神のみぞ知るセカイII FLAG 11.0
『いつも心に太陽を』
≪あらすじ≫
理想を追い求める自分と現実を向いて生きる生徒たちのギャップに悩まされる純は、自分を励ますためプロレス観戦へ。そして、純に攻略のペースを握られっぱなしだった桂馬は、ここでいよいよ逆転のための反撃へと転じる。
純が理想を押し付けたせいで、押し潰された人たちが大勢いる。昔のバスケ部員のように、今の生徒たちのように。
批難されたことで居ても立ってもいられなくなり、桂馬を避けるように逃げ出す純。翌日、クラスでマラソン大会への出場を提案し、すでに登録も済ませたと発表するとクラスからブーイングが。
学生時代の二の舞に純はまたしても逃げ出してしまう。桂馬は、そんな彼女を追いかける。そこで彼は純に一つの答えを提示する――
≪感想≫
◆桂馬の攻略 -栞と純の比較-
10話の感想Blogで、(原作既読と思われる方々の)感想の中に長瀬純編の纏め方が強引で良くないと言われていたので実はずっと気がかりだったのだが、アニメ用に改変されたのか全然そんなことはなかった。むしろ良かったとも思えるくらい。もしかしたら、アニメ版『神のみ』の中で一、二を争うほど良かったんじゃない、展開的に。
そもそも、このエンディングは予想外だった。てっきり、桂馬は純に対して現実への折り合いを提示するものだとばかり思っていたが、桂馬は逆に理想をさらに貫き続けることを純に求めてきた。
思えば、現実(リアル)に絶望し、家でも学校でも勉強中でも運動中でも自分の“理想”と定めたギャルゲーを片時も手放すことなく信奉し、その意志を貫き続けてきた桂馬が、「現実に折り合いをつけること」を口にしたところでそれは薄っぺらなだけだし、幾ら攻略と言えど桂馬が自らの信念を否定するようなことを口にするはずがなかった。
そう考えれば、桂馬が「さらに理想を追い続けろ!」とアドバイスを送ったのは、攻略中なんだけど同じ理想を探求し続ける者同士の同志である桂馬らしいアドバイスと言える。
長瀬純というキャラクターは、第一期のラストヒロインだった栞に似ていると思わないだろうか?
栞は「本が大好きで本に囲まれる世界であればそれで良い」という“理想”と「自分が周囲の人たちから見て浮いている(そして本当は友達ともいろいろな話もしてみたい)」という“現実”の狭間で揺れ動いていた。純もまた、「自分が抱く、自分が目指すべき」“理想”と「誰かのために頑張りたいと願う」その『誰か』という“現実”の狭間で揺れ動き、苦悩し続けてきたわけだ。
第二期のファーストヒロインであった楠も似ていると言われたことがあるが、そもそも『神のみ』のヒロインの多くが理想と現実の間で苦しんでいるケースがほとんど(歩美、美生、かのん、栞、楠、ハクア、ちひろも自分や周囲の現実と、周囲の人が求める自分の姿という理想の狭間にいたわけだ)。
だから、その中でより細分化するならば『理想の自分を追い求める反面、その理想と現実の狭間で揺れ動きながら、それでも“理想”のベクトルに大きく突き進みながらも進みきれない精神的な弱さを抱えたヒロイン』に栞と純は該当する(あとは大枠ではかのん、ハクアが該当するが、その辺はせっかくなので追記以降におまけとして私なりのヒロイン分類を残しておくので、興味があったら追記を開いて欲しい)。
似たようなヒロインだった純と栞。だが、この二人の決定的な違いは、その真の願いがどこにあるのか、という点。純は自分の願いは“理想”にあり、そして実は栞の願いは“理想”にあると見せかけて“現実”にあった(上記の()内の「本当は友達ともいろいろ話もしてみたい」という部分)。
でも、純は違う。
「みんなのために頑張りたい」という彼女の願いは、一見すればそれは“現実”にある願いのようだが、「みんなのために頑張りたい」という願いそのものが彼女の“理想”に直結するものであるため、この願いは“理想”に帰結するものだ。
だから、攻略方法も違った。
桂馬は栞の時に、まず相手の理想を徹底的に罵倒し否定しながらそれを別の側面(栞の理想ではなく心情)から肯定して好感度を短時間に向上させる手段をとった。だが、純の時にはその理想を肯定し続けた。彼が批難したのは純の理想ではなく、理想に突き進むことを恐れる彼女の心であり、その手順は栞の時とは真逆と言える。
最後の決め台詞にもそれが現れている。
栞の時、桂馬は彼女が理想を捨てないまま現実に歩み寄れるよう背中を押した。それは栞の本当の願いが、“理想”(本の世界)の維持であると同時に、“現実”の向上だったからだ。
