AFCアジアカップ2011 日本5-0サウジアラビア
今回も比較的簡潔に纏めようと思う。っていうか、数字上これだけの大差で勝っているのだから、そこにゴチャゴチャ重箱の隅をつつくようなコトをしても、楽しくないし面白くない。
もちろん『勝って兜の緒を締める』ということわざもあるように、これで浮かれていてはいけないのは事実だ。相手がアジアカップ決勝常連(7回中6回決勝進出、内3回優勝)のサウジアラビアであったが、W杯終了約半年という短期間のせいか、チームはまだ纏まりに欠き全体としてすでにグループリーグ敗退が決まっているモチベーションの不均一さも目立った(モチベーションが低いとは書かない。そこはどんな状況であっても中東の雄と言えるだけの強国であり、誇りもあるはずなのだ。中には敗退が決まって投げやりのようなモチベーションの選手もいるかもしれないが、逆にその強国としての誇りにかけて「勝ち点0では帰れない」という選手だっているはずなのだ)。
とはいえ、とにかくFW前田選手、MFの位置に入っているが基本的にFW・1.5列目・ウイングを兼務する岡崎選手が得点を取れたことが大きい。しかも、その得点は全てセットプレーの絡まない試合の流れの中での得点だ。
日本は長らく得点力不足と呼ばれ続け、さらにセットプレーからしか得点できない、とまで言われた時期もあった。もちろん、このわずか1試合で全てが解決したわけではないものの、相手のモチベーション云々があるとはいえ、中東の強国から5点全て試合の流れからもぎ取った力は評価すべきではないだろうか?
皮肉なことか、太もも肉離れによってチームから離れることが決まったMF松井選手、左足首ねん挫で試合を見送った(ベンチ入りはしていた)MF本田選手といった欧州組の中核二人が抜けたことで、日本はチームとしての組織力がかなり高まったように見える。こと、攻撃に関して言えば(この2試合を経てのザッケローニ監督の修正力もあるのだろうが)ワンタッチ、ダイレクトでのパスによる撹乱が効いていたが、これもパスを出したい場所にパスの受け手がいるチームとしての連携や連動性があってこそ。
この手の現象、実は日本チームでは以前から見られていた光景だ。特にすでに引退された中田英寿選手が欧州に渡った後、多くのMFを中心とした選手が欧州チームへ移籍。中田選手始め、中村選手や小野選手といった日本黄金世代とまで呼ばれたテクニシャン揃いが、揃いも揃って欧州移籍をしたこともあり、そこで生まれたのが『“欧州組”と“国内組”の確執』である。
日程、コンディション、戦術、基礎レベルの違いから近年の代表監督の多くがこの融合に苦しめられてきた。欧州の主要チームに移籍するような選手なのだから、欧州組のレベルの高さは言うまでも無い。しかし、移動や日程によってコンディションが良くないケースも多く、また国内組との連携にも難を残すこともしばしばみられた。
そうした時、たまたま欧州組が怪我をしたり、日程の関係で参戦出来ずに国内組だけでチームを固めると思いのほか連携が機能して高い成果を残せてしまうのである。
ここから言えることは、日本にとって大切なのは突出した個の力を持つ少数ではなく、平均して高いレベルと連携精度を持つ大多数のプレイヤーである、ということ。もちろん、日本がこれから先、アジア圏にとどまらず、世界的にも強国の仲間入りをするためには、そうした土台となる組織力を固めた上に個の力が必要になることは間違いない。しかし、やはりまだまだ日本は基礎となる土台を徹底的に固める段階なのだと思う。
もちろん欧州組の全てが悪いわけではない。強いフィジカルで怪我無く出場を続けるMF香川選手、MF長谷部capは代表合流した欧州組の中では個で仕掛けるよりも、チームや連携で仕掛けることに重きを置く選手たちであり、その分連携を重視する国内組とのマッチングも(言い方は悪いが我の強いMF本田選手、MF松井選手よりは)高かった。
欲を言えば、献身的に走り回っていた香川選手には1ゴールくらい決めて欲しかったかな、と思うw あれだけ献身的だったわけだし、中盤以降廻りの選手もだいぶ香川選手を意識した形になっていたと思うし。
なにはともあれ、準々決勝進出決定。相手は開催国カタール。グループリーグAを2位通過してきたチームだ。何と言っても地の利・ホームの利を活かされることは目に見えているが、ぜひ頑張ってほしいと思う。
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