FORTUNE ARTERIAL 赤い約束 総評
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[FORTUNE ARTERIAL 赤い約束]
親の都合で転校続きの人生を歩んできた支倉公平。そんな人生に終止符を打とうと、全寮制の高校『修智館学院』に転入する。転校初日、長い階段の上で待っていたのは学院の生徒会副会長を務める金髪碧眼の美少女・千堂瑛里華だった。
言葉や表情では孝平を快く迎え入れているのだが、瑛里華は何故か孝平に過敏に反応して握手すらしようとしない。
そんな副会長に戸惑いながらも、幼馴染との再開、可愛い後輩やミステリアスな同級生との出会いを経て、孝平は少しずつ腰を据えて普通の学院生活を楽しめるのではないかと思い始める。そんな矢先、彼は偶然礼拝堂で生徒会会長であり瑛里華の兄である千堂伊織が、女生徒の首筋に牙を突きたてているシーンを目撃してしまう。
それはまるでお伽噺に出て来る吸血鬼のような光景で――
そんなFORTUNE ARTERIAL 赤い約束の私の評価ですが...
C
です。(SS、S、A~Dの評価)
では、詳細は続きをどうぞ。
※あくまで評価は、私的主観によるものですのでご了承下さい。
FORTUNE ARTERIAL 赤い約束 総評
放映日:20年月~20年月(全話)
私が視聴した放映局:
総評
※評価についてはこちらからどうぞ→評価について。
シナリオ構成 評価:D
言葉は悪いが、上辺だけの問題解決に終始してしまった。物語として重要な要素である吸血鬼という存在や、孝平のこれまで歩んできた転校続きの人生という設定がプラスに働いた部分が、特に中盤以降薄れた。吸血鬼という設定はもちろん中盤以降の肝にはなったわけだが、じゃあそれによって何を描けたかと言えば、悲恋でもなければ、二次元らしい華々しいハッピーエンドでもない。
「絆」がテーマだったという本作。兄妹がやたらと多い本作でその「絆」が描かれたかというと疑問だ。悠木姉妹の展開は(当時は)冗談半分で表面上の解決にしかならないと記事に書き、その後も「絆」を正直感じることは出来なかった。
親子や兄妹といった絆を描けるテーマがありながら、最後はそうした絆ではなく孝平を選ぶ結果だったわけだが、その孝平を選ぶまでの過程もまた十分に描けていない。悠木姉妹の問題も二人が対面して話をしたが結論は出ないまま有耶無耶になっており、これでは(確かに絆はテーマになってるが)そうした積み重ねて来た肉親の絆の薄さや脆さしか見えてこない。
もう少し魅せ方は絶対にあったと言わざるを得ない。
演出 評価:B
さすがにキャラクターの心理描写はそれぞれ描かれていたと思う。もちろん、描いただけでそれを結果に結び付けられてはいない。
まぁ、そうした心理描写以上に印象的だったのは夕焼けや夕日を使ったシーンの演出の巧みさ。吸血鬼がテーマの一つにあるのでもっと夜をイメージしていたが、良い意味で裏切られ、黄昏時の美しさが光った。それらで相殺し合ってB評価。
作画 評価:B
キャラクターを可愛く描くという点に関して言えば、可愛く描かれていた。この手の絵は、To LOVEるのように本当に女の子を可愛く魅力的に描くと言うことに特化するともっと映えるなぁ、という印象。とにかくエロい行動がメインだったTo LOVEると違い、本作は体操服や水着などコスチュームやシチュエーションで可愛さをアピールしてくれたイメージ。
その分、シリアス時のギャップは大きいかな、という感じも受ける。
CAST 評価:A
PC版と同じキャストという異例さが、逆に巧くマッチした。PC版でもキャラの絵やイメージと声のイメージを厳選したのか、本当にキャラ絵と声がピッタリとハマっており、これに関してはもう賞賛を贈りたい。
OP/ED/BGM 評価:C
透明感のある声が綺麗な印象。ただ、それが吸血鬼という問題や絆をテーマにする作風と本当に合っていたかと問われると、納得半分疑問半分といったところか。これは原作を知らないと、本当に作風にあってたかどうかは微妙なところ。
総合 評価:C
内訳:A評価(4点)×1+B評価(3点)×2+C評価(2点)×1+D評価(1点)×1=2.6点、主観的な判断で-0.3点、2.3点。C評価=2.4~1.5点)。
作品として見た時、必ずしも悪い所だけではなった。評価しているようにキャストや作画はA評価を与えているわけである。私も序盤はだいぶ好意的あるいは肯定的に物語を解釈して記事を書いていたつもりであるし、原作ゲーム制作の同社作である『夜明け前より瑠璃色な』のリベンジが出来るのではないかと期待していた。
だが、致命的なまでに物語を生理的に受け入れることが出来なかった。物語を見た時に、必ずしも根本的な問題の解決が必要不可欠とは限らない。しかし、あまりに直面した個々の問題への対処が表面的、上辺のみにしか見えなかった。あまりにこればかりの解決では、さすがに観ている側としても萎えてしまった。8話以降感想記事をUP出来なかったのは、(もし期待されていた方が万が一にでもいたなら)申し訳なかった。でも、どうしても記事を執筆するほどの期待感や熱意も生まれなければ、これ以上物語を好意的に解釈することも出来なかった。
あくまで本作に何を求めるのか、によっても評価は変わると思う。私は、吸血鬼を題材としたことや転校続きの主人公がその人生に終止符を打つためにわざわざ全寮制の学校を選んで転入し、伊織の発破に反応して生徒会入りし自ら主役になろうとしたことから、物語に重点を置いていた。
どちらも設定上は恋愛ゲームではありがちなものだが、だからこそどういう風に描くのかを楽しみにしていた。吸血鬼という種族的な問題は根本的な解決は出来なかった、それは良い。たった一人の主人公がどうこうして、種族全体の問題やら特性やらがどうにかなる方が難しいだろう。
だが、注目していた後者の部分は納得し切れない。結局、孝平は転校続きの周りの状況に右往左往引っ張り回される人生が嫌で一つの場所にどっしり居座ろうとして選んだはずの学院転入だったはずなのに、気付けば吸血鬼という存在の手のひらの上で踊らされて終わった。これはでは『転校続き』という要素が『吸血鬼』に変わっただけで、何も変わっていない。そういう部分が受け入れられなかったのだと思う。
奇しくも『夜明け前より瑠璃色な』と同じ低評価に終わってしまった本作。同期には『アマガミSS』というヒロインのオムニバス形式を採用した恋愛ゲーム原作アニメがヒットしたこととは対照的に、私の中ではやはり低調に終わってしまった印象は否めない。本作は、『夜明け前より瑠璃色な』と同様に重厚な世界観やもっと根深い問題もありそうなので、日常の恋愛の延長線上にある『アマガミSS』のようにオムニバス形式を採ることは難しいだろう。だが、ちょっと見せ方としてはお粗末さを感じずにはいられない。
本当に残念であったと思う。
おまけ
ベストキャラTOP3
特になし
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- [アニメ(放送終了):FORTUNE ARTERIAL 赤い約束]
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