とある魔術の禁書目録II 第12話
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[とある魔術の禁書目録]
『天文台(ベルヴェデーレ)』
≪あらすじ≫
ローマ正教の本当の狙いが使徒十字(クローチェディピエトロ)の運用だと把握した当麻たち。イギリス清教にいるオルソラたちの手を借り、使徒十字(クローチェディピエトロ)の運用条件が星座であることを突き止め、オリアナの本当の目的は使徒十字(クローチェディピエトロ)を発動出来るポイントの確認であることを知る。
星座の力を魔術に利用する術式のため、空を遮るビル群があっては発動しない使徒十字(クローチェディピエトロ)。そんな中で、土御門は学園都市で発動可能なのは実験区画で大規模空港のある第23学区と断定。
使徒十字(クローチェディピエトロ)が発動出来る日没直後まで残り25分。空港で三度、当麻たちはオリアナと対峙する――
≪感想≫
結局、上条さんは何が言いたかったのか?――好意的に勝手に解釈
昨今の作品では“勧善懲悪”という性質は薄れ、主人公と相対する敵にも納得出来る理想や思想、過去があるケースがほとんどである。今回は前回血の底に落ちたオリアナ(とローマ正教)側の好感度補正と言った感じ。だから、当麻たちが事件の真相の謎を解き明かす回にしながら、その一歩でオリアナとリドヴィアの想いと決意を描く回でもあったわけだ。
オリアナたちの目的は、実は10話でも語られていることで、その歪さはその時の記事で論考しているので、ここでは割愛させていただく(10話『速記原典(ショートハンド)』)
その論考の時に書いたことなのだが、この手の世界平和やら幸福やら価値観の問題になった際に大切なのは、相手側の論法にどう主人公が立ち向かって打破するか、である。結局のところ、こうした主義や思想のぶつけ合いになると、物理的に相手を打ちのめすよりも、精神的に相手を打ちのめせるかの方が、物語としては重要度が増す。つまり、単純な能力バトルで、いつものように上条さんが右手で相手の顔面をぶっ放せばそれで済む話ではない(後述のように当麻が論破を試みており、すでにその時点であり得ないのだが、そうしたバトル展開だけで済んでしまうならば、言い方は悪いかもしれないがその作品は物語としては駄作に終わるだろう)。
そしてラスト数分でいよいよ当麻は(これまで吹寄・姫神の件で溜め込んできた想いと共に)オリアナ論破を試みたわけだが、尺が短いせいか、ややあっけらかんとした印象。さらにオリアナは当麻の言葉に屈せず、その言葉を「感情論」と一蹴してしまったので、余計に当麻の言葉が軽く見えてしまう。もっと物語としては重要じゃね?と思うのは私だけだろうか。
なので、原作を知らない私だが、せっかくなので当麻は結局のところどういうことが言いたいのか、と考えてみる。放送が終わって、ふむふむと考えながら、当麻にとって好意的に解釈をすると当麻が言いたいのは、『個の大切さ』なのだろうな、と行きつく。
もっとアニメ的・漫画的な言葉に言い換えるなら『女の子一人幸せに出来ねぇヤツに世界を幸せ(平和)に出来るわけがねぇだろうが!』って感じ。この手の言葉は、敵やライバルとの主義・思想のぶつけ合いで往々にして主人公が口にすることの多いセリフ形態の一つなので、解りやすいと思う。
当然だが、当麻とオリアナでは価値観はまるで違う。
当麻はおそらく一人一人の『個』の集合体が『群れ』であり、『群れ』の集合体が『国家や都市』であり、『国家や都市』の集合体が『世界』と考えているはず。よってオリアナたちローマ正教がいかに使徒十字(クローチェディピエトロ)による世界平和を訴えかけても、『個』を犠牲にする時点で『群れ』は成り立たず、結果として『国家や都市』『世界』も成り立たず、それらが成り立たないのだからそこに平和なんて成り立つわけがない、と行きつくはずだ。
だから当麻は、大覇星祭にこだわるのではないだろうか? 人によっては「世界(学園都市)の命運がかかっている時に、お祭り(というより運動会に近いが)の話かよ」と思うかもしれない。だが、一人一人の楽しみにしてきた想いと準備を頑張ってきた努力の集合体が大覇星祭そのものである。規模は小さいが、当麻にとって個々の集合体によって成し遂げられる大覇星祭は一つの『世界』そのものと感覚的に認識しているように思う。
「殺し合いで終わらせるつもりはねぇよ」という青臭い宣言もそうだが、実に主人公らしい考え方で、青臭さを感じさせながらも同時に希望をも感じられる。本当に上条さんは、生粋の主人公だなぁ(笑
そして、そうした『個』の感情や存在を重視する青臭さを有するからこそ当麻の主張はオリアナに『感情論』と一蹴された。オリアナとローマ正教は、その規模の大きさからか、その視点は当麻よりもずっと大局を捉えている。彼女たちはおそらく当麻とは真逆に『世界』がそこに存在し、『世界』の中に『国家や都市』があり、『国家や都市』の中に『群れ』があり、『群れ』の中に『個』があるという考え方(ローマ正教の教義云々ではなく、感覚的な意味で)。
オリアナなんかは今回の言動を顧みると当麻のような青臭さを最初から持っていないのではなく、持っていたがそれでは世界は救えないと彼女なりの結論に達しすでに卒業しているのではないだろうか。それはAパートで彼女が見せた悔いであり、決意からもどことなく感じ取れる。
何より、オリアナが最後に「その言葉、テメーが傷つけた吹寄や姫神の前でも言えるのかよ」という言葉に動揺していたことからも伺える。当麻の言葉を「感情論」と一蹴しながらそれでも当麻の言葉に最後動揺したのは、彼女が『大人』だからなのだと思う。
