刀語 第11話
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[刀語(カタナガタリ)]
『毒刀・鍍』
≪あらすじ≫
伝説の刀鍜治、四季崎記紀がその人生を賭けて鍛えた完成形変体刀十二本を求め、無刀の剣士である虚刀流七代目当主・鑢七花(やすり・しちか)と美貌の奇策士・とがめが征く、刀集めの旅。
残り二本となった刀集めの旅。とがめは、最後の一刀“炎刀”を否定姫が持っているであろうことを看破しており、事実上次の十一本目“毒刀・鍍”の収集が旅の最後となることを見越していた。とがめは、刀集めの旅終了後も七花に傍に居て欲しいと告げ、七花もそれを了承する。
もうすぐ一年に成る長い長い旅路を経て、刀としても人としても大きく成長し“毒刀・鍍”に乗っ取られた真庭鳳凰も退け最強を誇る七花と奇策士と恐れられるほどの頭脳を持つとがめの前に、もう敵と言う敵はいないはずだった。待っていたのは、変体刀集めの終了とその先に待つ人生であったはずだった。
そう、あの瞬間までは―――
≪感想≫
完了形変体刀“鑢”、研磨完了―――
今回は、言ってみれば最終決戦を前にこれまでの物事の設定や不鮮明だった部分の提示であった。だから、真庭鳳凰と右衛門左衛門の関係性も明らかになり、真庭忍軍は全ての十二頭領が自分の忍術を示した上で全滅し、とがめの正体も明かされて、そして改めて七花が四季崎記紀の完了形変体刀であることを示した。
四季崎記紀にとって、完了形変体刀“鑢”がどういう意味を込めて作ったのかは正直読み取れなかった。開祖である鑢一音の生きざまを気に入ったのか、未来予知をしているのであれば鑢一族に刀の才能が無いことを良いことに、無刀の剣法を完了形と定めたのかは解らないが、私は四季崎記紀が人間の可能性にかけていたように感じる。
十二本の完成形変体刀を経て、四季崎記紀がどこに辿り着こうとしたのか。
“完成”したモノを“完了”させるモノへと導く要素は何なのか。
完成した十二本の変体刀に有って無かったモノ。それは、武器と使い手の一体化ではないか。
十二本の変体刀はどこまで行っても武器でしかない。武器でしかない以上、使い手・担い手によって性能は左右されてしまう。また、人が幾ら手足の延長のように刀を使えるようになったところで、それはあくまで延長であって、一心同体ではない。タイムラグなんかが存在する。
四季崎記紀は故に、刀(武器)とそれを扱う人の一体化を求めた。虚刀流と言う流派とそれを修めた者は、それ自体がすでに刀であり使い手。全身が武器であり、その武器を使うのは自分自身。
そうした傾向は、すでに十二本の変体刀から見え隠れする。
例えば、終盤の変体刀には特にその要素が見て取れて、「誠刀“銓”」は誰かを傷つける武器ではなく、自分を斬る刀・自分を知る刀であった。あるいは、今回の「毒刀“鍍」は四季崎記紀の魂が毒として装備した者を乗っ取るほどで、また「王刀“鋸”」も毒気が逆に抜かれ誠実さを主眼に置いたと言う、武器としての性能ではなく精神への干渉要素に特化した変体刀であった。
これらのことから四季崎記紀が、使い手の精神と言うものをどれだけ重んじていたかが読み取れる。
また、「微刀“釵”」は全身に武器を内蔵したカラクリ人形であり、「賊刀“鎧”」も防御力に特化した刀ではあるが全身が武具になると言う点では同様のコンセプトであり、ここからも四季崎記紀が肉体そのものを武器化することに何かしらの執着や理念を見出していたことは明白だ。
もちろん、全ての完成形変体刀が完了形変体刀への布石だったとは思わない。こじつけようと思えばこじつけられないこともないが、炎刀などのように未来予知者ならではのオーバーテクノロジーによる純粋な武器も確かに存在する。しかし、四季崎記紀はきっと十二本の完成形変体刀を見返した時に、複数の刀に対してこうした共通点を見出した結果として、完了形変体刀へのヒントを得たと考えるのが妥当だろう。