だが純の時には彼女が理想を突き進め続けるように背中を押した。それは純にとって“現実”は(やや暴論だが)自らの“理想”を叶える場ではあっても歩み寄って慣れ合う場ではなかったからだ。
しかし、振り返ってみれば桂馬は最初から「相手を怒らせて(感情的にさせて)、相手を自分と同じ立場まで引きずり下ろして攻略する」という攻略法を提示していたが、結局はその方法でここまで来たのだから、やっぱり桂馬は落とし神なのだなと思わせてくれるw
◆理想は貫くもの -純に足りなかったものは強固な意志-
純にとって必要だったのは、私たちが安易に考えた「現実との折り合いの付け方」ではなく例え自分が傷ついたとしても自分の理想を貫き続け、その姿を見せ続けるだけの精神力だった。
純は「みんなのために頑張りたい」という願いを持っていて、その願いを叶える指標としていたのがプロレスの熱血な部分だった。そんな彼女に、「それは間違っている。みんなのために頑張りたいならみんなの意見も聞かなくちゃいけない。生徒のために折り合いをつけるべきだ」と進言するのは、今の彼女を積み上げてきたモノを土台から全て破壊するに等しい。
もちろん、そうした荒療治が功を奏する場合もあるだろうが、少なくとも今回は違っていたのだろう。そもそも彼女はバスケ部の一件で学生時代に一度挫折している。それでも彼女はそこで「現実と折り合いをつける」のではなく、再び立ち上がって今度は理想の教師を目指したのだ。
それはもう桂馬がギャルゲーを信奉しギャルゲーを理想と奉るのに等しい、魂や心に刻まれたモノとでも言うべき存在。それはやっぱり否定されてはいけないモノのような気がする。
思えば、学校にいる教師が全員現実と折り合いをつけてばかりというのも悲しいものがあるし、「それで良いのか?」と思ってしまう部分があるのも事実。一人で全てのバランスをとるのではなくて、教師の中にも理想に燃えたぎる教師もいれば、現実主義者なリアリストな教師もいて、そうした『教師』という全体の中でバランスが取れた方が良いのかもしれない。
今回、桂馬のクラスメイトたちは純の理想にはついていけなかったが、だからと言ってついていけない生徒だけしかないとは限らない。もしかしたら隣のクラスには純の理想に同調する生徒が一人でもいるかもしれないじゃないか? そうなれば純のような熱血教師にも需要はあると言うことになる。
そもそも隣のクラスも何も、ケースバイケースなら歩美とか純に同調しそうな側面もあるし。
純が選んだ道は険しい。それは桂馬を見れば解る。“理想”のために“現実”を捨てた桂馬には友達と呼べる友達はいないし、何かあればちひろや今回の男子生徒のように「オタメガ」と侮蔑され、その“理想”は誰にも理解されない。純が選んだ道はこう言う道なのだ。彼女が“理想”を貫けば貫くほど影で「ついていけない」と言われるだろうし、その“理想”を特に現代の学生では理解してくれないだろう。
それでも純はきっと、今度こそ自分の“理想”のために突き進み続けるだろう――その胸に、「理想を貫けと応援してくれた生徒がいた」という記憶と共に。
(駆け魂が出て攻略が完了したことで桂馬とのことは記憶から消えるだろうが、ここまで攻略された歩美らを観る限りでは心の隙間を埋めた要素は曖昧な形だが、確かな事実として残る可能性が高い)
そういえば、展開的にマラソン大会はどうなったんだろう。たぶん強制参加から希望参加には切り替わったんだろうな。
それに最後はちゃんと送られていたし、黒板にメッセージも残っていたし、生徒たちとの関係も少しは改善している? もしかしたら純も今回の一件で吹っ切れて、少しは限度を覚えたのかもしれないなぁ……例えば授業とプライベートの区別は付けて、授業中はトコトン熱血で突き進むけどプライベート(今回で言えば授業外であるマラソン大会への強制とか時間外に電話をかけて強制的に悩みを聞くとか)への干渉は避けるとか。
◆おまけ
歩美「えー、ギターって高いじゃん! 全然安くないよ」
ちひろ「そうかな。安い方だよ、これでも」
歩美「そうなの? うーん、でも高校生でなかなか手が出せる額じゃ……。
だいたいどうして私、ギターなの?」
ちひろ「え? だってギター似合いそうだし、なんか巧そうじゃん」
歩美「いやいや、似合いそうなのは嬉しいけど巧そうってなんかおかしくない?」
ちひろ「そんなことないって! あと黒い猫耳とか似合いそう!