あの世界は当麻母だったり美琴母だったり神裂火織だったり(ぇ)外見から年齢を識別しにくいが、やはり当麻たちよりは少なくとも3~5歳程度年上だろう。その数年の間に、オリアナは世界を知り、社会を知り、組織を知って青臭い感情論を脱ぎ捨てたように感じる。
視野を広げて考えればオリアナやローマ正教の考え方だって間違っているわけではないことは私たち視聴者にだって解る。私たちもそうであるように、社会や世界を知れば知るほど『理想と現実』『個人と社会』の間で両方の考え方を有しそのはざまで常に天秤のように揺れ動いているようなものだ。そこで『個』の存在を割り切って、その数段上の集合体の損益を重視する考え方はやっぱり『大人』なのだと思う。
オリアナはきっと『大人』なのだ。当麻の言いたいことや主張がどういうものか知りながら、すでにオリアナの中でそれらは卒業したものであって、それでもそうした『個』ではなく『集合体』を優先する。だからこそ、そうした集合体を優先する存在が引き立て役となり、私たちは物語の中で当麻のように理想や感情を優先する『(良い意味での)子供』の存在に、時としてまばゆいばかりの輝きを感じ取るのではないだろうか。
つまるところ、二人の主義や思想はこのまま行けば平行線を辿ることがラストで明言された。これだけでも十分な成果である(それは論破出来たとは言い難いが、そういう結論にさえ到らない作品だってあるのだから、結論に至ったこともまた重要だと思う)。
ここから先、当麻にはさらにオリアナを論破出来る“切り札”があるのか。それとも、単純な能力バトルで終わってしまうのか。後者であるなら、このスタッフたちならそこに全力を注いでくれそうだからエンターテイメント作品としてはそれはそれでアリなような気もするが、どういう結末を見せてくれるのか期待したい。
P.S.美琴やラストオーダーが出て来たのは何かの伏線? 特に後者はまるで意味が無さそうだったのだが、必ずしもそうではないだろうし、何か意味があるのか? その辺りも次回は期待したい。
第13話『使徒十字(クローチェディピエトロ)』
≪TB先 参照リンク(URLアルファベット順)≫
赤字はTBが現在弾かれてしまっているBlog様です。
現在、yahoo系、nifty系、so-net系はほぼ全滅。楽天系は調子がいいと送れます。
※楽天系は文字化けしておりますm(_ _)m
・http://28903894.at.webry.info/201012/article_70.html
・http://84870.blog13.fc2.com/blog-entry-1448.html
・http://adria7.blog92.fc2.com/blog-entry-471.html
・http://ai-mugi.blog.eonet.jp/aimugi/2010/12/ii-12-1967.html
・http://alicetail904.blog42.fc2.com/blog-entry-498.html
・http://akashiima.blog57.fc2.com/blog-entry-502.html
・http://amkatan.blog118.fc2.com/blog-entry-1378.html
・http://anigame1.blog118.fc2.com/blog-entry-106.html
・http://animedouganews.blog44.fc2.com/blog-entry-1898.html
・http://animehigurasi.blog92.fc2.com/blog-entry-188.html
・http://animumeso.blog101.fc2.com/blog-entry-2369.html
・http://aniponda.blog119.fc2.com/blog-entry-748.html
・http://aquamarine1030.blog75.fc2.com/blog-entry-1218.html
・http://aragaiaragai.blog133.fc2.com/blog-entry-129.html
・http://arpus.blog121.fc2.com/blog-entry-1409.html
・http://blog.goo.ne.jp/nexusseed/e/47f72dfdaf5581df28183f5c3
5c0ef5b
・http://blog.goo.ne.jp/sakino-k/e/a0b659b8fc93c855c64fc1c4b2061
98b
・http://blog.livedoor.jp/electro_railgun/archives/51640349.html
・http://blog.livedoor.jp/geallza/archives/51168164.html
・http://blog.livedoor.jp/granzchesta/archives/51538736.html
・http://blog.livedoor.jp/kansaianime/archives/51674373.html
・http://blog.livedoor.jp/katsux2/archives/51669833.html
・http://blog.livedoor.jp/koubow20053/archives/51660135.html
