世紀末オカルト学院 第13話(最終話)
『マヤの文明』
≪あらすじ≫
1999年7月19日、ノストラダムスの鍵の破壊に成功したが、2012年の未来は変わらない。文明はその報告を受け、マヤからのサプライズプレゼントを聞いて、ふと自分の中に欠落している記憶があることに気づく。
それは1999年7月21日、自分がヴァルトシュタイン学院で講演をした、と言う事実。
本当の鍵は、過去と未来の文明が一堂に会してしまうことで発生する時空の歪みであった。
今すぐ未来に還るべきだと打診されるが、文明は大好きだった母を一目見たいと1日だけの猶予を懇願し受け入れられる。だが、文明に未来に還って欲しくないマヤは、文明がこの地に居られるよう、少年文明の講演を中止にしたはずだったが―――
≪感想≫
納得出来た最終話
人それぞれ思うところがある最終話になったかな、と思います。文明とマヤの恋が成就して欲しいと願っていた方々にとってはこの結末に納得出来ないところもあったでしょうし、ラマチャンドラン・フィッシャー(?)の予想を出しながら、最後は情報科学も熱力学上の問題まで出しておきながら文明の超能力であっさり解決ってところに肩透かしを食らったと吠える人もいるだろう。
ただ個人的には凄く納得出来る着地点であった。
先週、未来は変わっていない事実があって、そうなると考えられることは限られるわけで、その中で物語としての着地点を見つけると言う意味では、良かったと思う。
この作品の主人公は文明とマヤであり、主役も文明とマヤである。両者を丁寧に描きながらも、7話~10話までの前後編2編を用いてマヤの中での葛藤を解消し、11話から3話かけて文明の中の問題を解消した。
心理描写で見直した時に、6話までが共通パート。7話から10話がマヤパートで、11話から13話が文明パートときっちりと一線が引かれていたのだと再認識出来る。確かに、全ての話で両方の葛藤や心理的問題を解決することは、二つ同時に描くが故に粗雑になってしまう面もあるだろう。
パートが分かれていたからこそ丁寧に集中して心理描写が描かれていて、その面から見れば優れた手法であった。
文明が抱えていた葛藤や問題は、マヤと同じで大好きだった親について。そして、その先に文明には“自分の人生”と言うモノが待ち構えていた。
ずっと周囲に流されて生きて来た人生。それは私を始め多くの視聴者がここまでを観てきて文明に対して抱いた感情だろう。それを当人も持っていた。そこを改めて亜美に指摘されて、考えるようになった。
幼少期の自分が学院に居た時、文明の第一声は「自分の足でここまで来たのか?」と言う言葉だった。親に、観客に、チヤホヤする周囲に流されて生きて来たはずの文明にも、自分の足で親も、観客も、周囲も全てを振り払って歩いた過去があった。
それがきっと、文明の中での答えだったのだろう。
自分だって、自分の足で自分だけが歩ける自分だけの人生がある!―――。
一種の使命感に近いかもしれない。
自分に出来ることは、超能力しかないと直感的に感じ取ったのだろう。ずっとヘタれで、生徒にもバカにされてきた文明。それでも、彼は、最後に愛する人と世界を守った主人公であり、そして英雄であった。
超能力の使い方
皮肉なのか、あまり好評ではなかった前作『閃光のナイトレイド』同様に念動力の超能力をかなり強力に描いてくれたことだけで、個人的には満足だ。
念動力はスプーン曲げに代表されてしまう為に、どうしても派手さに欠けてオカルトやSFでは「弱い」と言うイメージがつきものだ。スプーン曲げられる? その程度がどうした?って具合で。
だが、実際には鉄かアルミかステンレスかは解らないが、一定の硬度を持つスプーンを曲げると言うことは、物理的に曲げるのと同等の出力を念じるだけでかけているわけだから割と強力なのだ。しかも、念である為に、遠隔発動が出来て、その範囲対象は物理的なものに限定されない。
