Fate/stay night 第20話「遠い夢跡」
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[Fate/stay night]
Fate/stay night 第20話「遠い夢跡」
今回は嵐の前の静けさ、って感じでしたね。なんか日常っぽくて。
で、注目するのは士郎とセイバーの意思の食い違い。「セイバーに残って欲しい」と言うことしか言わなかった士郎が、まともなことを言ったので、この辺りは「あぁ、やっぱ主人公なんだよな」って思いました。
でも、普通こう言う相互の意見の食い違いってもっと初期に出て来るものでは? まぁ、最初の方にも(アサシン戦の前)ありましたけど、ああ言う戦術的なものではなくて、根本的な意識の違いですからね、今回は。
それを含め、今週のFateは続きからどうぞ。
Aパート
言峰教会からの帰り道、士郎は1つの考えに達する……
「俺はセイバーが好きだ」
えぇー( ̄○ ̄;) いきなりですか? って感じです。シナリオが詰め詰めになっている感じが否めません。特に最近、そう思いますが。
帰って来た士郎は、凛に言峰教会に行っていたことを伝えるが、凛は何となく察しているのか「内容は訊かないことにする」と不干渉。(ネタバレですが)セイバーが実は死んだ英雄としてサーヴァントになったのではなく、死にかけている中途半端な状態でサーヴァントになったことが(いつの間にか)明らかになり、少々落胆の色を見せる凛。
事実をいつまでも考えていても仕方ないため、凛は今後について士郎に問うと、士郎はまず「セイバーとデートする」とのこと……。まぁ、聖杯戦争も佳境で、しかもイレギュラーとして黄金のサーヴァントまで出て来た時にこんなこと言われたら、そりゃあ笑いますよ。凛じゃなくったって爆笑しますって。
翌日、セイバーとデートすることになった士郎(最初、セイバーに「デート」について説明するのが大変だったり、イリヤの乱入があったりして大変でしたけど)。
バスで新都へ向かい、映画・食事・ショッピングとある意味王道を突き進む士郎。でも、映画がスターウォーズってのはどうなのだろう? 明らかに選択ミス……じゃないか、セイバーノリノリだったし。
ショッピング中、思わず士郎がからかってしまったことでセイバーの機嫌を損ねてしまうも、まだまだほほえましい感じです。
Bパート
帰り道。未だ沈没しかけた残骸が残ったままの船を見て、前回の爪あとがまだまだ残っていることを実感するセイバー。
新都とを繋ぐ橋の上で夕日を見ながら、今までのデートとは打って変わってマジメに今後の展望について話す2人。だが、少しずつ見られた意見の食い違いはここに来て顕著に表面化。
「セイバー、オマエは本当は戦いたくなんかないんだ。戦いになんて向かないんだ」
「私には戦う以外の選択肢は無かった」
「セイバーは、自分の幸せについて生きなきゃダメだ」
「王としての誓いを破ることは出来ない」
「過ぎたことをやり直したいなんて、子供の我侭じゃないか」
「あなたに私の何が分かる。自分の命すら顧みぬあなたに言われたくは無い」
2人の言葉は平行線を辿り、セイバーの口から相手を挑発するような言葉や、挙句「契約解除」の言葉まで出て来る始末。お互い一歩も譲らず、しかも相手の話を納得しようと努力しないのはどうかと思うが、さすがの士郎も限界に達し「なら勝手にしろ」と告げ、1人家に帰ってしまう(士郎とセイバーの会話については最後に考察)。その後姿を、セイバーはもはやただただ見つめることしか出来なかった。
家路に着いた士郎。自分の考えの正否ではなく、セイバーを大切に思うが故に譲れなかった先ほどの会話。それを思いながら、士郎は気が付けば眠りについてしまう。
午後10時過ぎ。凛によって起こされた士郎は、セイバーがまだ帰って来ていないことを知らされ、単身夜の街に出る。士郎がさまざまなところを回り、新都にも足を運ぼうと橋を渡ろうとした時、別れた場所と同じところにセイバーはいた。
「士郎に『勝手にしろ』と言われ、勝手にしようと思いました。でも、私には何をするべきなのか、何をしたいのか分からず、ずっとこうして考えていた」
夕方から考えればかれこれ5~6時間悩んでいたセイバーの身体は冷えており、士郎はセイバーの手を取って「帰る」と告げる。それでも自分の考えを謝るつもりなど無い(と言うか謝ってセイバーの意見を認めるわけにはいかない)士郎は、「言いたいことがあるなら今のうち」と言うも、セイバーからは何も言葉は出てこない。そして、困惑し引きずられるように歩いていたセイバーも、いつの間にか自分の足で衛宮邸へ向けて歩き出す。
しかし、背後から静かに黄金のサーヴァントがその姿を現した。
と、今回はここまで。次回予告を観ると、士郎とセイバーがかなり重体を負うようですが……。
以下、私的考察(と言うかただの私の意見)。
・士郎とセイバーの言い分
全てのセリフを顧みることは出来ないので、先に挙げたものだけ。
「セイバー、オマエは本当は戦いたくなんかないんだ。戦いになんて向かないんだ」
これは士郎の言う通り。戦闘中のこととは言え、乗客の有無について確認するセイバーは、士郎同様戦闘には向かないでしょう。ちなみに他人を優先し過ぎるが故に、パーティ全体を危険に落とす可能性が高い士郎も戦闘には向かないと私は思ってます。個人差があると思いますが、戦闘に向かない2人が聖杯戦争をどう生き残るのか、どう聖杯を手に入れるのか、これがFateの1つのテーマ……じゃないでしょうか?