そうして、完成形変体刀の複数の特性を統合して行った結果として誕生するのが、肉体そのものを武器化し武器がそのまま担い手であると言う虚刀流―――完了形変体刀“鑢”だと私は考えている。
さて、そうなると重要になるのは肉体の強度や武術の練度は当然ながら、武器でありながら担い手でもある為に人としての精神が重要になる。だが虚刀流は、四季崎記紀が明言したように開祖・一根だけでは完了には至らなかった。その時は、おそらく完了形変体刀と呼ぶにはあまりに武術的な完成度が低かったからだろう。おそらく開祖・一根もそれを知っており、以後の当主には幼少期からの鍛錬を重ねさせ、さらに一つ一つの技や型と言った武術的な完成度を高めようとさせたに違いない。
その過程で、虚刀流は何時しか自分自身が武器である=虚刀流の使い手は“刀”であり、担う者足り得ない、と間違った伝来がされた。それもそうだろう。無刀の剣術なんてものがそもそもにして矛盾であり、武器が担い手であると言うことも普通に考えれば矛盾でしかない。そうしたものを代々の当主が、都合の良いように解釈した結果が六代目であり、旅に出る前の七代目・鑢七花ではなかったか。
開祖から時を経て七代目に置いて、最終奥義が完成。武術としての完成度は極まった。その完成度を継承する七花は、何の因果かとがめと旅に出る。それは従来の虚刀流ではなかなか無かったことだろう。虚刀流は、まずは武術の完成度を高める為に生涯をおそらくその完成度を高め、そして次代へと繋ぐ為に注いだはずだから。
だからこそ、それが完了への始まり。
四季崎記紀は無刀の剣術を完了形変体刀としたわけではない。きっと彼は、武器と担い手の一体化、無刀の“剣”を使い剣士を完了形変体刀にしたかったに違いない。その為に決定的に足りなかったのは、担い手としての精神の強さや経験値だろう。極められた技や型のスペックを120%引き出せるだけの精神力を得てこそ、初めて完了形変体刀はその研磨が完了する。武術としての研磨が終了した虚刀流は、今度は担い手としての精神を研磨する旅が始まるのだ。
旅に出た七花は、とがめや私たち視聴者の目から見ても大きく成長した。それは武術としてではなく、精神としてだ。RPGで言えば最初からボス戦をこなせるほど高レベル状態の七花であったが、精神力のレベルが1であった。私たちはそんな七花の成長を見守ってきたのだ。多くの出会いと別れ、友情や愛情、憎悪や悲哀、数えきれないだけど感情を経験し蓄積し、それによって自分自身の心を七花は研磨し続けて来たのだ。
そして、その最後の研磨はきっと“絶望”
七花にとって“死”は戦士であり剣士である以上常に直面する。だが、それは何時だって敵か、あるいは周りに居る人たち。実姉・七実との戦いですら、ある種敵同士であった。もちろん、その別れは想像を絶する悲しみであることに違いないが、やっぱり敵同士だった。
もっと決定的に言えば、今まで七花は唯一護りたかった者―――とがめを護れなかったことがない。
七実にとがめの髪を切断されてしまったことこそあるが、その身を傷つけられたことはない。何時だって、七花はとがめを護ることが出来た。
だが、それが遂に今回出来なかった。
とがめの生死は解らないが、それでも護れなかったという事実は変わらない。
愛する者を、唯一護りたかった者を護れなかったことへの悲壮、挫折、後悔、そして“絶望”。
あまりにも大き過ぎる負の情念を持って、おそらく完了形変体刀はその研磨を完了する。ナレーションさんの口調はもちろん、きっと未来を予知出来た四季崎記紀には、最後のシーンすら予知していたに違いない。だからこそ彼は自分の真庭鳳凰の肉体を借りた最期に、完了を告げたのだ。
次回はいよいよ最終話。とがめはどうなるのか。護れなかったことで研磨を完了させた完了形変体刀“鑢”こと七花はどこへ向かうのか。否定姫、右衛門左衛門との決着はどうなるのか。一ヶ月後が待ちきれないほど楽しみなラストを期待して待っていたい。
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