを残したりすることはごく自然なことだ。そしてそれらを託された面々も、それをとても大切にしてくれた。どうでも良い人の形見分けなんて表面上は受け取って、その後はおざなりに扱われてしまう可能性だってあるわけだが、そうではなかった点はシンクとフロニャルドのみんなとが2週間で築き上げてきた友情や愛情の証明である。
またシンクがフロニャルド文字を書けているのは、彼が2週間の間でちゃんと勉強していた証でもある。その伏線は、サービスシーンとして処理されがちなミルヒの入浴シーン直前の男湯・女湯の文字の見分けでちゃんと残っている。だからこそ、シンクは(ところどころ間違って打ち消し線が引かれてあった)手紙を残すことが出来た。
偶然ではなく必然、奇跡ではなく常識。
一見すればそれらはご都合主義に見えるものであるのは事実だ。でも、そこに至るために必要な道をちゃんとシンクもミルヒたちも歩いてきた結果の上にこれらは成り立つのである。
もちろんそうした要素が結果としてシンクの再召喚に必要な要素であった、という部分は偶然であり奇跡だ。だが、その偶然や奇跡を引き寄せて可能にしたのはシンクとミルヒらとの信頼と絆である点を、私たちはこの展開を肯定するにせよ否定するにせよ決して忘れてはいけない。
◆作品から見るこの結末 -必要なのは理想と希望-
アニメ作品として見た時、やはりこの結末はお約束というと語弊があるかもしれないが、そうした決まった展開だったようにも感じるし、その通りになったことに一視聴者として十分満足している。予想を裏切る展開が、必ずしも良いわけではない。時として予想通りの展開こそがベストであることがあるのである。
「現実(リアル)には理想が足りない。
だから理想の結末が必要なんだ」
これは『神のみぞ知るセカイ』の桂木桂馬が長瀬純というヒロインを攻略し終えた時に発した言葉だ。フィクションの主人公が放つセリフだが、だからこそ十分にアニメや漫画といったフィクション作品全体に当てはまる言葉だと思っているし、『リリカルなのは』シリーズ含め原案・脚本を担当された都築氏がフィクションの作品に求めている部分はきっとこう言う部分なのではないかと、勝手に解釈している。
もしも、あのままシンクは記憶を取り戻せず、ミルヒたちは永遠にシンクを再召喚出来なかったとしたら、貴方だったらどう感じるだろうか? 「リアルな結末で良かった」と諸手を挙げて賛同出来る方ももちろん居て良いと思う。それは一つの作品の見方だと思うし、そういう結末で良かったと思えるような作品だってたくさんあるのも事実だからだ。
でも、それでも私はせめてフィクションの作品の多くには
希望と理想がある終わり方であって欲しいと願う。
どんなに苦しいこと、どんなに辛いこと、どんなに厳しいことがあったとしても、その先にあるエンディングにはひとカケラであったとしても、希望が残り、理想を夢見れる終わり方をフィクションには求めてしまう。
それは、私たちが実際に生きる現実にはそうした希望や理想をなかなか見つけにくいからでもある。もちろん希望や理想なんて探せばたくさんあるはずなのである。でも、私たちは日々の生活に追われてしまっている。追われてしまっていて探す暇がないかもしれない。もしかしたら、ある人は探し方が解らないかもしれない。
そんな理想の足りない現実(ノンフィクション)に生きる私たちには、きっと理想の結末を迎えたフィクションが必要なのではないだろうか?
