8回完全試合の山井の交代劇について
中日ドラゴンズが日本一を達成したのですが、いろいろと物議を醸しているようです。私も昨日の記事で若干ふれていますが、本当に若干なので少し長々と語ろうかと思います。
ただ、OPENを開いて続きを読む場合、大変申し訳ありませんが、以下の条件を課させて頂きます。
1.賛否両論ある話題なので、当然私の意見に対して反対意見を持つ方がいらっしゃると思います。それは個人の意見ですのでどのような意見を持たれても構いませんが、私の意見も一個人の意見であり、その辺りを踏まえて一人一人の意見を尊重出来る方のみOPENよりお進み下さい。
2.私は交代を容認しています。そのため、山井投手の交代について非常に強く否定的な意見をお持ちの方は、意見がまるで合わないと思いますので、読まれないことをお勧めします(あくまで勧めるだけで、1の条件を呑まれるのであれば読んでいただいて構いません)。
以上2つの条件を呑んでも構わない、と言う方はOPENから私の意見をどうぞ。
私の意見から言えば、昨日の記事で語ったように私は交代容認派です。大絶賛する肯定と言うわけにはいきませんが、いろいろな状況や方々の心情をくみ取ればこれは容認せざるを得ないと私は考えています。
まぁ、いろいろ垂れ流すように書いても仕方ないので、私がそう考える理由を纏めてみました。
以下、個人意見で論文みたいなものなので「です・ます」調ではなくなります。
理由1:チーム状況と後の試合球場
1-0の状況。1-0の状況は山井投手にとって不運だった。もし、あと1点あればまた状況も変わっただろう。
でも、それだけじゃない。
まずは、この試合でチームが日本一に王手をかけていた状況がある。これが、第2戦、第3戦なら落合監督でも続投をさせていただろう(第1戦は…微妙)。でも、王手をかけてしまっていた。
さらに、中日はもしこの試合を落とした場合、3勝2敗ながら残りの試合を全て札幌ドームでやらなければならない状況もある。1-0だ。本塁打が出なくても、1つのヒット、四球で流れがガラリと変わりかねない。
是が非でも中日は、本拠地で決めたかったはずだ。いや、決めなければならなかったはずである。それはファンと言うこともあるが、何より短期決戦。どんなことで勝負運や流れが相手に向いてしまうとも限らない。
きっとこう言う方もいるだろう。
まだ2試合あって、王手は中日がかけているじゃないか
と。でも、それは正しいけれど少し違う。ことは短期決戦なのだ。短期決戦は本当に一つのプレイ、ヒット、四球などで変わってしまいかねない。ひとつの判断ミスが、致命傷に成りかねないのである。本当に。
理由2:落合監督の経験と監督としてのプレッシャー管理
短期決戦の恐さを落合監督は知っている。昨年、自軍のバント失敗から流れを全部日ハムに持っていかれて日本一を逃した経験をしているのだ。
さらに、これは私も今朝、某テレビ番組で知ったのだが、一度落合監督は選手時代に似たような経験をしていたようだ。相手は巨人。エース斎藤雅樹が9回ノーヒットノーランを達成しようとしたところでヒットを打たれ、さらにサヨナラ本塁打を打たれた。その時、ノーヒットノーランを封じたのが落合監督だったらしい(どこまで正確なのか、怪しいが)。
そうだとすると、落合監督には脳裏にこの様子もよぎったに違いない。エースを以てしても、大記録を逃した反動の大きさは計り知れない。
ハッキリ言って、山井投手続投のリスクは高い。様々な部分に高いプレッシャーを要求しなければならないからだ。
まずは、山井投手自身。後述するが、報道通りならば彼を9回マウンドに上げること自体がハイリスク。さらに、そこに日本一と大記録のプレッシャーを課さねばならない。
2つのプレッシャーを負わなければならないのは山井投手だけではない。むしろ、後ろで守る守備陣の方がプレッシャーは大きい。
監督として、1%でも勝率の高い方を選ぶのであれば、守備陣のプレッシャーを少しでも軽く出来、且つ絶対的な守護神がいる状態では岩瀬を選ばざるを得ないだろう。
理由3:山井投手の状況と緊張の糸
投球数90球に満たないこともあって、体力的にはまだ行けると判断するファンの方も多いかと思う。ただ、新聞報道によれば、初回から飛ばしていたこと、6回からマメを作っていたこと、日本一が決まる試合でさらにダルビッシュと1-0の試合を8回投げ続けた精神的疲労のことを踏まえれば、ギリギリだったと思う。
加えて山井投手自らが降板を申し入れたことや「最後は岩瀬さんに投げて欲しかった」と漏らしている報道もされている。仮にこれが真実だとしたら(一応。真実ではない可能性もないわけではないので)、山井投手を再度マウンドに上げるのは無理だろう。
