2010年アニメアウォーズ!
2010年12月23日14時投稿
例年のごとく、「おちゃつのちょっとマイルドなBlog」のおちゃつさんからお誘いを受け、同Blogで開催されている「2010年アニメアウォーズ」に参加させていただきます。
以下、項目です。
~2010年アニメアウォーズ~
・最優秀作品
・特別賞 (捨てがたいもの、大穴だったものなど)
・キャラ部門 (男性・女性それぞれ。性別不明の場合はお任せします。)
・OP部門 (映像込みの評価でお願いします)
・ED部門 (同上)
例年のように『OVA・劇場作品賞』を追加しましたw
また、受賞作のほかに次点作品を1つ~2つ追加でそれぞれ挙げています。
さてはて、今年の結果は…?
※最終話ラッシュですぐに記事がTOPページから消えるのもアレなので、1週間冬コミ記事の下に表記するように調整しています(そのため本来の記事投稿時間と表記される投稿時間が違います)
冬コミに行かれる方は、『アニプレッション Vol.1』もよろしくお願い致しますm(_ _)m
最優秀作品
『刀語』
2010年を振り返った時に、『月一放映の60分大河アニメ』のこの作品はいろいろな意味で異彩を放っていた。週一で放映されるアニメにはない、独特の空気や雰囲気を感じ取れた。1月から放映され12月までの全12回で見事完結したところも、2010年丸々使ったアニメ作品と言うことで、2010年を振り返って最初に思い返す作品として真っ先に脳裏をよぎった理由かもしれない。
必ずしも序盤から秀逸な出来だったとは言い難かったかもしれないが、中盤にはRPGや縦スクロールシューティングなどゲームを意識した演出や描写があるなど意欲的にチャレンジした演出部位が観られ、最終話の展開・盛り上げ方・戦闘の魅せ方は正しく集大成といった具合。
こう言うと偉そうだが、年間作品だったこともあってスタッフの方々も一年を通じて関わったことでレベルアップしたさまを見てとれる。
物語としても主人公・鑢七花とヒロイン・とがめの心理描写や成長過程を一つ一つ丁寧に描き切った印象があり、試聴していた方ならまず間違いなく2010年十傑作品には入れるのではないかと思うほどの出来栄え。
次点は『君に届け』。少女コミック原作ながら、少女コミック的なドロドロとした恋愛劇ではなくどこまでも爽やかな恋愛劇は観ているこっちまで爽やかな幸せに包まれるような想いだった。
あるいは2010年最大の人気作となった『けいおん!!』も、その前評判に違わぬ良作だったと思う。楽曲面でのクオリティの高さや成功など踏まえ、総合的に最優秀作品賞を贈る方も多いのではないだろうか?
特別賞
『Angel Beats!』
人気PCゲームメーカー・Keyが誇る麻枝氏が全話脚本を手掛けた意欲作で注目を浴びた作品。その出来栄えと内容から、多様な論議・賛否両論を生んだ作品ではあるが、裏を返せば多くの人がそれだけ真剣に向き合ったアニメ作品でもあったと思う。
そういう意味で単純な神作品とか良作とか呼ばれる作品群とは、また違った次元や領域にあった作品のように感じる。正直、アニメ作品として年間の最優秀賞を与えるに値するかどうかは疑問だが、多くのアニメ視聴者・ブロガーをいろいろな意味で揺さぶった作品として、2010年の特別賞は『Angel Beats!』に贈りたい。
次点は『アマガミSS』。2クール25話を、1ヒロイン4話ずつのオムニバス形式+隠しヒロイン1話と割り振ったことで、従来の恋愛ゲームのアニメ化では不可能だった、全てのヒロインに必ずスポットが当たってハッピーエンドが待っているという展開は、画期的であったし、どのヒロインの良さも決して殺すことなく活かしきれた。
作品としての出来栄えで言えば『Angel Beats!』よりも高評価を与えたいくらい、オムニバス形式で恋愛ゲームをアニメ化した成功例として前例を残してくれたと思う。
あとは『アニメノチカラ』枠の三作(ソ・ラ・ノ・ヲ・ト、閃光のナイトレイド、世紀末オカルト学院)は、昨今数の少なかったアニメオリジナル作品としてのチャレンジ精神を大いに買って、次点としたい。
OVA・劇場作品賞
『劇場版 機動戦士ガンダム00
-A wakening of the Trailblazer-』