そして、それを都築氏はフィクションの作品の中で精いっぱい表現しようとしている。そんな印象を受けている。
それはきっと希望や理想を見つけにくくなっている私たちに、理想とはどんなものだったか、希望とはどんなものだったかを示してくれるに違いないからだ。もちろんフィクションの理想や希望が現実に通用する機会は稀なことだろう。でも、そうした存在があることはきっとどこかで私たちの拠り所になってくれると信じている。
◆おまけ -神剣パラディオンの見せた奇跡-
もしも、あの展開で一番の奇跡(悪く言えばご都合主義)は何かと問われれば、タツマキが神剣パラディオンを持ってシンクの前に現れたことだろうwww こればっかりはどう言われても返しようがない。そもそも、ああやってタツマキが地球とフロニャルドを行き来出来る理由がさっぱり説明つかないのだがw
ただ、それで「解らない」の一言で最終話も片づけてしまうのでは、このサイトとして名折れであるのでちょっとばかり推察してみよう。
そうして考えた時にやっぱり大きな要素は神剣パラディオンの存在だと思う。国の領主たる証であり、強大な力を秘める宝剣であり神剣であるパラディオンであれば、犬一匹分くらいのゲートならば生み出せるのかもしれない。実際に、フロニャルドからは何も持ち出しが出来ないと言われていたが、そもそも1話でタツマキが行き来出来ている時点でその言い伝えの真偽は怪しいのである。
記憶を喪っていたシンク。実は記憶はちゃんと残っていて鍵がかけられ封印され、少しずつ消えようとしてたものだった。だからこそシンクは帰還した直後から空虚さと切なさを感じていたのである。そうでなければ、シンクはもっとケロッとしていなければいけない。
そしてその鍵の封印を解いたのがパラディオン。おそらくフロニャ力がないであろう地球では、シンクは紋章術を使うことは出来ないし、パラディオンもその力を発揮することはおろか指輪形態から他の武器形態を取ることは出来ないだろう。
でも、パラディオンが秘めた力を、パラディオン自身が認めた者が触れた時、パラディオンは自らの意思で自らが認めた所有者に奇跡を起こす。それが記憶復活。
指輪に蓄えられていたフロニャ力と、パラディオンが本来あり得ないフロニャルドの物体であることによって、記憶の鍵は解かれ、そして“記憶の封印と消去”という本来のルールからシンクを特例として守ってくれている。
私は、そう考えている。
さて、このラストですし、人気さえ出れば『リリカルなのは』の前例もあることですから、第二期はもしかしたら、もしかするかもしれませんね。すでに大々的なイベントが決定しているわけですから、もしかしたらそのイベント会場で第二期やOVD化、ゲーム化なんかが発表されたりするのでしょうか? イベントに参加される方々にはぜひとも速報を期待したいと思います(笑
なにはともあれ、まずは1クールの間、スタッフの皆様ありがとうございました。
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- [アニメ(放送終了):DOG DAYSシリーズ]
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お久しぶりです。
1クールの間、毎回の感想とご考察をとても楽しみながら読ませて頂きました。
ありがとうございます。
今回の終わり方に関しては全くの同意です。もちろん、ご都合主義と行ってしまえばご都合主義である終わり方であったとも思いますが、それで終わらせてしまうのはとても悲しいなとどうしても私は思ってしまいます。
彼らの愛と友情と大きな努力があったからこそのこの結末。奇跡だって降って沸いてくるわけではないというその部分を忘れたくはないですね。まさに “偶然ではなく必然、奇跡ではなく常識。” というのはその通りだなと思いました。
そして私自身、彼らが完全な別れを迎えてしまっていたとしたら 「リアルな結末で良かった」 とはきっと全く思えていなかったのではと感じます。もちろん、リアルな結末を迎えることで伝えられるメッセージというのはあると思いますし、そういう作品だってたくさん存在しているとは思いますけど、でもこの作品にはせめて最後まで温かく希望の溢れる話を描いて欲しかったですから。
それも私個人の考えであることは違いないですし、必ずそうあるべきだったとは言いませんけど、でもだからこそ同じように月詠さんが感じていてくれたのはとても嬉しかったです。最後は少しウルっときてしまいましたが、とても素晴らしいものを読ませて頂きありがとうございました。2期あるといいですね。私も期待しています。