もし山井投手が最初から「何があっても9回は岩瀬さんに投げて欲しい」と考えていたとすれば、8回終了時点で彼は自分の役目は終わったと緊張の糸を解いてしまっている。ハッキリ言って、そのような投手を仮に大記録がかかっていたとしても、再度マウンドに上げるのは危険すぎる。
そして、中日には幸か不幸か前の試合を完璧に抑えた絶対的守護神・岩瀬の存在があったのだ。
理由4:岩瀬投手の存在とリリーフの定石
仮にこの日本シリーズを1年の集大成と捉えよう。と言うか、選手たちからすれば(アジアシリーズがあるとはいえ)その通りなのだが。
その場合、1年を通して投げ続けて40S以上を挙げた岩瀬投手の存在を無視することは出来ない。山井投手が「最後は岩瀬さんに~」と言う発言をしているように、だ。
山井がもしヒットや四球を与えたら、途中からリリーフすればいいじゃないか。
私もそう思う。そう思うのだが、ちょっと野球を知る方ならご存知の通り、リリーフの鉄則が2つほどある。1つは回をまたがせない。もう1つは、途中からリリーフをさせない。絶対ではないが、出来ればこの2つを起用する側は避けて通りたいのだ。
前者は回をまたぐことで緊張の糸が一度途切れてしまうから。この辺が、先に挙げた山井投手に繋がる。彼の場合は先発なのでそう言うことはあまり問題ではないが、報道通りであるならば一度緊張の糸を解いてしまっているので、ここに当てはまる。
後者は回の最初からマウンドにリリーフを上げると言うもの。どのような理屈がつくのか、正直私は判らないのだが、気持ち的な問題なのだろう。これも、やらなければならない場面はあるが、出来れば起用する側はやりたくないと言われる場面だ。
この2つの鉄則と言うか定石を鑑みれば…交代は、確実に勝利するために必要だったのだろう。
以上の理由は、全て中日の勝率を下げることだ。監督としてそれだけは何があっても出来ないだろう。それを考えれば、交代は容認せざるを得ない。
終わりに
感情論で本音を言わせてもらえば、私も山井投手の大記録を観たかった! それを偽るつもりはない。だって、観たかったものw だから、交代に批判する方や否定的な方の気持ちはよく解る。でも、それが解る上で私はこんな記事を書いたのである。
基本的に、たぶん私はどちらの意見も間違っていないと思っている。十人いれば十通りの考えや答えが出てきて当然だろう。肯定することも、否定することも一意見として大切だ。ただ、少し分析すると、スタンスが違うのだと思う。
肯定・容認:日本シリーズは一年間の集大成であり、選手たちの優勝への想いは無視出来ない。
否定・否認:二度とないだろう大記録が棒に振られ、野球ファンの想いを無視された。
どちらのスタンスも間違いじゃない。どっちも大切。でも、どちらかを取らないといけなかったのだ。そして、上で挙げた状況だと私は納得してしまうタイプの人間なのだ。
野球ファンの想いは大切だし、大切にして欲しい。プロは魅せてこそのプロだと言う方もいる。プロは夢や希望を与えてこそのプロだと言う方もいる。それはそれで正しいのだが、
日本一の可能性を下げてまで球史に残る個人の大記録に賭けてくれないか
とは私なら言えない。選手たちやスタッフ、もちろん監督やコーチたちの一年間の、文字通り身を削った戦いを少しでも想像してしまったから。そこに中日ファンだとかアンチ中日ファンだとか関係ない。もちろん、野球ファンであることも。ただ、頑張った彼らの頑張りを私は無視出来なかった。私は私たち野球ファンの身勝手な夢や希望を、頑張ってここまで身を削って戦ってきた彼らに押し付けることは出来ない。
幾ら魅せて、夢や希望を与えたとしても、プロだって結果は求められる世界なのだ。
そして、最前線で戦い続けた選手たちが1%でも、1厘でも高い勝率が得られる方を選択することはプロとして必然であり当然であって、それに対して一方的に批難だけを押しつけることはできないだろう、と思う。
意見はここまで。なので、語調は元に戻りますw
最後にもう一度、念を押しておこうと思います。
これは私個人の一意見です。もちろん、山井投手の交代やそれを容認した私の意見に否定的な意見もあると思いますが、その意見はぜひ大切にして欲しいと思います。誰かの意見が100%正しいと言える話題ではありません。何を大切にするか、どこに重点を置くか、で個人個人が今回の一件に対して持つ意見は変わるはずです。
肯定的な方は、私の意見で賛同者がいるのだと言うことを知ってもらえればと思います。
否定的な方は、こう言った意見を持つ野球ファンも確かにいるのだと知ってもらえればと思います。
多くの賛否両論の意見で、さらに野球が盛り上がればと私はただ願って、これからも野球を楽しんで観て行こうと思います。
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