2010.06/01 [Tue]
閃光のナイトレイド 第9話
閃光のナイトレイド 第9話
『新しい京（みやこ）』
≪あらすじ≫
任務を無断で放棄して喪ったはずの婚約者と瓜二つの女性・預言者を追う葵。個人の感情を優先する彼に、預言者警護の任に就いていた葛は、国益を第一に考え、いよいよ対立する。
一方、雪菜は会うことが叶わなかった兄・高千穂勲との再会を果たす。彼女が見せられたその光景に、雪菜は一つの決断を下す。
そして、葛を振り切った葵は、いよいよ預言者と邂逅する―――
≪感想≫
だいぶ桜井機関も人間模様が混沌としてきましたね。
桜井信一郎の底もいよいよ見えそうです。実際には、葵の離反は預言者が絡めば十分にあり得た話。その場凌ぎだけでどうにかしようとした桜井の手の内の甘さですね。任務離反の危険性を認知していれば最初から仲間などしなければよかった。それをさせなかったのは葵の有能さであり、それに目がくらんだ彼自身です。
実際に人と人との繋がりって、難しいと思うのですよ。
桜井信一郎は、桜井機関がいつから仲良し倶楽部になり下がった、と怒り心頭だったようですが、彼らを集めた桜井信一郎には、葵こそ不明ですが、葛には国家の為、雪菜・棗には兄捜索の為と違った理由を提示して、機関に引き込んだ。
元より個人個人は価値観が違うにも関わらず、さらに引き込む際の理由まで異なれば、そこでそのグループがチームとして機能するには、やっぱり何かしらの繋がりが必要。
仲良し倶楽部と卑下した彼ですが、実際に彼らが繋がって来れたのは、個々を尊重し合える関係だったからこそ。雪菜の兄への配慮、葛の知り合いへの配慮、そう言った個々の気持ちや事情を尊重し合ってきたわけです。それは一歩引いてみると仲良し倶楽部になるわけですが、そうすることしか仕向けられなかったのは桜井信一郎の手落ちですしね。
未来が見えるからこそ、具体的な助言をしない預言者。その姿勢は、未来視の力を悪用されない為には当然の線引き。ただ、どこまでの未来が見えているのか、という部分ですよね。
今の私たちの歴史では、広島と長崎に原爆を投下されて戦争に大敗した結果の上で成り立っている。この道を是とするか、否とするか。自分たちには、「あの時こうならなければ」と言うパラレルワールドを観測することは出来ないのですが、預言者が政に口を出さない最大の理由はもしかしたらここなのかもしれません。
垣間見えるモノが未来ではなく、未来に起こる事象だけだとしたら？ その事象の理由、前後の展開、その後の日本や世界に与える影響。そう言ったモノが観えずに事象だけが観えるのだとすれば、彼らに是非や善悪の判断は出来ないでしょう。そしてその判断が出来ない者に、国を引っ張っていくことは出来ない。故に、背中を押すだけ、と。
あとは国益と個人の感情の間に揺れる葛が、どういった態度に出るのか。
次回『東は東』。
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『新しい京（みやこ）』
≪あらすじ≫
任務を無断で放棄して喪ったはずの婚約者と瓜二つの女性・預言者を追う葵。個人の感情を優先する彼に、預言者警護の任に就いていた葛は、国益を第一に考え、いよいよ対立する。
一方、雪菜は会うことが叶わなかった兄・高千穂勲との再会を果たす。彼女が見せられたその光景に、雪菜は一つの決断を下す。
そして、葛を振り切った葵は、いよいよ預言者と邂逅する―――
≪感想≫
だいぶ桜井機関も人間模様が混沌としてきましたね。
桜井信一郎の底もいよいよ見えそうです。実際には、葵の離反は預言者が絡めば十分にあり得た話。その場凌ぎだけでどうにかしようとした桜井の手の内の甘さですね。任務離反の危険性を認知していれば最初から仲間などしなければよかった。それをさせなかったのは葵の有能さであり、それに目がくらんだ彼自身です。
実際に人と人との繋がりって、難しいと思うのですよ。
桜井信一郎は、桜井機関がいつから仲良し倶楽部になり下がった、と怒り心頭だったようですが、彼らを集めた桜井信一郎には、葵こそ不明ですが、葛には国家の為、雪菜・棗には兄捜索の為と違った理由を提示して、機関に引き込んだ。
元より個人個人は価値観が違うにも関わらず、さらに引き込む際の理由まで異なれば、そこでそのグループがチームとして機能するには、やっぱり何かしらの繋がりが必要。
仲良し倶楽部と卑下した彼ですが、実際に彼らが繋がって来れたのは、個々を尊重し合える関係だったからこそ。雪菜の兄への配慮、葛の知り合いへの配慮、そう言った個々の気持ちや事情を尊重し合ってきたわけです。それは一歩引いてみると仲良し倶楽部になるわけですが、そうすることしか仕向けられなかったのは桜井信一郎の手落ちですしね。
未来が見えるからこそ、具体的な助言をしない預言者。その姿勢は、未来視の力を悪用されない為には当然の線引き。ただ、どこまでの未来が見えているのか、という部分ですよね。
今の私たちの歴史では、広島と長崎に原爆を投下されて戦争に大敗した結果の上で成り立っている。この道を是とするか、否とするか。自分たちには、「あの時こうならなければ」と言うパラレルワールドを観測することは出来ないのですが、預言者が政に口を出さない最大の理由はもしかしたらここなのかもしれません。
垣間見えるモノが未来ではなく、未来に起こる事象だけだとしたら？ その事象の理由、前後の展開、その後の日本や世界に与える影響。そう言ったモノが観えずに事象だけが観えるのだとすれば、彼らに是非や善悪の判断は出来ないでしょう。そしてその判断が出来ない者に、国を引っ張っていくことは出来ない。故に、背中を押すだけ、と。
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