夢使い #12(最終回)
夢使い 第12話 「夢仕舞い・塔子の選択」
とうとう夢使いも最終回です。ラストの大ボスは、美砂子を以ってして「夢使いの悪夢となると強力」と言わせた塔子の悪夢。夢使いらしさである「夢解き」が若干弱いかなぁ、と思いつつも、それなりに満足しています。
では、詳細は続きからどうぞ。
Aパート
全ては父・初代童遊斎が塔子を守り死んでいったあの出来事に関係があると踏み、塔子から唯一預かった父の形見・狐面と父と3人で写った写真を「夢の欠片」として、夢見に挑戦する燐子。しかし、それは中途半端に力を持つ者がやると、逆に夢に引きずり込まれてしまう危険行為。一ですらやらず、童遊斎の名を継ぐほどの高井実力がなければ、自滅行為に近いこと。それでも悪夢を解決し、塔子を取り戻すため燐子は夢見を決意する。
・夢見(塔子が「夢床に入ります」と言っていた行為)って実は凄いことなんですねぇ。今までそんな描写無かった(と思う)ので、全然判りませんでしたよ( ̄∇ ̄;)
「あなたは罪を償わなければならない」
「そう……私が……お父さんを殺した」
目の前に存在するかつての父と自分の姿。その父が悪夢と知りながら、なおも近づき、父と寄り添う塔子。
全ては塔子が抱いてしまった禁断の想いから。子供ながらに父を愛しく想う塔子と、塔子に視線を向けてくれる父。だが、母の死より父の視線が塔子に向くことは少なくなり、父は母の面影を追い求め始める。子供ながらに父を奪われ、もう亡き母に嫉妬する塔子の気持ちは、子供が父を愛しく想う気持ちから愛へと変わる。それでも自分を見てくれない塔子は、自分を見てくれる父を悪夢として出現させてしまう。
そして、本当なら悪夢の持ち主である塔子が死ぬはずだったのに、父が代わりに死んだ。あの日負った傷で左目から流す涙と夢を見ることを失った塔子であったが、その事実が塔子をとてつもなく巨大な罪悪感で押しつぶそうとし、塔子はそれから逃れるように「夢を棄てた」と言う意味で「世捨て人」として父の跡を継ぐ。それすら限界に来たのが今の塔子だった。
・う~ん、塔子の独りよがりで生まれた悪夢かと思えば、父親にも問題が無きにしも非ずって感じですね。母(父から見れば妻)を失ったことで母の面影を追い続けた父。もしかしたら、一歩間違えば悪夢を生み出していたのは塔子ではなく父だったかもしれないですね。父が、塔子を守るようにして塔子の悪夢を自らの命を持って倒そうとしたのは、妻を失ったことで父としてダメになってしまい塔子に悪夢を求めさせてしまったことへの贖罪であり、夢使いとしてそれに気付けなかった責任かもしれませんね。と言うか、そうでないと、遺影を見ている時の父の姿と、塔子を守ろうとした父の姿のギャップが( ̄∇ ̄;)
Bパート
燐子の夢見が辛うじて成功したことで、あの強力な悪夢の正体が、塔子の悪夢だと知り、愕然とする一同。
「夢を見る資格さえない人もいますから」
それはかつて塔子が三時花に残した言葉。それは塔子自身を指す言葉であった。父と姉の間にあった出来事に夢見から解放された際には涙まで流した燐子だったが、気を張り直し、裏山へと急行。一、三時花もそれを負い、美砂子はドリームサイクロンの改修を急ぐ。
一たちの援護もあって一足先に地中を潜って塔子の下に辿り付く燐子。しかし、すでに塔子は悪夢に自らを飲み込ませる寸前だった。何とかそれを防ごうとするも、塔子の幼い頃の分身が転送し、燐子の前に立ちふさがる。その強大な力を知ってか、塔子はひたすら燐子に逃げるよう促すが、燐子は首を縦に振らない。
・(形だけだけど)夢使いvs夢使いであり、妹・燐子vs姉・塔子、と言う最終回ならではの特別マッチって感じ(ォィ
もう塔子が悪夢に飲み込まれようかと言う寸前、燐子は父の形見でもある狐面を装備するも、父との思い出を持たない燐子ではおもちゃのように発動しない。もうダメかと思った時、脳裏に浮かんだ言葉に反論するかのように燐子は叫んだ。
「私は、抱いてはならない想いを抱き、見てはならない夢を見たのだから」
「そんなッ!? 見てはいけない夢なんて……そんな夢なんて無いよっ!」
燐子が取り戻した父との唯一の思い出。溢れんばかりの光。それは塔子にも届く。
父が燐子へと語りかける場面。
「いいかい、燐子。夢使いになるなら夢の善し悪しを言ってはいけない。夢は人の真実の想いなんだ。人は夢の世界でだけ、本当の自由になれる。現実(うつしよ)は夢、夜の夢こそ真実(まこと)。悪夢に出会った時は、そのことを忘れないように。この世にあるから、悪夢に見えるだけだ。見てはいけない夢なんかないんだよ。決して憎んだり、恐れたりすることはない」
その言葉と、燐子から改めて父の形見の狐面と託された「童遊斎」の名に、失われた涙を左目からも流す塔子。
・感動的でしたね。父の言葉はとても良かったです。ホント、あれが妻の面影を追い続けて、塔子の悪夢を生み出した一要素になった男とは思えません( ̄∇ ̄;)
復活した塔子。かたしろに息を吹きかけることで過去の自分の分身を消滅させるも、悪夢単体でも異様な強さを発揮する塔子の悪夢。さらに合流した一・三時花を合わせ夢使い4人を以ってしても太刀打ちするのに厳しい悪夢に、美砂子が改修の終わったドリームサイクロンを持ってくる。
発射弾丸数が増えた新型ドリームサイクロンこと「ドリームハリケーン」。姉妹を支える2人の夢使いが放ち、姉妹が弾丸となった技は見事に塔子の悪夢を元の夢へと戻した。
かたしろを破棄し、夢を受け止めて生きていくことを選んだ塔子。世捨て人だった頃とは違い服装に気を使った……ように見せかけて、あまり変化は無い。けれど、2人がこれから歩む道は決して変化の無いものではないが、1つのものであることに違いは無かった。
「行く道1つもただ1つ。
これが我らの生きる道」
MVC 父
やはり父ですかね。最期のセリフ(オマエなら夢の痛みを知る良い夢使いになれるよ)と幼い燐子に残したセリフ(塔子が燐子のおかげで垣間見たセリフ)と、とにかく良いセリフを残してくれているので。
また、近いうちに総括は改めてやりますが、私は結構面白いと思いました、夢使い。ラスト4話くらいはシリーズっぽくなってしまってますが、それ以外はオムニバスで1話完結ものがほとんどなところが、シリーズものがほとんどなアニメの中ではとにかく新鮮でしたし。若干、最終回は不完全燃焼な部分もありますけどね。
想いを取り戻した塔子と過去の塔子とが戦って欲しかったり、もうちょっと細かく夢見で夢を解析して欲しかったり、せっかく夢使いが勢ぞろいしたのに出番が薄かったり……。最後は1時間SPくらいでも良かったのに、と思います。
TB先 参照リンク
・http://astrea9999.blog63.fc2.com/blog-entry-82.html
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