GOSICK 第8話
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[GOSICK-ゴシック-]
『過去の王国に遠吠えがこだまする』
≪あらすじ≫
アランに続いてラウールまで殺害されてしまう。この現状を嘆き、村長や村を想うアンブローズに対し、ヴィクトリカは村長が無実である“証”を証明すると宣言する。そして、ヴィクトリカによるカオスの再構築が始まった。
彼ら美大の学生の正体は盗人であった。そして、アランとラウールは仲間割れを起こし、デリクによって殺害されたのだった。さらに、この展開でこの場にいるはずのないグレヴィールが乱入するも、村長はこの村は「村」ではなく「国」なのだと言い張り、国によって裁くという。
両者一歩も引かぬ状況で、それでもヴィクトリカの目標は変わらない。彼女はアンブローズに“証”を証明した代わりに今度は自分の――ヴィクトリカが求めるコルデリア・ギャロの無実を証明するために協力してもらうと言い放ち、一弥にも大役を任せる――
≪感想≫
セリフ以上に語りかける映像美
前々回にも書いたことなのだが、今回のホロヴィッツ編(?)は今まで以上に映像演出に興味が惹かれる。基本的には、単純にアニメ作品が視聴者に訴えかける要素の多くがキャラクターのセリフや行動だ。そのセリフや一挙手一投足に、時として私たちはその作品のテーマやメッセージを感じる。
もちろん、本作においても一弥やヴィクトリカのセリフや行動からも、キャラクターの内面やその底にある作品としてのメッセージを感じることが出来る。
だが、「目は口以上にモノを言う」という言い回しではないが、時として「映像はセリフ以上にモノを言う」部分を肌で感じた。
そのシーンはいろいろあるが、いちばん大きく解り易かったのはヴィクトリカが肌身離さず持ち続け、一弥以外には触れさせなかったペンダント。序盤では危険を冒してでも取り戻したペンダントが谷底に落ちていく中でも、ヴィクトリカは目もくれず、一弥を助けるために奮闘した。
ヴィクトリカの首から切れて落ちていくペンダント。そのペンダントが、一弥と交錯し、一弥を通り過ぎて闇に包まれた奈落の底に落ちていく。
その様子は、ヴィクトリカの母コルデリアに対する執着心をペンダントが代わりに示していたように見える。
ここまである意味ヴィクトリカの行動原理だったのは「母の汚名を返上する」の一点だったと言える。彼女がカオスの収集と再構成(推理力)を続けていたのも、いつかホロヴィッツを訪れた時に確実に事件を解決し無実を証明するための訓練だったとも考えられる。
またヴィクトリカにとって心の拠り所は、そのペンダントであり、そして母だけであった。父や異父兄たち親族はヴィクトリカを厄介者扱いし、監禁生活を強要していたのだから、そうなってしまうのも致し方なかったのだろう。
だが、ヴィクトリカの前に一弥が現れた。
運命的な出会いと幾度の困難をともに切り抜け、時に笑い、時に言い合いをして、それでも自分に揺らぎない信頼と情を向けてくれる一弥の存在は、日に日にヴィクトリカの中で大きなウェイトを占めるに至ったに違いない。
そして、目の前でヴィクトリカは選択を問われる。
母との唯一の絆ともいえるペンダントか、あるいは九条一弥という少年か。
物と人の命は同列に扱えないという人もいるかもしれないが、ヴィクトリカにとってあのペンダントはおそらく生きる唯一の支えだったはずだから、この選択はヴィクトリカにとって私たちが想像する以上に重い。
それでもヴィクトリカは一弥を選ぶ…それこそ迷いなく。むしろペンダントの心配をしていたのは一弥の方だったくらい。
肌身離さなかったペンダントという名と形を取っていた「ヴィクトリカにとってのコルデリアへの執着」は、彼女の首から外れた。そして、そのペンダントにヴィクトリカが宿していた無念や執念といった重々しい負の想念を示すかのように、重力に引かれて谷底へと落下していく。
そして、ずっとその重い負の想念を持ち上げていたヴィクトリカの両手は、そんな負の想念よりもずっとヴィクトリカにとっては無くしてはならない重みに変わっていた一弥へと伸ばされたのだ。
ペンダントと一弥。
もしかしたら、ヴィクトリカにとっては比べることが出来ない両者かもしれない。だが、あの瞬間、ヴィクトリカの想いは谷底へと落ちていくペンダントから離れ、一弥へと移ったのだ。
もちろん、ここに至るまでには布石もあった。ヴィクトリカと一弥がここまで苦難をともにし、何気ない――けれど大切な日常をともに謳歌してきたからこそ出てきた答えだ。ヴィクトリカも一弥に惹かれていることは、彼女が夏至祭で先祖の霊から未来の神託を聞ける際に、一弥と同じで「いつまで一緒にいられるか」と問うたことからも間違いない。
それでも、やっぱりあの瞬間が明確な変化の瞬間なのだと思う(それはコルデリアの無実を証明出来た後だったから、というのももちろんある)。
最後のシーンの手前、ヴィクトリカは真っ赤に腫れた自分の両手を、何とも言えない表情で見つめていた。それはヴィクトリカが、『大切な存在(もの)の重み』を痛切に味わったからだろう。軟禁されていた彼女は、痛みにとても弱い。子供らしい「外で遊ぶ」ということをしないヴィクトリカにとって、ほんのちょっとしたデコピンでさえ痛烈な衝撃だった。
でも、そんなデコピンなんて比較にもならない両手の痛み。そして、その痛み以上に感じられた九条一弥という大切な人の重み。軽い金属のペンダントでは感じられなかった、本当の重みをヴィクトリカはここで初めて知ることが出来たのではないだろうか。
一弥が差し出した手を拒んで、自分でベンチから立ち上がったヴィクトリカ。きっと彼女の意図は、痛む手で触れられたくないというものではなく、時間が経つごとに腫れが引き痛みが消えていく中で、あの瞬間に知ることが出来た彼の重みと痛みをいつまでも忘れたくない、という想いではなかったかと思えた。
次回『人食いデパートに青薔薇は咲く』
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