飛来した謎の物体からの熱量攻撃に対して文明は念動力でバリアを張り、次に念動力で相手のボディをひしゃげて見せた。どちらの使い方も前作『閃光のナイトレイド』で主人公・葵が使って見せた使い方に良く似ている。同じスタッフが作っているわけではないので、偶然でしかないのだが『アニメノチカラ』シリーズで二作連続で同じタイプの超能力を持つ者が主人公で、その使い方や威力も丁寧に描かれていたことに運命的なものを感じずにはいられない。
時空の歪み
ラマチャンドラン・フィッシャーの予測? 私にはそう聞こえましたが、さっぱり解りません。詳しい方が居ればぜひその方に説明してもらいたいところですが、情報科学の観点からの一定空間内における情報の飽和の話についてはだいたいのイメージは掴めた。
要は風船と空気。
大きく膨らんだ風船が空間、空気が情報である。大きく膨らんだ風船に、さらに新しい空気を入れると限界を超え、風船を揺らすことで刺激を与えれば簡単に破裂する。
それと同じで空間内に存在出来る情報量は一定であり、そこに新しい情報が加わるとその許容量を超える。そこまでならばなんとか耐え切れるが、過去と未来の同一人物が出逢うことで共鳴し合い、空間を強く刺激。結果として風船と同じように空間の一部が決壊、それが時空の歪みとなる、と言うことだろう。
単純にタイムパラドックスで片づけない辺りは、ムーが監修しているだけある、と言うことなのだろうか。
枝分かれ式の時間軸を想定したが、どうやらそう言うわけではなかったようだ。未来が変わって固定された未来から抜け出して変革した2012年を観た神代純一郎の姿がとても印象的であった。
ずっと純一郎はある種の黒幕だと思っていたが、そうでもなかったようである、案外普通のおっちゃんだ(笑
ただ一つ矛盾も感じている。
ノストラダムスの災害が起こった過去があるならば、過去に文明は未来から文明と出逢っていることになる。そうでなければそもそも空間の歪みは発生しない。
そして2012年の文明に超能力がないのであれば、過去で文明は未来から別の文明にやっぱり超能力を譲渡させられたと言うことになるのだろう。
では、どうしてノストラダムスの災害は回避されなかったのか?
その答えは明確ではない。ぜひ、監督に一度語ってほしい部分だ。
同じ条件で文明が、かつての自分から超能力を譲り受けたのであれば、そこには私たちがこの13話を観て来たものと同じ経緯を辿っているはずだからだ。
何が違ったのだろうか。
それはもしかしたら、やっぱりマヤが生きているかどうか、なのかもしれない。
マヤがもし美風たちに殺されてしまったのであれば、おそらく文明では時空の歪みは閉じられない。あの時、文明が時空の扉を閉じることが出来たのが、マヤと言う命をかけて護りたい人が後ろにいたから、と考えれば、やっぱりマヤもまたノストラダムスの災害を回避するための鍵だった、のかもしれない
(と言うか、これ以外の理由が思いつかない(´・ω・`)ショボーン)
内田マヤ
あの後、どうなったのか解らない。マヤは、1999年で高校生と言うことは2012年ならば13年後になるので30歳前後、文明は忘れてしまったが小学生ならばどんな年でも25歳、若ければ20歳前後と言うところか。
まぁ、内田とネームプレートの張られた家に住んでいるのであれば、マヤは文明と結婚して一緒に生活している、と言うことなのだろう。まぁ、よくよく考えれば年齢としてそんなにおかしな年齢でもないのか(ちょい年の差カップルだろうが)。
この結末、ハッピーエンドを望む人にとっては結構キツイEDだと思う。だって、マヤが好きになった文明は目の前に居る文明ではないのだから。しかも、彼女が文明と一緒に居る理由の一つは好きだった文明に頼まれたからだ。もちろん根源を同じとする人間なので、同じような性格をして同じように育つのだろうが、そこにマヤが文明を好きになった思い出はない。