・http://blog.livedoor.jp/ms_2001/archives/50941825.html
・http://blog.livedoor.jp/rin20064/archives/52044298.html
・http://blog.livedoor.jp/soul_mu/archives/65446028.html
・http://blog.livedoor.jp/t_cherry398/archives/51556623.html
・http://blog.livedoor.jp/youotu-roro/archives/1826325.html
・http://blogreblog.at.webry.info/201012/article_26.html
・http://blogs.yahoo.co.jp/tebuku/27688711.html
・http://bluebluesilvermoon.blog38.fc2.com/blog-entry-3294.html
・http://bosel.blog64.fc2.com/blog-entry-136.html
・http://coffeemonster.at.webry.info/201012/article_41.html
・http://crazylazykikujira.blog57.fc2.com/blog-entry-96.html
・http://cristal1102.blog84.fc2.com/blog-entry-410.html
・http://e102128.blog54.fc2.com/blog-entry-1629.html
・http://ekitti.blog71.fc2.com/blog-entry-512.html
・http://enkaigakari.seesaa.net/article/175418909.html
・http://fanblogs.jp/gyobayashi/archive/2088/0
・http://flanpoemega.blog42.fc2.com/blog-entry-1853.html
・http://fovsaikou.blog129.fc2.com/blog-entry-671.html
・http://fujiiisana.blog68.fc2.com/blog-entry-2054.html
・http://gokuuyo.at.webry.info/201012/article_52.html
・http://gomarz.blog.so-net.ne.jp/2010-12-25-2
・http://gototoraku.blog14.fc2.com/blog-entry-308.html
・http://hakuroupunk.blog56.fc2.com/blog-entry-2030.html
・http://happy2material.blog41.fc2.com/blog-entry-2015.html
・http://haruhiism.blogism.jp/archives/51542671.html
・http://harutoki2.blog18.fc2.com/blog-entry-2211.html
・http://hienkyaku.blog50.fc2.com/blog-entry-1636.html
・http://hyumablog.blog70.fc2.com/blog-entry-2035.html
・http://ilikemanga.blog87.fc2.com/blog-entry-989.html
・http://irizasama.blog95.fc2.com/blog-entry-822.html
・http://kagura77.blog99.fc2.com/blog-entry-2591.html
・http://kakioki60.blog129.fc2.com/blog-entry-543.html
・http://karuiongak.blog37.fc2.com/blog-entry-861.html
・http://kenohito.blog67.fc2.com/blog-entry-751.html
・http://keropo2.blog.shinobi.jp/Entry/848/
・http://kiokuno2.blog31.fc2.com/blog-entry-1336.html
・http://kira47.blog58.fc2.com/blog-entry-515.html
・http://kodoku21.blog83.fc2.com/blog-entry-1182.html
・http://kokonoi.blog93.fc2.com/blog-entry-675.html
・http://kouyanoblog.blog61.fc2.com/blog-entry-3564.html
・http://kuraltuka.blog8.fc2.com/blog-entry-512.html
・http://laikablog.blog53.fc2.com/blog-entry-236.html
・http://maguni.com/diary.cgi?no=1284
・http://manaduru3.blog24.fc2.com/blog-entry-695.html
