伝説の勇者の伝説 第9話
『忘却欠片(ルール・フラグメ)』
≪あらすじ≫
竜が消え、民も消えた。
そんなシオンからの警告状を忘れたイリスからの曖昧な情報で、逆にその警告された場所へと戻ってしまうライナとフェリス。そこには、かつてネルファ皇国の宝物庫で出逢ったスイとクゥがいた。しかし、その二人の手にはかつてライナが見つけたモノを含めて三つの勇者の遺物があった。
勇者の遺物、そして複写眼についてライナ以上の知識を見せるスイは、結晶化させたと言う複写眼の力を使い、ライナの複写眼を意図的に暴走させる。そして、ライナの複写眼も結晶化させて取り出そうとするが、暴走したライナの力は既存の複写眼保有者とはケタ違いで―――
≪感想≫
二つのことについて少し語りたいので出来るだけ要約して。……いや、要約なんて出来ればいつもあんな長文な記事にはならないわけですが(爆
中盤くらいまでの感想としては、早くもパワーインフレか…と言うものだった。これが一つ目。いや、厳密に言えばパワーアップ表現はあまり見られないので、インフレーションと言うモノではないのだが、すでにその戦闘能力は飽和状態な気がする。
実際、複写眼保持者の魔法戦ほぼ無敵のライナと、超人的身体能力で肉弾戦ほぼ無敵のフェリスが組み合わさった主人公ペアは、ほぼ無敵なわけだ。もちろん、彼らvs一国の軍隊とかならまだ解るが、その二人がいきなりにして二対二で窮地となれば、そう思わざるも得まい。
これをパワーインフレとすればいいのか、はたまたそれを可能としてしまうほどの絶大な力を秘めたのが“勇者の遺物”と言うモノだとすればいいのか。個人的には後者でありたいわけだが、結局のところ、ライナが複写眼で暴走すると勇者の遺物の一つにして、神の力で魔法を無力化するクシをスイの右腕ごと白い灰に解体するシーンを観ると、やっぱりパワーインフレな気がする。
ただ、ここで重要なのは“勇者の遺物”さえも通用しないライナの複写眼の異常性・特異性と言うことなのだろう。ただでさえ特殊な能力なのに、その能力は稀少な他の同系統能力ともやや異なる、と言う如何にも主人公らしい属性をこうして見せてくれたことには、今後の期待が持てる。
もうひとつは、中盤以降フェリスがヒロイン属性を発揮し始めたことか。これが二つ目。
ライナも強いのだが物理的な強さと普段のやり取り上、どうしてもライナよりも強く見えるフェリスは、昨今もはや主流とすらなりつつある『最上位クラスの能力で戦うヒロイン』である。
ただ、この手のヒロインの場合、何かしらのきっかけで主人公が、そのヒロインの能力すらも上回る、あるいはヒロインを超える特殊性を得るケースが多い。そうすることによって主人公とヒロインの立ち位置に変化を加え、ある種アイデンティティを喪うヒロインの動揺や苦悩、葛藤を描き、そこから主人公とヒロインの恋愛劇を広げていくのが、定番の手法である。
フェリスの場合、肉弾戦では魔法による身体能力強化のライナとほぼ互角と言う破格のスペックを誇るが、それでも彼女は複写眼を暴走させたライナの前では、おそらく無意味なのだろう。通常時のフェリスたちを上回れた“勇者の遺物”と言うチート強化を施したスイですら、あっさり撃退され撤退を余儀なくされた。この状況でフェリスに何が出来るかと問われれば、たぶん何も出来ない、と。
興味深い描写は、フェリスがライナの複写眼の暴走による実態を知らないこと。おそらくフェリスは、複写眼を「人体についた高性能な魔法解析機」くらいにしか思っていなかったのではないだろうか?(もちろん、暴走する危険性があることは知識としては知っているだろうが、それが身近で起きるとは夢物語みたいで思えなかったのだと思う)