それでも、結婚に至ったのであればこの13年間でマヤと少年文明の間には別の思い出を刻んだ、と言うことなのだと私は信じている。頼まれたからと言って結婚する必要性はない。マヤが指摘したように文明を金の成る樹程度にしか考えていない母親から守れば良いだけなら。
そこからさらに一歩踏み込んで、付き合って、結婚したのならこの二人は私たちが知る文明とマヤとはまた違った想いを積み重ねたのだろう。
まぁ、正直、文明少年としては良かったのだと思う。だってほら、文明ドMだから、ドSで引っ張って行ってくれるマヤってある意味理想的だし、文明なら姉さん女房で尻に敷かれている方がお似合いだ(笑
ただ他Blog様でコメントしていて気付いたのだが、案外文明少年の方がマヤに交際と結婚を迫った、とも考えられる。「自分の足で歩め」と言ってくれた青年が未来の自分で、未来の自分が護った女性だからその女性を今度は自分が護るのだ、と意気込んでも文明ならおかしくない(少なくとも文明から託された以上、マヤはずっと文明を見守るだろう。一番そばに居る血のつながらない異姓で、自分を見守ってくれるのならばその存在に文明が惚れるのも道理)。
その中で、文明がマヤに惚れてアタックして、マヤの方が折れたとも。それはそれで希望があるのかもしれない。
正直、私としてはあの母親と文明少年が結局どうなったのかがとても気になる。警察沙汰になったわけだから、発見されて確保された。でも、超能力を文明青年に譲り渡してしまった文明少年には超能力がないから、それを口実に母親から離れてマヤに保護される、っていう展開が一番目に浮かぶ。
文明の母親って、あそこから改心するかなσ(^◇^;)
当初の予想通り、最後だけ超能力を取り戻して主人公らしく活躍した文明。文明に気がつけばデレていたマヤ。最後までコメディ担当だった亜美たち。
多くの魅力的なキャラクターがいながら、その誰もが決して要らないキャラクターではなかった。
最終話でも中盤の亜美たちとのところでは笑える要素をちりばめた辺りに、スタッフの初志貫徹な部分がもしかしたら残っているのかもしれないと思えた。
クリエイター主導によって製作されると言われた『アニメノチカラ』シリーズも本作を以って終了。
個人的には『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』『閃光のナイトレイド』『世紀末オカルト学院』、そのどれもがラノベ中核に原作作品のアニメ化が続く業界において、アニメオリジナル作品として輝くを放っていた作品だと思う。
『世紀末オカルト学院』に携わった監督、スタッフ、キャスト全ての方々はもちろん、『アニメノチカラ』に携わった全ての方々、本当にお疲れさまでしたm(_ _)m
久々にテレ東(アニプレックスも共催だが)の本気が観れた気がする。かつてアニメ黄金期を築いたテレ東だからこそ出来た企画だと思うし、この企画は終わってしまうが、これから先もぜひ第二期黄金期が作れるよう、頑張ってほしいと切に祈る。
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度々のコメント失礼します。
ブログ村が死んでいると不便ですね。(^^;
>普通のおっちゃんだ
本当に、何故黒幕じゃないんだって感じです(笑)
前回までのあの思わせぶりな態度はなんだったんだ…。
>ただ一つ矛盾も感じている。
ご尤もです。この手の時間跳躍モノには付き物の矛盾ですよね。私もこれが理由で、SFが苦手でして。なので、最近では深く考えないようにして流してます(笑)
文明の母親は、作中の描写を素直に受け取って、優しい母に戻ったものだと解釈しました。
そうじゃないと、あまりにも文明が可哀想ですので。
なんにしても(「隠者のエピタフ」の)吉良さんは素晴らしい考察をなされていたのだと、改めて思いました。
それでは失礼します。