刀語 第12話(最終話)
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[刀語(カタナガタリ)]
『炎刀・銃』
≪あらすじ≫
伝説の刀鍜治、四季崎記紀がその人生を賭けて鍛えた完成形変体刀十二本を求め、無刀の剣士である虚刀流七代目当主・鑢七花(やすり・しちか)と美貌の奇策士・とがめが征く、刀集めの旅。
とがめは、右衛門左衛門が放った炎刀・銃の凶弾に倒れた。死の間際、彼女が七花に語ったのは、自分の感情や気持ちさえ駒として利用している自分の嫌悪する生き方と、その人生も死を以って幕を閉じることが出来ると言う安堵、そしてこんな自分でも七花に惚れても良いかというたった一つの淡い希望であった。
とがめを喪った七花は、尾張城へと乗り込む。それはとがめの復讐ではなく、自らの死地を求めて――
≪感想≫
一年間の集大成!
一年という長いスパンの中で、月一60分放送という異例の形による長期シリーズとなった『刀語』が、奇しくも2010年を締めくくるラストクール最初の最終話となった。正直、これが2010年最終クールの始まりとなると、後に続く秋クールの作品の最終話はハードルが高過ぎてキッツイだろうなぁwと思う。それくらい、出来が良い。面白い。カッコいい。
何といっても目につくのは、中盤から終盤にかけて断続的に続く七花の戦闘シーンだろう。かつては自分たちが旅の中で収集したはずの変体刀と再び相見(あいまみ)えるのだが、だからこそ七花は十一本の変体刀の特性と欠点を理解しており、それを看破した上での戦闘というのがここまで歩んできた七花ととがめの旅の積み重ねを暗示しているようで、良かったと思う。
続けざまの右衛門左衛門との戦いは、おそらく原作小説では描かれないであろう戦闘エフェクトや血飛沫、迫力がアニメならではの形で伝わったのではないだろうか。血飛沫や臨場感は文字で伝えることが出来るだろうが、七花が移動する時の残像エフェクト、七花八裂・改で魅せる衝撃のエフェクト、右衛門左衛門が持つ炎刀・銃の発射エフェクトなんかは、なかなか文字媒体だけでは巧く伝えられないものだ。この辺りは、アニメならではの“魅せ方”だと思うし、それがバッチリハマっていたと思う。
また、断罪炎刀VS七花八烈・改の勝負も技名を告げてから実際に技を放つまでに、双方に攻防があって駆け引きが行われていた。通常、この手の展開だと技名を言った直後に技を放つと言う展開だが、技名を告げた後に技を確実に当てるための状況を作り出そうとする両者の前戯の駆け引きの存在が、余計にこの戦いそのものの緊迫感を高めてくれた。
直近の感想で『そらのおとしものF 第11話』において戦闘シーンに苦言を呈したわけだが、本作を観ると余計にそう感じるし、逆に本作の戦闘シーンの素晴らしさに脱帽してしまう。もちろん、週1の『そらおと』と月1の『刀語』は手間暇・作業時間などを考えても単純比較することは間違っているし、そもそも全く違う作品なのだから同じスパンで放映される作品だったとしてもやっぱり単純比較することは出来ない。なので、全く同一のクオリティを求めるわけではないが、魅せ方の工夫という意味ではやっぱりレベルの違いを感じる。
けれど、空間を立体的に使う戦闘シーンとはどうあるべきか。臨場感、迫力を持たせる戦闘シーンとはどうあるべきか。クライマックスに相応しい見せ場的な最終決戦のシーンはどうあるべきか。
その一つの答えが、ギュギュッと濃縮されていたようなシーンの連続であったと思う。
戦闘シーンとは別に、一年間描かれてきた七花の成長。その最後の問いは、「なぜ戦うのか?」という根本的なものであった。
とがめは結局、自分自身のために相手の気持ちはおろか、自分の気持ちすら駒として利用していた。身体も、言葉も、気持ちも、心も、その全てがとがめにとっては奇策を練るための駒に過ぎない。
けれど、その存在が例え駒であったとしても、とがめが七花に感じた恋慕は嘘ではない。駒として利用出来る、とがめの本心。だからこそ、死の直前にしてとがめは自分の野望が砕け、志半ばで挫折した時、奇策のためにしか生きることが出来なかった人生のほんの一瞬だけ、彼女は全てを“死”という名の忘却に全てを捨て、最期の最期に本心として「七花に惚れてもよいか」という言葉を残したのだろう。
結局、人は自分のために生きている。どれだけ他人のため、世界のためと言ったとしても、そう言う行動をとる意思そのものが自分のためなのだ。『他人のために』という自分の気持ちのために生きると言うこと。とがめが最期に七花に教えたこと。
それは虚刀・鑢が最後に必要だった研磨が、『誰かに使われる』という刀(武器)としての運命から解き放ち『自分のために自分を使う』というものではないだろうか?
最後の研磨を終了して、七花は本当の意味で自立・独立し、自分のためだけに戦っていた。でも、新しい七花の衣装も、とがめの服や髪の毛を使ったものである。七花は、確かに自分のために戦って、とがめの最期の命令を無視して自分のために死のうとしていた。でも、そんな彼の心の根底や奥底、土台といった大切なところには、ちゃんととがめがいる。
死してなお、二人の間に確かな絆と想い出があるのだと感じさせるシーンの連続にちょっぴり切なく、ちょっぴり胸が温かくなるような想いだ。
本当に60分、1秒たりとも無駄が無いと言っても過言ではないシーンの連続で、一年間という長いスパンで月一放映という変則放送の集大成と呼ぶべき素晴らしい作品。また、昨今のアニメ作品の中でも特にテーマ性があり、視聴者に強く訴えかけて来るモノがあった。
一年通して映像作品としてはもちろん、物語としても申し分の無い出来。本当に素晴らしい体験をさせていただいた作品だ。
監督、スタッフ、キャストの皆様方、本当に素晴らしい作品をありがとうございました。一年間、おつかれさまですm(_ _)m
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NoTitle
アニメだと、やや分かり難いんですが実は、とがめ(七実)と衛門左衛門の願いだけは叶ってるんです。七花と否定姫の生存だけは。
いや、原作既読者から見ても文句のつけようもない素晴らしいアニメでした。
感想お疲れさまでした。