・http://merkmals.blog31.fc2.com/blog-entry-1493.html
・http://mikihara.blog70.fc2.com/blog-entry-2507.html
・http://mjoungr2ochmsha.blog115.fc2.com/blog-entry-345.html
・http://monochromenote.blog114.fc2.com/blog-entry-1226.html
・http://moon12.blog.so-net.ne.jp/2010-12-25
・http://najigo.blog31.fc2.com/blog-entry-309.html
・http://nextsociety.blog102.fc2.com/blog-entry-1218.html
・http://nontananime.blog33.fc2.com/blog-entry-188.html
・http://norarincasa.blog98.fc2.com/blog-entry-25.html
・http://ohayoblog2.blog99.fc2.com/blog-entry-104.html
・http://oozoraxx.blog134.fc2.com/blog-entry-299.html
・http://plaza.rakuten.co.jp/blackwidow/diary/201012250000/
・http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201012250000/
・http://plaza.rakuten.co.jp/oboro1964/diary/201012250000/
・http://plaza.rakuten.co.jp/ozuma/diary/201012250000/
・http://pottopetoru.blog22.fc2.com/blog-entry-928.html
・http://reilove.blog51.fc2.com/blog-entry-4601.html
・http://ren.anime-japan.net/Entry/723/
・http://riksblog.fool.jp/public_html/mt5/anime/now/2010/12/
ii-12.html
・http://rollingstar77.blog103.fc2.com/blog-entry-171.html
・http://seeing04.blog39.fc2.com/blog-entry-1844.html
・http://seraraku2.blog59.fc2.com/blog-entry-5246.html
・http://shinsakuranikki.blog90.fc2.com/blog-entry-3850.html
・http://shittakaanime.blog86.fc2.com/blog-entry-202.html
・http://sigerublog.txt-nifty.com/utakata/2010/12/post-36
fb.html
・http://shirokuro585.blog109.fc2.com/blog-entry-473.html
・http://sironsiron.blog70.fc2.com/blog-entry-746.html
・http://soraxcan.blog59.fc2.com/blog-entry-2353.html
・http://sos0707yuki.blog68.fc2.com/blog-entry-712.html
・http://subcul.jugem.jp/?eid=1803
・http://sumi4460.blog63.fc2.com/blog-entry-2641.html
・http://thesecondstar.blog108.fc2.com/blog-entry-534.html
・http://tokkurin.blog109.fc2.com/blog-entry-2480.html
・http://tsukataga.blog54.fc2.com/blog-entry-598.html
・http://vnr2034.blog133.fc2.com/blog-entry-616.html
・http://www.mypress.jp/v2_writers/firstsnow/story/?story_id
=1959355
・http://wendykai.blog60.fc2.com/blog-entry-1202.html
・http://yamitarou.blog75.fc2.com/blog-entry-2598.html
・http://yusyu.blog34.fc2.com/blog-entry-741.html
・http://zaregoto2nd.blog95.fc2.com/blog-entry-1183.html
もしよろしければ、拍手ボタンをポチッと押して下さいm(_ _)m 管理人のモチベーションが上がります(ぉ
- at 02:45
- [アニメ(放送終了):とある魔術の禁書目録II]
- TB(99) |
- CO(0)
- [Edit]
Comment
Comment_form