劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- 感想・講評 第六回
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[機動戦士ガンダムOO]
感想・講評 第六回『ELSの“花”とは』
ラストシーンでのELSの集合体が“花”へと変化した意味は? その中から出てくるGN粒子のような光は? そんな考察です。
では、さっそく考察です。
◇ELSの“花”とは◇
花の意味自体には確か答えは出ていたような気もしますけどね。
確か、あれはELSが刹那の深層心理に触れた結果。
幼い頃は、花になど見向きもせず、その花を踏み潰して戦い続けてきた少年である刹那が、時を経て、“花”の持つ意味とその大切さを理解し、それを平和の象徴として心の原初風景に宿すまでに至った。
見つめ返した時に、本当に大切なモノは何だったのか。
それは、刹那が7年にも及ぶCBのガンダムマイスターとして世界と向き合った結果に出せた答えなのでしょう。
そして、ELSはそれに触れた。
時折、感想などでは
刹那がダブルオークアンタでワープ⇒対話完了⇒ELS、“花”へ変化
と言う解釈も多く見かけるけど、たぶんそれはない。
あの一瞬でELSと対話が完了するとはとてもではないが思えないし、そもそも惑星間航行以上の距離をワープで移動するときにどれくらいの時間を要するのかが解らず、刹那が地球へ帰還するのに50年かかったことを考えると、相応の距離にあった気がする。
だから、あの“花”っていうのは、ELSによる休戦協定みたいなものだと思ってるんですよね、私は。
ダブルオークアンタのクアンタムバーストとティエリアが制御するヴェーダのおかげでようやく“対話”をするに至った刹那とELS。
ELSの目的を刹那たちが知ると同時に、“対話”なのだから刹那の意識もELSに流れたはず。そこで、ELSは地球人がどうして自分たちに武器を向けてくるのかを知り、武器と武器を持ちあって戦ってしまった自分たちが、もっと平和的に解りあう為に必要な要素として、刹那の中から“花”を見出した。
国と国との戦争と一緒だと思うんですよね。
戦争終結=休戦協定締結、ではないんですよ。話し合う余地の中で、互いに歩み寄って話し合っている最中。その中で互いに妥協点を見つけて、休戦し合う。今はちょうど、刹那が地球側の代表としてELSと対話と言う休戦協定を話し合っている途中、といったところでしょうか。
ELSは自分たちの母星が死を迎えることを知っているから、種族として生き残る為に新しい地を求めていた。一方で、地球の人類にはELSと一体化して耐えられるだけの身体も心もない。だから、刹那としては融合することは止めてほしい、ここではELSであるキミたちは受け入れられない。そう伝えている気がする。
その中で、ELSがどうしても地球圏に残りたいのであれば、地球ではなく宇宙でお願い出来ないか、と歩み寄る。もしくは地球上であったとしても、地球上の生物・生態系とは融合しないようにと歩み寄る。
その結果が50年後のあの地球圏の姿だと思う。月と地球の他に、もうひとつ巨大な惑星規模のELSがいる。重力とかの関係で地球の軌道とか月の軌道とか変わりそうなものだが、そこはELSパワーでどうにかしたのだろう(後述にどうにか出来るだろう理由を掲載
花の形をしたELSは月から地球へと触手のようなものを、そして緑色の粒子を伸ばしている。そこには地球軍の姿はないし、カットがないので不鮮明だが、おそらく外宇宙航行艦“スメラギ”も月面周辺の、あの宙域付近にあるのだとすれば、50年の間で刹那とELSによる休戦協定は結ばれて、対話は一応終了した、と言うことなのだと思う。
姿を変えないのは、これは平和の象徴である、とELSが実感したからなのだろう。
◇ELSの放つ粒子は◇
ぶっちゃければ、きっとGN粒子だと思います。
粒子の色が緑色なのは、刹那のダブルオークアンタと対話をしながら融合をすることでダブルオークアンタから太陽炉の本当のデータを吸収したからでしょう。
当初ELSは地球製のMSと融合した際に、そのMSの姿を模倣して武器として用いた。それは、地球側の人類がELSに対して武器を持って排除しようとしたことに対する、ある種の自己防衛だ。故にその姿は憎悪に満ちたようなMSへの変貌となった。
しかし、刹那との対話によってELSは対話の必要性を感じた。だが、ELSは言語を使えず、ボディランゲージも出来ない。故に人類との間には軋轢が生じた。
そんな中でELSが人類と対話する唯一の手段は脳量子波。だからこそ、ELSは当初から脳量子波を使える者・先天的に脳量子波を使える因子を持つ者への接触を試みたわけだ。
その脳量子波を増長する触媒・媒介となるのがGN粒子。GN粒子が媒介となることはリジェネ・レジェッタが2ndシーズンで口にしておりイノベイドは脳量子波をGN粒子によって増長させて用いている。
また、一般人でもトランザムバーストと刹那による純度を増したGN粒子を高濃度に展開することで、疑似的に脳量子波を再現することも可能にした。
それを読み取ったELSがGN粒子の必要性と有用性を認め、自らの体細胞を変質させGN粒子を生成するに至った。吸収した最新のデータがダブルオークアンタのツインドライヴであった為、粒子の色は碧だった、と。
もうひとつ、GN粒子であった欲しいのは、その重量軽減効果だ。ELSの質量がどれほどのものか解らないが、あの巨大な“花”が地球圏に相応の質量で存在することは、地球や月そのものに大きな影響を与えるはず。
上記の項目でELSパワーでどうにかした、と書いたが、実際にこの項目だけで言えばGN粒子によって重量を大幅に軽減した、とも考えられる。
この変質はELSが人類に歩み寄った結果の一つだろう。刹那はELSと歩み寄り、対話をしていく中でダブルオークアンタと共にメタル化した。それと同じようにELSもまた人類に歩み寄り、本来持っていなかったGN粒子生成機関を肉体を変質させてまで獲得し、そうまでしても人類との対話を望んだ。
ラストのメタル化だけがどうしても目につくが、その前のシーンでは刹那と同じようにELSもまた対話の為に自分の肉体を犠牲にしてでも、人類との対話を行おうとした結果なのだろう、と思う。
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