おとめ妖怪ざくろ 総評
文明開化をした日本。西洋文化が次々と取り入れられてく中で、日本では妖の力を持つ者たち『妖人』と人間の共存の道を模索し、妖人絡みの事件を解決するための軍直轄機関『妖人省』が設立されることになった。
そこへ軍から出向を命じられたのは三人の青年将校たち。最年少尉官で少尉となった童顔の丸竜、常にクールで長身美形な利劔、そして西洋のお伽噺の中に出て来るような金髪碧眼の美青年ながら妖人が大の苦手でヘタレな景。
この三人が妖人省で出逢ったのは、人の姿かたちをしながらその頭に獣耳を生やした『半妖』と呼ばれる少女たちだった――
そんなおとめ妖怪ざくろの私の評価ですが...
A
です。(SS、S、A~Dの評価)
では、詳細は続きをどうぞ。
※あくまで評価は、私的主観によるものですのでご了承下さい。
おとめ妖怪ざくろ 総評
放映日:2010年10月~2010年12月(全13話)
私が視聴した放映局:テレビ東京
総評
※評価についてはこちらからどうぞ→評価について。
シナリオ構成 評価:S
毎回しっかりとした『描くべき』テーマと目的のあった、無駄のないシナリオ。1クールという制約の中で、半妖の秘密、西王母桃の秘密、そして少女たちの恋愛劇を描き切った印象。
欲を言えば人間と妖人の共存をテーマにした話ももう少し観てみたかった。
演出 評価:A
心理描写に関して言えば、どこまでも丁寧に半妖の少女たちの視点で描かれる様は、少女コミック系の作品だなぁと思わせる。景、利劔、丸竜の三人は女性から見て理想の男性像なのだろうな、と感じた。見た目パーフェクトなのにヘタレでむしろ自分がしっかりしなくちゃと思わせる一種の“ダメンズ”の景、真逆にどこまでも頼りになる大人な男性である利劔、それとはまた真逆にどこまでも少年で護ってあげたくなる丸竜。それでも三人に共通するのはトコトン一途に少女たちを思っていたことだなぁ、と。
戦闘描写は、西王母桃がメインで戦いながら、残りの三人が歌でフォローする形が序盤多くて、とても印象的だった。だが、終盤にはすっかりなりを潜めてしまって、せめて最後の乱杭との決戦では(全員そろっていたんだし)薄蛍たちの歌をバックに、西王母桃に颯爽と活躍して欲しかった。
作画 評価:S
クオリティの高い作画。戦闘シーン(の決め台詞)が入ると途端クオリティがさらに跳ね上がっていく感じ。原作を目にしたことはないが、CMなどで見る限りでは確実に原作よりもアニメ受けする改良も良い感じになっていた。
CAST 評価:A
主演である中原麻衣さんの演技に定評があることは今さら言うまでも無いのだが、それ以上に西王母桃の両脇を固める薄蛍、雪洞・鬼灯のキャスティングとそれに応えた声優さんたちの演技が絶妙だった。
一見すれば西王母桃に視点が集中してしまいがちで、物語としてもそのような作りをしているのだけど、それぞれの数少ない当番回で声優さんたちの演技が光って、決して西王母桃に見劣りしないキャラクターになっていた。
OP/ED/BGM 評価:C
本当に残念ながら胸には響かなかった。EDの使い分けも少し意図が掴み切れないところも多く(活躍したキャラごとに分けているようにも感じたが、必ずしもそうではない回も多かった)楽曲面に演出面などを踏まえるとこの程度の評価か。
総合 評価:A
内訳:S評価(5点)×2+A評価(4点)×2+C評価(2点)×1=4.0点、主観加点で+0.4点で4.4点。A評価=4.4~3.5点)。
間違いなく今期のダークホースだった『おとめ妖怪ざくろ』。点数評価をしてみると、実際に感じていた面白さよりもやや低評価に収まってしまった感じは否めないが、点数以上の面白さが間違いなくある作品。私が感じたように人によっては、Sランク並みの面白さを感じることだろう。
加点は、スタッフの意気込みを感じられたから。それは特にシナリオ面において、昨今多い続編を匂わせるような終わり方をさせなかったところから感じられた。どうしてもビジネス面を考えれば、予想以上のヒットを記録して成功した場合、第二期や劇場化といった続編を考える。
だが、本作にはそうした続編的な視点はほとんど見受けられない。物語として描くべき要素がいくつか存在している。例えば『西王母桃たちの恋物語』はほとんど完結しているようなものだし(人の恋慕なので幾らでも掻き乱せるが)、西王母桃や半妖たちの秘密も暴かれてしまった。触れていないテーマで言えば、『人間と妖人の共存』であるが最終話のエンディングで少しずつ解り合う道が成果を収めていることを示している。
つまり物語として描くべきことを1クールの中に詰め込んで描き切っているのだ。ここから続編を作るのは難しいし、出来たとしてもチープなものになるのは誰の目から見ても明らかである。
ファンとしては続編を期待出来ない終わりには残念な感じも受けるだろうが、一つの作品として見た時に、それ単体として完結しているわけだから、これ以上の高い完成度はない。そうしたところに私は好感を寄せたのかもしれない。
おまけ
ベストキャラTOP3
1位 薄蛍
西王母桃とは違って、男性から見ても護ってあげたくなるような少女像。にしても、人の心が読めてしまうってのはどの作品でも不便ですな(D.C.シリーズの白河ヒロインとか)。
2位 総角景
うん、頑張ったよ、景w ヘタレだけどそれでも西王母桃のために頑張る王子様は、きっと女性にとって一つの憧れのパートナーなのだろうなと思う。
3位 芳野葛利劔
どこまでもクールだった彼。そのバックボーンなんかも知りたかったかも。
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