おちゃつさんのテンプレとは別途、こちらで新設させていただいた【OVA・劇場作品賞】。選定基準は、単に2010年に劇場公開されたアニメ作品。
今年は約20年ぶり(厳密には確か19年ぶり)の完全新作シナリオでの劇場ガンダムとしてガンダムOOにこの賞は贈りたい。それは自分がガンダム好きと言うことももちろんあるが、それ以上にその中身が従来のガンダムという固定概念を壊すような宇宙生物vsガンダムと言う意欲的な構図だったり、劇場版そのもののクオリティの高さだったりに起因している。
本当に何度も劇場に足を運んだ作品だったし、言うまでも無いが映像美も素晴らしかった。ガンダムの本気を確かにこの目で見た。
次点は『劇場版 Fate / stay night - UNLIMITED BLADE WORKS』。原作をだいぶ切りつめて作った感じはあるが、原作の雰囲気を巧く壊さず、また原作の中から魅せるべき場所を見い出してその部分にはちゃんと尺が宛がわれていて、原作を知る私から見ても楽しめた一作。
男性キャラクター部門
『鑢七花(刀語)』
最優秀作品の『刀語』から主人公・鑢七花。
『刀語』自体が60分×12話で720分作品であるが、それそのものは週一放映の30分×24話(2クール)作品と同じ尺である。だが、劇中内時間と“月に一回”と言うリアルな私たち視聴者の時間がリンクしていた。そのおかげで長いスパンが空く放映期間がうまく働き、鑢七花というキャラクターがこの一年で成長して行くさまを、劇中キャラに近い視点で見守ることが出来たのではないだろうか。
単純な強さで言えば最初からLV.MAXのようなキャラクターであるが、その分精神的には赤子に近い状態でスタートした部分から、彼の心の成長がしっかり伝わってきた。ここまで成長が目に見えて解るキャラも昨今では珍しく、男性キャラクター部門賞を贈る。
次点は2010年3月まで放映していた『とある科学の超電磁砲』、また現在放映中の『とある魔術の禁書目録II』より『上条当麻』。彼の熱いまでの想いは、戦うヒロインたちが多い同作の中にあっても決して色褪せることの無い輝きを放っている。
女性キャラクター部門
『御坂美琴
(とある科学の超電磁砲・とある魔術の禁書目録II)』
例年の如く、ほぼ全てのアニメでたくさんの萌え要素を詰め込んだ女性キャラがたくさん登場する作品が圧倒的に多い。故に女性キャラは完全に多様化が成熟し始めており、個々に視聴者の趣味・趣向でNo.1が変わってしまう世界になった感は否めない。
その中で、2010年試聴していたアニメを振り返って、インパクトが強く、可愛かった女性キャラクターを思い返せば、やはり常盤台が誇る最強無敵の電撃姫『御坂美琴』ではないかと思う。
典型的なツンデレキャラであるが、もう最初からデレているような状態なので(笑)、もっと単純に気が強い女の子が好きな男の子の前でだけ魅せる可愛さをとても堪能できた。さらに、『とある科学の超電磁砲』では主役にも抜擢され、能力バトル系アニメの王道らしいアツい展開で盛り上げてくれた(『とある魔術の禁書目録II』は、能力バトル系アニメなのだが、主役の当麻が幻想殺しと言う能力無効化能力のためにやや王道からは外れる)。
偶然ではあるが2010年の一年間に(厳密には別作品だが)2回アニメ化されメディアに露出する回数が劇的に増えてことも、今年印象に残った女性キャラクター部門賞を贈ることになった大きな要因だろう。昨今の主流となった萌えられる戦うヒロインの代表格としての地位を、今や不動のものにしたと言っても過言ではないと思う。
次点は『雪村千鶴(薄桜鬼・薄桜鬼碧血録)』。美琴とは真逆に、物理的には護られながら精神的には主人公たちを支える正統派ヒロインを久しぶりに堪能することが出来た、良い女性キャラクター。
あるいは、『イカ娘(侵略!イカ娘)』。放送がこの評価を下している直近(2010年12月)ということもあるが、こちらは良い意味で強過ぎるインパクトで視聴者を引っ張ってくれた印象がある。
OP部門
『God only knows(神のみぞ知るセカイ)』
楽曲そのもののインパクト、クオリティの高さ、その楽曲と作品の世界観の二つに見事に適合したOP演出は素晴らしかった。2010年アニメ作品の中でも世界観・楽曲・演出の三位一体の具合は頭一つ飛び抜けていた出来栄えだった言えるだろう。