いっそ、黒髪のカツラ被ってツインテールにしてみない?」
歩美「え?(……想像中……) あれ、なんかデジャヴを感じるんだけど」
ちひろ「デジャヴ?」
歩美「ううん、デジャヴって言うより前世? なんか私も似合う気がしてきた」
という中の人ネタです(笑 いや、だって歩美がギターやったらそりゃああずにゃんじゃん!(マテコラ 本当に放映中、普通にこのシーン観ていて竹達声で比較的活発な子がギター演奏するって「それ、なんてあずにゃんwww」と思ってしまった(ノ∀`*)アイター
FLAG 12.0『サマーウォーズ』
◆月詠風 『神のみ』ヒロイン分類
本作では本文で記載したように現実と理想の狭間で苦しんているヒロインが全てと言っても過言ではない(現時点で)。そこでグラフのような形が分類としては解りやすいかな、と思う。ちなみにこんなグラフ(下記)。
意志が強い
│
│
│
│
現実主義──────+──────理想主義
│
│
│
│
意志が弱い
▼パターンA(理想主義で意志が強い)
・青山美生:理想の自分を貫こうとした意志の強さ。X軸、Y軸ともに数値は高い
・春日楠:美生同様、数値の高いキャラで言うまでもなくこのパターンの代表格
・桂木桂馬:そして桂馬も言うまでもなくここに分類されるキャラ
▼パターンB(理想主義だが意志が弱い)
・汐宮栞:このパターンの典型のような存在だが、グラフ上に点を打つとするとX軸がやや現実主義寄りになる
・長瀬純:大枠で栞と同じだが栞とは逆にX軸は理想に大きく傾き、Y軸が中心に寄る
▼パターンC(現実主義で意志が強い)
・小阪ちひろ:理想は追い求めず、現実を見続けながら生きていくタイプ。桂馬が攻略しなければずっとあのままだっただろうし、意外と意志(私は~~なんだから!という思い込み含め)は強い
・エルシィ:精神的に弱いエルシィだが意志はちゃんとあって強い。自分が落ちこぼれであることをしっかり認識している点は現実をちゃんと見ていると言える
▼パターンD(現実主義だが意志が弱い)
・中川かのん:理想を求めながらもちゃんと現実を観た結果、精神的に弱くなってしまったヒロイン
▼パターンE(X、Yの両方が限りなく中心点(0,0)に近い)
・高原歩美:理想と現実、意志の強弱の面で言えばバランスのとれた平均的な感じ
・ハクア:歩美と同じで求められる理想と実際の現実に苦しんだ。歩美よりも意志は強いのでY軸はプラスに寄っていると思う
まぁ異論はあると思うw 分類したけど、あくまで私の主観だから、人によっては同じグラフを使ってキャラを分類しても変わるかな、とは思うけれど、これも一つの形として楽しんでもらえれば嬉しい。
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- at 03:22
- [アニメ(放送終了):神のみぞ知るセカイII]
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NoTitle
まあ多少追加されたり削られたりしてますが
原作ではエルシィが迎えに行くこと提案したあと
予めエルシィが歩みとちひろに言っておいて乗るようにしむけることも桂馬は指示してますが、どちらもどちらでいいとは思いました
しかしEDの入り方はよかったなー