地獄少女 三鼎 第07話
『うそつき』
東京から賽河原第四中学に転入してきた犬尾篤志(いぬお・あつし)。級長を務める鷲巣貴輝(わしず・てるたか)とは、親友と呼んでも差し支えない仲だった。
犬尾が転校してきた理由は、病床にある母親の療養という名目だった。だが、現実は夫に逃げられた母親が田舎に逃げ帰ってきただけ。
それでも幸せそうに暮らしていた犬尾だったが、真相を知った鷲巣が必要以上に介入してきて……。
<あらすじ>
東京から賽河原第四中学に転入してきた犬尾篤志(いぬお・あつし)。都会から来た雰囲気と、もともとの犬尾の取っ付きやすい性格も相まってすぐにクラスにも溶け込む。特に級長を務める鷲巣貴輝(わしず・てるたか)とは、親友と呼んでも差し支えない仲だった。
犬尾が転校してきた理由は、病床にある母親の療養という名目だった。だが、現実は夫に逃げられた母親が田舎に逃げ帰ってきただけで、母親は周囲に良からぬ噂が立つことを恐れ、犬尾にそう嘘を吐くよう強要していたのだった。
母親の看病という名目がある以上、犬尾は自分で家事をこなし、学校が終わっても早々に帰宅しなければならない。そのため、放課後になるととたん付き合いの悪くなる犬尾を心配する鷲巣。
ある日、犬尾はふとしたことから鷲巣に本当の理由を明かしてしまう。鷲巣は、犬尾の母親をトコトン詰ると、真相を打ち明けてもっと自由になるべきだと声高に語る。
一方、犬尾の母は理由が明らかになったことをキッカケに名目上の理由を棄て夜な夜な遊びに行く始末。
それでも、たった一人の母親のために我慢してきた犬尾だったが、鷲巣に母親が見知らぬ男性と密会しているところを見せられて―――。
感想・考察はOPENからどうぞ。
<感想・考察>
犬尾篤志
実は中盤以降にあっさりとオチが予測出来てしまったので、そんなに驚きはなかったんですよね。むしろこれで母親が流された方が驚きだったかも。
彼にとって大切なモノは家族だった、ただそれだけのことでしょう。
彼が、鷲巣に秘密を暴露してしまったこと自体が大きな問題だったとは言え、もし鷲巣がいなければ、鷲巣が干渉してこなければおそらく彼は母親とずっと―――偽りでも平穏な生活を送っていたでしょう。それが、夫に逃げられてしまうような性格で家の中で惰眠を貪って家事の一つもせず性格上いずれそれがバレることが明白だったとしても、です。
演技が事実か、親の涙は予想以上に子供にとっては堪えるモノだと思います。前回の、教師を「先生」という一つの固定観念と固執したイメージで見てしまうのと似ていて、子どもからみて「親」とはそれが一つの固定観念であり、成長すれば周囲と比較し一般的なイメージでとらえてしまいがち。
だからこそ、そんな親に弱さの象徴の一つでもある涙を見せられれば、精神的なショックは大きいでしょう。
実体験からすれば幾つかありますが、涙するorそれくらい悲しい表情をされる、というのは相手の気持ちをある程度汲める程度にまで成長していると、精神的に堪えます。
だから、犬尾篤志は自分の自由ではなく母親との生活を選択して、糸を解いたのだと思います。たとえ、母親が父親以外の男に走ろうと自分の存在をいないように言われようと、彼にとってあの母親が今は身近にいるたった一人の肉親であることに違いはありません(これは推測ですが、もしかしたら篤志の父親は、篤志を放棄して出て行ったのかもしれません。そうなれば、篤志にとって母親は自分の傍にいてくれる文字通り唯一の存在になるわけなので、余計にその思いは強いのかも)。
そして鬱ラスト。
確かに鬱になるラストでしたが、個人的には嬉しいというか少しだけ救われたような気分でもありました。それは、篤志が友人を流してしまったことを酷く後悔し、結果として精神を病んでしまい過去の思い出に逃げたから。
それは憂鬱な展開です。あんなに頑張って耐えて耐えて耐え抜いていた篤志にはもっとハッピーエンドが用意されてほしいですが、その反面、ちゃんと流したこと=一人の友人の命を奪ったことを後悔してくれる子であることが、嬉しかったです。
鷲巣貴輝
他人には踏み込んでほしくない領域がある、ということ。
地獄コントで自ら発言したように、彼は犬尾篤志という存在の不幸に対して親切を施している自分に酔っているだけだった。
確かに客観的に見れば、彼の発言は一つの答えだと思うし、決して間違っているようにも思えない。でも、やっぱりそこに本人の意思がなければ、どんな正解であろうと、それは間違いなのだと思います。
相手の気持ちを汲む。
この能力が決定的に篤志と貴輝で差があった。
篤志は、この能力が中学生ながら高く、母親の気持ちも貴輝の気持ちも汲み取れてしまったがために、貴輝を地獄に流し、流したことを後悔して過去に逃避してしまった。
一方、貴輝はこの能力が決定的に不足していたから、篤志という他人が自分の母親を何も知らない相手から貶されることに対して抱く気持ちさえ理解出来なかった。
そう、コードギアスでルルーシュもこう言っていました。
『押しつけの善意は悪意と何ら変わらない』
まさしくそれを体現したかのような一話。貴輝の行動は押し付けの善意であり、それは篤志にとって悪意でしかなかった。
級長という立場が余計にそういった行動に走らせてしまったのでしょう。残念です。
次回『隣』。二期でもあった動物絡み。また周囲の住民の悪意か、それとも……。
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