オラトリオという楽曲様式を用いた部分もとても印象深く、私の中では間違いなく2010年最高のOP。
次点は『My Soul,Your Beats!(Angel Beats!)』。透明感のある歌声と、天使ちゃんことかなでがピアノを弾きながら、そこに主要キャラの紹介が入ってくる演出は、最終話まで観ると歌詞の意味と演出の意味と物語の意味がしっかりと噛み合っている素晴らしいものだった。
ED部門
『Brave Song(Angel Beats!)』
EDは、OPで次点だった『Angel Beats!』より。同様に透明感のある歌声は聴き心地が良く、さらにEDの描写もSSSのメンバーが写真の中で一人ずつ浮かび上がっていく演出(消えたキャラは消えたままで、それに合わせて写真の風景も少しずつ変容していく演出)は、手間がかかっているなぁ、という印象と同時に物語の暗示でもあって、OP同様に工夫が凝らされて素晴らしかった。
次点は『君に届け...(君に届け 後期ED)』。ED描写と曲と、なにより物語との合致具合が半端なく良かった。個人的な好みを加味すれば『未来へ…(閃光のナイトレイド)』『光のフィルメント(伝説の勇者の伝説)』は、EDらしいバラード系の曲と、EDそのものの切なさを余韻として残すような演出がとても好きだった。
総評
2010年は絶対の事前人気を誇る『けいおん!』の第二期『けいおん!!』が満を持して放映を開始し、同様に原作人気の高い『とある魔術の禁書目録』の第二期『とある魔術の禁書目録II』、スピンオフ作品『とある科学の超電磁砲』と、人気や話題性に富む作品も確かに存在した。
しかしそれ以上にいろいろな意味でチャンレンジ精神や意欲作が多く目につき、アニメ視聴者としてはいろいろな意味でクオリティの高い作品と数多く出逢えた豊作と呼べる一年だったのではないだろうか。
最優秀作品賞に挙げた『刀語』は月一60分放映、特別賞に挙げた『Angel Beats!』は人気ゲームメーカーのライターが全話脚本を手掛け、『アマガミSS』はオムニバス形式放映を行い、『アニメノチカラ』枠ではクリエイター主導による意欲的なオリジナルアニメ作品の制作が行われていた。
細かなオリジナリティあふれる工夫で言えば『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』ではED曲がニコ動で募集され毎回変わるという意欲的なものだったし、『伝説の勇者の伝説』前期EDは作品の世界観に合わせたようにEDクレジットが一言一句全て英語・ローマ字表記というものだったし、『百花繚乱サムライガールズ』では和のテイストを突きつめた様な墨描写・ED中に「今日の一言」のような形でSD化されたヒロインたちの思いがけぬ一言は素晴らしいものだった。
そのチャレンジの成否はまた別として、多くの作品でどこかしらに他作品との差別化を試みた独自の工夫や小ネタを多く盛り込んでいる印象が特に強い一年だったと思うし、それ故にクオリティも高く豊作と呼べる一年だった。
また昨年の記事でも書いたように劇場アニメ化は加速の一途を辿っていた。どうやらそのスピードは維持されたまま2011年に突入しそうだ(すでに『けいおん!』『ハヤテのごとく!』『そらのおとしもの』『ストライクウィッチーズ』などの劇場化は決まっており、2010年並みの話題作がそろっている)。
少しずつアニメも、TV放映から劇場やネット配信へとウェイトが移り変わっていく中で2011年はどういった傾向の作品が増えて行くのか、あるいは減っていくのか。話題作はどこまで増えてくれるのか。
豊作だった2010年だけに、2011年放映アニメにかかる期待とプレッシャーは並々ならぬものがあるだろうが、ぜひとも2011年にも今年以上の良作の数々を期待したい。
NoTitle
毎年毎年、読み応えのある濃い選考文で素晴らしいですね。すごい参考になります。
刀語は知るのにちょっと出遅れまして、未視聴です。
後日まとめて見てみようと思ってた作品ですが、月詠さんイチオシっぽいのでこれは見るのが楽しみです。
ではでは、今年も参加どうもありがとうございました!
良いお年を、また来年もどうぞよろしく!