AFCアジアカップ2011 日本3-2カタール
辛勝といった具合。ベスト4をかけた準々決勝である以上、もちろんどのチームが相手であったとしても、ここまで勝ち上がってきただけの実績と勢いのあるチームということなのだから、簡単に行くわけがない。カタールに対しては元より相性の悪い対戦国でもある(過去は引き分け多数ながら負け越し)。しかしまぁ、そうだとしても完全にアウェーという環境に呑まれて押しこまれた印象は否めない。
とりあえず、勝てたことに対して安堵感があって、速報では「数的不利ながら逆転」「二度のビハインドを跳ね返した」と肯定的に捉えられているが、それは裏を返せば日本は(失礼と言えば失礼だが)開催国とはいえ格下カタール相手に一度も先手を取ることが出来なかった、ということに他ならない。
試合もサウジ戦でのリズム感、テンポの良さはどこへ行ったのかと思わせるような遅攻が目立った。高さという武器がなく体格で負けることの多い日本が試合を優位に進めて勝つためにはパスワークの速さと精密さがカギ。それがガッチリハマったのがサウジ戦だったのだが、今回は途端にテンポが遅くなる。
まぁ、最大の要因はMF本田選手の復帰だろう。サウジ戦ではMF柏木選手がトップ下に入りながらとにかく運動量豊富にポジションチェンジをすることによって選手を半ば強制的に動かし、その中でボールが動き、そこで日本のパスの正確さと速さが活かされる理想的な展開だった。守りを固める相手にはこうしたのは一つの手法だ。
ただ本田選手は当然柏木選手とはプレイスタイルが異なる。自分でボールを以ってドリブルをしたり動かしたりするタイプの選手だ。そうなると動くのはたいてい岡崎選手になるが、彼一人が幾ら前線で走り回っても後ろからパスが出ないフリーランだけでは限度がある。
結局、どっかりと本田選手がトップ下に居座ってしまったがためにサウジ戦にはあったはずのポジションチェンジや人の入れ替わり立ち替わりで生まれたはずの流動性は著しく低下した。
香川選手はどちらかというとそうした周囲の影響に左右されるのか、サウジ戦では攻守に献身的にフリーランをしていた印象だったが、カタール戦ではとにかくドリブル突破を試みては潰される悪循環。
何より目についたのはまだ相互理解が薄いのか、なかなかボールが足元に収まらない。長過ぎるトラップミスも目立つ。結果的に2得点奪え、3点全てに絡む活躍だったが、結局最後までボールが足元に落ち着かなかった印象。
別に彼ら二人が悪いわけではない。むしろ、そうしたマイナス面を補って余りあるプラス面でチームに貢献したのだと思う。しかし、サッカーがチーム競技である以上、影響力の大きい選手ほどその行動がチームに影響を与える。カタールの徹底マークや前線プレスがあったのだろうが、そうだとしてもチーム全体としてもとにかくボールや人の流れが遅く、とてもではないが良くあの状態で3点も取り返せたなと、逆に日本チームの地力と執念と根性には脱帽だ。
遅攻は相手のカットやカウンターを生み、結果として2失点。正直、ディフェンスラインはボロボロだろう。いっそGKとDF総入れ替えくらいやっても良いのかもしれない。GK川島選手には悪いが、相手が違うとはいえ西川選手の方が良かったのでは、と思ってしまう。
とにかく次戦は韓国orイラン。実力が拮抗する相手だけに今日のような試合内容なら確実に大差で負ける相手。改めて日本の武器が組織力と高速精密なパスワークと献身的な動きであることを思い出して欲しい。
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