「私には戦う以外の選択肢は無かった」
これはセイバーにとって事実で、士郎も認めなければならないところ。士郎だって聖杯戦争を止めるという目的を達するために、戦う以外の選択肢が無かったから戦っているわけですから。そう言うものは誰にだってあるものです。
「セイバーは、自分の幸せについて生きなきゃダメだ」
これについては、その人の自由でしょう。なので、セイバーが自分の幸福について考えるべきだ、とは思いません。ただ、私の意見とすれば自らの幸福すら願えずに戦う者に、本当に他者の幸福を理解できるのか? と言う疑問はあります。これについては、後述する「生命」と言うものにも関係してきますので、そちらを見て下さい。
「王としての誓いを破ることは出来ない」
これはセイバーの意思ですから、否定は出来ない。士郎だって「正義の味方」と言う信念を破ることが出来ず、ここまで来ているわけですから。でも、セイバーにしろ、士郎にしろ問題なのは、周囲の言葉を聞いて納得しようとする努力が見られないこと。信念を貫くのは構わないのですが、ちょっとくらい周囲の意見も聞いて納得して、信念を修正するくらいの応用力は人として欲しいところ。
「過ぎたことをやり直したいなんて、子供の我侭じゃないか」
これが全く以って士郎の言うとおりで、私がずっと言って欲しかった言葉。過ぎた事実をやり直したい、だなんて我侭も良いところ。人の人生や歴史は、「失敗したからリセットしてやり直そう」なんてゲームのようなことは出来ないわけですよ。人は過ぎてしまった過去を受け止め、そこからどう生きて行くか、が大切なわけで、「過去をやり直したい」と過去の全てを否定するようなことを願ってはならない(願いたくなることは多々ありますけど)。
前にも書きましたが、仮にやり直せたとしても今度こそ成功する、と言う確証はどこにもない。なら、また失敗したらまたやり直していつまでも歴史を無限ループの中に放り込むつもりなのか、って思います。セイバーの場合、王の選定をやり直しより優れた王を立てたい、と思っているようですが、ハッキリ言ってそれはセイバーが自分の失敗の責任を放棄し逃げているだけ。自己の責任を放棄するような人間に、成功は無いでしょう、たぶん。
「あなたに私の何が分かる。自分の命すら顧みぬあなたに言われたくは無い」
それは、事実ではあるのです。確かに士郎は自分の信念のために他者を優先し自分の命を顧みない。でも、それはセイバーにも言えることではないか? セイバーだって聖杯を手に入れるためなら自分の命すら顧みないほど危険なことも多々やってきた前例がある(特に前半の初期バーサーカー戦周辺は)。
確かに士郎にセイバーの全てを知ることは出来ないが、それは誰の関係だってそう。逆にセイバーだって士郎の全てを知るわけではない。「あなたに私の何が分かるのか?」と、良く小説やドラマで見たり聞いたりしますが、私から言わせれば「分からないよ。なら、あなたには私のことが分かる?」と逆に問い詰めたくなる。
加えて、セイバーにとってこの発言は致命的。何故なら、先に挙げたようにこの言葉はセイバー自身にも当てはまるものであり、自分の命すら大切にしない王に、本当の意味で民の命を大切に出来るわけがない。ハッキリ言うと、民にとって国の勝利や領地拡大なんてどうでも良いことではないか、と思うのです。民にとって重要なのは戦争に勝つことではなく、最低限自分と家族がお腹いっぱい食事が出来ることのはずです(特にセイバーがアーサー王だった時代は)。セイバーはそれを理解していなかったのだと思います。証拠として過去にセイバー(アーサー王)は部下から「王には民の気持ちなど分からぬのだろう」と言われてしまっている。
さらに、私たち視聴者がこれを知るのは士郎の夢にこれが出て来たからです。士郎の夢=セイバーの夢なので、セイバーの夢にこれが出て来るということは、セイバーはこの小言を耳にしているはず。にも関わらず、あのような発言はセイバー自身が、反省していないことになり、ますます仮にやり直したとしても再び失敗する可能性が高く、歴史の無限ループ化が懸念される。
結論から言えば、セイバーの言うことにも一理ある(特に王としての誓いなど精神的な部分)が、総合的には士郎の言っていることの方が私は正しいと考えます。勘違いされ易いのですが、士郎は自分の考えが絶対正しいとは思ってません。彼にとっては、自分の考えの正否は問題ではなく、彼が信じる信念を貫けるか否かが問題なわけです。私はそれで問題ないと思っています。そもそも「正しい」と言う判断は現実的に考えてつけようながない。ならば、人は自分の信じる信念を、時に周囲の人の話を聞いて修正したり考え直したりすることはあっても、貫くべきだと思います。私なんてそうですから。オタクみたいに毎日アニメ観てますが、私にとっては好きなもので、別にアニメを観るためにTVを占領したり学校に行かなかったりして周囲に迷惑かけてませんし、これを他人にとやかく言われるつもりはないです。つまり、そう言うことなのですよ。
でも素直な感想、辛口ですがこんなアーサー王なら謀反を起こされたって不思議じゃないですよ(確かアーサー王は最後に謀反を起こされて負けた……はず。アーサー王伝説に詳しくないので良くは知らないのですが)。
こうなると、次回以降は戦闘の行方もさることながら、2人の心境にも注目ですね……ところで桜は結局どうなったんでしょう?
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