だから彼女は普段知る“ライナ”とは明らかに豹変し、複写眼の力を暴走させられ、魔法を無力化する“勇者の遺物”を逆に無力化・消滅させるほどの“ライナ”を観て驚いている。
ここで上手いのは、ライナの幼少期、自分に親切にしてくれた女の子の回想が入っていることだろう。
回想の中の女の子は、独りぼっちだったライナと距離を置かずに接してくれた優しい娘であり、その娘にライナが友好あるいはそれ以上の感情を抱いて不思議ではない。
そして、今回の描写、序盤でライナは無表情を崩さないフェリスの内面を理解出来るようになっていた。そこには、いつもイジメられ、イビられながらもフェリスに、あの女の子と同じように友好かそれ以上の感情を抱いている裏付けとも取れる。
今のフェリスは、ちょうどこの女の子と同じ立場だ。
回想の中の女の子は自分を助けてくれたライナを『化け物』と言って拒絶した。そして、今フェリスはその状況の真っただ中にいる。勇者の遺物を三つも保有し自分たちを殺そうとする敵をライナは追っ払ったわけだから。もちろん、あのときと違って暴走したライナが止まれなければフェリスはそれで終わってしまうのだろうけれども、もしこの危機を乗り越えられた時にはやっぱりフェリスにはそう言った状況が待つ。
ラストシーン、ライナも崩壊しかかった自我の中で自分が化け物であることを改めて痛感した。
そのうえで過去の回想も加わると、ライナの性格上、危機を乗り越えられた場合、フェリスを突き放して自分を孤独にしようとする可能性が極めて高い……なんたって、状況は違うがキファの前例があるのだから。
その時(おそらく次回、あるいは次々回)こそ、フェリスのヒロインとしての器が試される瞬間なのだろうな、と思う。
フェリスはかつてライナが助けた女の子のようにライナを拒絶するのか、
あるいはライナを受けれ入れるのか。
特異性を持つ主人公を相手にした物語らしい、典型的なヒロインへの選択肢であるが、それ故にどちらの可能性も秘めている。話をドロドロにするならばフェリスにライナを拒絶させるだろうし、あるいはパートナーとしての絆を深めるのであればフェリスにライナを受け入れさせるだろう。
フェリスがヒロインとして、今後ライナに恋愛感情を抱くのであれば、是非とも後者の展開を期待したいな、と思う。恋愛劇でも前者のケースもあるのだが、やっぱり観ていて痛々しい気分が強くなり過ぎてしまう。王道なファンタジーとして展開している分、この辺りも是非とも王道な選択を期待したい。
第10話『夕暮れ』
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展開
ご指摘の通り、パワーインフレです。シオンの政治劇が児戯に見えてしまうパワーバランスの崩壊。早い時点でこれを片付けておかなくてはいけないのですが、収拾どころか、シオンからライナにしばらく主役が移りそうですね。
さてエリスと以前書き間違えましたが、フェリスでしたね(--)。
そのフェリスですが、強烈極悪馬鹿兄貴がいるので、七実の様な最強の様な位置づけじゃないと思いますよ。その辺りきっちり恐怖する相手として書かれているので、彼女の人格はそれほど単純じゃないです。それゆえ主人公との位置づけ違いは他の最強ヒロインと違うと思います。もちろん強いヒロインがすべて最強であるかは別ですけど、彼女の場合きっちり序列を兄によってつけられて、その事が骨の髄まで染込んでいるので、同列に扱いにくいなと言う感想を持っています。
ライナの扱いに対してどう変わるか?それゆえ離れるという選択肢は0だと思っています。ただ変わるか?は分からないですね。これがフラグ発生の元になるか?あるかもしれません。頭の上がらない兄に対して屈折したブラコン持っていたりして、その絶対性を揺るがす相手を見てちょっと気になるはあるかも。